著者
石田 健二 岩井 敏 仙波 毅 福地 命 當麻 秀樹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.450-454, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
15

これまで甲状腺がんに限らず,一般に発がんのメカニズムは,「多段階発がん説」に基づいて説明されてきた。すなわち,正常な体細胞(機能細胞)に変異が段階的に蓄積し,正常な体細胞が良性腫瘍となり,それががん化して次に悪性のがんに進展するというものである。しかし近年,“幹細胞ⅰ”の研究が進むにつれて,組織や臓器の細胞を生み出す組織幹細胞が,がんの主な発生母地であるといわれるようになってきた。本稿では,変異蓄積による「多段階発がん説」のモデルと,それでは説明できない子供に多く発生する血液がんの発症メカニズムのモデルについて解説する。
著者
竹澤 宏樹 小原 徹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.219, 2009

弱結合体系の空間依存動特性解析手法として積分型動特性モデルに基づく空間依存動特性解析手法を開発した。本手法をGodiva炉へ適用し、一点炉動特性モデルと解析結果を比較した場合の検証結果について報告する。
著者
古瀬 貴広 蛭田 尚和 西村 幸一 佐藤 信晴 新津 好伸 鈴木 克彦 阿部 元治 一戸 孝暁 大箕 英明 五十嵐 万人
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.515, 2012

福島第一原子力発電所 滞留水中の放射性Srを一日程度の短時間で迅速に分析する手法について検討した。滞留水中の放射性Srを固相抽出剤により分離・抽出した後, 直ちに液体シンチレーションカウンタ(LSC)にてSr89+Sr90を, 誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)にてSr90をそれぞれ定量した。その結果は, Sr90-Y-90放射平衡後のY90濃度から評価した放射性Sr濃度と比較してよい一致を見ており, 滞留水中の放射性Sr濃度を確認する迅速分析法として本手法は有効であると言える。
著者
内藤 正則
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 = Journal of the Atomic Energy Society of Japan (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.473-478, 2011-07-01

<p> 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う大津波が,関東から東北地方の太平洋岸に面する原子力発電所を襲った。特に,福島第一原子力発電所に設置されている1号機から4号機までの4プラントは甚大な被害を受けた。これら4プラントから環境に放出された放射性物質の量は,チェルノブイリ原発事故の約1/10と言われている。現在はすでに被害の拡大は抑えられ,核燃料から発生し続ける余熱(崩壊熱)を安定に除去する,いわゆる冷温停止状態を維持するための方策がとられつつある。しかし,ここに至るまで,なぜ多量の放射性物質の環境への放出という大惨事が起きたのであろうか。格納容器の過圧を防止するためのベントや核燃料の冷却を維持するための注水作業が遅れたことが一因として挙げられているが,直接的には水素爆発による原子炉建屋の損傷が,その後の事故の推移を決定づけたといえる。本稿では,「なぜ水素爆発が起きたのか」という点に焦点を絞って,現状で得られているプラント情報に基づいて解説する。</p>
著者
伊藤 邦雄 上村 勝一郎 馬場 利和 佃 由晃
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.305, 2005

使用済燃料被覆管を用いたクリープラプチャ試験により破断時間と温度、応力との関係を累積損傷係数であるラーソンミラーパラメータ(LMP)により定式化した。使用済燃料被覆管の全ての試験条件下の試験で1%以上の歪みで破断することを確認し、現在の技術基準の目安である1%歪み基準の妥当性を判断するための基礎データを整備した。
著者
高橋 佳之 八木 貴宏 三澤 毅 卞 哲浩 代谷 誠治 吉川 潔
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.91, 2007

D-D中性子源とBGO-NaI複合検出器3系統による地雷探知システムのプロトタイプを製作した。このプロトタイプと実際の爆薬を用いて、爆薬中の窒素・水素原子と中性子との核反応によって得られる捕獲γ線(窒素10.83MeV・5.27MeV、水素2.22MeV)を計測し、地雷の有無の判別を行った。また、爆薬量、地雷埋設深さ、土壌水分量などが異なった様々な条件下における地雷探知システムの性能を評価した。
著者
磯野 健一 近澤 佳隆 堂崎 浩二 川崎 信史 衛藤 将生
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

