著者
増田 勝彦 面谷 信 高橋 恭介
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.23, no.9, pp.69-74, 1999-02-03

今後、デジタル化社会の進歩と共に"ディスプレイ上にソフトコピーとして表示された本や新聞を読み、考える"という時代が来ると考えられる。しかし現状では、ソフトコピーのままで長文を"読むこと"、"考えること"には一般に抵抗感が存在する。そこで本研究では、思考作業効率の観点から見たハードコピーとソフトコピーの比較をLCD、および用紙上に提示された簡単な計算課題に対する計算速度と正解率を、複数の被験者を用いて測定することによって行なった。これらの比較実験は、ハードコピーを用いる際に一般的な「水平状態」での作業と、ソフトコピーを用いる際に一般的な「垂直状態」での作業の2つの状態において行なった。実験の結果、垂直状態と水平状態の比較ではハードコピー上作業・ソフトコピー上作業ともに、水平状態での作業効率が良いことが示された。また、水平状態作業においてはハードコピー上作業はソフトコピー上作業よりも高い作業効率が得られた。本検討の結果は、ハードコピーとソフトコピーの比較において、媒体の差に加えて水平-垂直の作業状態の差が大きく影響し得ることを示している。
著者
井上 哲理 野呂 影勇 岩崎 常人 大頭 仁
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.1301-1305, 1994-10-20
被引用文献数
41 6

2眼式立体映像は, 立体効果が大きいため, 有効な立体再生法として広く利用されている.しかし, 同映像はいくつかの問題点も指摘されており, 特に人間の視覚系に与える影響は実用化の妨げとなっている.本研究では, 2眼式立体映像が視覚系に与える影響を定量的に評価するとともに, 視覚系に負担の少ない映像の呈示条件について考察した.評価の方法として, 映像鑑賞中の両眼眼球運動および鑑賞前後の調節機能の測定を行った.これらの測定を両眼視差量の違う立体映像および通常の平面映像について行い, 結果を比較することで評価を行った.結果より, 鑑賞中の眼球共同運動が崩れる現象, および鑑賞後に調節反応時間の延長があり, 2眼式立体映像の視覚系への影響が見られた.映像の持つ両眼視差量が大きくなるに従い, これらの影響は大きくなり, 一方, 両眼視差量が1度以内であれば, その影響が通常の平面映像と差がないことがわかった.
著者
福島 邦彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.212-218, 1984
被引用文献数
1

生物の脳は, 現在のコンピューターでは実現できないような高度の情報処理能力を示す.神経回路モデルを中介としてそのメカニズムを探り, 新しい情報処理装置の設計原理を見いだそうとするバイオサイバネティクス研究が注目されている.このような研究の結果, 高度のパターン認識能力と学習能力をもつ新しいパターン認識方式「ネオコグニトロン」が生まれた.
著者
谷口 和彦 日比野 敏郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.19, no.38, pp.55-60, 1995-08-24
被引用文献数
1

A satellite data broadcast started since April 1995,for the first time in the world. This satellite data broadcast will be received by TV game player "Super famicom" and receiving device "Satella view" as a set. This set will receive data broadcast from the satellite and at the same time reproduce transmitted PCM music broadcast. This made a total1y new broadcasting service "listen while playing" become true.
著者
井上 光平 浦浜 喜一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.102-109, 2008-01-01
被引用文献数
2 1

A non-photorealistic rendering (NPR) method is presented for generating stippling on the basis of multiplicatively weighted centroidal Voronoi tessellations (CVT). Multiplicative weights are set and updated on the basis of the position of generating points and pixel values of an input image. This paper presents three kinds of multiplicative weights, that is, fixed, variable and monotonically nondecreasing ones. Experimental results show that the stipplings generated by the present method have sharper edges than that by multiplicatively unweighted CVTs.
著者
磯野 春雄 安田 稔 竹森 大祐 金山 秀行 山田 千彦 千葉 和夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.1267-1275, 1994-10-20
被引用文献数
27 1

