著者
佐々木 祥 宮田 高道 稲積 泰宏 小林 亜樹 酒井 善則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.78, pp.407-413, 2006-07-14

近年急速に普及しているsocial bookmark は,これまで利用者が個別に管理していたbookmarkをネットワーク上で他の利用者と共有するサービスである.これらのサービスでは多くの場合,利用者がbookmarkに対して「タグ」と呼ばれる自由記述のキーワードを付与することによって管理を行うFolksonomyと呼ばれる分類法を採用している.このようにして利用者が付与したタグ情報の集合は,多数の利用者によって成長を続けるメタデータであるとみなせるため,このタグ情報を利用することにより効率的なコンテンツの検索や推薦を行うことができると考えられる.しかしながら,利用者はあくまで自分自身の嗜好に基づいてタグ付けを行っているため,分類に使用したタグ名そのものは,必ずしも他の利用者とって適切なものであるとは限らない.そこで本研究では,タグの持つ本質的な情報を,タグ名ではなく,タグによるコンテンツの分類情報であると仮定し,分類間の類似度に基づいて利用者に対して望ましいコンテンツの推薦を行うシステムを提案する.The web-based bookmark management service called social bookmark has recently come to be widely used. In the social bookmark, a user can add one or more keywords called `tags' to their own bookmark for future use. The tag information gathering from a lot of users allows us to classify the web contents including database of social bookmark. This classification method is known as Folksonomy. Furthermore, we can qualify the tag information as the effective meta-data for search and recommendation use. However, a user hardly adds tags considering other user's convenience. Because of this behavior, a user will be not satisfied with the way to classify web contents by the name of tags. In this paper, we assume that the essential information of tags are not tag names, but classifications of web contents by tags. Based on this assumption, we have proposed the content recommendation system based on the similarities between the classifications.
著者
羽多野 一磨 大島 裕明 是津 耕司 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.67, pp.229-235, 2005-07-13

近年,デジタルカメラ付き携帯電話やノートPC が普及してきており,個人の所有するコンテンツが増加してきている.これらのコンテンツの中には他者にとって有用なコンテンツが含まれている.また,アドホックネットワークやインスタントメッセンジャーの様にユーザ同士がPeer-to-Peer に接続し,自律分散的に形成されるネットワークが生まれてきている.そこで我々はこの様な環境においてコンテンツを共有・検索する手法について提案する.従来型のP2P ネットワークにおける検索ではファイル名とのキーワードマッチングのみであった.提案手法では,あるコンテンツの文脈情報??コンテンツの置かれている状況??を抽出・提示する事により,ユーザがコンテンツを評価できるようにしたり,発見的に関連コンテンツを検索したり出来るようにする. Recently, a cellular phone with a digital camera and a PDA have been popular , and then contents stored in a local computer are increasing. Some of them are useful for others. At the same time, many autonomous distributed networks emerge, such as ad-hoc networks or instant messengers. They are composed of indivisual users. We propose a method to share and search contents in those networks. Traditional method to search on a P2P network is just matching search keywords with file or directory name and it is insufficient. We propose a search method for P2P contents based on context of contents. Here, the context of contents means the situation which relates to contents and help you understand it better. The context makes users possible to understand the outline of the contents and to discover related contents.
著者
鈴木 良弥 川隅 里奈 関口 芳廣 重永 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.51, pp.21-26, 1995-05-25
参考文献数
6

