著者
西村 純 矢島 信之 藤井 正美 横田 力男
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.13-19, 1990-12

この論文では金星大気の運動や組成を観測する金星気球を開発するため, 金星気球のモデル試験の方法を提案する。金星浮遊気球としては, いくつかの形態が提唱されてきたが, ここでは適当な液体をつめた相転移気球について詳しく検討する。金星大気の主成分は炭酸ガスで, 高度が下がるとともに温度が上昇するので, 気球内に入れた液体が蒸発して浮力を生ずる。ある高度を境として蒸発と液化が起こるので, 気球は一定高度に安定に浮遊することができる。金星大気から金星気球への熱伝達について詳しく解析するとともに, 温度勾配をつけた小型の水槽にモデル気球を浮かべて, 相転移気球の試験を行えることを実証した。
著者
木村 俊哉 高橋 政浩 若松 義男 長谷川 恵一 山西 伸宏 長田 敦
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-22, 2004-10

ロケットエンジン動的シミュレータ(Rocket Engine Dynamic Simulator : REDS)とは、ロケットエンジンの始動、停止、不具合発生時等のエンジンシステム全体の過渡特性を、コンピュータを使って模擬し評価する能力を持った計算ツールである。REDS では、ロケットエンジンの配管系を有限個の配管要素の連結(管路系)としてモデル化し、この管路系に対しボリューム・ジャンクション法と呼ばれる手法を用いて質量、運動量、エネルギーの保存方程式を時間発展的に解くことによって管路内(エンジン内)における、燃料、酸化剤、燃焼ガスの流動を計算する。ターボポンプ、バルブ、オリフィス等の流体機器はボリューム要素やジャンクション要素にそれらの対応する作動特性を持たせることで動作を模擬する。燃料や酸化剤の物性については、ロケットエンジンの特殊な作動範囲に適応するよう別途外部で開発された物性計算コード(GASP 等)を利用するが、そのためのインターフェースを備える。燃焼ガスの物性計算については、熱・化学平衡を仮定した物性計算を行い、未燃混合ガスから燃焼状態、燃焼状態から未燃混合状態への移行計算も行う。ターボポンプの運動は、ポンプやタービンの特性を考慮したポンプ動力項、タービン動力項を加速項とする運動方程式を流れの方程式と連立して時間発展的に解くことによって求める。未予冷区間においては、配管要素と流体との間の熱交換を、熱伝導方程式を解くことによって求め、再生冷却ジャケットにおいては、燃焼ガスから壁、壁から冷却剤への熱伝達を考慮する。燃焼室、ノズル内においては、燃焼ガス流れの分布から熱流束の分布を考慮する。今回のバージョンでは、2 段燃焼サイクルを採用した我が国の主力ロケットLE-7A 及びLE-7 の始動、停止過程時における動特性を模擬することを目的にエンジンモデルを構築し、実機エンジン燃焼試験の結果と比較することでシミュレータの検証を行った。但し、ボリューム要素の組み合わせは任意であり、エキスパンダーサイクルなどの新しいエンジンシステムに対しても適用が容易に出来る。計算の高速化のために2CPU 以上用いた並列処理への対応を行い、ネットワークで接続した複数のPC(PC クラスタ)を用いた並列計算も可能である。
著者
郭 東潤 徳川 直子 吉田 憲司 石川 敬掲 野口 正芳
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-43, 2007-03

