著者
荒井 康夫
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.37-43, 1984-03-31
被引用文献数
1

(1)シュート・ポジションに対して,リバウンド・ボールはシュートを行った反対側に多く集約していた.シュート・ポジションが右0゜,距離6.50 mの場合,リバウンドの分布は左20°〜30°,距離は3.00m付近に集約.シュート・ポジシーンが右56°距離7.00mの場合,リバウンドの分布は左45°,距離は3.50 m付近に集約.またシュート・ポジションが右30°,距離6.00mの場合,リバウンドの分布は左35°,距離2.50 m付近に集約された.(2)その他,相手プレイヤーの特徴を把握すること,シュート・フォーム,ボール・スピン,ループ,シュート・ポジションと距離などを素早く把握し,リバウンド・ポジションの獲得に努めること.(3)スクリーン・アウトの徹底, (4)リバウンド・ボール獲得の意志. (5)ジャンプカ,などを含めて指導を行うことである.
著者
佐地 多美
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.129-138, 1975-03-15

生活の多様化,情報の氾濫,多種多様な価値観の世界に生きるわれわれが,今後,ますます複雑化が予想される社会に生きる子どもたちのために,今何をしてやらなければならないのか,何をしてやることができるのか,教育界に多くの目が向けられている昨今,もう一度冷静に考えてみる必要がありはしないか。そもそも教材というものは,マーセルの言葉を借りるまでもなく良い教材でなければならない。特に音楽活動の場合は教材が音楽活動を限定してしまうので,教材の質が重要であろう。そして,多様な音楽文化に支えられている今日の音楽教育も,豊富で変化に富んだ教材によって,子ども達の多様な興味に応じることが必要であろう。それを子どもの発達段階に沿って順序づけるよぅ配慮されなければならないし,全体的には他教科との関連を見逃す訳にはいかない。しかし,現実はソッポを向いた子どもをこちら側に向けることが先決問題であり,そのために教師と子どもの"共通のこ^^^・と^^^・ば^^^・"を見つけることを提案してきた。そして,義務教育での音楽教育は専門教育ではなく一般教育であるがゆえに,多様な子どもの興味に答え,情操教育における音楽の役割を十分に果たすように努めねばなるまい。
著者
柏瀬 愛子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.215-222, 1976-03-15

コダーイは,「音楽はすべての人のためのものである.その教育が,ある一部の特別な人にのみ行なわれるものであってはならないし,またどんな領域においても,人をして「名演奏家」に仕込むものではない.一般大衆が,音楽の良さがわかり,それを楽しむようでなくてはならない.」と常に述べ,音楽を愛し楽しむ手段として人々に勧めたのがうたうことであった.自らも,歌唱教材となる作品を多く作り,これを使ってこども達の教育にあたった.このコダーイの生みだしたうたうことによって行なう教育は,声楽の分野だけをしめるものではなく,器楽教育の中でも生かされるべきものである.ハンガリーの器楽教育で中心的役割を果たしているのは,国営の器楽学校である.そこで指導を受けている人の46%がピアノの学習者であると伝えられているが,この人達の練習課程をみると,初めの1年は肉声による音階練習の期間である.つまり,ピアノを志すものであっても,音に対しするどい感覚がもたれるように,うたうことによって訓練されるのである.次いで6年間にわたってあらゆるピアノ奏法に対する訓練がなされ,コースを終わる頃にはメンデルスゾーンの無言歌集やバッハの2声インベンシヨンが上手に弾きこなせるようになるといわれている.この間ピアノに触れるようになった1年目では,とり扱われる曲数はわずか5曲ぐらいといわれている.1つの曲であらゆるテクニックの勉強が行なわれ,音楽的想像がもたれるように指導されていく.また,曲を完全に自分のものにしきってしまうということも課せられているそうである.練習はただ多くの曲を弾きこなせるようにさせればよい,というものではない.弾く過程でどのような体験をさせるかということで基礎が身につくものであるといえよう.日本のピアノ教育では,依然として,百年以上を経た教則本であるバイエル,ツェルニーを利用されることが多い.こうした教則本を使ってレッスンするにしても,コダーイの理念に基づいたうたう指導と,あらゆるテクニックをもりこんだレッスンがとり行なわれたなら,手の動きに結びついた音のイメージを強くした奏法から脱してゆくのではないだろうか.現にコダーイメソードによって指導した2人の演奏は,他のどの子よりも音のひびきに生きたものを感じさせられた.また,いつも歌いながら楽しんで弾いている姿が見受けられる.今回は対象が個人レッスンの2名だけであったが,機会があれば幼稚園などのグループレッスンでコダーイ・メソードによる楽器指導の実践を試みてみたいと考えている.また,大学生に対する方法も研究してみたい.
著者
小塚 陽子 小野 真知子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編 (ISSN:09153098)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.39-46, 1994-03-05

