著者
村松 匠 山岡 邦宏
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.181-188, 2021 (Released:2021-10-22)
参考文献数
27

関節リウマチ(RA)の病態の中心となっているのがサイトカインである.既存の抗リウマチ薬に加えて,サイトカインなどを標的とした生物学的製剤を用いることで,RAは寛解が達成できる疾患となってきた.さらに,ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬がRAの治療の選択肢となり,既存治療に抵抗性のRAに対しても効果が期待できるようになった.加えて,炎症性腸疾患やコロナウイルス感染症2019(COVID-19)による肺炎など,RA以外の疾患・病態への適応拡大が進んでおり,全身性エリテマトーデスや乾癬性関節炎,強直性脊椎炎などを対象とした臨床試験も進行中である.適応拡大に伴って,その有効性・安全性について,特にCOVID-19 pandemic下での使用について最新の情報に注意を払いつつ見直す必要がある.JAK阻害薬投与中における帯状疱疹(HZ)の発症率は高く,特に日本人で顕著であるため,今後の実臨床データの蓄積が重要である.これに対して遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチンによりHZ発症リスクが低減できる可能性があるが,適切な使用方法については疑問点が多い.また,最近行われた試験では悪性腫瘍や主要心血管イベント,静脈血栓塞栓症のリスクが高まる可能性が指摘されている.直近の最大の課題は,JAK阻害薬使用者におけるCOVID-19ワクチン接種と思われ,提言等が行われているが未だ確立した方針はない.本稿ではこれらの課題について最新情報を紹介し,解決に向けた対策について議論する.
著者
渡部 晃平 榊原 悠太 榎本 昌光 田中 友樹 鈴木 玄一郎
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.283-289, 2022 (Released:2023-05-10)
参考文献数
16

症例は71歳男性.関節リウマチに対しトシリズマブで加療中であった.経過中に発熱,関節炎の悪化を認め,施行した胸部CTで既知結節の増大を認めた.CTガイド下生検で組織学的評価を行ったところ,肺胞組織への組織球を主体とする慢性炎症細胞浸潤,palisading granulomaを認め,リウマトイド結節に矛盾ないものであった.簡易偏光ではsilica particleが多数存在していた.治療経過中に結節の増大を認めたCaplan症候群として,考察とともに報告する.
著者
佐藤 克巳
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.222-224, 2007-12-30 (Released:2016-12-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
大谷 恒史 渡辺 俊雄 藤原 靖弘
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.77-84, 2017-06-30 (Released:2017-09-06)
参考文献数
31
被引用文献数
1

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は骨関節炎や関節リウマチに対して汎用される薬剤であるが,有害事象として胃・十二指腸潰瘍などの上部消化管傷害の頻度が高い.さらに近年カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡の出現によって,NSAIDsが胃・十二指腸だけでなく小腸傷害を高頻度に惹起することがわかってきた.NSAID起因性小腸傷害の予防策として選択的COX-2阻害剤の使用が挙げられるが,短期の使用では抑制効果を有するものの長期使用では抑制効果が消失する.また疾患修飾性抗リウマチ薬などの抗リウマチ薬はNSAIDsと併用することによって,小腸傷害の発生頻度が高くなると考えられている.一方で抗TNF-α抗体療法を施行されている関節リウマチ患者においては,NSAID起因性傷害が軽微であることが判明している.さらに臨床上重要な点として,胃酸非依存的傷害であるNSAID起因性小腸傷害に対してプロトンポンプ阻害剤は無効であるばかりか,傷害を増悪させる可能性が示唆されている.NSAID起因性小腸傷害に対して有効性が期待される薬剤としては粘膜防御因子製剤やプロスタグランジン製剤があるが,さらに我々は抗TNF-α抗体療法,プロバイオティクスやコルヒチンが新たな治療薬の候補となりうると考えている.今後これらの新たな知見を踏まえたNSAID起因性消化管傷害に対する治療戦略の確立が必要である.
著者
中崎 聡 村山 隆司 加藤 真一
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.88-94, 2011-06-30 (Released:2016-01-30)
参考文献数
17