小型超音速ロケット実験機(NEXST-1)の第2回目の飛行実験を2005年10月に豪州ウーメラ実験場において行った。飛行実験では予定していた全てのシーケンスを正常に実施し,貴重な飛行実験データを健全に取得することができた。その中で,空力データは空力設計コンセプトを検証する上で重要な計測項目のひとつである。本稿では飛行実験で得られた空力データを評価し,空力設計の妥当性について検討した結果を報告する。具体的には,飛行実験により計測された空力データをCFD解析結果と比較し,抵抗低減コンセプトを取り込んだNEXST-1の空力設計に対する妥当性を検証することができた。これは機体まわりの表面静圧分布がCFD解析と概ね一致していること,胴体や主翼まわりの表面静圧分布の分析からワープ主翼,エーリアルール胴体の設計コンセプトの妥当性が確認できたこと,さらに主翼上面の圧力分布に関して自然層流翼設計に用いた目標静圧分布と良好な一致が得られたことによる。また気流乱れの小さい飛行実験条件下で,主翼上面や前胴まわりの境界層遷移データの取得に成功し,その遷移計測結果から設計点において主翼上面の境界層遷移位置がもっとも後退していることが明らかになり,自然層流翼設計の妥当性が完全に確認された。さらにその遷移計測結果を数値予測結果と定量的に比較し,境界層遷移予測ツールの精度向上に役立つ知見も得られた。特に設計点における抵抗係数の特性は,飛行実験結果とCFD解析結果で良好な一致が示され,これにより超音速巡航時の設計点における抵抗低減コンセプトの妥当性が定量的に検証された。しかしながら,表面静圧分布や空気力特性の一部の飛行実験データにはまだCFD解析結果や風洞試験結果との不一致が見られ,現在もその原因については検討を続けている段階にある。最後に今回の飛行実験により得られた技術を適用して想定実機スケールのSST形状の設計を行い,実機スケールにおいて巡航マッハ数と設計揚力で13%の揚抗比改善効果の得られることを確認した。
著者
松尾 裕一 坂下 雅秀 末松 和代 染谷 和広 高木 亮冶 土屋 雅子 藤岡 晃 藤田 直行
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-210, 2010-10

本報告は,旧航空宇宙技術研究所において2002 年10 月に導入され,宇宙航空研究開発機構(JAXA)に統合された以降もJAXA スーパーコンピュータシステムの一部として2008 年10 月まで稼動したスーパーコンピュータシステム「数値シミュレータIII」に関して述べる.まず,調達から設置・運用までの経緯を俯瞰し,システム概要・特徴を明確化することにより,今回の導入において成功した点,あるいは注意点・課題を洗い出す.次に,性能評価データや運用統計データを用いて,技術的に実際にできたこと・できなかったことや,運用によって得られたものを明らかにするとともに技術課題や運用上の課題を分析する.特に,SMP クラスタという中核計算機の構成上の特徴から来るJAXA アプリケーションのハイブリッド並列における特性や性能推定法について言及する.これらの材料をもとに,航空宇宙分野におけるスーパーコンピューティングの重点技術やスーパーコンピュータシステムのあり方を考察するともに,設備運用のノウハウや勘所(=暗黙知)を抽出・可視化し,次世代実務者の礎とする.
著者
TERADA Torahiko
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京帝國大學航空研究所報告
巻号頁・発行日
vol.3, no.31, pp.1-47,Pl.1-Pl.5, 1928-01

(1) Ryutai no usui suiheina So ni Nagare ga aru Baai ni, mosi So no ue-sitano Ondo no Tigai no tameni Tairyu ga okoruto, Ryutai no Undo wa kisoku-tadasiku tagaini heikoni naranda syukitekino tutu-gatano (columnar, cylindrical) Udu no Retu to natte arawareru. Kono Udu no Undo no Moyo wo yaya kuwasiku sirabeta Kekkwa no aramasi wo nobete aru. (2) Mata, Midu wo ireta sikakuna Utuwa no Yokokabe wo atatameru Baai nimo, tekitona Dyoken no moto niwa, mae to onaziyona Udu no Retu ga suityokuna Kabe ni sote tateni dekiru. Kono Gensyo no okoru tameno Dyoken, dekita Udu no Ookisa wo kimeru Dyoken nado wo sirabeta. (3) Marui tutu-gatano Soto-kabe no nakani marui tutu-gatano Hasira no aru Utuwa wo mo tukatta. Sosite, utigawano Hasira wo naka kara atatameruto, maeno Zikken de mita yona syukitekino Udu no Kuda ga Utuwa no Soko ni Karakasa-gata (radial) ni deki, sore ga Hasira ni sote suityokuni nobori, sorekara Midu no Hyomen ni sote gyakuno Muki ni susumu Koto wo mita. (4) Marui Katati wo sita Nemoto (base) kara moe-agaru arukoruno Hono no Mawari nimo (3) no Baai to onazi Syurui no Udu ga dekiru rasii. (5) Maeno (4) no Paai to nita Baai to site, marui Utuwa no tairana Soko-ita no mannakano marui Menseki wo atatameta Toki ni, sono Menseki no tikakuni okoru Midu no Undo wo sirabeta, Mata, sono Baai ni okoru Midu no Ondo no Kawarikata (fluctuation) wo sirabeta. (6) Izyono Zikken no Kekkwa, narabini Tyosya ga koremadeni kono Kenkyuzyo de okonatta Ryutai no Undo ni kwansuru iroirono Zikken no Kekkwa wo hikkurumete, Ryutai no Undo ni kyotuna aru Tokutyo wo ronzita. Sosite, kono yona Udu no Undo no Tokutyo ni yotte omoi-oyobosareru Ippan-Buturigaku no Konpon-mondai to no Tunagari (analogy) ni tuite nobeta. (7) Owarini, kokode zikkentekini sirabeta to onaziyona Gensyo ga Sizenkai ni oitemo, Taiki (atmosphere) ya Umi no Midu no naka nimo okotte iru de aro to kangaete, probable na Baai wo ikutuka agete oita. Sonohoka nimo iroirono igwaina Homen ni Ooyo ga dekiuru Koto ni tuite Tikyubuturigakusya, Tisitugakusya, Kogakusya tati no Tyui wo unagasite oita.
著者
田中 敬吉
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京帝國大學航空研究所報告
巻号頁・発行日
vol.1, no.10, pp.247-304, 1925-03

