著者
伊藤 隆 渡邉 昭夫 尾高 煌之助 佐道 明広 武田 知己 梅崎 修
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

現代日本史料の調査、収集、整理、公開等を踏まえた政策課程と政策史研究を目的とし、以下のような研究成果を上げた。1、オーラルヒストリーの実施研究期間内に30人以上のオーラルヒストリーを実施し、終了したオーラルインタビューの速記録をまとめ冊子化した。2、史料整理多くの研究補助者の協力を得て、収集した史料について整理を進め、20冊以上の史料目録を刊行することができた。3、研究会の実施研究期間内に、日本近現代の史料・政策過程・防衛政策等について、計11回の研究会を開催し、速記録をまとめ報告集として冊子化した。4、近現代日本人物史料情報辞典3の刊行及び続巻の編纂平成16年に第一巻、平成18年に第二巻を吉川弘文館より刊行し、第三巻を平成19年12月に刊行した。なお、第4巻の準備も開始した。5、シンポジウムの開催「<戦後>は終わったか?」についてシンポジウムを開催し、活発な討論が交わされた。速記録をまとめ報告書に掲載した。
著者
竹中 治堅
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は選挙制度と二院制度が日本の首相の指導力にどのような影響を及ぼすのか明らかにすることを目的としている。本研究は、1994年に政治改革が行われた結果、中選挙区制度から小選挙区・比例代表制に改められた結果、首相の派閥政治家、族議員、官僚に対する指導力は全般的に高まったことを明らかにした。さらに二院制度については、戦後日本政治過程を通じて、参議院は内閣と衆議院が一体となっておこなう立法作業を抑制し、この結果、首相の指導力も制約してきたことも明らかにした。
著者
岬 暁夫 ブガーエフ エドガー パルフェーノフ ユーリ 菊池 柳三郎 宮地 孝 小西 栄一 YURI Parfenov EDGAR Bugaev エドガー ブガーエフ ユーリ パルフェーノフ PANFILOV A. BUGAEV E. SINEGOVSKI S BEZRUKOV L. BUDNEV N. POLITYKO S. 長谷部 信行 PARFENOV I. LAGOUTINE A. DEDENKO L. 三井 清美 藤井 正美 御法川 幸雄 高橋 信介 河野 毅 石渡 光正 井上 直也
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

本研究は、「超高エネルギニュートリノ天文学」という現在、存在していない研究分野を創出するための様々な基礎的な研究を試みるものである。「超高エネルギーニュートリノ天文学」の最大の特徴は、「光では原理的見ることの出来ない宇宙」を「ニュートリノで観測する」というところにある。それを可能するような必要な様々な基礎研究を行うのが本研究の目的である。まず、「超高エネルギーニュートリノ」を検出するには、「低エネルギーニュートリノ」の研究であるスーパーカミオカンデで用いられている通常の光電子増倍管では不可能である。これに代わる高性能半導体光検出器の開発が不可欠である。このため、現在、「ローカルフィードバック型素子」と「超格子型素子」の開発研究を行っている(論文番号14)。超高エネルギーニュートリノ反応は、超高エネルギーエレクトロン、超高エネルギーミューオンからのチェレンコフ光の測定を行うことによって検出される。そのためには、超高エネルギーエレクトロンの様々な状況における振る舞いが問題となる。このような観点から、プラズマ状態での挙動(論文番号1)、強磁場での挙動(論文番号3)、LPM効果の検討(論文番号8、9)の研究を行った。超高エネルギーミューオンに関しては、重原子核の制動輻射に対する影響(論文番号4)、LPM効果の影響(論文番号13)、ミューオンの輸送過程の研究(論文番号11)、を行った。雑音としての大気ミューオンの研究(論文番号13)、また、これらのニュートリノの検出には、チェレンコフ輻射の時間-空間分布の知識(論文番号10)、の研究が必要である。一方、「超高エネルギー・ニュートリノ」に対する理解のためには、それよりエネルギーの低い「高エネルギーニュートリノ」に対する実験的理解が必須であり、これに対する研究がバイカル湖で行われた(論文番号5、6、7)。以上で、「基礎研究」の第一段階が終了したと考える。
著者
下村 郁夫 福井 秀夫 久米 良昭 丸山 亜希子
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

