著者
越野 由香
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子短期大学紀要 (ISSN:13477196)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.49-58, 2010-03-20

自律神経機能の調整手段としてのマッサージの効果について、近年の調査研究を再考した。その結果、発達障がいをもつ子ども達にとってマッサージは、1)自立神経の調整に役立ち、さらに攻撃的行動や対人関係に変化をもたらす、2)親(身近な大人)との情緒的絆を築く助けとなり、触れられることに耐えるといった基本的な自己コントロールの力をもたらす、ことが示された。そのことから、触れられる体験の必要性および緊張(警戒状態)からの回復という点で、発達障害を抱える子ども達に対する早期からの足裏マッサージは有効と考えられた。
著者
影山 輝國
出版者
実践女子大学
雑誌
実践国文学 (ISSN:03899756)
巻号頁・発行日
no.86, pp.69-74, 2014-10
著者
大澤 朋子
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学生活科学部紀要 = Bulletin of Jissen Women's University Faculty of Human Life Sciences (ISSN:24336645)
巻号頁・発行日
no.58, pp.1-10, 2021-03-19

本論文は、先進的な取り組みを行う児童家庭支援センターへのインタビュー調査を通して、地域子育て支援の意図や実践を分析し、児童家庭支援センターが担うべき地域子育て支援のあり方を検討することを目的とした調査研究である。分析の結果、大カテゴリー10、中カテゴリー29、小カテゴリー70 を抽出した。社会的養護機関の機能と専門性を活用しながら、複数の事業を一体的に運用するなかで職員のスキルが向上し、地域へのまなざしも醸成されることがわかった。小さな実践を積み重ねながら、目の前の困っている人を助けに行くフットワークの軽さが民間の利点であった。社会的養護の機能が子どもの養育からソーシャルワークへと抜本的に変わる可能性が示唆されたが、子どもの権利擁護と利用者の自己決定の尊重が支援の原則であると認識されていた。
著者
大塚 みさ
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学短期大学部紀要 = The Bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:21896364)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.87-96, 2018-03-09

近年、大学生の日本語力の低下が指摘されている。日本語力を支える語彙力の養成が必須であることは言うまでもないが、自在に使いこなせる使用語彙をいかに増強するかが課題である。一方で国語辞書離れも進んでいるが、スマートフォンを介したオンライン辞書の可能性に期待することはできないだろうか。本稿では学生たちの意味の分からない語への対処と辞書情報の活用について実態調査を行い、その可能性を探る。
著者
飯野 智子
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学短期大学部紀要 = The bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:13477196)
巻号頁・発行日
no.36, pp.37-48, 2015

ジェンダー、セクシュアリティの意識の変化とともに、性的サービスの需要や消費形態も多様化している。男性が作り、買い、女性が売るという構造にも変化の兆しが見える。女性向けのアダルトビデオや恋人を貸し出すデート産業などの利用者は、特別な存在ではなくなりつつある。このような現象は女性のセクシュアリティの自由な表現を意味しているのであろうか。あるいは女性に娼婦役割と母役割を求め、売りつつ買わないことを期待する性の二重規範が揺らいでいるのであろうか。本稿では、女性向けセクシュアリティ産業の調査を通して、「女性が買うこと」の意味を考える。 With changes in awareness of gender and sexuality, demand and consumption patterns of sexual commercialization have also diversified. There are signs of change in the structure (women to sell and men to buy). And some women watch adult videos for women. Some women use the dating industry. Is this a free expression of women's sexuality? Or is the double standard about sex changing? This is a Study of sex industry for women.
著者
鹿島 千穂
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学短期大学部紀要 = Jissen Women's Junior College Review (ISSN:24344583)
巻号頁・発行日
no.42, pp.35-47, 2021-03-10

近年、ウェブCM が炎上するケースが増えている。本稿では3 つのおむつのウェブCM を分析し、ジェンダー炎上の構図を概観する。さらに、ウェブCM がどのように受容されているかを調査するために行った学生への視聴アンケートの結果を提示する。インターネットが当たり前となった情報環境の中で、炎上の背景にはウェブCM を視聴する側のメディアリテラシー能力が関係していることを指摘する。
著者
渡邉 守邦 鈴木 俊幸 岡 雅彦 大塚 英明 水上 文義 松永 知海
出版者
実践女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

1 前年度の総括第一回の打合会を3月21日に行った。これは今年が最終年度に当り、取りまとめを急ぐところから、前倒し的に開催したものである。2 調査活動(1)前年度までの実績を継続して「箪笥」「木箱」双方の活字につき配列を終え、新調した箪笥のレプリカを使って収納した。なお、この作業に要する補助者の謝金に関しては、寛永寺に要請して過分のご配慮を得た。(2)刷本の調査研究使用される活字の同定を中心に、台東区の護国山天王寺、杉並区の佼成図書館、港区の三縁山増上寺、京都市の五台山清涼寺、同市大谷大学図書館、奈良県の豊山長谷寺等の所蔵資料について実地調査を行った。このうち、天王寺と佼成図書館との分は、天保期の重彫活字の調査である。3 木質研究今年度から新たに京都大学木質科学研究所の伊東隆夫氏を研究分担者にお迎えして、活字の木質的特徴を中心に研究を行った。4 成果の公表研究分担者それぞれが関連する研究分野につき個別に成果を発表したほか、本研究の成果を報告書にまとめ、印刷刊行した。
著者
飯野 智子
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子短期大学紀要 (ISSN:13477196)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.83-99, 2013-03-19

本稿は、美容の分野におけるジェンダー問題を取り上げる。近代以降、男性は自己の美を追求し楽しむことをやめ、ひたすら機能的な身体とファッションを目指さざるを得なかった。しかし今日、美容の場において「男らしさ」の規範を逸脱するような美の追求という現象が見られ、男性が変わりつつあるように思われる。そこで、メンズエステ、男性のファッション、男性化粧品、美容外科、男性ファッション誌へのインタビューを通して、「男らしさ」の縛りから男性は自由になりつつあるのか否かを検証する。
著者
佐々木 真理
出版者
実践女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した女性作家イーディス・ウォートンの作品を中心にその思想と手法の変遷を検証することで、女性の知識人の社会的地位がどのように構築され、そして表象されてきたかについて明らかとした。具体的には、ウォートンに与えた同時代の女性知識人の影響について考察することで知性の表象にはジェンダーの問題が深く関わっていたことがわかった。次に、当時の反知性主義と教育について分析し、世紀転換期における社会の変容が女性の知性のあり方と自己表象に大きく変化をもたらし、その変容に対するウォートンの視点が、当時の女性作家にあって独自の視点であるという結論が得られた。