著者
花見 仁史 秋山 正幸 中西 康一郎 松浦 周二
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

すばる望遠鏡で検出した約10 万個の銀河について、赤方偏移、星質量、吸収量、星形成率を出し、多波長データベースを作成した。また、この一部の約1000 個の赤外線銀河について、それらの活動起源を星形成、活動的中心核、星形成+活動的中心核に分類し、星形成よりも巨大ブラックホールが潜む活動的中心核が卓越する後者2つの活動が赤方偏移1前後で急激に進化していること、また、その質量膠着率と成長率を明らかにした.
著者
平田 統一 喜多 一美
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

牛の定時人工授精プロトコールの卵胞成熟期にアルギニン5あるいは60g静脈投与することは受胎率を改善させる。このアルギニンの作用は、1)タンパク質同化の促進や血中アンモニアの解毒促進、血流量増加などを介して母体の妊孕性を改善すること、および2)卵胞や卵子成熟に直接影響することを介して発揮される可能性がある。アルギニン投与による牛の受胎率改善は、安価で、消費者に許容される安全な新しい繁殖技術となり得る。
著者
小森 貞男
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

リンゴ品種の遺伝子組成を変えずに目的遺伝子のみの改変を行うため、一過的な遺伝子発現によるゲノム編集を可能にする培養技術を開発する。「高頻度にシュートを形成する組織・細胞塊」を用いる方法として①DH個体の葯培養による胚様体の形成、②珠心細胞由来の胚様体の作出、③成長点に由来するカルスからのシュート形成に係る培養技術を開発し、「1細胞からのシュート再分化系」を用いる方法として④プロトプラストからの再分化系を確立し、パーティクルガン法等でRNPを細胞に導入する。①、②、③で得られたキメラ化したシュートは⑤キメラ解除の過程の体系化の実験で対応し、リンゴにおけるゲノム編集個体の獲得方法を確立する。
著者
森 誠之 南 一郎 七尾 英孝 南 一郎 七尾 英孝
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

表面化学の立場から潤滑油添加剤の反応を制御し、より適切な潤滑特性を得るために表面形状の影響を検討した。鋼試験片表面に適当な粗さを与えることにより、摩擦係数が徐々に低下し、安定で低い値を示すことを見出した。表面分析の結果、表面の突起部で金属新生面が生成し、ここで添加剤が反応するとともに潤滑性の境界膜を形成したことを明らかにした。
著者
東 淳樹 長井 和哉
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

ミサゴは、ダム湖という人工的な環境で人為的に移植放流された外来魚に依存して生息分布を拡大している可能性があり、看過できない事態と言える。本研究では、本種の従来の生息地である沿岸部と比べて、ダム湖のほうが本種の繁殖成績がよいとの仮説をたて、その検証を試みる。巣内カメラによる給餌生態、巣立ち雛数や栄養状態、直接観察による採餌生態と採餌環境、GPS送信機による環境利用、移動分散、渡り、遺伝的多様性と遺伝的構造の解析、腸内細菌叢の遺伝子解析による個体の健康状態等について調査を行う。それらの知見を得ること、そしてそれをもとに健全な水域生態系を取り戻すための指針を打ち出すことを目的とする。
著者
松岡 和生 山口 浩 川原 正広 松田 英子
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

直観像と共感覚はともに、眼前には存在しない対象物や風景、色彩やパタンといった視覚像(Photism)が外部空間にありありと「見える」という特異な視知覚性イメージをともなう現象である。本研究はこうした直観像と共感覚のPhotismの感覚的鮮明性と外部投射性に関わる知覚情報処理について脳機能画像法、視線活動計測、認知行動実験を用いて検討し、その特異性を示す科学的エビデンスを提供する。また直観像・共感覚保有者の視空間イメージ表象能力をアファンタジアからハイパーファンタジアに至るスペクトラムの一方の極に位置づける「認知―神経機構モデル」の構築を試みる。
著者
佐藤 由紀男
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

北海道苫小牧市タプコプ遺跡出土鉄器が紀元前2世紀の所産であり、かつ刃器であることが確認された。また北海道では、この時期の骨角器に鉄器による加工痕が確認された。鹿の角などの硬い素材の加工道具として鉄器が用いられたのである。こうした鉄器は、船を利用した日本海側の交易・流通で西日本から搬入されたものである。東北北部もその経由地の一つである。現時点では未確認であるが同じ時期の東北北部にも同様の鉄器が存在したと考えられる。
著者
佐藤 れえ子 御領 政信 小林 沙織
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

猫多発性嚢胞腎の嚢胞形成機序を明らかにするために、腎嚢胞細胞PKD1遺伝子変異によるツーヒット変異を証明し、嚢胞細胞増殖シグナル伝達経路をブロックする分子標的薬を決定して、猫における至適投与量を模索した。その結果、嚢胞ネットワークを通じて全国より血液検体と死亡症例の腎臓を収集でき、PKD1遺伝子のPCR-RFLP法とダイレクトシークエンスによる遺伝子検査の結果、腎嚢胞細胞PKD1遺伝子にホモ型変異を検出し(エクソン29、c.9891)ツーヒット変異が生じていることを明らかにした。治療薬にはcAMP pathwayを抑制するトルバプタンを選択し、短期投与と長期投与を実施して投与量を決定した。
著者
伊藤 菊一
出版者
岩手大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