検査装置によるアクセス性向上、及び炉内構造物の引き抜きを前提とした構造改善案を抽出した。抽出した各改善案において安全性、構造健全性、製作性、系統運転に対する課題を整理し、改善案を具体化した。検査・保守方法として、燃料交換機型アクセス装置等を用いた炉内ナトリウム中構造物へのアクセス性を評価した。また、補修方法として、炉心上部機構、回転プラグ・ルーフデッキ及び炉心支持構造の引き抜き手順を具体化した。
著者
都筑 和泰 笠井 滋 守屋 公三明 鈴木 成光 新井 健司
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.229-233, 2009 (Released:2019-06-17)

2006年の総合エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会報告(原子力立国計画)などにおいて,2030年以降に発生すると予想される代替需要に備えるため,「次世代軽水炉を開発すべきである」ということが指摘されてきた。これを踏まえ,2006~2007年度にはフィージビリティスタディ(FS)を実施し,2008年4月には,(財)エネルギー総合工学研究所を中核機関として実際の開発に着手した。現在,「世界最高水準の安全性と経済性を有し,社会に受け入れられやすく,現場に優しい,国際標準プラント」の実現に向け,技術開発を推進している。
著者
黒澤 龍平
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.17, no.9, pp.477-482, 1975-09-30 (Released:2010-04-19)
参考文献数
24
著者
引地 拓夫 鈴置 善郎
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.53, 2004

「もんじゅ」の配管しゃへい室(原子炉容器室と1次主冷却系機器室の間にある部屋)内の中性子は以下が考えられる。(1)炉心からの中性子,(2)光中性子(1次系の<SUP>24</SUP>Naの崩壊γ線によるコンクリート中の重水素の光核反応により生成)<BR>既報では,(1)の炉心からの中性子のみを対象としたCo箔放射化量計算値を求めたが,今回は(2)の光中性子も考慮してCo箔の放射化量の評価を行った。計算・評価方法は,以下の手順である。<BR>(a)3次元輸送計算コードTORTを用いて配管中の<SUP>24</SUP>Naを線源としたγ線束分布計算を行う。(b)配管室壁中の光中性子線源分布を求める。(c)3次元輸送計算コードTORTを用いて壁中の光中性子線源を線源とした光中性子束分布を行う。(d)運転履歴に従った<SUP>24</SUP>Na放射化量履歴を求め,前の計算値を用いて光中性子束の履歴を求める。(e)光中性子束の履歴を用いてCo箔放射化量を算出する。(f)測定値との比較を行う。<BR>その結果,C/E値は0.63から4.0(概ね1.9近傍)を得た。
著者
武田 充司
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 = Journal of the Atomic Energy Society of Japan (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.87-91, 2008-02-01
参考文献数
1
被引用文献数
1

<p> 世界の多くの国々の資金協力によって進められてきたチェルノブイリ新シェルター建設プロジェクトは,新シェルター建設工事の実施主体となる事業者が選定され,去る2007年9月17日,ウクライナの首都キエフにおいて,関係者の間で正式契約の調印式が行われた。この契約調印は,世界を震撼させた未曾有の大事故によって崩壊したチェルノブイリ4号機を以後100年にわたって安全に管理する新シェルター建設へ向けて大きな一歩を踏み出したことを意味する画期的な出来事である。筆者は,このプロジェクトの国際顧問団の一員として,当初からプロジェクトの重要な技術的事項の決定に深くかかわってきたので,この機会に,新シェルター建設へ向けてのこれまでの歩みをまとめ,この困難な国際プロジェクトに対する一般の人々の理解を深め,関心を喚起したいと思う。</p>
著者
福元 謙一 鳴井 実 松井 秀樹 室賀 健夫 長坂 琢也 リー メイメイ ホルツァー デイビッド ジンクル スティーブ
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.556, 2007