南九州の重要な畑作物である甘しょの用途拡大を図るため,甘しょを調理素材として再評価することが必要である.甘しょの家庭料理あるいは調理済み加工食品としての用途はてんぷらや大学いもなどに極めて限定されていたが,近年新しい特性を持つ系統(低でんぷん,低糖分甘しょ等)が育種され,新食品素材として新しい調理法の開発が可能となってきた.さらに最近の健康食指向が高まりつつあることに伴い,ビタミン・ミネラル等が豊富に含まれている甘しょを手軽な形で摂取できることが望ましいと考える.甘しょには,カロチン系統と呼ばれるβ-カロテンを多く含有しているだいだい他の品種,またアントシアン系統と呼ばれるアントシアン色素を多く含有している紫色の品種,一般的によく知られている黄色品種ほか,数多くの品種が存在している.これらの品種の中から,第一報においては黄色系統の甘しょを鶏肉ソーセージに添加したものについて報告した.今回新たに開発された低でんぷん甘しょは水分音量が多く,ジュースに向く品種と考えられている.これらの品種の完全利用を目的とし,ジュースヘの調理音吐の検討ならびに,より付加価値の高い加工食品の開発を試みた.品種間の評価,官能検査等を行い,多少の知見が得られたので報告をする.
著者
古川 智恵子 小川 由香
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.31-40, 1988-03-01

1.繰糸祭およびお糸船神事の由来は,伊勢神宮へ神衣の材料を献上する儀式であり,7世紀後半より始まり,15世紀,戦国時代には中絶したと言われている.しかし明治34年,土地の人渡辺熊十によって復興され現在にまで至っている. 2.祭りの装束については,神職は上衣として狩衣を,下衣は指貫を着用し被物は烏帽子である.狩衣に指貫の装束は,古く平安時代から公家の間で広く用いられた狩猟用の略装であるが,明治以後神職の祭祀奉仕の略服として着用されるようになった.神に捧げる絹糸を採る糸姫は,木綿の白衣に白衿を着用し,最上衣として木綿の千早を羽織る.千早は平安時代中期に祭服として用いられるようになり,原始的な貫頭衣の形態を留めている.ただし御料所の千早は伊勢神宮のものとは多少構成が異なり,より機能的に工夫されている.この白無垢の装束は,神に捧げる絹糸を採る際の糸姫の純粋,清浄な心を表現するものと考えられる.その他の祭り参加者の衣装は,時代が進展するにつれて簡略化の傾向を辿ってきたが,神職と糸姫の装束だけは現在に至るまで,古式の面影を留めている. 3.祭りとくらしについて要約すると,「延喜式」にも記されているように,亀山の良質な絹糸を奉献する繰糸祭・お糸船神事は,その土地の特徴を生かした祭りであると言うことができる.かつ五穀豊穣,大漁を神に祈る意味をもち,衣に霊魂が宿るとする日本古来の信仰とともに現在にまで伝えられているのである.神事の後の直会は,本来神に献上した御食,御酒を人々が戴くことによって,神の霊威を人間の体内に受け入れるという意味をもち,また一年に一度集まり,参加する人々のコミュニケーションの場ともなっている.祭りはこうして生活の折り目,節目としての役割をも果たし,観光開発のために伝統的な祭りを保存していこうとする動きが一般的である今日でも,この祭りは地域の人々の生活の中にその本義を忘れることなく,今も根づいていると言うことができる.
著者
住本 哲子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.217-222, 1984-03-31
著者
平林 あゆ子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

障がいを理解するための絵本を制作し、子ども達が共に育ちあうインクルーシブ保育・教育に効果的に役立てるために効果測定をした。教育・保育の場における読みきかせにより、障がいの気づきと相互理解のヒント、特に保護者の障がいに対する理解が進み、親同士の歩み寄りができたという実態が明らかになった。これら絵本の市販の要望があり、絵本3冊と「かいせつと利用の手引」を2011年2月に風間書房より出版し応えた。また、幼児教育・保育に関わる学生や幼児用の「障がいを理解するための教育プログラム」を作成しインクルーシブ教育に役立たせた。
著者
古川 智恵子 中田 明美
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-8, 1986-03-01