植物は哺乳動物とは異なり、自らの体温を調節することなく、外界の気温と共にその体温が変動するものと考えられてきた。ところが驚くべきことに、ある種の植物には、自ら発熱し、体温を調節するものが存在する。本研究においては早春に花を咲かせる発熱植物である「ザゼンソウ」に着目し、本植物の熱産生に関わるシステムを明らかにするための研究を行った。はじめに群落地および人工気象室におけるザゼンソウの発熱変動データーを収集し、肉穂花序の恒温維持に関わる特性を検討した。その結果、ザゼンソウの肉穂花序は約60分を1周期とする体温振動を示すことが明らかになった。興味深いことにこの体温振動は、外気温の変動を原因とする体温の変化により引き起こされ、しかも、この体温振動が誘導されるための体温変化の閾値は0.3℃であると見積もられた。植物界でこのような微少温度変化を認識し、恒温性を維持できる生体応答システムはザゼンソウ以外には報告がない。この研究成果は、2001年夏に米国で開催されたアメリカ植物生理学会年次総会で招待講演を行った。次に、このザゼンソウに特徴的な体温振動過程における発熱関連遺伝子のmRNA発現量について検討した。発熱関連遺伝子としては、哺乳動物で非ふるえ熱産生の原因遺伝子であることが明らかになっている脱共役タンパク質(uncoupling Protein : ucp)のザゼンソウホモログ、および、植物の発熱原因遺伝子であるとされているシアン耐性呼吸酵素(alternative oxidase : aox)遺伝子をターゲットとした。特にaox遺伝子は従来ザゼンソウ肉穂花序より単離されておらず、本研究においてその単離を行った。ノーザン解析により、肉穂花序の体温振動過程におけるucpおよびaox遺伝子の発現を調べたところ、それぞれのmRNAの蓄積量には大きな変動がなく、体温の変動は発熱関連遺伝子の転写レベルでは調節されていないことが推察された。
著者
鳥巣 諒 伊藤 菊一
出版者
岩手大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

研究目的:恒温植物ハスの発熱現象の解明を次の2つの視点から行なった。(1)ハスの発熱する体温の時系列データをカオス時系列解析手法を用いて、体温変動の中にカオスが発現することを確かめること、(2)発熱時・非発熱時の花托部分の熱収支方程式を構築して、熱伝達・熱放射に関与する熱定数を同定し、ハスが発生する熱量を推定すること。実験方法と実験場所佐賀市内のハス田(佐賀市本庄町北緯33.3:東経130.3)で、ハスの開花時期(平成17年6月24日から7月14日)、ハスの花托部分の体温と気温を測定した。測定個体は40体で、温度測定には温度サーミスタ方式のデジタル温度記録計を利用し、サンプリング時間は1分とした。ハスが恒温植物であることの再確認ハスの花托部分が3〜4日間発熱し、30〜35℃を保ち、外気温より10〜15℃程度高い温度となった。また、太陽放射の無い日没から日の出までの間、温度制御を活発に行なっていた。ハス体温(花托部分)のカオス時系列解析ハス体温のパワースペクトル解析から遅延時間τを160分と決定し、3次元相図を用いてアトラクタを作図した。次に、相関次元解析を行い、埋め込み次元(16〜17)と相関次元(2.2)を求めた。さらに、リアプノフスペクトル解析を実施し、最大リヤプノフ指数とKSエントロピーがともに正の数となり、軌道不安定性・長期予測不能性が確認された。このことから、実験開始前の予想通りハス体温の変動にカオスが発現することが確認された。ハスの発熱基礎方程式の構築と発熱量の推定ハス花托部分の発熱時期の熱収支には、ハス自身の発生する発熱量のほかに、太陽からの熱放射、気温からの熱伝達、周囲環境からの熱放射・熱伝達が影響する。ここでは、太陽放射のない夜間部の熱収支に着目し、測定した温度データを入力として未知の発熱や各熱定数を求めるという逆問題(inverse problem)を解いた。これにより、パラメータの同定と発熱量の推定が可能になった。求められた熱特性パラメータは、空気から花托への熱伝達率が1.2kJ/10min m^2Kであり、発生した発熱量は、150〜300J/10minであった。
著者
村元 隆行
出版者
岩手大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

牛パティの粗脂肪含量とインピーダンスとの関係を示す回帰式を用いてインピーダンスから牛パティの粗脂肪含量が推定可能であることが示された.この回帰式を用いてインピーダンスからパティだけではなくステーキの粗脂肪含量も推定可能であった.牛肉の最大荷重およびガム性荷重は屠畜後4および6日目が屠畜後2日目に比較して有意に低かった.筋線維に対して垂直方向のインピーダンスは,屠畜後6日目が屠畜後2日目に比較して有意に低かった.牛肉テクスチャーの違いはインピーダンスから非破壊的に推定できる可能性が示された.
著者
宮崎 雅雄
出版者
岩手大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ネコがマタタビを嗅ぐと幸せそうにゴロゴロ転がる反応は、マタタビ踊りと言われ江戸時代頃から知られている日本人にとても有名な生物現象である。マタタビ活性物質については60年以上前に発見されていたが、ネコがマタタビに反応するメカニズムや生理的な意義は全く分かってない。またマタタビに反応しないネコがいる原因も未解明である。本研究の目的は、ネコがなぜマタタビに反応するか、マタタビ活性物質の受容機構とマタタビ反応の生理的な意義を解明し、動物-植物間の化学コミュニケーションの理解を深める。