著者
原田 妙子 長縄 さくら
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編 (ISSN:09153098)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.59-65, 2009-03

2004年から2006年にHQL(人間生活工学研究センター)によって「人間特性基盤整備事業」が実施され,取得したデータを基にして「日本人の人体寸法データブック 2004-2006」が2008年3月に出された.そこで,授業の一環として,毎年行ってきた体型写真撮影と身体計測の結果を用い,側面形状について,凹凸が少なくなり,特に下半身の前後とも扁平になっていると予測し検討することにした.身体計測値では, HQLの結果と同様の傾向であったが、本被験者の方が細身になっており,特に下半身が細身の傾向にあった.側面形状の出入りについては,近年になるにつれてBNPの入りの数値が減少し,FNPが増加してする傾向にあり,首の角度が真っ直ぐであるといえる.胴囲位では,前面が出なくなり幼児体型が少なくなっていると共に,厚径が薄くなっているとも考えられる.因子分析の結果では,ほとんどの年代で,第一因子は下半身の動きを,第二因子は首あるいは頭の動きを表す因子が抽出された.しかし,視覚面での形状では,近年ほど丸みが少なくなっていることが観察された.今後,体の丸みと姿勢についてさらに研究を進めたいと考える.
著者
住本 哲子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.241-244, 1972-04-01
著者
遠藤 亮子 高橋 平八郎
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.59-63, 1972-04-01

白ネズミ小腸磨砕抽出液を用いてフィターゼ作用を調べた.至適pHがPH6.6とPH8.4の2ケ所に存在し,Mg^<2+>の効果が両pHで異なるところから,白ネズミ小腸には少くとも2種のフィターゼ作用をもつ酵素が存在すると推定した.実験に協力頂いた浅見靖子,友枝由紀両氏に感謝致します.
著者
石川 和代
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.263-269, 1986-03-01

『八月の光』のジョー・クリスマスは私生児として生まれ,物心ついた時には両親はなく,自己の正体が全くわからない.さらに,狂信的なカルヴィニズムの信者である祖父が,彼の中には黒人の血が混じっていると思いこませたがために,自分が黒人か白人なもわからないという状況になる.自己の正体がわからないが故に彼は孤独であり,孤独からのがれるために自己の正体を見いだそうとする.しかし,カルヴィニズムや人種差別によってゆがめられた人格のために,黒人とうまくやってゆくことはできず,白人は彼をただ黒人と見るのみで彼の人格を認めないが故に,彼は白人ともうまくやってゆけない.そのために彼は最後まで自己の正体を見いだせず,環境によって孤独な生活をしいられるのである.『アブサロム,アブサロム!』のチャールズ・ボン,チャールズ・エティエンヌ・サン=ヴァレリー・ボンの状況はクリスマスのそれとはやや異なるものの,彼らもまた,黒人の血のために,自己の正体を見いだせない人々である.以上のことを考えると,フォークナーはこれら二つの作品において,南部の厳しいカルヴィニズムや激しい人種差別を批判していると恐れずにはいられない.
著者
谷 由美子 宮地 成子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.69-77, 1986-03-01

食餌性脂肪肝を形成したラットに対し,一般に肝障害治療に効果があるとされているタンパク食による回復効果と合わせて,脂質代謝と関係深い運動負荷の効果を検討した. 1.肝臓の体重比は,脂肪肝形成時(FL区)に比して1%コレステロール添加脂肪食投与運動区(F-E区)(p<0.05),タンパク食投与比運動区(P-NE区),タンパク食投与運動区(P-E区)(p<0.01)で有意に低下した. 2.肝TL,TG,T-CholにおいてP群はFL区,F群に比して有意に(p<0,01)低値を示し,肝TBA価もFL区に比してP群で有意に低下した. 3. FL区に比してP群においてGOT,GPT,血清TL,T-Cholは有意に低下し,血清TGも低下傾向がみられ,HDL-Chol/T-Chol は有意に上昇した. 4.F群は肝脂質いずれも運動区で低下し,P群は,肝TLが運動区で低下した. 5.F群,P群ともGOT,GPT,血清TLはいずれも運動区で低下傾向がみられた.
著者
今枝 奈保美 磯本 征雄 長谷川 信 後藤 千穂 小嶋 汐美 垣内 久美子 細野 覚代 釜野 桜子 栗原 綾子 三上 春夫 宮川 尚子 内藤 真理子 中畑 典子 南里 妃名子 岡本 尚子 尾崎 悦子 矢口 友理 遠藤 香 佐藤 信子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

目的:食事記録調査の効率化と精度向上に資するために、食事記録調査の信頼性に影響する諸因子の関連を見直して,食事記録調査支援ツールとしてコンピュータに実装すること。方法:12日間食事記録調査(4季節不連続3日間)の手順をプロセス評価した.結果:コード化標準マニュアル、e-ラーニング、メーリングリスト、入力過誤検索データベース、コード化困難事例照会システム、地区スタッフからのフィードバックアンケートを開発した.熟練した栄養士に備わっている暗黙知を、いくつかのコンピュータ支援ツールとして開発できた.
著者
大澤 香奈子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

甲南女子大学所蔵のモード新聞Journal des Dames et des Modesパリ版を資料とし、服飾の諸側面をテクストとファッション・プレートの両面から分析することによって,スタイルの段階的推移を数値的に示すことができた.さらに服飾における色の役割,装いのコンセプトに係わる新たな知見が得られた.本研究で行った調査はJournal des Dames et des Modesの一部であり,得られた諸結果は資料が発信した,限定された服飾についてのものであるが,調査結果は資料のデータベース化に活用できるものと考える.
著者
熊沢 昭子 中野 米子 酒井 映子 間瀬 智子 森 圭子 間宮 貴代子 吉田 誠子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.49-58, 1985-03-01