腰巻は褌と並んで衣の厚点であり,ある時代には裳として表着に,また褶(ひらみ)・湯巻として労働着に,あるいは肌着に,またある時代には脚布(きゃふ)や蹴出(けだ)しとして女の服飾に色彩を添え,下半身を被う必要不可欠な「衣」として人間の欲求の多様化と共に分化してきた.また,労働着としては漁・山村あるいは地底でも炭坑婦に用いられ,厳しい労働に従事し,家族の為に身を粉にして働く女達の精神を支え,見守ってきたのである.この腰巻は昭和の中頃まで,あるいは地域的には現在でもなお仕事着として用いられ,和服着用時の裾よけとしても用いられている.人間の文化は原点に戻りながら循環を繰り返してきたが,そこには絶えず新しい価値と機能性が加えられ,時代と共に脈動しながら発展してきた.今日まで何千年もの間その形態を保ち続け,着用され続けてきた腰巻は,労働文化の荷ない手として堂々と主張すべき貴重な文化財であり,人間の進歩,発展と共に分化し,育成をみてきた生活と文化の尊い資産なのである.
著者
柴村 恵子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.169-175, 1972-04-01

1.白:黒=1:1については,低照度では白がきれいに見え,高照度になるに従って黒がきれいに見える.2.白:黒=1:13については低照度では無地に見え,高照度になると白線が進出する.3.1000[lx]以上になると,グレアの関係が入り見にくく,目もつかれやすくなる.又布が派手であったり,地味であったりするのは白線がグレーに見えたり,全体に黄味がかつたり,線が光って進出したりするために影響するものと思われる.4.横,縦,斜縞の三種のうち斜が一番見にくい.次に横,縦の順になっているが,これは材質,照度によっても違いがあるので一概には言えない.以上の実験結果から今後各種の縞幅について研究を重ねたいと思う.終りに本研究にあたり御指導いただきました岐阜大学教育学部の中野刀子教授に厚く御礼申し上げます.
著者
平野 年秋
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.69-72, 1979-03-15

(1)ホウレンソウから分離したたんぱく質の生物価は64であった.この値は,たとえば穀類のたんぱく質のそれと比較すると,穀類のうちでも高い方に相当すると考えられる.しかし,消消化率がいくらか低下しているが,これについてはたんぱく質分離操作に問題があると考えられる.(2)米のたんぱく質に対して,粗製ホウレンソウたんぱくは補足効果を示した.(3)粗製ホウレンソウたんぱくを米に加えた場合,消化率の低下は見られなかった.
著者
湯川 隆子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.159-170, 1981-03-31

本研究は,「生徒の教師への同一視が学習に対するひとつの動機づけとなる」という仮説にあてはまる現象が現実にどれほど存在しているのかを調べる目的で行われたものである.具体的には,(1)学習の動機づけに結びつくような教師への同一視経験が過去にあったかを大学生女子に自由記述という形で回想的に問うこと,そして(2)その記述内容が筆者の作成した同一視スケール(CMS)にどの程度反映されるか,尺度の有効性を検討すること,の2つが目的である.同一視経験を問う質問票(自由記述形式)および同一視スケールを施行した結果は以下のようなものであった.(1)自由記述の分析より,全Ss (104名)の約75%のSsが過去に学習の動機づけに結びつくような同一視経験をもっているとみられた.これらのSs(P群:78名)の記述内容は大別して次の3つに分けられた.(1)その教師が担当している教科への興味が高まり意欲的に取り組んだというもの.(2)担当教科への積極的取り組みだけでなく,その教師を通して教師という職業に憧れ,希望するようになったというもの.(3)その教師の行動特徴のある側面を自発的模倣によって取り込んだというもの.(2)(1)の場合とは反対に「きらいな教師」が過去にいたという経験のあるSsは30名おり(N群),彼らの記述内容は,(1)その教師のせいでその担当していた教科がきらいになった,(2)反面教師的影響を受けた(その先生のようにはならない)というものが多かった.(3)(1),(2)に示された記述内容と同一視スケール(CMS)との対応性については,P群はN群より有意に同一視得点が高いという結果であった.すなわち,本調査でみる限り,筆者の作成した同一視スケールは実際の同一視現象を反映しうる有効な尺度となりうることが示唆された.〈追記〉本稿では,Ssの教師に対する認知,評価を,筆者の仮説に沿うような知的側面に主に焦点を絞って分析したが,Ssの記述の中には,いわゆる「理想の教師像」としてよく報告されているような内容も頻繁にみられた.これらは本稿では筆者の分析の意図を明確にする目的であえて本文には入れず表化するに止めた.それらは〈Table 6, 7〉に掲載されている.本資料は別の視点からみれば興味深い内容も含まれていたことを付記しておきたい.