建築基準法における建物の形態・容積・用途に関する規制は、一定の仕様に適合することを求める仕様規定である。仕様規程を、住環境影響やインフラなど建物性能に関する指標で直接制御する性能規程に置き換えることにより、より効率的な規制を実現できる。建物の形態に関する規制は、天空遮蔽率を用いた性能規定に代替できる。建物容積による影響のうち、建物形態がもたらす影響も、天空遮蔽率を用いた性能規定に代替できる。道路に対する負荷の影響は、自動車への混雑課金に代替できる。住居系地域における工場用途の仕様規定も、工場の騒音、臭気等の性能規定に代替できる。
著者
篠原 修 垣内 恵美子 阿部 大輔 西村 幸夫 鳥海 基樹 西村 幸夫 鳥海 基樹 クサビエ グレフソルボンヌ ナタリー ベルトラン
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

わが国では往々にして対立しがちな景観保全と経済的発展をいかに持続的に両立させていくかという視点から、わが国の都市部の事例として金沢市を、地方都市の事例として近江八幡市を、そしてフランスの都市部の事例としてナンシー市を、地方都市の事例としてフランス・アヌシー地方を取り上げ、両国における自治体レベルの景観行政の到達点と実施上の問題を整理するとともに、両者の比較検討によるわが国への政策的インプリケーションの導出を試みた。
著者
大山 達雄 丹羽 冨士雄 諸星 穂積 伏見 正則 杉野 隆 吉井 邦恒 森地 茂
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

(1)わが国における過去20年間の鉄道事故を事業者、形態、原因という3つの観点から実証データをもとに統計的解析を行った。鉄道事故の推移を確率現象として捉えた上で、それらの形態を説明する数理モデルとして事故データを最も良く説明する確率モデルを提示し、特に踏切事故削減対策の効果分析を行った。(2)ネットワーク構造を有するライフラインシステムの頑健性の定量的評価のための基礎理論の構築と手法の開発を行った。その現実のシステムへの応用として、マニラ市(フィリピン共和国)と東京都における道路交通網を対象としたネットワークの連結強度解析に経路数え上げ法を適用し、両者の比較分析を行った。(3)都市交通・輸送、公共施設配置などの分野に対するOR手法の適用可能性に関する基礎研究として、わが国の主要な公共輸送システムとしての鉄道システムの軌道保守計画システムの構築、消防署等の公共施設最適配置のための数理計画最適化モデルの構築と検証、さらにはシステムモデル解の実用化を試みた。(4)わが国の危機管理対応策の一環として、食料安全保障問題を取り上げ、食料自給率向上のための最適戦略を求め、その効果分析を行うための最適化モデル構築を目的として、モデルの概念設計、データ収集、最適化計算を行った。(5)わが国における電力自由化問題を取り上げ、それに伴って増加が予想される各種分散型電源の望ましい普及形態を探る数理計画最適化モデルを構築し、供給者、需要家、そしてグローバルな観点という相互に異なる評価基準を有する主体にとって望ましい分散型電源の普及形態がどのようなものかを探った。(6)国内外における公共政策評価の理論と実際を整理するために、評価の現状、概要、事例紹介、経緯分析等からなる著書の編著を行った。本研究の最終報告書の作成を行った。
著者
八田 達夫 海蔵寺 大成 竹澤 伸哉 唐渡 広志
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

八田:東京のオフィスビルの容積率緩和がもたらす発生交通量の増大が引き起こす東京主要道路の混雑率の増加を測定し、その金銭換算を行った。さらに、これを容積率緩和のもたらす便益の増大と比較した。海蔵寺:「土地市場におけるバブル崩壊のメカニズム」を研究した。次ぎのことがわかった。(i)バブルは、限られた地域の土地(丸の内周辺など)に投資資金が集中し、地価分布の歪みが拡大してゆく現象であること、(ii)少数地点の地価が極度に高騰してゆく結果、利用可能な投資資金の大半が限られた土地に吸収されてしまい、高値を維持できなくなることからバブル崩壊が起きること、(iii)バブルの崩壊は、土地価格分布のジニ係数の時間的変化をモニターすることで予測可能であることがわかった。竹澤:2005年から2006年は、スポーツ設備における不動産開発とJREITに関する予備的研究を行い、学会で発表した。また、不動産開発プロジェクト等のデータベース(Bloomberg,PACAP,Deloitte-Touche,等のデータベースを使用)の構築を完成させた。さらにJREITに関する分析が完了し、論文"Beneficiary Rights in the Japanese REIT Market"(Nobuya Takezawaと共著)日本ファイナンス学会の2007年度大会で発表した。また、同論文のアップデート版が、アジアファイナンス学会で2008年7月横浜にて発表することになった。さらに、ウエスタン経済学会から、論文"Default Analysis of Golf Courses in Japan"の研究発表の許可を得た。唐渡:1991年から2001年の期間を対象にしてGISのポリゴンデータより土地利用変遷をデータ化した。これを利用して、事務所および住宅家賃関数の推定を通じて都心部の土地利用の非効率性の費用を計測した。また、用途変更パターンを観察しWheatonらの再開発定理を検証した。マンション価格のrepeat sales dataを開発し、品質変化の調整をおこなった不動産価格指数を測定した。代表的な価格指数Case&Shiller型の問題点である、住宅の経年変化による指数推定値のバイアスを取り除くための計量経済学的手法を提案した。不動産価格のマイクロな構造を分析するためのヘドニック・アプローチの理論と応用についてとりまとめた。さらに空間計量経済分析により地価関数の空間相互依存性を検証するための検定手法を提案した。
著者
鈴木 絢女
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