話し言葉中では助詞の省略,曖昧な発声などが頻繁に起こる.従って,話し言葉の認識や理解を行なうには助詞の推定を行なう必要がある.我々は朗読文用連続音声認識システムをすでに作成しているが,そのシステムの助詞推定能力を人間と比較した.まず,話し言葉(対話文とスピーチ)中の各助詞の出現回数などを調べた.その結果,良く使われる助詞は対話文でもスピーチでもほとんど同じであることがわかった.また認識システムの出力と学生73人にアンケートを行なった結果とを比較した.実験により,学生が作成した文の約94%をシステムが生成し,システムが作成した候補文の約3%を学生が作成したことを確認した.We are trying to make our speech recognition system to correspond to spoken dialogue. First, we investigated the frequency of each particle in some dialogues and speeches, and we registerd 29 frequently used particles to our system. Second, We sent out a questionnaire to 73 students in order to compare with the performance of estimation of particles by the linguistic processor (case structures, syntactic rules, and so on) of our speech recognition system. According to the comparison, our system can generate most of sentences which students can think out.
著者
苫米地 英人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.768-770, 1992-07-15
参考文献数
31
著者
小野 功 水口 尚亮 中島 直敏 小野 典彦 中田 秀基 松岡 聡 関口 智嗣 楯 真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.396-406, 2005-08-15
被引用文献数
3

本論文では,Ono らが提案したNMR 蛋白質立体構造決定のための遺伝アルゴリズム(GA)を,複数のWAN 上のPC クラスタ群から構成されるグリッド上で並列化したシステムを提案し,提案システムの性能評価を行った結果を報告する.提案システムは,マスタ,サブマスタ,ワーカから構成される階層的なマスタ・ワーカ方式を用いて並列化されている.マスタと各PC クラスタ間の通信はセキュアなGridRPC ミドルウェアNinf-G を用いて,また,PC クラスタ内の通信は高速なGridRPCミドルウェアNinf-1 を用いて実現されている.さらに,提案システムでは,Ninf-G によるインターネット上の通信遅延を隠蔽するため,スライド転送手法を導入している.5 サイト/1 196CPU から構成されるグリッドテストベッドで,78 残基からなる蛋白質の立体構造決定問題を用いて,提案システムの性能評価を行った結果,高い並列化効率を示すことが確認された.In this paper, we parallelize the genetic algorithm (GA) for NMR protein three-dimensional structure determination, which has been proposed by Ono et al., on a grid that consists of multiple PC clusters on the WAN and report some results on the performance evaluation of the proposed system. The proposed system is parallelized with the hierarchical master-worker paradigm and consists of a master, submasters and workers. The communication between the master and each PC cluster is realized with Ninf-G, which is a secure GridRPC middleware, and that in each PC cluster is implemented by using Ninf-1, which is a fast GridRPC middleware. In the proposed system, we employ the slide transfer technique in order to hide the latency of communication on the Internet by using Ninf-G. The experimental results on the grid testbed consisting of 5 sites/1,196 CPUs showed that the proposed system effectively utilized computing resources on the grid testbed when it was applied to a problem of determining the three-dimensional structure of a 78-residue protein.
著者
平田 哲彦 横山 達也 水谷 美加 寺田 松昭 三巻 達夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.234-242, 1992-02-15
参考文献数
13
被引用文献数
3

光伝送技術の発達によるLAN伝送速度の高速化に伴い 通信制御処理の高速化が求められている本論文では 国際標準であるOSI通信プロトコルのレイヤ4以下を対象に 高速LAN用通信制御装置の構成方式の提案と 試作システムによる実験的評価結果を述べる提案方式の特徴は (1)プロトコル高速処理装置によるOSI通信プロトコルの高速処理 (2)マルチプロセッサ構成による計算機本体インタフェース部 プロトコル処理部 LAN-LSI ドライバ部のパイプライン処理 (3)プロセッサ間FIFOによるマルチプロセッサ構成時のプロセッサ間オーバヘッドの削減 にある提案方式をFDDIに適用した実験システムを構築し 評価した結果 (1)計算機本体と通信制御装置間のデータコピーを行うDMAの性能が16MB/秒のとき 伝送速度に対する実効スループット率が06程度であること (2)プロトコル高速処理装置の導入により データコピー時間や伝送時間を除く通信制御処理時間中に占める通信プロトコル処理時間の割合が3割弱に低減できること (3)プロトコル高速処理装置によって通信プロトコル処理時間を低減した結果 通信制御処理時間の7割以上が計算機本体インタフェース処理やLAN-LSI ドライバ処理となり 各々に汎用マイクロプロセッサを配置し マルチプロセッサ構成とした提案方式が有効であること の3点を明らかにした
著者
市川 至 蓬莱尚幸 佐伯 元司 米崎 直樹 榎本 肇
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.1112-1128, 1986-11-15
被引用文献数
1

