著者
藤井 幸泰 神崎 裕
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.219-224, 2018

<p>地質踏査の三種の神器の一つであるクリノメーターについて,古典的アナログ機器といえる国内外の製品版クリノメーターを紹介すると共に,現在ダウンロード可能な同機能アプリ(iOSおよびアンドロイド版)について,デジタルガジェットとして紹介する.</p>
著者
西山 賢一 横田 修一郎
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.122-129, 2010-08-10
被引用文献数
5

熊本県・天草上島に分布するタフォニを調査し, 形態的特徴等について検討した. 当地域には多数のタフォニが古第三系砂岩の急崖に形成されており, それらの確認範囲は海岸域だけでなく, 山地域にも及ぶ. 一部のタフォニでは, 天井から剥離・落下した砂粒子が底部に堆積しており, タフォニの一部は岩石表面の継続的な剥離によって現在も成長中であることを示している. また, 剥離の進行する天井部では概して岩石の強度が低く, かつ含水状態が高い地点が認められ, 天井部での岩石の風化が著しいことを意味している. 当地域のタフォニの形成に関しては, 岩石表面での塩類風化とそれに伴う強度低下が大きく関与したことが推定される.
著者
長谷川 修一
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.336-344, 2010-02-10
参考文献数
20
被引用文献数
1

高松クレーターは, 重力探査によって発見された伏在陥没構造で, 高松平野南部の仏生山町を中心に直径約4km, 深さ千数百mの規模と推定されている. 高松クレーターをめぐっては, 1994年から約10年間, その成因と渇水時の地下水源としての利用について論争が続いた. 高松クレーター論争は, 学会における議論により, 「夢」と「ロマン」と「渇水の切り札となる水源」として, マスメディアの報道が先行した特異な事例である. また, 高松クレーターの報道によって, 行政が水源調査を行い, 民間会社が温泉事業に投資し, 市民が地域おこしの題材とするなど, 単なる科学論争を超えた社会現象になった. 本稿では, 高松クレーターに関する論争と新聞報道を検証し, 応用地質学の市民生活に貢献のあり方を考察した. 高松クレーターでは, 日本初の隕石衝突孔なら, 地底湖があればと市民に期待をいだかせる報道に対して応用地質学の論理展開を軸に表層地質, 物理探査およびボーリング試料の分析・試験データに基づき繰り返し反論・説明することによって, 一方的な科学情報による地元の混乱と科学者や技術者の信用失墜を未然に防止することができた.
著者
田中 義浩 亀高 正男 岡崎 和彦 鈴木 一成 瀬下 和芳 青木 和弘 島田 耕史 渡邊 貴央 中山 一彦
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.13-27, 2018-04-10 (Released:2019-08-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1 5

上載地層法が適用できない断層の活動性評価に資するため,活断層と非活断層の断層露頭で断層面の形態観察を実施し,断層活動性評価の指標を検討した.活断層としては五助橋断層の五助ダム上流露頭と六甲断層の船坂西露頭を,非活断層として六甲蓬莱峡のK地点を対象に,断層面の「連続性」,「切断関係」,「平滑性」に着目した.連続性は「断面形状の連続区間率測定」,切断関係は「周辺構造の切断率測定」を行った. 平滑性については「断面形状の平面区間率測定」,「粗さ/うねり形状の測定」及び「写真解析による算術平均粗さ測定」という3種類の測定を行い,合計5つの測定手法を検討した.本研究結果から,「断面形状の連続区間率測定」,「周辺構造の切断率測定」,「断面形状の平面区間率測定」について,活断層と非活断層を見分ける識別基準値を有する可能性が示された.なお,引き続き,識別基準値の明確化とその検証のために測定事例の追加・検討,議論が必要である.
著者
亀谷 裕志 金井 哲男 Jianliang DENG 堤 千花 古関 潤一
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.19-30, 2010 (Released:2013-03-31)
参考文献数
14
被引用文献数
4 2

2004年新潟県中越地震で斜面崩壊が生じた2地点において, すべり面の力学特性の評価に重点をおいた調査を行い, その結果に基づき崩壊メカニズムについて考察した. いずれの崩壊地点も地層傾斜15~20°程度の流れ盤の緩い斜面であり, 平滑に近い層理面に沿って弱面が発達していた. 弱面を含む不攪乱試料を用いた室内試験では35~40°の内部摩擦角が得られ, 粘着力は不飽和状態では10kPa程度で飽和状態では0kPaであった. これらの強度に基づく安定解析によれば, 常時の水位変動に対して斜面は十分に安定であったこと, 地震前の降雨による飽和化が崩壊に寄与したことがわかった. 一方, 斜面が長距離移動したという崩壊の形態を考えると地震動によって弱面の強度が低下したことが想定された. 室内で実施した単純せん断試験によれば載荷方向の反転を伴う繰り返し荷重を与えることにより弱面の強度が低下することが確認された. したがって, 崩壊の原因のひとつとして地震による繰り返し荷重が緩い斜面に作用することにより荷重の方向が反転し, その影響により弱面の強度が低下したことが考えられる.
著者
下河 敏彦 稲垣 秀輝
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.72-77, 2013-06-10
参考文献数
10