目的:メトトレキサートと低用量ミゾリビンパルス療法併用の有効性と安全性について後ろ向き研究にて検討した. 対象:2006年12月から2009年6月までの間に,メトトレキサート効果不十分例に低用量ミゾリビンパルス療法を追加併用したRA患者37名を対象とした. 方法:メトトレキサート内服時,同時にミゾリビン1回100mgから始めて,症例によっては150mgまで増量した.効果判定はCRPによる4項目DAS28(DAS28)のEULAR改善基準で行なった.DAS28のEULAR改善基準のmoderate response以上を満たしている症例のLUNDEXを計算した.また,ミゾリビンが有効だった一症例を示した. 結果:最終観察日のミゾリビン1回投与量は,100mg2名(5%),150mg35名(95%)であった.評価できた症例の内,DAS28のEULAR改善基準のmoderate response以上を満たしている症例は,1か月32名中28%,2か月36名中36%,3か月22名中36%,4か月20名中35%,5か月14名中43%,6か月14名中43%であった.LUNDEXは1か月24%,2か月35%,3か月25%,4か月22%,5か月20%,6か月21%であった.有効例としてDAS28を悪化させずに,プレドニゾロン10mg/日を3mg/日に減量できた症例を提示した.副作用中止例はなかった. 結論:メトトレキサートに低用量ミゾリビンパルス療法を追加併用することは,安全に実施できており,メトトレキサート効果不十分で生物学的製剤使用不可例に対する治療の選択肢の一つであると考えられた.
著者
松下 功 元村 拓 関 英子 木村 友厚
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.88-93, 2014-06-30 (Released:2015-03-30)
参考文献数
10
被引用文献数
2

関節リウマチ(RA)患者の大関節を詳細に評価可能なARASHIスコアリングシステムを用い,TNF阻害療法を行った患者の股関節と膝関節のX線画像の変化を経時的に評価した.RA51症例の182関節を検討すると,ARASHI statusスコアが3点以上の股関節・膝関節は,TNF阻害療法を行っていたにもかかわらず,ARASHI changeスコアが2年までに2点以上進行していた.股関節・膝関節のARASHI statusスコアはその後の関節破壊の進行を予測し得るスコアであり,関節破壊進行を阻止するためにはstatusスコアが低い段階でTNF阻害療法を開始する必要があると考えられた.
著者
森信 暁雄
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.367-371, 2010-12-30 (Released:2016-02-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1

生物学的製剤はRA患者の寿命を延ばすことができる時代となった.一方で,生物学的製剤の副作用には患者の死亡につながるものもあるが,本邦での市販後調査によると,その原因は,感染症と間質性肺炎で半数を超える.欧米のレジストリー研究によると,生物学的製剤は感染症リスクをあげる.発症時には迅速な対応と,日和見感染による肺炎,敗血症を考慮しなければならない.特に注意すべき肺炎がニューモシスチス肺炎であり,死亡例も散見される.発熱,呼吸困難,スリガラス影をみた際に,ニューモシスチス肺炎を必ず鑑別に上げなくてはならない.今後ST合剤による予防も考えるべきである.結核は生物学的製剤に投与下では比較的おこりやすい.ツベルクリン反応2+陽性以上の患者では,INHによる予防投与を行わないと高率に結核を発症する可能性がある.実際,結核発症者の多くではINH予防投与が行われていなかった.このような感染症の発症には,一般に,高齢,肺疾患の合併,ステロイド投与などがリスクとなるので,そのようなケースでは慎重な経過の観察が望まれる.感染症による死亡を防ぐことにより,生物学的製剤の有用性がさらに高まるものと思われる.
著者
鳥越 雅隆 前島 圭佑 清永 恭弘 今田 千晴 尾崎 貴士 原中 美環 石井 宏治 柴田 洋孝
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.310-316, 2014-12-30 (Released:2015-02-28)
参考文献数
16

