著者
玉 真之介 岩手大学 大学教育総合センター TAMA Shinnosuke
出版者
岩手大学
巻号頁・発行日
2006-01-01

第一版は2006年,第二版は2007年,第三版は2009年,第四版は2012年に刊行.第四版から著者が「岩手大学 大学教育総合センター」に変更。
著者
中村 一基
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09172874)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.175-184, 1993

研究ノート(1)では,日本人の言語感覚について,言語と沈黙という対峠関係を突き抜けるように,沈黙の言語があり,またその向こうに,失語という言語主体から遊離した言語の問題あることを,沈黙の意味性の把握を中心に考案した。その結果,日本人の言語感覚には,言語に対する二律背反的な感覚があり,その根底に言霊信仰がいまも生き続けていることを論じた。本稿では,「忌み言葉と差別語」をとりあげ,言語のタブー化という事態の背景に,日本人の「穢れ」の感覚と言霊の観念が色濃く影をおとしていることを考察した。
著者
劔持 祐之介
出版者
岩手大学
巻号頁・発行日
pp.1-65, 2020

要旨のみ公開
著者
中村 一基
出版者
岩手大学
雑誌
岩大語文 (ISSN:09191127)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-9, 2006

日本において、《遺骨》はどのような思想史的な意味の中に置かれたのか。そのことを考える視点として、釈迦の遺骨(=仏舎利)に焦点を当てる。このことを考えることは、仏教をめぐる《聖遺物信仰》を考えることでもある。仏像が《偶像崇拝》を象徴するように、仏舎利は仏像以前からの《聖遺物信仰》の象徴であった。その意味で仏舎利信仰は仏教のもっとも根源的な信仰の姿を伝えている」(内藤榮「「仏舎利と宝珠」展概説」、奈良国立博物館編『特別展「仏舎利と宝珠-釈迦を慕う心」』、二〇〇一年一七二頁。本稿の基本的な構成・趣旨は、この概説に沿っている。)仏舎利を納める仏塔とともにアジアへ広がった。遺骨の聖性は釈迦に限定された特殊なものだったのか。《遺骨》は舎利信仰と接触することで、聖性への契機を掴んだのでないか。山折哲雄氏は仏教と結びついた舎利崇拝は、上層階級に受け入れられ、漸次一般に浸透していったが、「あくまでも「仏」という特定のカリスマの「舎利」にたいする崇拝」であり「例外的な遺骨崇拝」である(「死と民俗-遺骨崇拝の源流-」『死の民俗学』岩波書店、一九九〇年、四八頁)という前提に立ちながらも、五来重氏の元興寺極楽坊の納骨器研究に着日'、「わが国における仏舎利崇拝と納骨信仰とが共通の文化的土壌から生み出された同血の信仰形態であるということに、とくに注意喚起しておきたい」(同、六〇頁)と述べておられる。筆者も仏舎利崇拝と我が国における遺骨崇拝に基づく納骨の習俗とが、接点をもっているのではないかと考える。本稿は、そのことを明らかにするために、印度・中央アジア・中国・朝鮮・日本と釈迦の遺骨が《仏舎利》という崇拝の対象として辿った道筋を、日本の仏舎利信仰を中心に歴史的に俯瞰しながら、日本の《遺骨崇拝》形成にどのような思想的接触を持っていったかを探りたいと思う。ただ、「日本の舎利信仰は舎利は釈迦の遺骨である」という常識を一度払拭しないと理解できないほど、複雑に入り組んでいる」(内藤榮、前掲概説、同頁)のも事実である。
著者
加納 聖
出版者
岩手大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

動物には、種固有の大きさがあるが、それはどのような仕組みで決まっているのであろうか。例えば5倍体イモリにおいては、細胞の大きさは1倍体の5倍の大きさであり、全体の細胞数は5分の1になり結果的に体全体や組織の大きさは変わらない。このことから、体の大きさを制御するための細胞分裂調節機構があり、単に細胞数や分裂回数を数えているのではなく、何らかの方法で実際に大きさを調整する因子が存在すると考えられている。この体の大きさを調節していると考えられる因子の探索の糸口として本研究では、異数体ニワトリに注目した。異数体ニワトリは、コルセミドを投与することによって、卵子の減数分裂に異常を起こし、2倍体卵子が精子と受精することによって3倍体の個体が作出されるものである。この3倍体ニワトリ個体の外見上の大きさは、他の異数体動物と同様に2倍体個体と変わらない。雌ニワトリにコルセミドを投与し、3倍体ニワトリの作出を行った。一方、3倍体ニワトリは間性となることが多いので、その生殖巣についての研究が比較的よく行われているが、われわれはTGF-βシグナル伝達を中心としたゴールデンハムスター精巣の機能・大きさの変化の機構解明を中心に研究を行った。まず細胞増殖の制御、動物の体の大きさに対し重要な役割を持つと考えられるTGF-βスーパーファミリーのシグナル伝達因子であるSmad3のクローニングを行った。また飼育室の点灯条件を変化させて人工的に萎縮させたゴールデンハムスター精巣においてSmadフアミリー、特にSmad2ならびにSmad3の発現や局在の変化についての解析を行ったところ、点灯条件変化によって精母細胞や精祖細胞における発現や局在の変化がみられ、TGF-βやアクチビンを介した精巣の機能や大きさの調節にSmad2ならびにSmad3が大きく関与していることが示唆された。
著者
佐藤 芳彦
出版者
岩手大学
雑誌
Artes liberales (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.1-19, 2007-06

