著者
福本 壽一郎 下村 弘
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.13, no.7, pp.613-620, 1937 (Released:2008-11-21)
参考文献数
11

1. 2, 6-dichlorphenolindophenol solutionを用ひて各種の絲状菌の還元性物質生成量を求め, Asp. cellulosae, Asp. fumigatus, Asp. niger, Asp. nidulans, Asp. melleus, Pen. glaucum及びPen. luteum等の菌種が生成量大なる事を認めたが, Bernhauer氏等に倣ひAsp. nigerを試驗菌種と定めた. 2. 炭素源を異にする培養液にAsp. nigerを接種して炭素源と還元性物質の生成量との關係を試驗し, Fructose, Sucose, Mannit, Starchに於て生成量大なる事を見た. 3. 該還元性物質を濃縮精製してモルモツト飼育試驗を試みた結果, Vitamin Cの如き生理的效果を認め得なかつた. 4. 本還元性物質の化學的性質の若干に就て論じた.
著者
蓮見 惠司
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.190-196, 2018-02-20 (Released:2019-02-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1

ガードナー国際賞(2017年),ラスカー臨床医学研究賞(2008年),日本国際賞(2006年)など数々の国際賞を受賞した遠藤 章博士のスタチンの発見は,虚血性心疾患(動脈硬化とそれに起因する血栓による動脈閉塞が原因)の予防と治療の新たな扉を開いた.筆者らは,血栓溶解を促進する生理活性物質の探索の過程で多くの化合物を同定し,糸状菌Stachybotrys microsporaが生産するtriprenyl phenol化合物群SMTPの医薬開発を進めている.SMTPは血栓溶解促進作用と抗炎症作用を併せ持ち,脳梗塞(血栓による脳虚血に伴う病態)の改善に著効を示す.本稿では,SMTPの発見から医薬開発までの道のりを,遠藤博士とのエピソードを交えて紹介する.
著者
鈴木 義人
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.153-158, 2014-03-01 (Released:2015-03-01)
参考文献数
19

植物食昆虫が植物に形成するゴールは,色や形の多様性が高く,「どのようにして形成しているのだろう?」と見ているだけで興味をひく.この形成機構にはまだまだ不明な点が多いが,昆虫が生合成する植物ホルモンが関与している可能性が少しずつ明らかになってきた.本稿では,ゴール形成と植物ホルモンについての現在の知見とともに,残された課題について紹介する.また,「見ているだけで興味をひくゴール」の真の形成機構の理解とはどういうものなのかについても,私見を述べたい.
著者
橋場 弘長 越山 育則 坂口 健二 井口 信義
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.312-316, 1970
被引用文献数
2

(1) 醤油から鉄,銅等の重金属をDowex A-1で除いたところ,醤油の酸化褐変の速度は遅くなったが,それでも明らかに増色した.<br> (2) Dowex A-1で処理した醤油の酸化褐変に対しては, Fe<sup>2+</sup>, Mn<sup>2+</sup>が促進効果を示したが,極微量で顕著な影響をあらわすということは認められなかった. Cu<sup>2+</sup>, Zn<sup>2+</sup>, Ni<sup>2+</sup>, Co<sup>2+</sup>, Cd<sup>2+</sup>は褐変にほとんど無関係であった.<br> (3) 醤油の加熱褐変に対Lては,金属イオンの影響は余り認められなかった.<br> (4) Dowex A-1処理した醤油に,除かれた金属を再び戻しても,褐変の速度は未処理の醤油の約半分であったことから,醤油の酸化褐変には金属以外の大きな要因があると考えられた.
著者
坂口 健二
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.758-764, 1954
被引用文献数
1 2

1. 醤油醪より細菌を分離する為に,抗黴抗生物質を培地中に加えてplateする方法を見出した.<br> 2. Eurocidin, W-2 substance, Trichomycin共Bacteriaは殆ど抑える事なく, yeastは完全に抑え, moldsもEurocidin 30~100&gamma;/cc, W-2 25&gamma;/cc, Trichomycin 500&gamma;/ccで阻止する. Bacteriaのviable countsは変らない.<br> 3. Eurocidin培地を作るには, EurocidinをpH 1の水にとかして殺菌した培地に加え,試験管に分注し, 100&deg;, 15分の加熱を行うのが適当かと思われる. 1週間の貯藏に耐える.<br> 4. <i>Asp. sojae</i>のsporeを多量に接種すると,これを阻止するにはEurocidinを濃くしなくてはならない. 5. EurocidinはpHによりあまり効力の差がないが, W-2 substanceは酸性側で効力が減る.<br> 6. 培地により効力の変化が,見られる.<br> 7. 1mg/ccの濃度でも, <i>Bac. butyricus</i>, <i>Micro. luteus</i>に影響を与えない.
著者
角田 潔和 小泉 武夫 小玉 健吉 野白 喜久雄
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.951-955, 1987
被引用文献数
1 1

(1) 樹液酵母1670株を用いてプロテアーゼを菌体外に分泌する酵母のスクリーニングを行った.<br> (2) 二次スタリーニングを通過した菌体外プロテアーゼ分泌株32株を供試して培養濾液中のプロテアーゼを測定したところ,いずれの株も酸性で働くプロテアーゼの分泌が最も高かった.これに対して中性で働くプロテアーゼの分泌はわずかであり,アルカリ性におけるプロテアーゼは痕跡程度の分泌であった.これらの供試株中から最も酸性で働くプロテアーゼの強い1株を得,最終目的株とした.<br> (3) この最終目的株<i>Candida</i> sp. KSY-188-5について菌学的諸性質を検討し,偽菌糸形成能,炭素源の醗酵性,資化性,赤色油滴状物質の発現および色素の溶出等より,本株を<i>Candida pulcherrima</i>と同定した.