氣〓が放射状に配列せる星型發動機に働く慣性.慣性偶力等を論ずるに當りてその固定式なると廻轉式なるとを問はず普通簡單にその構造を一般の發動機の如く單傾斜の構造と假定する.然れども星型發動機は多くの場合主連桿副連桿の構造を有して復傾斜となる.本論文はこの復傾斜を考慮してこの種の發動機に働く不平衡力.不平衡偶力等を求め且つそれ等の平衡法に就て多少論ぜしものにしてその概要は下の如し。1.單傾斜と假定せば發動機に働く慣性はhを氣〓數とせば(h-2)次まで.即ち殆んど完全に平衡の状態となるものなるが復傾斜の結果固定式の場合は(10)式廻轉式の場合は(41)式で示せる不平衡力が殘る.之を圖示せば第九圖に於て前者は圓周の軌跡を畫き後者は水平軸の方向にのみ働きてその大きさは前者の1/2に等し。2.此の星型發動機の一氣〓當りの不平衡力は8氣〓V型12氣〓W型のものより小にして6氣〓垂直.12氣〓V型のものよりも遙に大なり.此の不平衡力を減少せしむる方法は主連桿の構造の許す限り肘桿栓の距離aを小さくする事にして換言せば復傾斜を出來得る限り單傾斜に近ける事なり。3.發動機の運動部分の質量の不同及び肘桿栓の距離aの不同が發動機の不平衡力に及ぼす影響は可なりのものにして固定式の場合に就て第一章第五節に論ぜり.質量の不同は主として主連桿と副連桿の質量不同に基くものなれば出來得る限りそれ等の質量を等くする事必要なり.aの不同は壓縮比を一定にする爲に避け難きものにしてその影響は前者よりも小なり。4.慣性.慣性偶力に依る發動機の廻轉能率も單傾斜と假定せば殆んど完全に平衡状態となる可きものにして復傾斜の結果固定式は(17)と(18)式廻轉式は(45)と(46)式で與へらるる廻轉能率を惹起す.後者は前者より能率曲線に及ぼす影響大にしてその大さ前者の三倍に相當す.然れども後者に於ては廻轉する氣〓及び曲栓室がはずみ車の役目を演じその大なる影響を減殺するものと考へ得る。5.發動機の「フレーム」に與ふる偶力も復傾斜の結果固定式は(23)と(24)式廻轉式は(54)と(55)式で示さるゝ不平衡偶力を生す.而して此れ等の不平衡偶力の「フレーム」の能率曲線に與ふる影響は略等くして廻轉式の場合の廻轉能率の影響と等しき程度のものなり。本論文は栖原教授の懇切なる指導の賜なり.茲に厚く謝意を表する次第なり。
著者
TAMAMIYA Zenjiro
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京帝國大學航空研究所彙報
巻号頁・発行日
vol.48, pp.214-229, 1928-07

市販カセイン膠の成分と膠着カを求めたり次にカセイン膠の膠着カと可溶性アルカリ度との關係を知りカセイン膠のアルカリ度は變數にして、カセインと結合してカセネートを成生すろ以外膠着材面をアルカリ化すろ役目を有し共のアルカリ化面成生の適當なろ時に膠着力強大なりとす、又カセイン膠の變質はアルカリ度を減少し、「ナトリウム、タングステン」塩化ナトリウム、硼砂、「ナトリウム、ハイポサルファイト」及其他少量の塩類の混合は共の減退を阻止すろ能はず油は比較的有効なりとす。
著者
本間 正修 渡辺 篤太郎 松尾 弘毅
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.167-190, 1976-02

