著者
下野 裕之
出版者
岩手大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

北日本のコメ生産は冷害が制約し続けており,その被害軽減には耐冷性を強化した品種の効率的な選抜が不可欠である.そのため,近年,育成された極めて高い耐冷性を持つ中間母本系統「東北PL3」が持つ耐冷性QTLを特定し,その機能解明を行うことを目的とした.「東北PL3」と「アキヒカリ」の組み換え近交系統(215系統,F8世代)についてQTL解析を行ったところ,第5,12染色体に有意なQTLが検出された.第12染色体のQTLは,低温ストレス下で葯長を維持しやすい形質を,第5染色体のQTLは,同一の葯長あたりの受精効率を維持する形質と関わることが示された.
著者
千葉 則茂 藤本 忠博
出版者
岩手大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

全方位投影型プロジェクションマッピングを支援するための以下のようなアルゴリズム開発を行った.(1)ポリゴン表面上に一様な6角形セル配置を求めるための点群の一様な分布を生成する運動シミュレーションアルゴリズム(2) 6角形セル空間で動作する典型的な2次元アニメーションアルゴリズムとして,波紋と魚群の遊泳シミュレーションアルゴリズム(3)実物体表面に一致する映像投映のためのカメラを使用しないプロジェクタの位置・姿勢推定と映像変形アルゴリズム
著者
佐藤 勝洋
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09172874)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.157-173, 1992

中学校理科の「天気の変化」という単元では,気象現象や季節の変化を扱う。単元に入る前に生徒たちに,気象現象について関心を向けさせることを目的として「天気日記」なるものをつけさせた。冬休みの2週間,その日その日の天気や気象に関したことをさがして,10行程度で記録する。天気や気象に関係していることならどんなことでもよい,という条件にした。「天気日記」で取り上げられていた対象は様々で,広範にわたっていた。このことに着目して,生徒(人々)は「季節の変わり目をどんなことから感じとるのか?」ということを調べた。今回はその中から,「夏」の季節感について述べてみたい。
著者
齊藤 貢 松本 文雄
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

東日本大震災で大量に発生した瓦礫が風により飛散することが予想され、飛散粉じん中の有害物質による周辺住民への健康影響が危惧された。本研究では、瓦礫処理場からの飛散粉じん状況を調査するため、ミクロ繊維シート捕集材による多点モニタリングを実施し、GISを用いて飛散粉じ量および有害物質の分布状況を可視化した。さらに、瓦礫飛散粉じんによる健康リスク度の評価を行った。継続モニタリングの結果、大気環境状況は、平成26年度の瓦礫処理作業終了後には周辺地域と同程度にまで回復され、周辺地域への健康リスク度は低いことが考察された。
著者
橋爪 力 GYÖRGY Miklos Nagy FERENC Fülöp
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

反芻家畜のサルソリノール(SAL)によるプロラクチン(PRL)分泌機構の一端をヤギで明らかにしようとした。その結果、長日条件下においてメラトニン(MEL)をヤギに投与するとSALにより誘起されるPRL放出反応は低下すること、またCarbidopaとL-dopa処理により視床下部内ドーパミン(DA)量を増加させると、日長に関係なくSALによるPRL放出反応は抑制されること、さらにレセルピンにより視床下部内DA量を減少させるとSALによるPRL放出反応は修飾されることが明らかになった。このように、反芻家畜のSALによるPRL分泌機構には視床下部のMELやDAが関係していることを明らかにした。
著者
田口 芳彦
出版者
岩手大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