本論文では 自然言語ベースの仕様記述言語TELL/NSLにおけるシステムの静的な仕様記述から 変換により実行可能なPrologプログラムを得てテストデータによる試験を行うラピッドプロトタイピング手法について述べる.TELL/NSLの仕様記述は まずその意味となる1階述語論理式へ変換され 次にホーン節型式に変換される.さらに 述語の入出力モードを入出力依存グラフを利用して決定し その入出力モードに基づき正しい動作をするようにPrologの実行制御を考慮してリテラルや節の並べ換えを行い 実行可能なPrologプログラムに変換する.これらの変換は 段階的に適応される部分変換からなり それぞれの変換では健全性が保証され 全体の変換により得られるプログラムは元の仕様記述を満たし部分正当であることが保証される.得られたプログラムを実行しデータ試験を行うことにより 元の仕様記述において不明確な点を発見することが可能となった.
著者
米林 裕一郎 亀岡 弘和 嵯峨山 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MUS,[音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.7-12, 2006-05-13
参考文献数
4
被引用文献数
2

ピアノ曲演奏の運指をHMMを用いて自動決定するアルゴリズムを提案する。手の状態を「隠れ状態」とし、状態遷移から楽譜上の音符推移系列が出力されると考え、楽譜からViterbi探索により最尤状態遷移を求める。この手法により、指の独立性の難易度、黒鍵を含む鍵盤上での2次元的な指位置をモデル化できる。和音を含む両手の場合への拡張、音符長の考慮、学習、複数解の探索が可能な枠組みである。
著者
松尾 和洋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.552-553, 2003-05-15
参考文献数
3

とうとうイラク戦争が始まった.連日,テレビや新聞,そしてインターネットで刻々の戦況が日本でも報道されている.米国では戦争反対の意見もかなりあるが,国が決断して戦争を始め,多くの家族が戦場に身内を送りだしているので,報道のトーンも日本とは違ったものになっている.
著者
上條浩一 上條 昇 阪本 正治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.2168-2181, 2006-07-15
参考文献数
19
被引用文献数
1

カメラ,電話,テレビ放送等あらゆる分野でデジタル化が進んでいるが,新聞,書籍等,紙媒体は依然多く流通しており,今のところデジタル化の波に 完全にのみこまれてしまう兆候は見えない.しかし,これら紙媒体とデジタルの世界とを結びつける需要は増えており,それを実現する手段の例として,バーコードや電子透かしがある. しかし,バーコードの場合は場所をとり,見栄えが悪く,電子透かしは埋め込める情報量が少ない,という問題がある. 本論文では,これらの問題を解決しつつ紙媒体とデジタルの世界を結びつける電子スクラップシステムを紹介する. 本システムでは,不可視インクを用いて新聞等の記事に重畳して印刷された2次元バーコードを,そのインクに反応する特殊な発光装置を搭載した携帯電話等で撮影し,その撮影画像から画像処理を組み合わせた抽出アルゴリズムによって情報を抽出する. 我々は,この抽出アルゴリズムと特殊LEDを実際に搭載した携帯電話の試作機を作り,正しく動作することを確認した.Digitalization has been pervading in various areas, including camera, telephone,TV, and so on. On the other hand, paper media forms, such as newspapers and magazines, still have large market shares, and we see no sign they will be completely digitized. However, demands to connect between these analog and digital worlds are increasing. Barcodes and watermarking are examples of the technologies used to connect them. However, the problem is that a barcode occupies space and disrupts the layout of the article, and watermarking has limited capacity for embedding data. In this paper, we propose an "Electronic Scrap System", which connects the analog and digital world, solving these problems. In this system, we superimpose invisible barcodes on printed articles using invisible ink, then take pictures of them using a special camera equipped with a special LED (Light Emitting Diode) that is sensitive to the invisible ink, decode the encoded data after the image is processed, and extract the information. We made a prototype cell phone which includes the code extraction algorithm and the LED attached outside the device, and confirmed that we can correctly extract the information from the photo image taken by the cell phone.
著者
位守 弘充 中村 宏 朴 泰祐 中澤 喜三郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.2612-2623, 1993-12-15
参考文献数
16
被引用文献数
16