1 0 0 0 OA 脂質の機能(II)

著者
大野 公吉
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.6, pp.322-330, 1968-06-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
3
著者
朝井 勇宣 杉崎 善治郎 相田 浩
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.300-304, 1955

振盪培養によつて<i>Gluconoacetobacter cerinus</i>のグルコース酸化代謝生産物を追究し,従来知られていたgluconic acid, 2-ketogluconic acidの他に新たに&alpha;-ketoglutaric acid及びpyruvic acidの生成されることを確認し,分離同定した,グルコースの醗酵経過を追跡し, pyruvic acid生産のピークが&alpha;-ketaglutaric acidのピークに先行すること,その醗酵経過及び両酸の生成状況が<i>Pseudomonas</i> 33Fの場合, <i>Serratia marcescens</i>の場合に似ていること,またグルコースのみならずgluconate, 2-ketogluconateからも&alpha;-ketoglutarateの生産されること, glucose, gluconate,からpyruvateの生産されること等の事実から, Homo-oxidative bacteriaとしての<i>Gluconobacter</i>が<i>Pseudomonas, Serratia</i>と同様にglucose&rarr;gluconate&rarr;2 ketogluconate&rarr;pyuvate&rarr;&alpha;-ketoglutarateの経路をとつて代謝され得る可能性が有力に示唆された.最近T. E. KING及びV. H. CHELDELIN<sup>(10)</sup>が<i>Acetobacter suboxydans</i>の酸化能をcell free extract及びintact resting cellを用いて研究し,この菌が酢酸及びTCA cycleの中間物質に対して有意義の脱水素能を示めさないこと,またglycolysisの経路を採り得ないことを報告しているが,著者等の今回の実験によれば,燐酸関与の問題は未決としてもKoepsell等の所謂direct oxidative pathwayの系が<i>Gluconobacter</i>に於ても,主経路でないにせよ存在するように考えられる.
著者
大森 正司 矢野 とし子 岡本 順子 津志田 藤二郎 村井 敏信 樋口 満
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1449-1451, 1987-11-15 (Released:2009-02-18)
参考文献数
7
被引用文献数
74 87

This study was conducted to investigate the effects of green tea made from leaves incubated in an anaerobic condition (Gabaron tea) on the blood pressure of spontaneously hypertensive rats (SHR). No difference was found in the mean body weight of the control groups (first group, fed on water; second group, fed on ordinary green tea) and the experimental group (third group, fed on Gabaron tea) throughout the test period. The mean blood pressure of the three groups was identical at 160 mmHg in the pre-test period. The mean blood pressure of the experimental group was 158 mmHg, whereas the control groups shared 163_??_167 mmHg one week after the experiment started. The blood pressure of the experimental group was significantly lower than pressures of the control groups (P<0.01). In all groups, the mean blood pressure increased gradually from 10 to 20 weeks of age. The mean blood pressure of the experimental group was about 150 mmHg, and those of the control groups reached 175_??_180 mmHg. The mean blood pressure of the experimental animals was 14_??_17% lower than the pressures of the control animals at 20 weeks of age (P<0.01). The hypotensive effect on SHR fed the Gabaron tea infusion disappeared when the animals were returned to ordinary green tea intake at 20 weeks of age.
著者
今安 聰 打越 文雄 斉藤 義幸 山下 正朋 杉並 孝二
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.213-218, 1986 (Released:2009-02-18)
参考文献数
11

(1) 粉砕白米を用いて行う製麹では,引き込み時の水分を粒状の場合より少し高目の35~36%ぐらいにする必要がある. (2) 粉砕白米で作った麹は酵素力価が高くなり,麹歩合をその分だけ少なくすることができる. (3) 生の白米の場合でも粒状麹に比較して粉砕状麹のほうが菌体量ならびに各酵素力価ともに高い数値を示した. (4) 粉砕白米を用いて行う製麹では,麹の菌体量,各酵素活性の米の品種間における差がなくなるので,硬い米でも良質の麹が作りえた. (5) 粉砕状麹は粒状麹に比較して膠中でよく溶けた. (6) 麹を粉砕白米で作ることにより,粕歩合が約4%低くなり,さらに掛米,麹とも粉砕状にし,膠初期の汲水歩合等を勘案して醗酵させれば,粕歩合が約10%低くなって酒化率も43l/t前後向上するということがわかった.
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.116-119, 1974-02-25 (Released:2009-05-25)
被引用文献数
1
著者
日向 康吉
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.12, pp.833-840, 1984-12-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1
著者
養王田 正文
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.185-192, 2009-03-01 (Released:2011-06-27)
参考文献数
14

次世代シークエンサーがベールを脱いだのはごく最近のことであるが,一躍脚光を浴びる存在になっている.その成果はめざましく,生命科学の様々な分野に革命を起こしつつある.さらに驚くべきことに,その次世代シークエンサーを凌ぐシークエンサーの開発も進んでいる.ここでは,これらの次世代シークエンサーの原理を説明し,その能力と応用について紹介する.