特別なメガネをかけなくても立体画像を見ることができるレンチキュラー方式による液晶投写型の50インチ8眼式3次元テレビジョン装置について述べる.さらに, 8眼式立体テレビカメラ, レンチキュラースクリーンおよび立体視領域などについても述べる.本装置は, 8台で構成された立体テレビカメラからの映像信号を電子的に画素単位で合成してストライプ状の画像とし, 2台のハイビジョン液晶ビデオプロジェクタを用いてレンチキュラースクリーンに背面投写するものである.この結果, 明るく鮮明な8眼式立体画像をメガネなしで見ることができるようになり, 従来よりも立体画像の観察視域が前後, 左右方向ともに拡がり, 立体画像の見やすさと自然さが大きく向上した.
著者
吹抜 敬彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.1098-1103, 2008-07-01
被引用文献数
1 1

A new extended color space camera, "XTF (eXtended Tri-angular Format) ", is proposed, where, through the use of YRGB color separation, RGB color signals are modified to obtain negative primary colors (those outside the RGB triangle) : the difference between Y (a taken luminance signal) and Y' (the calculated luminance signal, i.e., the weighted sum of taken R, G and B colors) is allotted to the taken R, G, B colors. The ratios of allotting it to these colors are decided, e.g., inversely-proportional to these taken color signals, respectively. Computer simulation confirmed that the "XTF" camera performs well.

4 0 0 0 肌色

著者
鉅鹿 明弘
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.534-540, 1967

肌色は絵画, 印刷, 写真, 映画, テレビなどで再現される色として最も重要なものである.肌色は一般の色再現の対象となる物体よりも分光特性が複雑であるし, 条件によっていろいろ変化する.肌色の色再現に関しては, 多方面での研究がある.好まれる肌色の再現色は, オリジナルと同じ色度の色ではなくて, 記憶している肌色に近いことが知られている.
著者
高山 龍 奥平 雅士
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.103-106, 2009-02-28
参考文献数
3

本稿では,加速度センサを振ることによってインタラクティブに打ち上げ花火CGを生成する方式について述べる.3DCG生成はOpenGLを用いて行う.花火は炸裂モードと打ち上げモードがあり,加速度センサから送られてくる値によって,モード,花火の位置,大きさを制御することが可能である.CGならではの,通常にはない花火の火花の形を生成したり,昼間モードでの花火を生成したりできる非現実的な表現も好評価を得た.また,振るという動作判断のための閾値設定について実験を行ったところ,ユーザの持つ打ち上げ花火のイメージによって閾値にばらつきがおこる傾向があることがわかり,閾値を可変にすることで,ユーザが快適に操作できるようにした.
著者
坂元 宗和 高木 幹雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.8, no.17, pp.19-24, 1984-08

デザイン上意味のある点でのデータを使って, スプライン補間で骨格を作り, 径と向きを調整した偏平八角形の筆触形態を逐次出力する方法により.フォント設計システムを試作した.入力単位は字枠の0.2%, 出力フォントのドット数, アスペクト比, 線幅, 太線対細線の線幅比は自由に変えられる.ひらがな, カタカナを試作し, 電算写植用として使用しうる品質のフォントを得た.実効データは1字当り約80バイトである.
著者
岡本 義信 平川 義宏 松野 知宏
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.20, pp.47-52, 2001-02-23
参考文献数
4

中国放送では、雷の発生を早期に知り無線設備の運用で出来る限り雷の被害を防ぐための研究をおこなっている。我々は雷から発生する電磁波と誘起される高電圧を検出する検知機を作り、観測システムを構成して試験をおこなった。その結果、雷の発生を早い段階で知り、親局の商用停電による放送事故を防止することに成功した。
著者
福山 肇 笠井 高明
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.1008-1009, 1990-08-20

追記型のレーザディスクを既存のコンピュータグラフィックス装置に組込むことにより, 映像のランダムアクセスとリアルタイムデータの同時表示を可能にして, 選挙報道おいて「ビジュアル開票速報」を実現した
著者
遠藤 幸吉
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.106-111, 1955

