著者
本多 健二 佐藤 誠
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.56, pp.5-8, 2013-12-02

画像処理における基本処理に,対象の境界検出がある.本稿では,境界検出手法の一つである零交差線による境界検出について検討する.画素(x,y)の濃度値f(x,y)に対して,勾配を∇f,ヘッセ行列をHとしたとき,幾何学的な対象の境界を表す零交差線としては,ラプラシアン法で用いられるtrH,また,Canny法で用いられる(∇f,H∇f)の零交差線の2つが考えられるが,本稿では特に(∇f,H∇f)について検討する.(∇f,H∇f)の零交差線は,幾何学的には,曲線f(x,y)の変曲点,すなわち,画像の極大点から湧き出し,極小点へと流れ込む流線の変曲点を求めることと等しい.通常,ディジタル画像処理において(∇f,H∇f)を処理する場合には,微分を差分に置き換えた局所オペレータを用いる方法が使われる.本稿では,(∇f,H∇f)の幾何学的意味に戻り,実際に極大点から極小点へと流れる流線を定義し,流線に沿って変曲点を解析することにより,濃淡画像の零交差線を検出する手法について検討する.そして,従来の差分による手法との間に結果の差異があるかを実験的に確認する.
著者
羽生 康浩 井上 哲
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, no.17, pp.31-36, 2002-02-26
被引用文献数
1

BS朝日では2001年9月からレギュラー番組で5.1ch放送を開始した。5.1ch放送では視聴者の多くが2chのダウンミックスされた音声で視聴する事が多い。番組制作に際しては5.1chスピーカーシステムでの視聴のみならず、ダウンミックスされた音声での視聴も十分考慮しなければならない。また音声モード切替時に無音時間が発生する。5.1ch放送について、これまで社内で検証した内容を報告する。
著者
吉田 豊彦 藤井 彰 高橋 秋廣 三枝 義孝 朝比奈 太郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.60-74, 1987-01-20

放送局内の, よく知られているコンピュータシステムとしては, 番組送出業務に用いられている自動番組送出システムがある.近年, この種システムは, 信頼度向上のために二重化システムが採用されるなどして, ますます大規模になってきている.また, 放送施設, 機械の割当て調整, 要員の業務調整, 番組編成計画の策定にまで及ぶ機能を持った番組技術システムのようなものもある^<1)>.その一方, 最近, 番組制作部門では, 制作される番組の範囲に応じた各種コンピュータシステムが導入されつつある.この章で取りあげている制作支援システムとは, 文字どおり放送番組の制作現場で番組に密着して, その制作を支援するシステムである.近頃, この制作支援システムなる名称が各所で話題にのぼるようになってきたのは, (1)放送番組の編成の傾向が, 従来よりも情報主体のものとなり, リアルタイムで種々の大量のデータ, 番組素材を処理する機会が増してきた.(2)OA機器の普及によって, ワープロ機能, グラフィック機能, 通信制御機能のすぐれたワークステーション(パソコン)や, LAN, VAN等の各種コミュニケーションの手段を安価に利用できるようになった.(3)番組制作コストの低減, 制作時間の短縮を図るため, できるだけ番組素材, 番組関連データを整理, 保存し, 再利用する必要が生じてきた.などが主な理由である.さらに, 最近のパソコンにはソフトウェア開発用の種々のツールが完備していて, プログラム開発が容易になっていること, ハードウェアの安定度が向上し, これら機械を番組の制作現場に持ち込んでも, 専門の技術要員なしに充分, 機能を発揮できるようになってきたことも理由にあげられる.この章においては, 5-2節で, 時々刻々変化する気象情報に対応した大量の気象データを, リアルタイムで処理し, 分配, 映像信号化するシステムの例として気象情報分配システム, 5-3節で, ニュース番組の制作現場など, 即時性を要求される状況下で, 迅速な画像処理を行い, タイトル画面, 説明画面の制作を行う例として, コンピュータグラフィックスシステム, 5-4節で, 毎日毎日発生する放送済素材データ, ニュース素材データをデータベースに登録, 一元管理し, システムに加入している各社の端末からキーワードによって検索し, 再利用を行う番組ライブラリーシステム, 5-5節では, 国政レベルの選挙速報番組に用いられる速報システム, 5-6節で, スポーツ番組において, 試合の経過状況, 得点表示などに用いられる表示システム, について述べる.
著者
近藤 明人 中川 剛 臼井 郁敦 杉田 真一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.23, pp.17-20, 2013-05-29

多くの機械式フェーダやハードスイッチ、出力状態を表示するモニタから構成されていた調光卓、及び、負荷回路制御卓、照明バトン制御卓等を、一つのタッチパネル・ディスプレイに集約して開発することに成功した。これまで既に、TBSの看板番組「輝く!日本レコード大賞」で、メイン調光卓として使用した実績があり、限られたスペースでの多チャンネル制御の実現を証明している。
著者
次田 雅宣 佐々木 市右衛門
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.24, no.11, pp.888-893, 1970-11-01

テレビチューナーの局部発振周波数の微調を自動制御するためAFT方式が用いられるが, その制御回路の部分(AFC増幅・弁別・直流増幅回路)を半導体IC化した.試作の結果良好な特性を得たので, その開発主旨および特性などについて報告する.
著者
伊藤 明久 今井 順一 金子 正秀
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.21-24, 2009-02-28

