著者
志水 英明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.957-964, 2022-05-10 (Released:2023-05-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

・血液ガスを測定しなくてもNa―Clで酸塩基平衡異常が推測できる. ・Na―Cl<36 代謝性アシドーシス,Na―Cl>36 代謝性アルカローシスを疑う. ・Na―Cl≒36でも酸塩基平衡異常がある. ・重症疾患(乳酸アシドーシス,ケトアシドーシス,呼吸不全)では血液ガス測定を行う.
著者
遠藤 慶太 北村 浩一 鈴木 利彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.926-933, 2022-05-10 (Released:2023-05-10)
参考文献数
13

高カリウム(K)血症は日常診療でよく遭遇するが,時に致死的となることから迅速な病態の把握と対応が求められる.その病態はintakeの増加,outの減少,細胞内シフトの障害と分けると理解しやすく,特に前者2つは通常慢性腎臓病が背景にある.近年,心疾患や腎疾患に対するRAS(renin-angiotensin system)阻害薬の有効性の報告とともにその使用が増加しているが,副作用の高K血症を診る頻度が増えている.その一方で高K血症の新規治療薬も開発され,今後の診療は変わる可能性がある.
著者
河合 忠
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.12, pp.3080-3087, 2013-12-10 (Released:2014-12-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1

保健・医療における臨床検査の役割が増大しており,ほとんどの臨床検査は医療機関検査部または臨床検査センター(登録衛生検査所)において,主治医の関与なしに独立に行われている.臨床検査室の信頼性を高め,対外的にも公示の必要性が高まっていることから国際標準化機構ISO 15189国際規格に基づく第三者認定機関による認定が世界的に広まりつつある.さらに,国際試験所認定協力機構による認定機関同士の相互承認協定も進んでいる.
著者
西川 博嘉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.3, pp.430-437, 2019-03-10 (Released:2020-03-10)
参考文献数
6
著者
濱口 勝彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.2362-2366, 2002-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
10
著者
岡村 建 佐藤 薫 藤島 正敏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.1175-1179, 1997-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

自己免疫性甲状腺疾患の素因をもつ症例は,インターフェロンα投与により橋本病の分娩後甲状腺機能異常に類似した病態を高頻度に示す.これは複雑な免疫修飾作用によるものと考えられる.抗TSH受容体抗体も一過性に検出され,バセドウ病や橋本病などの臨床像の発現が,サイトカインによって影響されることが示唆される.
著者
神田 隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.2439-2445, 2017-11-10 (Released:2018-11-10)
参考文献数
10

四肢末梢のしびれ感や感覚・筋力低下を主症状とするニューロパチーは,日常診療で頻繁に遭遇する病態であるが,診断や治療に難渋することが多く,苦手とする先生方も多い疾患群である.本稿では,近年,病態の解明や治療法の開発で進歩がめざましい自己免疫性ニューロパチーを取り上げ,急性3疾患・慢性4疾患に焦点を絞って概説する.本症は,基本的には治療介入可能な病態である.従来の副腎皮質ステロイド,免疫グロブリン大量静注療法(intravenous immunoglobulin:IVIg),血漿浄化療法の3つに加えて,各種免疫抑制薬や生物学的製剤の有効性に関する知識が蓄積されており,治療の選択肢はかつてない広がりをみせている.しかし,末梢神経軸索は一旦障害を受けて軸索変性に陥ると,その再生には長期間を必要とし,軸索変性から神経細胞体の破壊に至れば,不可逆的な機能脱落に至る.治療オプションが広がった今こそ,免疫性ニューロパチーに関する知識を最新のものとし,早期診断から治療に結び付けていただきたいと念願する.
著者
野村 英樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.1116-1121, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
2
被引用文献数
5
著者
柿本 泰男 佐野 輝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.533-538, 1994-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1

パーキンソン病の治療の開発の歴史を概観した.その中でL-DOPA療法の開発の一部に筆者の一人が関与したので,発想や苦労話も加えて記述した.治療法の開発は他の病気のそれと同じく,病因がわかって,理論的に行われたものはない.偶然の思いつき(抗コリン薬),研究的関心(ドーパミン),臨床の偶然の経験(アマンタジン)などが発端になっている.薬物の密造の失敗(MPTP)も新たな研究への端緒になっている.
著者
中西 洋一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.9, pp.2468-2472, 2013-09-10 (Released:2014-09-10)
参考文献数
17
著者
北村 忠弘
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.10, pp.2177-2185, 2019-10-10 (Released:2020-10-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