I はじめにII 近代イギリス予算制度の成立:会計年度と議会の財政統制「循環」の成立 [A] 予算制度の完成形態(III)からみて成立過程(II-[B])での必要な諸要件 [I] 予算審議面で完成形態に必要な諸要件 [II] 国庫制度面で完成形態に必要な諸要件(以上,本号) [B] 近代イギリス予算制度の成立過程(以下,次号) [序] 技術的事項 [I] 「名誉革命」前後期: 1640年代から1714年アン女王の死まで [II] 重商主義期: 1714年ハノーヴァ朝成立から1815年ナポレオン戦争終結まで [III] 古典的自由主義期: ナポレオン戦争終結から1873年「大不況」開始までIII 1871-72年度予算の審議過程: 議会の財政統制の「循環」過程 [A] 予算の審議対象と編成 [B] 1871-72年度予算の審議過程IV おわりに
著者
大川 一毅 嶌田 敏行 大野 賢一
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、大学の価値を新たな側面から認識する成果指標の策定とそれを活用した大学評価の模索探究を研究目的とする。これにあたっては学生の保護者を主たる構成員として組織し、大学の教育事業援助や学生支援を目的として活動を行う大学教育後援会を研究対象に設定し、その事業や活動を明らかにする。その上で、これらの実績を「信用」という成果指標に置き換えて大学の評価要素とすることを試み、各大学で援用可能な新たな大学評価の形態と指標を提案する。
著者
鎌田 安久 浅井 武 栗林 徹
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09172874)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.107-118, 1997

現在の欧州のサッカー先進国におけるチーム戦術や技能について集約して分析することが可能な欧州サッカー選手権をイギリス現地で6試合視察分析し,そのうち,今回は準々決勝のドイツ代表(vsクロアチア戦)と準決勝のイングランド代表(vsドイツ戦)の2チームを対象としゲーム分析を行った.また,その際,前回のスウェーデン大会の分析から考えられた1.指導上のポイントや2.日本の問題点についての視点も含めてゲーム分析をおこなった。その結果,3-5-2システムを基調とする組織的で戦術的にもチームの構成選手の能力を活かしたチームのゲーム展開が攻守に渡り観られた。また,指導上の重要な要因と考えられるポイントや日本で問題点とされる技術面についても高いパフォーマンスが認められた。
著者
村上 祐 駒林 邦男(訳・編)
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09172874)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.257-263, 1993

以下は,"Journal of Chemical Education",Vol.9,No.5,1990.の「挑発的な提言」(〔provocative opinion〕)の欄に掲載されたH.C.Friedmann教授(シカゴ大学,生化学・分子生物学科)の"Fifty-Six Laws of Good Teaching"の翻訳,および岩手大学教育学部・人文社会科学部学生が作った「良い授業のための法則」である。Friedmannの「握言」は短めて示唆に富むものであると同時に,諧謔・逆説・アイロニーをまじえた「挑発的」なものである。この「提言」は,最初,村上によって抄訳され,『鬼胡桃』(岩大教職員組合教育分会機関誌),NO. 68, 1991.に掲載された。駒林は,この訳を下敷きにして完訳した。この試訳を村上が校閲した。訳出にあたって,本学部教官の橋本二郎氏の教示をいただいた。Friedmannの"Laws of Good Teaching"は56の法則であった。駒林は,「法則」をラウンドナンバーの60法則にするように,学生諸君に「法則」を作らせた。それが,「学生が作った,良い授業のための60法則」である。人文社会科学部の「教育課程・方法」受講学生(84人),教育学部の「教育方法」受講学生(108人)に,Friedmannnの「56法則」の翻訳を配付し,若干の説明を加えた上で,次のインストラクションをあたえた。「この56法則は,大学教員のための法則です。ラウンドナンバー60の法則にするために,四つ以内の法則を,学生の立場から作って下さい。来週,集めます。宿題ではありません。出したい人だけが出してくれればよいです。」提出者は,人文社会科学部の39人(延べ,125法則),教育学部学生が37人(延べ,98法則)であった。学生諸君が作った延べ223の「法則」の中から,代表的なものを取り上げた。語句,文体には駒林が大幅に手をいれた。学生が作った「法則」の枠内で補足したところもある。
著者
大河原 清
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.123-138, 2006