症例は59歳女性.2012年に全身性強皮症と診断された.翌年4月,血栓性微小血管障害症に強皮症腎クリーゼを併発し,更に急性心不全も伴っていた.ACE阻害薬の内服や血液透析,血漿交換などで加療され,また重症心筋障害にはステロイドパルスが奏功した.直後に肺胞出血を生じたが,厳格な呼吸循環管理と上記治療の継続で病状は安定した.重篤かつ多彩な病態に対し集学的治療で救命し得た全身性強皮症の一例を報告する.
著者
廣畑 俊成
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.224-230, 2018-09-30 (Released:2019-06-01)
参考文献数
11

全身性エリテマトーデス(SLE)における中枢神経病変(いわゆる中枢神経ループス)の中でも精神症状(ループス精神病)は診断に苦慮することが少なくない.ループス精神病については,その病態形成に髄液中に存在する神経細胞に対する自己抗体が深く関与することが近年とくに注目されている.すなわち,NMDA受容体のNR2AとNR2Bに共通する部分と反応する抗体(抗NR2抗体)は,ループス精神病の髄液で有意に上昇し,その中でも特にacute confusional state(ACS)の患者で著明な高値を示すことが明らかになった.最近我々は,髄液中の抗Sm抗体がやはりACSの患者で上昇していること,さらに抗Sm抗体が神経細胞とも結合し,抗神経細胞抗体として直接ニューロンに障害を及ぼす可能性があることを明らかにした.したがって,抗Sm抗体や抗NR2抗体は,ループス精神病の重症度を反映するsurrogate markerであると考えられる.これらの抗体が髄液中で上昇する機序としては,中枢神経内での産生よりもQ albuminの上昇に反映される脳血液関門の破壊による流入が重要であることが証明されている.今後は,この脳血液関門の異常が惹起される機序について解明してゆくことが重要である. 一方,髄液中のIL-6は,ループス精神病でもneurologic syndromesのいずれでも上昇するが,前者の方が高い傾向を示す.さらにループス精神病の中でも,ACSの患者ではそれ以外の精神症状の患者に比して,髄液中のIL-6は有意に高く,前述した抗NR2抗体と同様にループス精神病の重症度のsurrogate markersとなると考えられる.
著者
萬谷 直樹 小尾 龍右 藤井 泰志
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.204-207, 2010-06-30 (Released:2016-02-26)
参考文献数
8

2003年にRAを発症した44歳男性.MTX,PSL,サラゾスルファピリジンでも改善しなかった.2007年MTXとPSL15mg/日でCRPは低下したが,PSL減量で再燃.2008年12月当院受診.漢方エキス剤では改善なし.2009年3月からのエタネルセプトとMTX療法の効果は限定的で,MMP-3も上昇.8月より桂枝二越婢一湯加苓附(煎じ薬)を開始.痛みは10%まで低下し,DAS28-CRPやMMP-3も減少.今日まで低値を維持している.
著者
熊倉 俊一
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.241-251, 2018-09-30 (Released:2019-06-01)
参考文献数
35

血球貪食症候群(HPS)は,網内系におけるマクロファージの血球貪食を病理学的特徴とする難治性疾患である.臨床症状として持続する発熱,肝・脾腫大,リンパ節腫脹,血球減少,凝固異常,肝機能障害,高フェリチン血症などが見られる.HPSは,一次性(遺伝性)と二次性(反応性)に分類され,自己免疫疾患に関連して生じる二次性HPSは,自己免疫関連血球貪食症候群(autoimmune-associated hemophagocytic syndrome, AAHS)と言われる. HPSの診断は,臨床所見と検査所見により総合的に行われるが,自己免疫疾患を基礎疾患とする場合は,自己免疫疾患自体の症状とHPSとしての症状が同一であることがあり,診断の妥当性や信頼性が問題となっている.今後,HPSに特異的な所見による診断基準の策定が求められる. HPSは,しばしば致死的な経過を辿るため,速やかな治療の開始が必要である.AAHSの治療は,ステロイド療法が一般的であり,58%の症例が同療法にて改善する.ステロイド療法無効例には,シクロスポリン療法,シクロホスファミド・パルス療法または免疫グロブリン療法などが実施され,それらの中では,シクロホスファミド・パルス療法の有効性が高い.近年では,TNFまたはIL-6阻害薬などの生物学的製剤の有効例が報告されている.生物学的製剤は,低分子シグナル阻害薬とともに,今後AAHSの治療選択に重要な位置を占めるものと考えられる.
著者
吉田 秀 遠藤 平仁 田中 淳一 飯塚 進子 木村 美保 橋本 篤 田中 住明 石川 章 廣畑 俊成 近藤 啓文
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.302-309, 2008-12-30 (Released:2016-11-30)
参考文献数
26