大規模科学技術計算では、データ領域が非常に大きくデータの局所性が少ないため、キャッシュメモリが有効に働かない、そのためスカラプロセッサの実効性能はキャッシュミス時の主記億アクセスペナルティーにより低下する。本諭文では、主記憶のスループットを十分強化した上で、浮動小数点レジスタの構成としてスライドウィンドウ方式を採用し、既存のスカラアーキテクチャとの上位互換性を保ちながらレジスタ数を増やすことでこの問題を解決した新しいプロセッサを提案する。提案するスライドウィンドウ方式は、われわれが以前提案したレジスタウィンドウ方式と比較して、ウィンドウ構成をソフトウェアで制御できるという長所がある。本諭文ではスライドウィンドゥを用いた擬似ベクトルプロセッサのアーキテクチャと処理原理、ならびにベンチマークプログラムを用いた評価緒果を示す。主記億アクセスレーテンシーが20マシンサイクルの場合、擾案するプロセッサは通常のスカラプロセッサに対し約8借の性能向上が得られた。レジスタウィンドウ方式のプロセッサと比ぺても、レジスタ数が同じ場合、2倍の主記億アクセスレーテンシーを隠蔽でき、総レジスタ数が88のと妻、提案するプロセッサは60マシンサイクルの主記憶アクセスレーテンシーを隠蔽することができた。これらの評価結果より、提案するプロセッサは高速にベクトル計算を処理することができると結論できた。
著者
梶 克彦 長尾 確
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.258-273, 2007-01-15
参考文献数
35
被引用文献数
8

一般にテキスト,ビデオ,音楽などのコンテンツには複数の解釈が存在し,それらのコンテンツを対象とする場合,複数の解釈の中から適切なものを扱う必要がある.そこで我々は任意のコンテンツに対する複数の解釈を扱うためのプラットフォームとしてAnnphony を構築した.Annphony では,一般的なアノテーション記述形式であるRDF を拡張し,すべてのアノテーションに識別子を付与することでそれぞれの解釈を区別して扱うことができる.解釈が多様になりやすいコンテンツの典型例として音楽があげられる.一般に音楽は必ずしも解釈を一意に決定できず,その楽曲をとらえる人によって異なる解釈を見い出すことがしばしばみられる.そこで我々はAnnphony を基盤とし,楽曲に対する多様な解釈をWeb 上のユーザから取得する音楽アノテーションシステムを構築した.本システムは1. 書誌情報などの楽曲自体に対するアノテーション,2. 連続メディアに対するアノテーション,3. 楽譜に対するアノテーションの3 種類のエディタを備える.また実際に本システムによりアノテーションを収集し,楽曲に対する多様な解釈を扱う例として,楽曲検索システムとプレイリスト作成支援システムを構築した.Generally, there are multiple interpretations of single content such as a text, a video clip, a song, and so on. Therefore we have developed an annotation platform called "Annphony" to deal with such multiple interpretations. By extending RDF, a common annotation framework, each annotation has its own identifier that enables distinction of each interpretation. Music is one typical example that apt to cause multiple interpretations. Listeners do not necessarily make the same interpretation about the tune. Therefore, to deal with various musical interpretations we have developed a musical annotation system that consists of the following annotation editors ― 1: basic information of the tunes, 2: continuous media, and 3: musical scores. We have also developed two applications based on annotations about multiple interpretations collected by the annotation system. One is a music retrieval system based on music's inner structure. The other is a playlist recommendation system that semiautomatically generates playlists that reflect listener preferences and situations.
著者
伊木 惇 亀井 清華 藤田 聡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.2461-2475, 2014-11-15