2011(平成23)年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は,東北地方から関東地方の広範囲にわたり甚大な被害をもたらした.<br> 今回筆者らは,液状化しやすいとされていた臨海部埋立地のひとつである千葉県の稲毛海岸を中心に,東北地方太平洋沖地震による液状化発生地点の分布状況を調査した.<br> その結果,液状化発生地点は埋立て前の澪筋や古い埋立地の境界などに集中する傾向が認められた.澪筋の堆積物は<i>N</i>値5以下の砂質堆積物である.<br> このように,微地形分布状況と土地利用履歴,地質情報との関連を明らかにすることは,今後の地域防災計画にとっても重要な情報となる.
著者
金折 裕司
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.118-123, 2014-08-10 (Released:2014-11-26)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1
著者
氏平 増之 今野 久志 牛渡 裕二
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.2-15, 2013-04-10
参考文献数
17

本論文の一連の研究では,ケーブルセンサCSをスチールワイヤ内に巻き込んだスチールワイヤ型ケーブルセンサ(SWCS)の現場適用化試験を行っている.SWCSの重量はセンサ長が長いとかなり大きくなる.緊急時の使用にはSWCSより軽量のセンサ開発が望ましい.ここでは,繊維ロープ内部にCSを巻き込んだ繊維ロープセンサ2種類(TRCS-I,II)を試作した.これらを防護ネットに一定間隔で固定する方法を想定し,2点で固定した条件下で一定の衝撃を与え,出力電圧波形の特徴,引張りひずみ下での感度変化を調べた.繊維ロープセンサはSWCSに比べ,単位長さ重量が各13%,23%と軽く,緊急時に急いで落石頻度の計測体制を整えたいような場合に有用と考えられる.本研究で明らかになった主要な点は以下のようである.(1)国道の覆道上部平坦面にSWCSを敷設して行った落石検知計測では落石により±1,500mVの出力電圧波形が得られ,同様の計測手法は,国道の通行止め,解除等の判断に役立つと考えられる.(2)SWCSより軽量なTRCS-I,IIの出力電圧波形の±ピーク値と引張りひずみの関係は,ひずみ<I>ε</I>≦2%の初期段階では出力電圧が若干増加する傾向,<I>ε</I>=2~9%でほぼ一定,<I>ε</I>>9%では漸減する傾向がある.10%付近の大きいひずみレベルまで感度を保持しており有用といえる.
著者
竹村 貴人 斉藤 奈美子 池野 順一 高橋 学
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.160-164, 2009 (Released:2013-03-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1

近年の急速な産業技術の発展に伴い, レンズやシリコンウェハなどの先端材料の精密加工の需要が非常に高まっている. そのような背景のもと, 砥石は物作り産業をはじめとする産業技術の基盤を支える重要な道具の一つであることはいうまでもない. しかしながら, 天然砥石の合砥と呼ばれる仕上げ砥は, 未だに人工的に造られた人工砥石よりも優れた研削性能を持つものもあるとされており, 現在でも日本刀や和包丁など刃物の研ぎ師が好んで使っている. ここでは, このように優れた研削性能を持つ天然砥石, とくに合砥に関する情報を人工砥石に取り入れることを目的として, 合砥の内部構造の特徴を応用地質学的な視点を交えてまとめた. その結果, 質の高いとされる合砥はサブミクロンオーダーの空隙が多く存在していることが明らかになった.
著者
後藤 繁俊 鈴木 恵三
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.143-148, 2011 (Released:2013-03-31)
参考文献数
16

前弧海盆に堆積したストーム堆積物主体の宮崎層群の砂岩と泥岩において, 最近の地質年代学的な研究成果を基に各部層の代表的な絶対年代を検討し, 続成作用の進行度に関係の深い岩石の一軸圧縮強度との相関図を作成した. その結果, 新しい佐土原層(3.7Ma)においては, 砂岩より泥岩の方が大きい強度を示すものの, 生目層相当層(4.5Ma)より古い地層では両者の関係が逆転して泥岩より砂岩の強度の方が大きいことが判明した. さらに, 砂岩は泥岩より強度増加率が高いため, 時代が古くなるほど砂岩と泥岩の強度差は拡大することが判明した. また, 今回求まった宮崎層群の砂岩と泥岩における絶対年代と一軸圧縮強度の相関図から, その地点に分布する宮崎層群の絶対年代(部層名)に基づいた適切な設計強度の設定が可能になると考えられる.
著者
小島 圭二 大塚 康範 大野 博之 軽部 文雄 土屋 彰義 徳永 朋祥
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.126-139, 2009 (Released:2013-03-31)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