糖尿病領域において,グルカゴンは常にインスリンの脇役であった.実際,インスリン研究に比べ,グルカゴン研究は大きく遅れている.その最大の理由は,グルカゴンの測定が正確にできなかったためである.グルカゴンは,プロセッシングの過程で類似するペプチドが複数産生され,測定の際に交差反応を起こす.最近,この問題を解決すべく,サンドイッチELISA法やLC-MS/MS法によるグルカゴン測定法が開発された.これらを用いた再検証で,従来とは異なるグルカゴンの本態が見えてきた.健常者でも食後はグルカゴン分泌が促進されること,グルカゴンは糖代謝調節よりもアミノ酸代謝調節に重要であること,糖尿病ではグルカゴンの過剰分泌及び糖負荷後の分泌抑制不全が認められること等である.さらに,グルカゴン抑制を主作用とする新しいクラスの糖尿病薬が開発中であり,今後の糖尿病診断及び治療方針決定において,グルカゴンは重要性を増している.

2 0 0 0 OA 意識障害

著者
卜部 貴夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.1082-1089, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
5

2 0 0 0 OA 3.心臓,血管系

著者
篠山 重威
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.86, no.12, pp.2213-2218, 1997-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4

W. Oslerの遺した数多くの講演の中で最も有名なものに1889年ペンシルバニア大学で行った平静の心と題するものがある.この中で彼は医師にとって不可欠な資質は沈着な姿勢であることを語りかけた.患者を診察しているときには何事にも動じず明晰な判断を必要とする.そのためには幅広い経験と詳しい知識を備えておかねばならない.本項では循環器系疾患の診断に関して手技と思考の過程を述べた. “沈着さと確信,この二つの約束された祝福の穂”を刈り取るための基本である.

2 0 0 0 OA 麻疹ウイルス

著者
中山 哲夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.159-166, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
16

麻疹ウイルスが分離されて50数年経過し分子生物学の進歩により麻疹ウイルス感染の分子機構が解明されつつある.麻疹ウイルスに感受性の高いB95a細胞が発見され野生株の分離が容易になり麻疹ウイルスreceptorがSLAM(signaling lymphocytic activation molecule;SLAM)であること,細胞融合,転写・複製機構の解明が進んできた.ワクチン接種の拡大により麻疹はコントロールされてきているが,我が国においては2007年に成人麻疹の増加が社会問題となり2008年からはCatch-up campaignが中学1年生,高校3年生を対象に始まり2012年麻疹排除を目指している.麻疹ウイルスの最近の知見と病態の解析,分子疫学等の知見を紹介する.
著者
西宮 健介 安田 聡
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.218-225, 2021-02-10 (Released:2022-02-10)
参考文献数
12

高齢化の進む我が国では,出血リスクの高い患者への対応が求められる.2020年,日本循環器学会ガイドラインが改訂され,「冠動脈疾患患者における抗血栓療法」が発表された.ステント血栓症に対する抗血小板薬2剤併用療法(dual antiplatelet therapy:DAPT)期間の短縮やde-escalation,さらに,安定冠動脈疾患を合併した心房細動症例に対する抗凝固薬単剤療法等less is moreレジメンに抗血栓療法のコンセプトは転換してきている.
著者
色川 俊也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.10, pp.2186-2192, 2019-10-10 (Released:2020-10-10)
参考文献数
14

環境中の物質が人体に侵入する主たる経路である呼吸器では,吸入された10 μm以下のエアロゾルは気管・気管支に沈着し,さまざまな呼吸器疾患を誘発する要因となり得る.職場環境での吸入曝露によって発症する職業性呼吸器疾患は,喘息や過敏性肺炎のように,初回曝露から発症までの期間が比較的短いもの,じん肺や中皮腫のように,曝露から発症まで数十年を要するものがある.いずれも,曝露防止により発症を防ぎ得る疾患ではあるが,近年は,新たな化学物質や工業材料の開発によって,これまでの曝露対策では対応困難な例も発生している.職業性呼吸器疾患の予防には,労働者の啓発・教育はもちろん,有害性の高い物質の使用回避(代替),適正な作業環境や作業態様の管理を行い,曝露対策を徹底することが重要である.また,労働者の健康管理を継続的に展開することも重要である.
著者
兵頭 政光
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.11, pp.2370-2377, 2020-11-10 (Released:2021-11-10)
参考文献数
10