ecサイトにおける商品のレビューは,商品購入の意思決定に大きく関わり,価値ある情報として注目されている.一方で,ステルスマーケティングを目的とした,レビュースパムと呼ばれる信頼性の低いレビューの投稿が問題となっている.既存研究では,レビューの文章などから,それらスパムを検知する取り組みが行われてきた.しかしながら依然として,すべてのスパムの検知は難しい.さらに,レビューを読むユーザ自身が判断するにも,信頼性を判断するための情報は十分でない.また,ユーザは,ウェブ上の情報に対して,ある程度信じやすいという報告もされている.そのため,ユーザが信頼性を意識し,判断するための機構が必要である.よって,本稿ではecサイトにおけるレビューを対象とした信頼性を判断するための支援システムを提案する.具体的には,レビューの信頼性を表す指標として,類似性,協調性,集中性,情報性という4つの信頼性指標を定義し,各指標ごとのスコアを求める.そして,レビューごとにそのスコアを可視化して提示する.それにより,ユーザ自身に信頼性を意識してレビューを読むように促すとともに,信頼性判断がしやすくなるよう支援を行うことが可能となる.本研究では,これらの指標を用いた判断支援を行うシステムを構築し,評価を行った.その結果,提案システムにより,ユーザの信頼性に対する意識を促すとともに,有効な判断支援が行えることが確認できた.Reviews of products in e-commerce sites such as Rakuten have attracted as valuable information. On the other hand, in such the sites, unreliable reviews called review spam have become a big issue. In existing works, they proposed various methods to detect the spam. However, spam detections play a cat-and-mouse game with new type of spam, and any spam detections are not enough for the issue. Therefore, for users, mechanisms to support judgments of the credibility of each review are necessary. Thus, we proposed a support system to judge the credibility for reviews in e-commerce sites. Specifically, we define four credibility indicators to represent how much each review is spammy. Then, our support system calculates scores for each indicator and provides the scores for users. In this paper, we built a prototype system and evaluated the system by questionnaires. As a result, by using our system, it was confirmed that it is possible to enhance awareness of credibility for users.
著者
遠山 宏明 足立 暁生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.1886-1896, 1996-11-15
参考文献数
8

混合グラフのもとでのチャイニーズ・ポストマン問題(CPP)はNP完全であることが示されている. すべての辺の長さが等しい混合グラフ 平面混合グラフ 最大次数を3に制限した混合グラフのもとでさえNP完全である. 一方 グラフを全有向 または全無向に制限したCPPは多項式時間アルゴリズムを持つ. 本論文では 各辺の通行回数をたかだか2回に制限したCPP (2-CPP)がNP完全であり ちょうど1回に制限したCPP(1-CPP)はPに属することを示した. また CPP に関連する2つの興味ある関数の計算量も示した: (i)2-CPPにおいて 配達路の数を計算する関数は#P完全である (ii)CPPにおいて コスト k 以下で配達するためには 同一辺を少なくとも何回通行しなければならないかを計算する関数は多項式時間階層のクラスΔ^P_2に属する.The Chinese Postman Problem (CPP) on the mixed graphs is shown to be NP-complete. It remains NP-complete even if restricted to those whose edges all have equal length, or to the one on the mixed planner graphs, or to the one on the mixed graphs with nodes of degree three. CPP can be solved in polynomial time if the graph is either directed or undirected. In this paper, we show that even if the number of traverses for each edge is restricted to at most twice, CPP on the mixed graphs (called 2-CPP) is NP-complete, and if the number of traverses for each edge is restricted to exactly once, CPP on the mixed graphs (called 1-CPP)is in P. We also show complexity of two related functions: (i) in 2-CPP the function that calculates the number of delivery paths is #P-complete, oh the other band, (ii) in CPP the function that calculates the minimum of the maximum traverse numbers for each delivery path of cost k or less belongs to the class AZ in the polynomial time hierarchy.
著者
石畑 清
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.84-89, 2003-01-15