本論は、高等看護学院生37名を対象に、DVD『バトル・ロワイアル』の視聴後の感想文を手掛かりとして、DVD『バトル・ロワイアル』の映像とその内容の印象、特に、佐世保小6女児同級生殺害事件の加害少女への影響度合いを、看護学生はどのように捉えていたかについて述べたものである。結果から、高等看護学院生37名のうち31名(83.8%)がDVD『バドレ・ロワイアル』の映像が女児に何らかの影響を与えたと捉えていた。映像は真っ赤な血、その飛び散る様、首が切られるなど極めてリアルであり、音声は大きく、画面全体は暗く、話し言葉は乱暴で、殺し合いの反復が続く。結果として、怖い、残酷だ、気持ち悪い、嫌だ、見たくないという感想になった。映画の意味は特定しがたく、小学生にはただの殺人映画として捉えられ、殺害方法の参考になったのではないかと捉えていた。また1本を3回に渡って視聴した経過から、残酷な映像への慣れが生じていることが分かった。
著者
藤井 知宏 菊地 悟 近藤 澄江 菅原 るみ子
出版者
岩手大学
雑誌
岩大語文 (ISSN:09191127)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.72-56, 2006

昨今の「学力低下」を巡る論議とともに問題視されていることに「活字離れ」「読書離れ」ということがあげられる。しかし、「活字離れ」はここ最近において問題とされてきたわけではなく、毎日新聞社、全国学校図書館協議会主催の「学校読書調査」(後掲)においても、小学生の不読率は一定率を示し、良くもなければ極端に悪いという結果にもなっていない。
著者
岡田 秀二 伊藤 幸男 土屋 俊幸
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究はイギリスの森林政策転換の背景を含めたその現実について明らかにしている。特に森林認証やラベリング制度といった環境重視の森林政策に注目している。80年代後半以降の林政は、60年代までの森林資源造成、木材生産重視の林政、あるいは80年代の田園地域の整備や森林へのアクセス向上から、生物多様性や持続可能な森林経営など環境林政へと展開した。国有林は依然として国内木材生産の主要な部分を担っているが、2000年に森林認証を取得したことによる大きな影響は出ていない。それは一連の政策転換の中で国有林の森林管理も環境・景観重視へと移行してきたためである。イギリスに特徴的なトラストによる森林保有の形態における森林管理では、単なる保護から積極的な管理を含む多様性の保全へという移行がみられた。イギリスの国立公園はユニークな管理の特徴が見られる。そこでは単に狭義の生態系の保全が目指されるのではなく、人間活動を含んだ田園空間の保全が目指され、そこでは分権的な制度発展がみられた。私有林の経営においては、地主的経営やエステートを中心に環境政策がある程度受け止められていたが、それは必ずしも木材生産上のインセンティブを生むものとはなっていなかった。逆に環境基準や森林認証が新たな系列化を生むという問題が見られた。森林認証については、情報公開と多様な利害関係者の参加が重視されている点が森林管理面で影響が大きいことが指摘された。また、バイヤーズグループは認証品の取扱いシェアを急速に増加させており、それはプレミアム価格を含まない形で実現されていた。このような林政転換において、政策定着のための重要な存在として政策的中間組織の役割が重要であることが明らかとなった。
著者
金子 百合子
出版者
岩手大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

動的事象の推移において「限界」の概念はロシア語の言語的世界像を形成する意味的優勢素として提示されてきた(ペトルーヒナ)。事象の安定的側面を優勢的視座で記述する日本語と対照させることによって、日本語と比較した際のロシア語における「限界」の際立つ優位性を検証した。当概念の優位性は、終了限界性に基づくアスペクト的動詞分類、結果を修飾する動詞語形成手段の多さ、和訳における限界的解釈の希薄さ、アスペクトの文法範疇の主導的役割といった点に特徴的に現れる。
著者
重茂 克彦 山本 欣郎
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ゲノムバイオロジーによる解析では、食中毒原性黄色ブドウ球菌の遺伝学的特性を検索するためにmulti locus sequence typing(MLST)によって由来の異なる黄色ブドウ球菌の系統解析とその系統のSEs/可動性遺伝因子/プラスミドプロファイルを行った。食中毒由来株と鼻腔由来株を用いて両集団の系統解析の比較を行ったところ、両集団を構成する系統の比率は有意に異なっていた。食中毒由来株で最も存在頻度が多かった系統では共通のSEH関連可動性遺伝因子を保有しており、さらに株によってSEA/SEB関連可動性遺伝因子と約25Kbpのプラスミドを保有していた。また、鼻腔由来株にも食中毒由来株と類似した遺伝学的特徴を示す株を含んでいたが、その出現頻度は2%と非常に低いものであった。また、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)の体内動態を検討するために、嘔吐モデル動物であるスンクスにSEAを複腔内投与、あるいは経口投与し、抗SEA抗体を用いて免疫組織学的にSEAの分布を検索した。複腔内、経口投与ともに、SEAは消化管粘膜下組織肥満細胞に結合していた。また、脱穎粒阻害剤の複腔内投与によって、経口投与および腹腔内投与されたSEAによる嘔吐が抑制されることが明らかになった。すなわち、SEAによる嘔吐発現において粘膜下組織肥満細胞による脱穎粒が重要な役割を果たしている可能性が高い。以上のように、ブドウ球食中毒由来菌の遺伝学的特性の一端を解明するとともに、SEAの感染機構に肥満細胞が関与することが明らかになった。