研究目的:近年,機能性を有する大豆加工食品が注目を集めている,これら大豆の味噌加工行程における加熱処理工程の違いによるイソフラボン含有量を調査し,味噌の高付加価値化への検討を行った.研究方法:大豆「スズカリ」,米麹;白麹「雪こまち」塩「天日塩」を供試し,圧力蒸煮釜を用いて,A;20分煮熟,B;40分煮熟,C;20分蒸熟,D;40分蒸熟を行い6割麹味噌に仕込み,官能評価と明度およびイソフラボン含有量の調査をした.官能評価は,仕込み6ヶ月後に「色」,「香り」,「味」および「組成」の4項目を5段階(1=良い,3=普通,5=悪い)で評価し,明度は,ミノルタCR-200色彩色差計を用い,6ヶ月後,12ヶ月後に測定した.イソフラボン含有量は,仕込み直後と6ヶ月後の味噌についてHPLCで測定をした.結果および考察:イソフラボン含有量・・・乾物味噌100g中のイソフラボン量の比較では,仕込み直後では,C;150.18mg>D;140.61mg>A;112.34mg>B;110.42mgとなり,仕込み6ヶ月後では,C;93.19mg>D;90.66mg>B;75.83mg>A・74.89mgとなり,仕込み直後6ヶ月後ともに蒸熟が煮熟より高い値となった.官能評価・・・平均値で比較すると,A;2.92,B;3.00,D;3.08,C;3.42とAが,他の3種より高く評価され,Cは3.42と低く評価された.項目別では,色の評価は,Dが2.7と高く,香りの評価は,Aが2.7と高く,味の評価は,AとBが2.3と高く,組成では,BとDが2.3と高く評価された.味噌の明度・・・明度Y値で比較すると,仕込み6ヶ月後は,A;23.6>B;22.26>C;18.9>D;15.5となり,仕込み12ヶ月後は,A;18.7>B;18.4>C;16>D;13.7となった.以上の結果,蒸熟味噌は,煮熟味噌よりイソフラボンが高い値となり,また,処理時間が長いほど組成の評価は高いが,香りの評価が低くなった.明度は,蒸熟味噌が煮熟味噌より暗く,処理時間が長くなるほど暗い味噌となった.適切な処理時間を選定する事によりイソフラボン含有量が高い味噌醸造の可能性が示された.
著者
境野 直樹
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

当初は近世英国都市喜劇群のコンテクストを補強する目的で開始された研究であったが、中世宗教劇にみられる神と人との契約、信仰の問題を離れ、人間相互の契約に潜む暴力的収奪の構図の来歴をさぐるうちに、「犯罪者」「秩序の攪乱者」がバラッド、パンフレットに繰り返し表象されつつも「外部からの侵入者」「他者」の記号を纏わされることで、巧みに共同体共通の敵として排除される構図が骨太に浮上してきた。そこでPedlers Frenchと呼ばれる犯罪者の隠語や、罪状に応じた犯罪者の呼称を記したパンフレットの夥しい再版の経緯をたどりつつ、そうしたローカルで些末なはずの出版物がやがてホリンシェッドの『年代記』を構成するにいたる過程に犯罪者を他者として排除する力の介在を、またバラッドがその性格上、古い世界の宗教的モラルに依拠しつつもスキャンダラスな同時代の出来事を記述することで、倫理観に生ずる揺らぎ、さらには演劇におけるpedlerがrite of misruleの司祭として、あるいはwise foolの系譜に連なる登場人物として機能するさまに、時代の動揺とバランスを模索する状況を確認した。さらに、諺を累積することで成立している物語詩が、バラッド同様その性格上古いモラルに収斂するかに見えて、新しい社会の価値観に揺れるさまをも確認することができた。本研究の鍵となる記号Pedlerは、本来物々交換の媒介者として古い経済体制を、そしてface to faceの人間関係の媒介者であったはずだ。そのpedlerが巨大な、それゆえ顔の見えない資本主義という怪物の棲む近世の大都会と出会うとき、彼が出会うのは、一斉に神に顔を向けるエヴリマンではありえない。そこには互いに反目し収奪しあう近代の人間たちの世界が待ち受けているのであり、そのすべての汚辱と悪を、外部からの攪乱者のレッテルとともに、彼は背負わされるのである。
著者
油井 信弘
出版者
岩手大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究では、PP2C機能研究のためのPP2C阻害剤と活性化剤を提供することと、その分子メカニズムを明らかにし、真核細胞におけるPP2Cの機能を解明することを目的とした。昨年度ではPP2Cを活性化するPisiferdiol(1)と阻害するSanguinarine(2)を見出し、そのin vitroにおける各種ホスファターゼに対する作用とHL60細胞に対するアポトーシス誘導活性を調べたが、今年度では、それらを論文としてまとめるとともに、1のカルシウムシグナル伝達に関わる遺伝子変異酵母(zds1 Δerg3Δpdr1/3Δ)に対する生育円活性について調べた。1は、0.3M CaCl_2を含むYPD培地での遺伝子変異酵母株に対してCa^<2+>依存的、濃度依存的に生育円活性を示した(0,5μg/disc,11.0mm)。また、FACS解析により、1のCa^<2+>によるG_2期遅延の抑圧が観察された。さらに、cnb1Δ株とmpk1Δ株に対する合成致死作用でmpk1Δに特異的に作用し、WT株に対するLi感受性の増大を示すことから、カルシニューリン経路に作用することが示唆されたが、直接の酵素阻害は300μMでも認められなかった。そこで、遺伝子変異酵母株におけるCa^<2+>シグナル伝達に関わるタンパク質のリン酸化状態と発現を調べたところ、1は0.1M CaCl_2によって亢進されたリン酸化Cdc28を脱リン酸化すると同時に、Cdc28pのチロシンキナーゼSwelpとカルシニューリンCnblpの減少を引き起こした。これまでに、酵母のPP2CホモログPtc1の抑制がカルシニューリンの活性化に関わると推定されており、1は遺伝子変異酵母株においてPP2Cを活性化させることで、カルシニューリンを抑制することが示唆される。
著者
花見 仁史
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