観測ロケットのピッチ=ロール・レゾナンスの問題に関連して,若干の仮定の下に共振点付近での機体の運動の解析を行った. また共振状態が持続するロール・ロック=イン現象について,それが起こらないための条件を求め,シミュレーション結果との比較を行った.
著者
原田 正志
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-13, 2007-03

従来の設計法では設計することが困難であった低レイノルズ数域で使用されるプロペラの設計法を開発した。従来の設計法ではプロペラ後流の形成により生じるエネルギ損失を最小にすることでプロペラ形状を決定していたが、この設計法はブレードの形状抵抗によるエネルギ損失が支配的になる低レイノルズ数領域では有効ではない。一方ここで提唱する設計法ではプロペラの推進効率そのものを最大化してプロペラ形状を決定するため、形状抵抗によるエネルギ損失を考慮に入れることができる。提唱する設計法では、ブレード翼型の性能データに基づいて推力と吸収パワを循環のみの関数として表し、最適化を行う。提唱する設計法の有効性を検証するため、一般的な人力飛行機用のプロペラを従来の設計法と提唱する方法とで設計した。その結果、従来の設計法で設計されたプロペラの推進効率よりも提唱する設計法で設計されたプロペラの推進効率の方が最大で1.8%高いという結果が得られた。
著者
倉谷 健治
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.1-28, 1997-02
被引用文献数
1

高温での炭化水素と窒素よりHCNを生成する過程を電算機シミュレーションした。適切な素反応群と反応速度定数とを用いればよいのであるが, 実験値は僅かであるのに対し, 計算に用いられる反応式, 速度定数は多数で任意性が極めて高く, 何らかの規制を加えないと, 極言すればどうにでも実験値と符合させることが可能である。このうち反応式は原系から生成系に至ると考えられる反応を一旦網羅し, 感度解析を行って不要なものを削除すればよいのであるが, この際, 反応式が素反応であるか, 逆反応が平衡定数から精確に算出可能であるかが大きな問題である。素反応性を確認する方式が確立されていないし, 多数の文献でも多くの矛盾が見られるので, 怪しい反応を取り込むことを避けるのが望ましい。また, 素反応として, 平衡定数より逆反応の速度定数を求める場合には生成熱の精確さが重要なので, これにも検討を加えた。一方速度定数についてはBaulchの推薦値があるものはこれを優先第一順位とし, それが見あたらない時にはMiller, その他の推薦値を, さらにそれも見られない場合には文献に頻出し, 多数の人が採択している速度値を用いることにした。しかし, CH_3+CH_3→C_2H_4+H_2の反応についてはWarnatz説とHidaka説とでは大差があり, その影響も極めて大きいので, ここでは両者を比較検討した結果, Hidaka説に従うこととした。これらの検討の結果, 可逆性に疑問のある場合には正方向のみの反応として, 簡素化を徹底し表8の機構を提案した。
著者
雛田 元紀
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.225-247, 1972-04

高度70〜80kmにおけるS-160型ロケットのパラシュート回章の信頼性を向上させるため,液体の蒸気圧を利用してピラシュートを強制的に回章させる方式が採用されることになった.これはパラシュートの縁に液体の蒸気圧によって広げられるトーラスを取付け,それによってパラシュートを強制回章させるもので,この方式に関する一連の実験が行なわれた。本文では,これら一連の実験,すなわち,強制回章方式の特性を謁べるための模型パラシュートによる地上での予備試験,二種類のトーラス付き実物パラシュートによる高度29km上空における気球での放出試験.S-160- 3号機での高度68kmにおける本格的放出試験などが述べられている.また強制回章方式によるパラシュート回章のメカニズムや回章時間が理論的に考察され,さらにトーラス形状やトーラス内に用いる液体の選択について検討されている.
著者
吉村 慶丸
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大學理工學研究所報告 (ISSN:03716090)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.179-198, 1951-11-30

