著者
興地 斐男 川上 則雄
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.716-725, 1983-09-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
47

希薄合金における抵抗極小の現象を解明するために近藤により s-d ハミルトニアンを用いて電気抵抗の計算がなされ, その表式に log T (T は温度) に比例する異常項の存在が指摘されてから, 金属中に微量の磁気的不純物を含む合金系の研究は局所的電子相関の重要性の認識のもとにますます盛んになった. さらに最近ベーテ仮説の方法を用いて s-d ハミルトニアンおよびそれをより一般化したアンダーソンハミルトニアンの厳密解が得られることがわかり, くり込み群の方法と相まって種々の物理量が厳密に計算できる様になった. ここではアンダーソンハミルトニアンのベーテ仮説による取り扱いを中心にこれらの研究の現状について述べてみたい.
著者
中村 悟之 近藤 和彦 三重野 哲
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.594, 2016

<p>本実験は、宇宙空間における小惑星衝突を想定したモデル実験である。高速飛翔体の衝突時に発生する高温プルーム内の分子回転温度や黒体温度を測定することにより、実際の小惑星衝突での分子形成の様子を解明することを目的としている。高速飛翔体にはポリカーボネイト弾を使用し、標的には鉄と水とヘキサンを、充填気体には窒素を用いた。衝突後の高温ガス中にはCN分子が多く含まれ、その発光からCN分子回転温度の特性を調べた。また、同時に、黒体輻射温度も測定した。</p>
著者
斯波 弘行
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.95-101, 2005-02-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
50

近藤効果と超伝導は,共に,金属が低温で示す現象である.磁性不純物の電子と金属の伝導電子とがスピン一重項を形成して,低温において磁性不純物のスピンが消失するのが近藤効果である.一方,超伝導状態では伝導電子同士がクーパー対(それは,多くの場合,スピン一重項である)を形成し,それがボーズ凝縮している.したがって,超伝導体と相互作用している磁気モーメントは互いに競合的に影響し合う.この競合関係は近藤温度TKと超伝導転移温度Tcという両者の特徴的温度の大小関係により整理できる.この解説では(1)超伝導体中の磁性不純物の電子状態,(2)量子ドットを介して接する二つの超伝導体間のジョセフソン効果への近藤効果の影響,の二つの問題を取り上げ,近藤効果と超伝導の関係を概観する.
著者
本田 洋介 浦川 順治 阪井 寛志 笹尾 登
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.19-25, 2004

超低エミッタンス電子ビームの生成は,第三世代放射光装置,X線領域自由電子レーザー,TeV領域線形衝突型加速器等の実現にとって必要不可欠の技術である.このためにはエミッタンス自身を信頼度高く測定できる「目」(モニター)が本質的である.本稿においては,新しく開発したレーザーワイヤーモニターの原理とその特徴,それを用いたエミッタンス測定,及び今後の展望について紹介する.
著者
吉田 敬 梅田 秀之 高橋 亘 石徹白 晃治
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.315, 2016

<p>我々から数100pc離れた近傍で超新星爆発が起こる時,爆発前から親星での核燃焼によって生成されるニュートリノを現行及び将来のニュートリノ検出器で検出することが期待できる.そして,ニュートリノイベントの時間進化から爆発直前の星の燃焼過程を推定できる可能性がある.本講演ではKamLAND, JUNO, Hyper-Kによる前兆ニュートリノ観測から得られる爆発直前の星の燃焼過程の情報について議論する.</p>
著者
尾田 颯太郎 Shew Chwen-Yang 吉川 研一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.3057, 2016

<p>生命体は非平衡ゆらぎにより、自らの生命を創り出し、その活動を維持している。ゆらぎが、空間的な閉鎖条件下で、秩序を形成する条件を探る目的で、振動板を使った実験を進めている。混雑条件に設定すると、特定のサイズや形態の構成要素が空間的な極大化を起こすことが私たちの実験で明らかになってきている。今回の発表では、このような実験と、モデル系での数値シミュレーションにより、どのようなシナリオで非平衡ゆらぎが閉鎖系での自己組織をもたらすかを調べたのでその結果を報告する。</p>