すばる/XMM深宇宙サーベイ領域の一部において、すばる望遠鏡でのSuprim-CAMの可視光、UH2.2m望遠鏡でのSIRIUSによる近赤外線、Spitzer宇宙望遠鏡での近・中間赤外線撮像により検出された銀河と、JCMT/SCUBAにより検出されたサブミリ波源との対応を調べて、4つの赤外・サブミリ波で明るい原始銀河を発見した。これらのサブミリ波銀河について、多波長観測から得られたスペクトルエネルギー分布(SED)を、我々が開発した爆発的星形成領域からのUVからサブミリ波にわたるを再現するモデルを用いた解析を行った。このサブミリ波銀河のSED解析結果は、それらが爆発的星形成を起こしている段階の生まれたばかりの楕円銀河であることを示唆し、我々がこれまで発見されたサブミリ波銀河について、すでに明らかにしていた銀河の進化の描像を指示するものであるまた、我々のSED解析によれば、その光学的厚さから爆発的星形成領域の大きさも概算できるが、それによると、それらの星形成領域は高密度で分裂していて、その星形成終了後、凝集して、力学的に緩和したことも示唆される。この銀河形成に連動した星の凝集過程は、階層的構造形成シナリオと連動するかを考察するために、ダークハローの成長の様子を解析的に再現することを行い、初期では同じくらいのダークハローの合体過程がその成長過程を支配していることを明らかにした。このダークハロー合体成長過程が、サブミリ波銀河として観測されているような爆発的星形成とどのように連動するかを、現在、精査している。
著者
花見 仁史
出版者
岩手大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

我々は、γ線バーストのモデルとして磁気波動砲を提出した。シュワルツシルド時空での解析で、中性子星程度の重力崩壊の場合は、この磁気波動砲の電磁波の振動数は【similar or equal】c^3/2GM【similar or equal】10^5s^<-1>程度になることが明らかになっている。周囲にプラズマが少し残っているとプラズマ振動数(4πne^2/m)^<1/2>【similar or equal】9000n^<1/2>s^<-1>より低い振動数の電磁波は反射、吸収されてしまうので、n>10^2cm^<-3>のプラズマがあれば、最終的には、そのプラズマに大部分のエネルギーを渡してしまう。これが磁気波動砲の過程である。しかし、その詳細を理解するには、励起された電磁プラズマ波中での粒子加速過程を数値シミュレーションの手法を用いて調べる必要がある。現在、相対論的粒子プラズマの実空間1次元速度空間3次元コードにより、粒子と波の相互作用と粒子加速過程を調べた。これまでの準備的計算から定常波的なAlfven波が励起される環境では、順伝搬、逆伝搬、右偏光、左偏光の波が混じり合うことで、緩和過程がすみやかにすすみ、高いエネルギーの粒子を生成しやすい事が明らかになりつつある。
著者
花見 仁史
出版者
岩手大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2001

爆発的星形成をガスから星への変換過程、化学進化と捉えて、マゼラン星雲などをはじめとする近傍の銀河の爆発的星形成領域(SBRs)、のスペクトルエネルギ-分布(SED)の再現を目指した。形成過程に応じて種族合成された星の光は、超新星爆発などによるその周囲のガスの重元素汚染に応じてばらまられたダストに散乱、吸収された後に観測されるので、球対称物質分布近似のもと、輻射輸送方程式を解いて、SEDモデルを構築した。ダストの成分としては、big grains(BGs),very small grains(VSGs),PAHsを考える。この成分比はSEDを再現する時のパラメータである。また、ダスト総量は、この成分比は固定したまま、星間ガス中の重元素量に比例して増加して行くと仮定した。このモデルが信頼性の高いSEDを再現できることは、我々の求めた星形成率が、Halpha線強度などから求められた値とよく一致していることで確かめた上で、近傍の代表的な爆発的星形成銀河について、UVで明るいUVSBGsから赤外で明るいULIRGsまでの数十個について適用して解析した。それらのSEDのほとんどがSMCタイプのダスト、SBRsの年齢が0.1Gyr程度でよく再現できた。さらに、そのそれぞれのベストフィットモデルの星形成領域の物質密度が、ULIRGsでは系全体で重力不安定を起こす程度密度が大きいのに対して、UVSBGsではその臨界密度程度であることを明らかにした。このようにSEDから星形成領域の物質密度を換算するには、ダストによる減光を正しく見積もらなければならない。UVからFIRにわたるSEDモデルとしては、我々のモデル以外にも、現在、提案されているものがいくつかあるが、この星形成領域の集中度の換算は、化学進化によるダスト生成量を星形成率に関わる光度と連動させ、また、光学的厚さを正しく再現する輻射輸送を解く我々の手法ではじめて可能になった。
著者
花見 仁史
出版者
岩手大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