A woman of 50 years of age who had a 13-year history of hypothyroidism was diagnosed with systemic lupus erythematosus (SLE) with butterfly rash, leukopenia, positivity of antinuclear antibody, anti-DNA antibody and anti-Sm antibody. Two years later, she developed nephritis (WHO type IV) and remitted with corticosteroid pulse and intermittent intravenous cyclophosphamide pulse therapy (IVCY). Four years after the onset of SLE, she relapsed with proteinuria and leukopenia when she was taking 9 mg/day of prednisolone (PSL) but she stopped all the medication of her own accord. Four months passed without any therapy, she was admitted to our hospital with disturbance of consciousness and anasarca. Laboratory findings showed pancytopenia (WBC 1300/μl, RBC 233×10⁴/μl, Hb6.9g/dl, Plt3.6×10⁴/μl), aggravation of lupus nephritis and hypothyroidism. Chest X-ray and ultrasonography demonstrated pleural and pericardial effusion and the absence of hepatosplenomegaly. She was also diagnosed with myelofibrosis upon bone marrow inspection. Three instances of corticosteroid pulse therapy, oral corticosteroid (PSL was tapered from 50 mg/day) and supplement therapy of levothyroxine improved every symptom and pancytopenia. The second bone marrow biopsy showed reduced fibrosis and recovery of bone marrow cells. These findings implied the secondary myelofibrosis caused by SLE because the myelofibrosis came along with aggravation of SLE and corticosteroid therapy was effective. This is a rare case of SLE in which myelofibrosis improved by high-dose corticosteroid therapy, which was confirmed by bone marrow biopsy and suggests the pathogenic mechanisms for myelofibrosis.
著者
小沼 貴裕 岡田 随象
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.345-353, 2021 (Released:2022-02-22)
参考文献数
37

近年のヒトゲノム研究の大規模化と遺伝統計学的手法の発展により,関節リウマチのゲノム解析は多くの進展が見られる.関節リウマチのゲノムワイド関連解析(GWAS)により100を超える遺伝子座が関節リウマチのリスクに有意に関連することがこれまでに報告されている.一方で,GWASにより同定される疾患感受性SNPのほとんどは非コード領域に存在するため,生物学的意義の解釈が困難である場合が多い.我々のグループでは,横断的オミクス解析によりゲノム解析結果と別階層のオミクスデータとを統合解析することで,関節リウマチを含む複数の疾患と形質について,有意に関連する炎症細胞タイプを明らかにした.また,関節リウマチでは体内の微生物叢(マイクロバイオーム)が疾患の病因や進展に関与することも知られる.我々のグループでは,ショットガンゲノムシーケンスを用いた腸内微生物叢のメタゲノムワイド関連解析(MWAS)により,ヒト宿主ゲノムと腸内微生物叢と関節リウマチとの3者の関連性を見出した.さらに,近年ではゲノム情報を用いた個別化医療への応用が注目を集めている.GWASの個別化医療の応用として,ポリジェニックリスクスコア(PRS)によるGWASで同定したSNPに基づく将来的な疾患発症の予測について報告されてきている.我々のグループでは,国際バイオバンク67万人の情報を解析することで,健康寿命に有意に関わるバイオマーカーの同定に成功した.
著者
長田 賢一 岡 寛 磯村 達也 中村 郁朗 富永 桂一朗 高橋 忍 小島 綾子 西岡 久寿樹
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.19-28, 2008-03-30 (Released:2016-11-30)
参考文献数
13