多変量解析法を用いて食形態諸要因をパターン化することにより,栄養・食品バランスの両面から食物摂取状況を検討した結果は次のとおりである. 1.食物摂取状況を総合的に評価するために栄養バランス得点と食品バランス得点を考案し,これらが栄養・食品摂取の指標となり得ることを認めた. 2.食形態は1日の料理数,油料理数,野菜料理数,間食品目数,料理形態,主菜タイプ,朝食の食事タイプ,昼食の食事タイプの8要因に類型化できた. 3.栄養・食品バランスを指標として8食形態要因との関連を数量化理論I類によってみると,良好な食物摂取状況においては男女ともに1日の料理数や野菜料理数が多く,油料理数が中程度であり,これに加えて男子では間食品目数,女子では昼食がスナックタイプといったカテゴリーが出現した.一方,摂取バランスの不良をあらわすカテゴリーにおいては昼食が欠食,主菜となる料理がなく,1日の料理数や油料理数が少ないといった要因の集約がみられた.以上のように,栄養・食品の摂取量にとどまらず食形態から食事構造を明らかにすることは栄養指導を展開する上で有用な方法と考えられる.
著者
柴村 恵子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編 (ISSN:09153098)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.85-95, 1991-03-05

北部タイには現在メオ族,ヤオ族など10数種類の山地民族がいるが,その多くは山岳地帯に住んでいる.近年その彼らの生活にも近代化の波が押寄せ,それぞれ固有の生活文化に変容が見られるようになってきた.そして,その波を積極的に受け入れようとする一方において,今なお先祖伝来の文化を固持している部分も見られる.それは衣装をはじめ風俗,習慣,宗教儀礼にいたる伝統文化に残されている.筆者は1980年以来その残されている生活習俗を記録に残すため現地調査を続け,それぞれの民族の衣装を中心に名古屋女子大学の紀要27号(アカ族),28号(メオ族),32号(ヤオ族),33号(リス族),34号(ラフ族),35号(カレン族),に報告してきた.これらの民族は,それぞれ近隣の国からおよそ100年以上かけて移住してきたものが多く,その源郷は中国,チベットなどと伝えられている.カノミタカコ氏によると,ラワ族はタイの原住民であると自称している4)と言われているが,若林弘子氏によれば中国雲南省の西南部からミャンマーにかけての国境山岳地帯に居住する伍族の分派と言われている説もあるとして一様ではない.また,その一部はすでに平地に下ってタイ入と変わらない生活を送っているグループもあることも報告されている.今回はまだその山岳地帯に住み,伝統的な生活習俗を保持しているラワ族について報告する.
著者
谷本 道子 坂口 佳明
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編 (ISSN:09153098)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.55-64, 1994-03-05

日本の人口の高齢化が他に例を見ないほど急速に進行していることは,指摘されて既に久しい.65歳以上人口比は,1985年に10.3%と1割強を示したが(国勢調査1985),以後も上昇を続け,1993年9月15日現在で13.5%になり,2020年には約25%に速するとされている(総務庁推計調査).また,65歳以上人口は,1990年に1488万人,1993年に1687万人で(総務庁推計調査),2000年に2170万人と増加を続け,2021年には現在のほぼ2倍にあたる3275万人になり,これを頂点としてその後は徐々に減少するとみられている(厚生省推計).こうした高齢社会の到来が確実視されている中で深刻な問題は,痴呆を含む障害や,加齢にともなう身体機能の低下により,要介護や寝たきりになる高齢者の増加が予想されていることである.65歳以上の高齢者のうち寝たきりの人は,1986年に60万人で,このうち約12万人が特別養護老人ホームに入所し,約25万人が長期入院しており,約23万人が在宅等である(厚生省国民生活実態調査).さらに,1992年に65歳以上の在宅の寝たきりの人は28.9万人にのぼり(厚生省国民生活基礎調査),2000年に65歳以上の寝たきりの人は100万人に達するとされている(厚生省大臣官房老人保健福祉部).また,65歳以上の痴呆の人(以下痴呆老人)は,1990年現在約99万人で65歳以上人口の6.7%を占め,2020年には274万人に昇ると予測されている(厚生省推計).在宅の痴呆老人については1985年に59万人で,2015年には185万人と推計されており,在宅の痴呆老人の65歳以上人口に対する出現率については,1985年の4.75%から2015年には6.03%まで上昇すると推計されている(厚生省「痴呆性老人対策推進本部」).一方,来たるべき高齢社会をどのような住宅・住環境ストックをもって迎えるかが重要な課題となっている.都市や住宅のバリアフリー化等が建築計画上の急務であることは論をまたない.同時に痴呆の増加については,医学的視点から,発生要因,診断,治療等に開する研究開発が進められているが,その中で,住宅や住環境に関連深い要因としては,生活環境の激変に対する不適応や,家庭内事故と寝たきりや痴呆の関連等が指摘されており,これらの点が今後住宅政策上の重要な課題になると考えられる.本研究は高齢者の最大の住宅問題の一つとして,怯み続けることへの要求とそれを阻害する諸要因との対立があるという視点から,痴呆老人の痴呆発生前後の住居移動と生活環境の変化,それらと痴呆の発生及び進行との関係を検討することを目的とする.