ソフトガンマ線リピーターについては、X線観測衛星'あすか'などによる対応天体の同定がなされた。それらの観測から明らかになったガンマ線リピーターの性質は次の4点にまとめられる。1)バースト源は、およそ数年おきに活動的になる。2)バースト源にはコンパクトな定常X線源が付随している。この定常X線源はパルサーに励起されていると思われる。3)この2つのコンパクト天体は、10^4年以下の年齢の超新星残骸中に存在している。4)このコンパクト天体の位置は残骸の中心からずれていることから、1000km/s程度の高速度で移動していると示唆される。我々は、この天体系が中性子星-(C+O)星の連星系のなれの果てであると考えた。我々のモデルでは、2)、3)は、(C+O)星が超新星爆発が起こし、新しい中性子星=パルサーになることにより、4)は、超新星爆発に伴う質量放出が、残骸と星との間に、この前駆連星系の高速度軌道運動に相当する相対運動を引き起こすことにより、1)は、爆発で放出された物体の一部が古い中性子星の周囲に捉えられ、小惑星形成などの過程を経て、突発的に古い中性子星に落下することにより、統一的に説明できた。しかし、ソフトガンマ線リピーターからのガンマ線は、普通の大他数のガンマ線バーストのものよりエネルギーが低いので、両者は起源が異なる可能性があり、上のモデルの適応範囲をガンマ線バースト全般に広げることに疑問が出てくる。さらに、ガンマ線リピーターはその光度がエディントン限界を越える活動を起こし、これは普通の降着過程などでは説明ができない。したがって、ガンマ線バーストの問題にも関わる物理過程として磁気波動砲モデルを提案して調べた。
著者
井上 雅夫
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09172874)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.17-29, 1998

桜はわが国の国花である。第2次大戦の終戦までは国語・理科においてもそのことが意識される教材としてサクラが扱われていた。しかし日本の植民地であった朝鮮の人々にとってはムクゲが民族の花であり,サクラは侵略のシンボルの一つと考えられた。本論文は国花は身近な素材としての花教材以上の意味を持つことを論じたものである。
著者
佐伯 卓也 小宮山 晴夫 中嶋 文雄 沼田 稔 佐々木 盛男
出版者
岩手大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

研究目標は、本科学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告書にも記したが、教育現場でのパソコンのいかなる設置状態(教室に1セットから生徒1人につき1セットのランシステムまで)でも実現できて、伝統的な授業の教師の役割をあまり変えずに教師の個性が十分発揮できてそれでいて教室のハプニングにも臨機応変な対応ができるスタイルのパソコン利用の授業、非CAI的授業のソフト開発、非CAI的授業そのものの研究、あわせて、学生や附属学校の教師も参加しての教師教育、とくに学生の教師教育にあった。このためのパソコンソフトは、この期間に開発したのが23点、それ以前に代表者が開発したのが19点あるので、合わせて42点になる。このうち、29点は実際に附属中学校で、1年、2年の生徒を対象にして授業実践を経ている。教師教育については、非CAI的授業のソフトは、内容にもよるが、1単位時間のソフト開発時間が5時間ぐらいのものもあり、開発しやすい。このソフト作成技術とそれを利用した授業実践技術のマニアルにまとめた。さらに小学校算数教育のためのVTR教材を作成した。また、大学数学そのものの理解を助けるためのソフト作成も試み、今後の教師教育の課題の糸口をつかんだ。研究期間に開発したソフトの一部を、東北大学理学部、山形大学教育学部、八戸工業大学に提供、さらに現場関係では、岩手県総合教育センタ-にも提供した。また、ソフトや新しい知見は日本科学教育学会、日本教育工学会、日本教育情報学会、日数教数学教育論文発表会等で公表した。期間中の発表論文数は25本(報告書に記載)、以前の論文を合わせると関係論文数は57本あり、合計82本である。
著者
遠藤 孝夫
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、これまで本格的研究がなされてこなかった、シュタイナー学校の教員養成システムの理念とその実態を解明することを目的とするものである。具体的には、(1)シュタイナー学校発祥の地であるドイツにおけるシュタイナー学校の教員養成の歴史的展開過程を、「補完的」教員養成から、「完結的」教員養成への転換の視点から明らかにし、(2)ドイツにおけるシュタイナー学校の教員養成機関の現状とその内実について、特にボローニャ・プロセスに伴う再編に留意しつつ明らかにし、最後に(3)シュタイナー学校の教員養成システムを支える基本理念、とりわけシュタイナーの教員養成思想を解明した。
著者
千葉 則茂 原美 オサマ
出版者
岩手大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