It is unquestionable that the lowering of the buckling load of a circular cylindrical shell is due to the non-linear characteristic of finite displacement theory proposed by v. Karman and Tsien. The author developes further considerations about the essential features of the buckling phenomena. First of all, the fact that the buckled surface is very near to a developable one different from the original cylindrical surface, and therefore the deformation in this case is finite and approximately inextensional, is confirmed both theoretically and experimentally. Based upon this fact, the general buckling and the local buckling with and without the loading spring being analysed from the view-point of energy, it is clarified that the buckling processes are all explained by the energy difference before and after buckling and the energy barrier to be jumped in this case. According to the results, the local buckling is more liable to occur than the general buckling, and in all cases the minimum load, above which the buckling can take place, exists, it being smaller in the case of local buckling than that of general buckling, and further depends on the rigidity of the spring in the case of local buckling. (Received September. 3, 1951)
著者
亘 慎一 加藤 久雄 村田 健史 山本 和憲 渡邉 英伸 久保田 康文 國武 学
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.79-87, 2013-03

人工衛星など社会的なインフラに障害を発生させるような宇宙環境の変動を扱う宇宙天気では, 太陽から地球周辺の宇宙空間までの広大な領域を扱う必要がある. 宇宙機による観測は重要であるが, この広大な領域を観測データだけでカバーするのは困難である. そこで, 観測データと数値シミュレーションデータを統合的に処理してサービスを提供できる情報プラットホームの構築が必要となる. 情報通信研究機構が構築しているGfarmによる大容量分散ディスクシステム,スーパーコンピュータ, AVSやIDLなどをインストールした可視化サーバ群, ジョブサービスを行うRCM(R&D Chain Management)System, 様々な観測データをダウンロードしてプロットや解析を行うSTARS(Solar-Terrestrial data Analysis and Reference System)のサーバなどからなる「宇宙天気クラウド」を利用した宇宙天気の情報サービスについて報告する.
著者
水野 英一 河島 信樹
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.161-185, 1988-03

通常は地球ステーションと惑星探査機間の情報のやりとりのために使うマイクロ波が, 太陽コロナ, 惑星大気, リング, 重力物理学の検証などの研究のために用いられてきた。この種の観測は, 惑星探査機がこれらプラズマ, 大気, リングなどにoccultationを受けることを利用しているのでoccultation観測と呼ばれる。Occultation観測において, 観測(そして記録)される量は基本的には惑星探査機から発射されて, 興味ある領域を通ってきたマイクロ波の電圧だけである。従って得られたデータから知りたい物理量(例えば大気の温度, リングの厚さ, プラズマ密度など)を求めるには, なんらかの数学的手法と物理的な仮定が必要である。この論文ではこの種のデータ取得がいかにして行われてきたか, また物理的, 数学的手法について紹介するとともに1987年7月の『すいせい』occultation観測結果, また1989年8月にNASAとの共同研究が予定されているボイジャー2の海王星/Triton occultation観測についても触れる。
著者
石田 龍吉 北村 菊男 塩入 淳平 八田 桂三
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.301-313, 1965-09

軸流機械の翼の振動に対する翼植え込み部の支持剛性および振動減衰能について実験を行なった.試作した実験装置では,実際の運転状態で生ずる大きな遠心力荷重を静的に加えることができる.実験は,(i)クリスマスツリー,(ii)ダヴティルおよび(iii)ピン接手の3形式について行なった.その結果を要約すると1)(i)(ii)の支持剛性は遠心荷重の影響をあまり受けない.一方,(iii)の場合は,遠心荷重にほぼ比例して増加する.後者は,既存の理論[1] [2]の結果とかなりよく一致する.2)振動減衰能は, (i)(ii)では,遠心荷重の増加および振動振幅の減少と共に下がる.(iii)の場合は,かなり複雑である.ただ,振幅と減衰能の関係は,ピン周りの隙間が小さいときは上述の(i)(ii)場合と同じであるが,隙間が大きくなるとこの関係が逆転することは結論できるようである.また,上述の実験結果に対して,植え込み部の接触状態に関する考察を基礎として,若干の定性的説明を試みた.
著者
川口 淳一郎
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.1-56, 1986-12

This report summarizes the future trend in the weight of scientific satellites in Japan which will be launched or programmed in the late twentieth century. Among the several missions contained in this report, particular interest is directed to the interplanetary probes and astronomical observatory satellites. In the estimation of spacecraft weight, each component is systematically estimated based on the satellites which have already been launched or designed. Major result is that 3 ton LEO payload capabidity is needed in future transporter in order to accomplish the missions mentioned here.
著者
KING ALFRED
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京帝國大學航空研究所彙報
巻号頁・発行日
vol.63, pp.559-659, 1929-11