この連載では,今まで難しい問題をいかに解くかということに重点を置いてきた.プログラムの書き方に関する解説なのだから,これは当然である.誰にでも解けるような問題では,解説する甲斐がない.しかし,やさしい問題の中にも議論すべきテーマを含んでいるものがある.今回は,そのようなやさしい問題の1つを取り上げることにした.1999年の国内予選問題B「Unable Count」である.
著者
小林 秀典 山﨑 信行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.46, no.16, pp.69-84, 2005-12-15
参考文献数
27

インプリサイス計算モデルに基づくインプリサイスタスクは,その実行に十分な時間が割り当てられない場合でも,デッドラインまでに品質の低い結果を生成することができる.しかし,インプリサイスタスクの実行は任意の時点で中断される可能性があるため,共有資源へアクセスすることができないという欠点がある.本論文では,資源の最大占有時間が既知である環境において,インプリサイスタスクが共有資源へアクセス可能なスケジューリングアルゴリズムを提案する.本アルゴリズムは,システムに存在するスラックのプロセッサバンド幅をオフラインで算出し,スケジュール可能性を判断する.オンラインでは,付加部分に割当て可能な時間を動的に算出することで,実際に要求された資源アクセスが完了できることを確認する.提案したアルゴリズムを実時間オペレーティングシステムRT-Frontier に実装し,実用性を評価する.また,資源制約を持つインプリサイスタスクを用いた検証実験を行うことで,実時間性を満たした資源アクセスが可能であることを示す.The imprecise tasks, based on the imprecise computation model, can produce lower quality of result even when there is not enough time. However, the imprecise tasks cannot share resources, because they allow termination at any point in their optional parts. This paper proposes a scheduling algorithm that enables the imprecise tasks to share resources in systems where the maximum access duration of every resource is known. The offline part of this algorithm calculates the processor bandwidth of slack and checks the schedulability of the given task set. The online part schedules tasks in deadline order and calculates the remaining time for optional parts in order to verify whether requested accesses can be completed. We implement this algorithm on the RT-Frontier operating system to assess its practicability. Moreover, we conduct experiments using imprecise tasks with resource constraints to confirm that resources can be accessed without causing any timing violation.
著者
松尾 和洋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.590-591, 2002-05-15
参考文献数
5
被引用文献数
1

和田新編集長から,新しい連載を始めるから手伝ってほしいとの依頼を受け,何かお役に立てればとお引き受けした.インターネット時代に情報が満ち溢れていても現地の感覚はなかなか伝わりにくい.身近な話題を通して少しでも現地の感覚をお伝えできればと思う.
著者
中澤 仁 望月祐洋 徳田 英幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.2573-2584, 1999-06-15
参考文献数
19
被引用文献数
2

既存アプリケーションのホスト透過的な移送を実現する ホスト透過型オブジェクト移送モデルを提案する. 本モデルは プロセス移送や分散ウィンドウシステムにはないプラットホーム独立性を提供し さらにオブジェクトを単位として移送の粒度を柔軟に制御できるのが特徴である. 本研究で Java 言語によって実現したホスト透過型オブジェクト移送システム Mogul は 既存アプリケーションコードに対する変更をともなわずに ホスト透過的なアプリケーション移送を実現する. Mogul では アプリケーションを移送可能オブジェクトとホスト依存オブジェクトとに動的に分離し それらの間のメソッド呼び出しをリダイレクトする 動的メソッドリダイレクションによって透過性を確保している. 本論文では アプリケーション移送の実現手法を比較検討したうえで Mogul の機能および特徴を示し 実装と評価について報告する.This paper proposes a transparent object migration model which enables existing applications to migrate between hosts without depending on platforms. The key issues are transparency and reusability of existing applications to exploit application mobility for mobile computing. In this research, we have developed an object migration system named Mogul with Java. Using Mogul, existing applications can migrate transparently Without changing their code. The novelty of Mogul is Dynamic Method Redirection which provides applications transparency. In this paper, at first, some conventional approaches for migration are presented with discussion of their features. Then we describe design and implementation of Mogul, and finally, usability of Mogul is discussed based on the result of evaluations.