The fibromyalgia impact questionnaire (FIQ) is a 10-item, patient-reported outcome measure to capture the total spectrum of symptoms and problems related to fibromyalgia. The original version of the questionnaire was developed in English and psychometrically validated. It has been translated into 8 languages and used worldwide as the only disease-specific questionnaire for measuring patient’s fibromyalgia status. In order to develop a Japanese version of the FIQ, we translated the original into Japanese and performed a linguistic validation of the translated questionnaire. The translation and evaluation were performed in a standard manner to ensure conceptual equivalence between the original and its translation: 1) forward-translation by two independent Japanese translators (English to Japanese); 2) back-translation by an English native translator (English to Japanese); and 3) a pilot testing for comprehension in patients with fibromyalgia. The original developer and two Japanese clinicians were involved throughout the validation process. As a result of the evaluation, the translation of daily activities such as “walking several blocks” and “doing yard work” proved challenging. Cultural difference was the main cause in finding equivalents. The numerical rating scales were not always completed properly; therefore, detailed scale instructions were attached to the front page of the questionnaire. Through multiple procedures, a linguistically validated Japanese version of the FIQ (JFIQ) has been successfully developed.
著者
本田 枝璃子
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.75-76, 2011-03-30 (Released:2016-01-30)
参考文献数
3
著者
塩沢 俊一
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.286-291, 2013-12-30 (Released:2015-06-30)
参考文献数
4

Burnet博士のクローン選択説では,自己応答性クローンは胎児期に禁止forbiddenされているため,自己抗体の検出イコール自己を攻撃する自己免疫疾患と看做された.確かにSLEには自己を攻撃する抗核抗体,抗二本鎖DNA抗体などが見出され,自己への攻撃性がSLEの病態の基盤をなす(現象)が,現象イコール真実(原因)なのかがこの50年間問われず自己抗原や自己を攻撃する理由のみが研究されて今なお発症病因は不明のままである. 私達は自己臨界点説を提唱し,SLEが自己免疫に因らず,外来抗原の繰返し刺激に対する正常(通常)の免疫応答に因り生じることを示した.自己応答性T細胞は,胸腺の選択を逃れた一部のT細胞でなく,胸腺を通過して一旦は自己非応答性を獲得した大部分を占めるT細胞集団の中からV(D)J遺伝子再構成を経て新たに生成するのであり,抗原による自己臨界点を超えた過剰刺激の結果,自己応答性のautoantibody-inducing CD4T cell(ai CD4T cell)が誕生し,このai CD4T細胞が一方で多彩な自己抗体を誘導し他方でCD8T細胞を刺激して組織傷害を生起させてSLEに至る. これに対して自己免疫疾患説は,SLEにみられる140種類を超える広範な自己抗体レパトワが,⑴胸腺の選択を逃れた一部のT細胞あるいは⑵胸腺を通過して自己非応答性となったT細胞集団の中から免疫寛容が破綻して生じた一部のT細胞から生じると説明するが,限定されたT細胞から広範なレパトワは生じ得ない.SLEにみられる広範な自己抗体レパトワは,末梢免疫組織でV(D)J遺伝子再構成によって新たなTCRが獲得されて生じるとする方が自然である. そもそも私達のからだに生じた炎症は治りにくく,身体に致死的でない病原体が繰り返して侵入しやすい素地がある.すなわち一般に,病原体が侵入するとpathogen-induced tissue injuryが生じるが,これに対する防御応答によってもdefense-induced tissue injuryが生じて,両者とも進化上不利である.したがって,進化上の必然性をもって,現代に生きる生命体は病原体を発症しないレベルに抑え込むがこれを徹底的には殲滅しない防御機構を備えるに至ったと考えられる. 自己臨界点説によれば,たまたまある病原体がHLA上にうまく抗原提示されて当該個人のリンパ球が過剰刺激されるならばSLEが発症する.この際,原因となる抗原は違ってよいが,個人の免疫システムが自己臨界点を超える過剰刺激を受けるか否かが発症の分かれ目になる.
著者
松野 博明
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.14-23, 2021 (Released:2021-05-20)
参考文献数
42