実生活空間において人間と共存するロボットは,歩行者が存在する動的環境を認識し,歩行者との衝突を回避するように移動することが求められる.周囲環境の認識のためにはステレオ視による距離情報が有用であるが,距離情報を得られない領域の存在や距離情報に差が無いと物体を認識できないという問題がある.本論文では,距離情報と色情報を統合することでより頑健に周囲環境のモデルを生成し,それを基にロボットの移動経路を自律的に決定することを可能にする手法について述べる.室内で歩行者がいる動的環境においてロボットに歩行者と衝突することなく移動させる実験を行い,本手法の有効性を検証する.
著者
藤尾 孝
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.19, no.8, pp.546-553, 1965

カラー信号は輝度信号に搬送色信号が多重化されている.このため, フィルム録画や受像管などの非直線系を通したとき, この搬送色信号成分によって大きな輝度ひずみを生じ, また, それ自体ドットストラクチャとなって妨害する.このため従来, 輝度信号としては, 帯域除波回路または低域〓波回路によって, カラー信号から搬送色信号成分を取り除いたものを用いてきたが, 必然的に輝度信号の高域成分が損なわれ, 画像の解像度が低下する.ここでは, カラー信号の近傍相関を利用し, 解像度の低下しない, 高忠実度の輝度信号を分離する回路方式と, その試験結果について報告する.
著者
小楠 千早
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.957-963, 1976-12-01

撮像管において電子ビーム系が持っている意味を明らかにするために, まずターゲット上での走査ビームの振舞いを撮像システム側の視点からとらえ, 主としてメッシュ・ターゲット間減速電界での性質を定性的に述べた.次に走査ビーム系を構成している各要素の機能をモデル的に解説し, それらがビーム系全体の中で有する問題点について説明を行った.
著者
二宮 佑一 大塚 吉道 和泉 吉則 合志 清一 岩舘 祐一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.468-477, 1988-05-20

ハイビジョン(高品位テレビジョン)の実用化を進めるにあたっては, 放送に用いる信号伝送方式の確立が必要である.NHKが開発した12GHz帯の放送衛星を用いてハイビジョン放送を実施する目的で開発したMUSE(Multiple Sub-Nyquist Sampling Encoding)は, 実際に運用中のBS-2b(放送衛星-2b号)を用いた実験をくり返し, その実用性が確かめられた.本論文ではハイビジョン衛星放送の要件を論じ, それに適合するMUSEの原理, 構成, 機器開発について述べる.MUSEは実用性を重視した固定サブサンプリング伝送方式であり, 極めて簡単なシステムではあるが, 高い画質を保ってハイビジョン画像を8.1MHzのベースバンドに帯域圧縮できる.MUSEの開発によりBS単一チャンネルで放送することが可能になった.
著者
近藤 いさお 田中 豊 奥井 誠人 矢島 亮一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会年次大会講演予稿集 (ISSN:09191879)
巻号頁・発行日
no.26, pp.415-416, 1990-07-25

NHK has developed the NTSC-Compatible MUSE-6 system for an ATV system in the United States. In this system, vertical high frequency components are multiplexed in the top-and-bottom portions of a letter-box picture. This paper describes the vertical filtering method of an NTSC-Compatible MUSE-6 signal.
著者
湯浅 謙
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.474-479, 1980-06-01

選挙番組に見られるように, 長時間にわたり多くのスタッフの共同作業を円滑に進めることを援助するシステムとして"スタジオ内情報システム"を提案し, 実施する機会を得た.その結果, 制作スタッフが共有すべき情報の分配システムの有無が, 番組の出来・不出来に大きな影響を与えることが確認された.
著者
田中 実
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.20, no.9, pp.616-624, 1966

テレビジョン技術を応用したコンパクトな高速度現字装置を開発した.これは撮像管のひとつであるビジコンを母体とし, その中に母形電極を封入して文字信号発生管 (母形管) を作り, 入力信号に応じ電子ビームの走査により母形管からとり出した映像信号は, 増幅補正のあと静電印刷管で再現し印刷する.印刷速度は掃引周波数の選び方によっても異なるが, 実用的には50,000字/分が可能である.用途面については, データ伝送の端末機器あるいは電子計算機の出力装置が期待できる.
著者
新津 勇助 谷 征興 上田 孝爾 和田 哲夫 中川 清
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.1698-1706, 1990-12-20

放送局設備の自動化は合理化, 省力化, 事故防止などを目標としている.システムの自動化と各機器の固体化による信頼性向上との相乗効果により放送事故の件数は大幅な減少傾向をみせている.一方, システムの高度化により1件あたりの事故は大型化する事例も散見される.本稿では送出の分野を中心に放送局設備の自動化について概説する.
著者
山本 直弘 重永 明義
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.966-967, 1991-08-20

NHKスペシャル「銀河宇宙オデッセイ」の全編にわたって, 我々は, 特殊撮影と合成により高品質でリアリティに富む宇宙の映像を制作した.モーションコントロール, アルチマット, ディジタル映像合成システムによるSFX映像制作の思想、と映像スタッフとしての取組みを紹介する.