JUPITER-II計画の一環として、HFIR炉で液体Li金属封入照射キャプセルを用いたバナジウム合金の照射下クリープ試験が行われた。バナジウム合金の照射下クリープと引張強度特性に及ぼす照射効果について過去の熱クリープ試験および照射下クリープ試験結果と比較し、バナジウム合金の照射下クリープ挙動について明らかにする。
著者
小宮山 涼一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.830-835, 2021

<p> 水素やCCUS技術は,現状の対策では脱炭素化が困難な部門に対するCO<sub>2</sub>削減・除去対策として国際的な関心を集めている。水素は,鉄鋼や化学,航空,貨物車等での利用や,水素発電の導入が計画されており,水素輸入に向けたサプライチェーンの検討の動きが進展している。CCUS技術はCO<sub>2</sub>回収や貯留に加え,カーボンリサイクルを通じて,脱炭素化への貢献が期待されている。ただし,水素やCCUS技術ともに,本格的な普及拡大に向けては,技術開発,コスト,インフラ整備に係る課題克服が重要となる。</p>
著者
小柳津 誠 磯部 兼嗣 林 巧 山西 敏彦
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2010年秋の大会
巻号頁・発行日
pp.942, 2010 (Released:2010-10-18)

トリチウム水中における材料の腐食挙動は天然水中の腐食挙動とは異なる可能性がある。そのため本研究は、電気化学的手法を用いて、トリチウムによる金属材料の腐食挙動への影響の解明を目的とした。SUS304ステンレス鋼を試料として用い、トリチウム濃度と溶存酸素濃度をパラメータとして実験を行った結果、溶存酸素の存在による不動態化がトリチウムの存在により阻害されていることが明らかとなった。
著者
日渡 良爾
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.488-492, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

本稿では,核融合炉のトリチウム燃料循環システムにおけるトリチウムバランスの基本的な考え方とモデル化について概説する。また原型炉における評価例を紹介し,トリチウムインベントリの挙動,必要となる初期装荷トリチウム量,トリチウム倍増時間について説明する。その後,原型炉に向けた課題としてトリチウムバランスのモデル化に必要なトリチウム損失係数の重要性,原型炉のトリチウムインベントリ最小化に向けた燃料システム構成の提案例について紹介する。
著者
坂井 章浩 天澤 弘也 仲田 久和 宮原 要 木原 伸二
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

今後の自治体等による除染計画の策定及び除染活動の実施の際に必要となる知見・データを蓄積することを目的に家屋(庭を含む)、畑、牧草地、果樹園等を含む様々な土地の利用形態を対象に面的除染を実施した。除染エリア毎の地形、土地の利用状況等に応じて容易に実施可能な除染方法を用いた結果、除染後の空間線量率の平均値は概ね除染前の1/2まで低減した。<br>個別の除染作業について、屋根の除染では、Csが特定個所に付着・残留して居る傾向があり、汚染状況に応じて、拭き取り方式や電動研磨方式を用いることが有効であった。コンクリートスラブの汚染に対しては、スチールブラストショット除染が有効であった。
著者
保坂 宗一郎 大垣 裕嗣 廣岡 慶彦 西川 雅弘
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.650, 2005

1980年代後半のTFTR のスーパーショット以来、高性能コアプラズマがしばしば周辺での低リサイクリング条件によってもたらされることが良く知られている。実際、ボロニゼーション等の壁コンディショニングが多くの閉じ込め実験で日常的に行われている。しかし、捕獲された粒子による表面飽和のためにボロニゼーションの効果は有限の寿命があり、再コンディショニングが必要である。従って、将来の長時間放電炉に向けては低リサイクリングを定常状態で維持できる新しい壁コンセプトの開発が必要になってくる。 ひとつの解決策として移動表面式プラズマ対向機器概念が提唱され[1]、最近その原理検証実験が行われ前回の報告では、リチウムの連続的蒸着により定常リサイクリングが75%まで低減されることが示された。 今回は、リチウムを液体の粒子リサイクリング挙動を調査したので、その結果を報告する。