東京湾沿岸の地域開発/自然の人工改変の変遷の50年を振り返り, この人工改変に地質工学がどのように対応してきたか,基盤の科学・技術である地球科学と地盤工学の論理と知見を取り込み, どのように地質工学の論理体系を作り上げてきたのかを示した. すなわち, 地盤図を地盤地質図にするための論理の転換を行ったこと, ナチュラルアナログの論理を用いて地盤物性を求める手法を示したこと, 地層への物性の組み込みや地盤物性の劣化の論理を展開してきたことなどを, 事例を挙げて示した. これまでの50年の成果を踏まえ, 今後は, 自然の現象論・地盤の物性論・方法論の3つの基本論理とそれらを統合した地質工学を発展させていくことが重要である. 具体的には, シークェンスやナチュラルアナログの論理や手法の展開, また, 地層への4次元物性組み込みの論理の展開, すなわち地盤スケールの物性を求めること, 広域かつ長期の時系列データから自然の地盤特性を評価すること, そして人工改変の自然への影響を予測するために, 自然現象の変化を, 広域かつ同時に把握するツールの開発などがある.
著者
佐川 厚志 相山 光太郎 金折 裕司 田中 竹延
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.78-93, 2008-06-10 (Released:2011-11-04)
参考文献数
30
被引用文献数
3 6 4

徳佐-地福断層北東部と迫田-生雲断層中部の性状および活動性を明らかにする目的で, 地形判読, 断層露頭調査, トレンチおよびボーリング調査を実施した. 徳佐-地福断層北東部のトレンチ調査に基づくと, 断層の最新活動時期は10,800~3,400年前となる. 既存のトレンチ調査での14C年代値を再検討した結果, 断層全域 (長さ約35km) が6,300~5,200年前に同時に活動した可能性が出てきた. 一方, 1997年山口県北部の地震 (Mj6.6) の震央から南西約10kmで実施した迫田-生雲断層中部のトレンチ調査により, 断層の最新活動時期は14,500~8,500年前と見積もられた.これらの最新活動時期と既存の研究からのデータを組み合わせると, 迫田-生雲断層から徳佐-地福断層を経て, その南西に隣接する大原湖-弥畝山西断層系を構成する木戸山西方断層へと, 断層活動がマイグレーションする傾向が認められた.
著者
原口 強 中田 高 島崎 邦彦 今泉 俊文 小島 圭二 石丸 恒存
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.306-314, 1998-08-10 (Released:2010-03-25)
参考文献数
3
被引用文献数
6 13

未固結堆積物を定方位で連続的に採取する方法として独自に考案・開発した地層抜き取り装置と, 建設現場ですでに確立している鋼矢板打ち込み工法を組み合わせた定方位連続地層採取方法を提唱する. 本方法の原理は, 2つに分割したサンプラーを2段階に分けて地層中に差し込んで地盤中で閉合した断面を完成させ, それを同時に地盤から引き抜くことにより, その間に挟まれた地層を定方位で採取する方法である.本方法は, 活断層調査の現状における様々な問題点を克服するために開発されたもので, 2つの事例 (糸魚川-静岡構造線活断層系・神城断層と東京都旧江戸川) を示す. 糸魚川-静岡構造線活断層系・神城断層では幅35cm, 厚さ12cm, 深さ約11mの連続する定方位地層断面を2本採取し, 急傾斜する地層を切る小断層がとらえられた. 東京都旧江戸川では水深5mの川底から深さ約9mにわたって完新世の軟弱な未固結堆積層を幅30cmの地層断面として採取し, 縦ずれ量約25cmの連続する正断層状の地割れを含む地層断面を採取した. これらの採取結果から本方法が, 軟弱な未固結堆積物の定方位連続地層採取方法として広範に有効であることが明らかとなった.
著者
大島 洋志
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.202-209, 1986-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
6

There are some empirical roules to be observed in the tunnel route location. The author discusses mainly on the tunnel route selection concerned the problems of depletion of water resources from his engineering experiences from a standpoint of environmental geology.
著者
大島 洋志
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.113-128, 1968-09-01 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

The author was engaged in the construction of the Yokohama line, from Higashi-Kanagawa to Kikuna, in Japanese National Railways as the engineering assistant headman of the Higashi-Kanagawa construction division.The work was executed without a hitch at March '68, however there are some grate difficulties from the constructional point of view. They were very important problems for the division to carry out safely near the Tokaido line, the largest artery for Japanese transportation, and to administer the amount of construction.Provided that mentioned to pure engineering problems, they were cleared that there were some soil mechanical problems in considerable wait. The geology in this area consists of alluvial sand and mud, diluvial sand, mud and loam, and pleistcene sandy mudstone. There were such difficulties as to difine the length of piles, to give consideration for the consolidation settlement and excavation for the reason of existence of deep soft ground, drowned valley, water saturated sand strata and etc.In this paper the author describes above mentioned engineering geological problems and feelings on this on this division in a few words
著者
金折 裕司 川上 紳一 矢入 憲二
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.187-201, 1992-10-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
76
被引用文献数
9 13