COVID-19は,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされた進行中の世界的流行病である.世界保健機関は2020年3月パンデミックを宣言し,現在世界では1億2400万件以上の症例が確認されている.最初の報告から約1年の間にCOVID-19の危険因子・治療法・ワクチンが発表されてきた.高齢・心血管疾患・糖尿病・呼吸器疾患・肥満・悪性腫瘍・高用量ステロイド投与などは,COVID-19の危険因子とされている.現在の薬ではCOVID-19を完全に治療することはできないが,一部の薬は症状を緩和し,病気の管理に役立つ可能性がある.候補には,レムデシビル,デキサメタゾン,IL6阻害剤,バリシチニブ,およびスパイクタンパク質に対するモノクローナル抗体等がある.ワクチンは,COVID-19のパンデミックを制御および阻止するための効率的な手段であり,世界中がワクチンの開発をすすめているが,SARS-CoV-2には幾つかの変異種が出現しはじめ,伝染性の増加・病原性の増加およびそれらに対するワクチンの有効性の低下の可能性も懸念されはじめている.
著者
常徳 千夏 松井 聖 斉藤 篤史 西岡 亜紀 関口 昌弘 東 直人 北野 将康 橋本 尚明 角田 慎一郎 岩崎 剛 佐野 統
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.189-197, 2015-09-30 (Released:2015-11-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

目的:関節リウマチ(RA)の治療は近年大きく変化しており,抗リウマチ薬に加え生物学的製剤が7種類使用できるようになった.このため,相互作用や副作用管理が急務となり.医療師全体で取り組む事が重要となってきている.今回,調剤薬局薬剤師の関わりの実情と問題点を把握し,今後の薬剤師の役割の方向性を考えるためアンケート調査を実施した. 対象:兵庫医科大学病院外来通院中RA患者のうち,平成25年3月~5月に当薬局に来局,本調査への参加に同意した70名を対象にアンケート調査を実施した. 方法:日常診療実態下における非介入試験 ①日常生活動作 ②関節リウマチ治療状況 ③精神的影響に関する状況のアンケートを実施した. 結果:メソトレキサート(MTX)に関しては,効果の理解度は86%と高かったが,用法の不便さを訴える回答がみられた.生物学的製剤については,注射へのストレスを感じないが67%で,効果を実感している回答も62%と半数を超えた.しかしながら,副作用への不安や,高額の医療費の負担の不安もあった. 結論:調剤薬局薬剤師として,MTXや生物学的製剤などの積極的な治療が必要な患者さんには,積極的に関わることで,個々の状況を聞き取り不安や問題の解決を目指すことにより,アドヒアランスの向上及び治療成功へのサポートを行って行くことが重要であると考える.
著者
中島 亜矢子
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.6-13, 2021 (Released:2021-05-20)
参考文献数
24

この20年で,生物学的製剤,分子標的抗リウマチ薬の開発,分類基準の改変,厳格な治療目標や治療ストラテジーの提唱などにより,関節リウマチの診療は非常に進歩した.この進歩は日常診療で患者の疾患活動性や身体機能の改善として実感されるのみならず,大規模専門施設からのデータでも確認されている.一方で,日常診療では,まだこれらの治療の恩恵を受けていない患者に出くわすことも少なくない.大規模専門施設からのデータ,日本全体の保険診療が格納された厚労省管轄のナショナルデータベースを用いた双方の研究結果を見ることにより,日本の関節リウマチ診療の課題が明らかになる可能性がある.