テレビジョン放送局を設立するに当り,いかなる規模において開始すべきかはその企業体の資金により色々と相異もあるのは当然であるが,ある程度の将来性も考慮して充分に運用できる程度のものが望ましい。先進国としての米国の例を見ると現在ではネットワークが完備し,小都市の放送局では簡単な施設のものでもキー・ステーションからの番組を貰って聴視者を満足させている。一方キー・ステーションの方も,初期の頃はスタジオでもラジオに使用していたものを改造した程度であったが放送時間が増え,番組内容の充実するに伴いテレビジョン専門の大スタジオを建設するようになった。この経過を見ても判るように僅か数年間におけるテレビジョンの進歩は真に目覚しいものであると同時に現在でも新しい機械が次々と発表され,今後の発展は予想し難いものがある。そのため現在新設されるテレビジョン専門の放送局でもスタジオなどは将来増設を考慮して敷地を広くとってある。ラジオ東京テレビジョンの局舎および施設は現在の段階において放送時間を5時間位とし,ある程度番組をスタジオ内において充分こなせること,将来の増設が可能なることに基本方針を置き旧近衛三連隊跡の5000坪の敷地に現在の局舎を建設した。なお観客参加番組はラジオと共通のが多いこと,および観客動員の都合でなお一層都心に近いことが望まれるのでその目的のためには現在のラジオ東京ホールおよび築地に建設中のラジオテレビスタジオを使用し,マイクロウエーブで赤坂の局舎まで連絡することにした。
著者
岩崎 禎二 中村 隆 石井 克己
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.25-30, 1981-05

本カメラは, 従来のオートホワイト, ブラックバランスに加えて, 新開発のオートセンタリング回路を採用することにより, 特別なチャートを用意する事なく, 常に最高の性能を発揮する事ができる様になったのに加えて, メモリー保持も一層強化され, パワーSWを切ったままでも約3ヶ月間その内容を保持する。また, 従来の2/3"管で問題であった解像度をダイオードガンプランビコンを高圧動作で使用することと, 水平DTL周波数を高くすることにより向上させている。さらに, 半導体技術と回路技術を駆使してSN比を3dB向上し, 標準で57dBを実現したことにより, +9dBは無論, +18dB時でも十分実用に耐える映像を得る事が可能となった。このSN比は将来LOC管を使用する事により, さらに改善することができる。シンクジェネレータ部には新開発のC-MOS ICを使用してRS-170AのSC-H特性を満足しており, 特に内部同期時にはカラーフレーミング検出回路を持たないポータプルVTRの為にカラーフレーミングパルスを供給する事もできる。水平および垂直のプランキングの可変回路も標準で装備されている。また, 種々のカラー方式に即座に対応できるよう設計されており, 方式によって2〜3ユニットを交換することにより, ほとんど無調整でNTSC, PAL, PAL-MおよびSECAMカメラに変更することができる。このように, 種々の性能向上, 新機能の追加が成されているにもかかわらず, ユニットの互換性は最大限に考慮されており, またカメラのインターフェイス関係もBVP-300と同一の為, 小型カメラコントロールユニットCCV-300等の使用が可能である。
著者
高橋 浩一郎 土田 健一 木村 智 居相 直彦 森山 繁樹 岡信 大和 中島 光男 岡田 隆宏 松宮 功 池田 康成
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, no.53, pp.29-32, 2002-07-26
参考文献数
4
被引用文献数
2

地上デジタル放送の移動体向けサービスの対象のひとつに電車がある.今回,JR総武線の電車内で,3種類の試作受信アンテナを用いて受信実験を行い,走行する電車内での地上デジタル放送の直接受信の正受信時関市を測定した.ヘリカルおよびロッドアンテナは直接受信が可能であったが,ループアンテナは利得が小さく受信が困難であった.また,駅などでは人工雑音の急峻なピークが見られ,正受信時間半を劣化させていた.
著者
瀧上 順也 加藤 禎篤 ブン チュンセン
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.30, pp.39-44, 2008-07-23
参考文献数
10

本稿では,実写の動画像を非実写化することにより,動画像の好ましさを向上する効果があるかについて検証を行った.まず,イラストレータによる理想的な手描きの非実写映像によって実写映像と異なる表現方法(画風)に変更することで,映像に対する総合的な好ましさを損なうことなく,個別の要素に対する印象の好ましさを向上させる効果があることを確認した.次に,動画像の動きの滑らかさに関して,非実写変換によって,低いフレームレートにおいても実写映像に比べて動きのギクシャクさを感じにくくなることを確認した.これらの結果を,それぞれの主観評価に用いた方法と合わせて報告する.