Dating back to 599 A. D., 26 destructive earthquakes of magnitude 6.4 or greater in the Kinki district of central Japan have been documented. A number of extensively developed active faults have been found in the Kinki district. Two major tectonic lines, the Hanaore-Kongo fault line (HKFL) and Tsurugawan-Isewan tectonic line (TITL), can be identified as lines linking these active faults. The region north of the Median Tectonic Line, occupying the area between the two tectonic lines is defined as the intra-Kinki triangle (IKTA), where N-S aligned mountain ranges are separated by basins, forming a basin/range province. Steeply dipping reverse faults separate the mountain ranges from the basins. Since it was found that the epicenters of most of the destructive earthquakes were located along the two major tectonic lines, these earthquakes were probably caused by the movement of active faults which constitute the tectonic lines.The average rate re of the seismic moments released by the destructive earthquakes was compared with the average rate rs calculated from average slip rates of the active faults constituting the HKFL, TITL and IKTA. The average rates rs of the HKFL, TITL and IKTA were found to be in good agreement with the corresponding values of of re. The values of rs and re for the HKFL and TITL range from 0.015 to 0.030×1026 dyne-cm/yr, and are significantly greater than those of the IKTA, that is, 0.001 to 0.004×1026 dyne-cm/yr. These results imply that the seismic moments were mainly released along the tectonic lines.The examination of space-time distribution patterns of the destructive earthquakes clarified that active periods of seismic activity cyclically occurred on the HKFL and TITL. A scary earthquake of magnitude 7.5 or 7.4 was generated on the HKFL at the end of one such active period. When fault activity covers the entire length of a tectonic line, the active period ends. The HKFL and TITL are presently in the active periods, since three seismic gaps over which no destructive earthquakes have been detected during the present active period. One gap is on the TITL while the other two are located on the HKFL. Using the average rates re of seismic moment release of the tectonic lines, dates of earthquake generation are tentatively predicted for seismic gaps.
著者
釜井 俊孝 寒川 旭 守隨 治雄
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.285-298, 2008-02-10 (Released:2010-03-26)
参考文献数
20
被引用文献数
2

今城塚古墳と西求女塚古墳に見られる, 墳丘の地すべりを記載し, 地すべりの発生原因, 移動メカニズムについて考察した. 今城塚古墳では, 新たな年代測定値が得られ, 古墳の崩壊が, 1596年慶長伏見地震によるものであることがほぼ確実となった. トレンチでの観察から, 地すべりの過程は, 震動による盛土のブロック化→基盤粘土中のすべり面の形成 (地すべりの発生) →長距離移動 (基盤粘土の流化) のプロセスをたどったと推定される. また, こうした推定は, 盛土と基盤粘土の土質試験結果からも支持される. 西求女塚古墳では, トレンチでの観察と基盤砂層の動的変形試験結果から, 古墳の南半分が載っていた基盤砂層の液状化によって, 盛土が引きずり落とされるように滑ったものと推定される. 古墳自体は入念に作られたものであり, 多くの場合, 古墳における崩壊・地すべりの主な原因は, 基礎地盤の問題であると考えられる. すなわち, 古墳の地すべりは, わが国のような活発な変動帯に立地する都市において, 基礎地盤情報の収集が, 災害のリスク評価の精度を左右する, 極めて重要な要因であることを示している.
著者
金折 裕司
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.191-198, 2010-10-10
被引用文献数
2 1

高島得三(雅号北海)は徴兵として大阪にいるときに外国語を学ぶ必要性を痛感し, 明治5(1872)年, 23歳のときに当時フランス人鉱山師のいた生野銀山(生野学校)に仏語を学ぶために入り, 地質学に出会うことになる. 明治11(1878)年, 29歳のときに森林植物学に転向するまで, 約7年間地質学と地質調査に携わった. 正則の地質学を学んだ和田維四郎の示唆によって森林植物学に転じることになるが, 得三としては実地調査で山河を歩き回ることができれば, 地質学でも森林植物学でも良かったのであろう. そういう意味では, フィールドワークをこよなく愛していたと言えよう. さらに, 得三は若い頃に学んだ地質学と地質調査で培った自然観察眼が画家として大成させたと回顧している. 地位や名誉を欲せず, フィールドワークを重視した得三に現在でもなお学ぶべき点は多い.