飛行機の運動に關する研究は實驗から得た多くの係数を用ひてやる。この實驗の一部分は模型によって行ふことが出来る。併し場合によっては實際の飛行機を飛ばして實驗せねばならない。この場合測定のためには光學的と機械的との方法が問題にされる。いつでも幾何學的に決定されて直接明瞭な關係軸系が有利である。安定の研究及これに關聯した操縦及自動安定の諸問題の研究は飛行機に固定した座標軸系に就いてやった。測定量はいつでも速度と角速度とのコムポーネント及その諸誘導係數である。飛行機固定軸によれば問題の諸量は直接光學的(寫眞)或は機械的(ヂヤイロ、振子、速度計等)に測定することが出来る。操縦者はまた大低の場合光學的の認知に従つて即飛行機固定系が地面の任意の固定系に封する位置に従つて操縦をやる。こゝには研究しないが非常に大きな絶對値の迎角に対する飛行機の運動に於ても亦機械的の認知(加速度)による「感じ」の助けをかりなければならない。兎に角多くの操縦者に対しては空気力学的の迎角といふものはたゞ純然たる「定義」にすぎないで、風方向の座標系に關する量は「直覺」を缺ぐものである。飛行機同定軸系の量と空気力學上のカ及モーメントに封して絶對的に必要な迎角との重要な関係をこゝに觀察するやうな小さい迎角範圍に對して算出した。一般運動方程式及攪亂方程式は、飛行機固定軸を主慣性能率軸とするやうな飛行機に皆應用出来るやうになつてゐる。結果に省略法を行はないものは大低はばつとしてゐて明瞭を缺くが、數量的に重要でない項をやめてしまへば初めて主な影響を明瞭に出すことが出奔る。實際的の計算に對してこの省略法をやるのは、次のやうな理由である。即大低は亂暴な經驗による係数を用ひるから非常に正確であるかどうかうたがはしいにかゝはらず計算に大なる手間をかけることが不正當であるから。本論中の圖及表は各個量の數量的通觀を與へる。I.1.2及3に於てやつた假定のものとに六つの攪亂方程式は各三つづゝの各對稱及非對稱の運動に相當する二つの組に分けられる。兩方共決定行列式を展開すると各四次方程式になる。デイメンジョンなしの量にして形式上綺麗に表はすことは直接の明瞭性を缺くからやめた。攪亂項(I.4)に対する通觀し得る符號は全研究を通じてそのまゝにしてをいた。普通のやうな胴體の飛行機でない特別の飛行機に封しても失張り主慣性モーメント軸(I.2)の假定が滿足されゝば安定方程式の係數(I.4)は變化しない。また展開しない攪亂項(I.5)の式も亦符號に適當な定義を下せばそのまゝにしてをくことが出来る。攪亂量が攪亂項に及ぼす影響を各個に亘り研究した(II,1及III,1)。對稱運動ではこの方法により既に「靜的安定」の主條件が出てゐる。一般の對稱安定條件(II,2)の議論はまた「靜的安定」の意味に導いた。確かにこの條件は上昇時または下向きの滑空時には附加條件によつて修正きれねばならない。非對稱運動に於て一般安定準據より主條件を出すことが出来る。これ亦上昇及下向き滑空の時に一般式にかへねばならない(III,2)。運動の主型式を知るために近似法を與へてこれを作つた(II,3及III,3)。對稱運動に於ては二重二次方程式を二つに分ければ簡單に行く。この際重心振動及回轉振動の物理的意義に対しても何等困難はない。非對稱連動に於ては非常に大きな根と非常に小さい根とを簡單に求めてそれを解釋することが出来る。この二つの根をなくして簡單な數學的近似式及完全な物理的の意味は之を與へることが出来ない(III,3)。横軸のまはりの回轉による後退角及主翼の衰退モーメントの影響は簡單に一般の研究に入れることが出来なかつたから特別に取扱つた(I,5)。有名な指数の積分常數を求めるにはRouthによる方法を與へた(III,3)。強制振動及自動安定の關聯問題に對しては數學式とその解の一般法とを與へた(IV,1及2)。上反角が一定の非對稱連動の操縦に及ぼす影響は質的に例題の數量的結果を基として有限の攪亂に應用して論議した(IV,2)。またこれ迄省略してゐた迎角による壓力中心軸の變化が非對稱運動に及ぼす影響を數學的にまとめ、操縦に及ぼす影響を質的に取扱つた(IV,2)。舵の調和に關する問題の取扱に對し小振動の方法による一つのやり方を輿へた(IV,2)。