1. 自然物体・現象を可視化媒体としたレーザプロジェクション技術の開発降雪への投射や積雪への投射効果について実験を行い, 積雪はスクリーンとして, 降雪はビームの可視化媒体として十分に活用できることが分かった. また, 樹木(大木)への投射実験も行い, 投射側から観察するスクリーンとして活用可能であることも分かった. 防風林や街路樹の活用が期待できる.2. 天空でのグラフィックス技術の開発スクリーンを用いない投射では, 観察者側への反射が弱く認識が難しかった. また, 平行ビームの消失点により認識を容易にできることを期待し, 投射を試みたが, やはり良好な結果は得られなかった. ただし, レーザ強度にも依存すると思われるので, 結論を出すためには, さらなる検討が必要である. (購入したプロジェクタの強度300mWでは, 降雪や靄など可視化媒体密度が高くないと可視化されなかった.)3. 効率的で自由度の高いビーム投射技術の開発(1) タイミングを自動的に取るチューニング法レーザプロジェクタは電子的な要素と機械的な要素からなるため連続する描画コマンド間に適当な待ち時間をとらないと, ビームのon, offのタイミングや, 角の描画において, 描画データとの間に不一致が発生する. この待ち時間を自動的に取る手法を開発した.(2) ベクトルデータから効率的な一筆描きを構成する方法レーザプロジェクタでの描画は, 与えられたベクトルデータにビームをoffにして走査するブランクベクトルを加えて一筆描きをすることである. 最小数のブランクベクトルデータと描画に適する一筆描き順を求めるアルゴリズムを開発した.(3)並列投射を可能とするためのキャリブレーション法一般的な平面スクリーンではなく, 任意の可視化媒体(曲面スクリーン)を仮定し, 描画の歪みを補正し, 複数台のプロジェクタにより, 複雑度の高い描画を可能とする方法を開発した.
著者
三輪 譲二 佐藤 滋 川村 よし子
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、いつでも、どこでも、だれにでも、手軽に、繰り返し利用可能なユビキタス環境における日本語教育支援システムを開発し、地球規模の公開運用実験と評価を行った。このシステムでは、連合漢字学習、手書き漢字入力を用いた辞書検索、漢字文章読解、特殊拍や単語アクセントの聞き取り、日本留学模擬試験、United Linksなどの支援機能を有している。漢字クイズの約1年間の公開運用実験の結果、iPhoneやiPod Touchから約16%の利用があり、ユビキタス環境での学習支援システムが益々重要になってきていることが分かった。
著者
砂山 稔
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

研究成果としては、李白の女性観を考察した論文と、李白と白居易の詩の日本文学への影響を考察した論文を発表した。李白と白居易は、また、『荘子』の思想から大きな影響を受けていることは周知の通りであるが、この『荘子』に関する著作の書評と、タオイズム、即ち道教の世界に関する著作の書評を公刊した。また、現在、白居易と李白の道教思想と鶴に関する論文、白居易の道教思想全般を見渡した論文の草稿を執筆しているところである。
著者
小林 悟
出版者
岩手大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の協力の下、中性子照射済み原子炉圧力容器鋼材の磁気計測を実施し、中性子照射脆化と磁気的物理量の相関データベースの構築を進めた。磁気マイナーループ法に基づく実験データ解析結果から、磁気的物理量において、降伏応力変化と同様な照射条件依存性が観測された一方、二つの異なる磁気特性変化メカニズム(銅リッチ析出物形成、応力緩和)を考慮したモデル解析から、磁気特性の脆化寄与成分と降伏応力変化量の間に正の比例関係が見つかった。以上の結果は、磁気的物理量の計測により、銅リッチ析出物形成による照射硬化の評価が可能であることを示している。