近年、競争的な選挙を実施する一方で、政治的・市民的自由に相当な制限を加える「半権威主義体制」の存在が指摘され、典型例として、エジプト、シンガポール、ヨルダン、マレーシアなどがしばしばあげられる。このような政治体制において、政策や法律は、どのように作られ、運用されるのか。これまでの研究は、「半権威主義体制」が、政府や与党、多数派民族の意思によって成立するもので、社会アクターや野党、少数派民族は抑圧され、政策過程に十分なアクセスを持たないと論じてきた。しかし、これらの研究は、「半権威主義体制」が自由民主主義の「欠如態」にすぎないという前提から出発しているため、政策過程について十分な実証過程を行っていない。そこで、本研究は、「半権威主義体制」の骨格をなす政治的権利を制限する法の立法過程と、そのような法の下での経済政策策定過程を、議会議事録と新聞、雑誌等報道、インタビューから明らかにし、マレーシアの「半権威主義体制」について、新たな見方を提示することを目指した。結論として、(1)主要な立法が、実際には政府、与党、多数派民族のみならず、社会アクター、野党、少数派民族も含めた包括的過程を経て成立していること、(2)(1)の帰結として、主要な立法は、様々なアクターの要求を反映した内容を持ち、立場の異なるアクター同士で、互いの行為を縛り合う「箍のはめ合い」としての性格を持ち、政府でさえも、法律を濫用して社会アクターや野党を抑圧することはできないこと(3)(2)のような「拘束性」の故に、少数派民族や野党の政策過程への参加が保障され続け、長期経済政策等に影響を与える余地があることを示した。その上で、このような特徴を持つ体制が、持続性を持ちうることを示した。以上の知見は、単著『<民主政治>の自由と秩序:マレーシア政治体制論の再構築』としてまとめ、2010年3月に京都大学学術出版会から公刊した。
著者
竹中 治堅
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、戦後日本の政策決定過程において野党が内閣の政策に及ぼした影響を明らかにすることを試みた。特に1990年代以降、いくつもの内閣が野党の掲げた政策に影響され、主要政策の一部に野党の構想を取り入れたことを明らかにした。野党が影響を及ぼすことになった主要な要因は二つある。一つは1994年の政治改革により選挙制度が小選挙区・比例代表制に変更され、二大政党化が進捗したこと。二つはしばしば国会が「ねじれ」の状況になり、内閣は政策課題に対処するためには政策について野党の考えを取り入れざるを得なかったこと。
著者
ユーチン シン
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

In this research, I analyzed China's ICT exports to Japan and the US, the two largest markets. It shows that China has been the largest ICT exporter to both Japan and the US. In addition, the research suggests that the growth of China's ICT exports has yet crowded out the ICT output of other Asian countries. FDI and production fragmentation may be the major reasons for the rapid growth of China's ICT exportsIn addition, the research used a theoretical model to analyze how the technology progress of a large developing country like China, would affect the welfare of advanced country in an open economy. The exogenous technology growth due to FDI inflows/trade will affect the welfare of the advanced trading partner negatively. The result is more general than Samuelson (2004).
著者
アリスター モンロー
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

エコ商品とは、環境上の利点を持った日用品のことである。たとえば、カーボン・ニュートラルな航空機による旅はエコ商品と言える。エコ商品の存在は、さらなる環境保護につながる可能性がある。しかし、価格のごく一部しか環境保護に充てられない例がしばしば見受けられ、これは、「グリーンウォッシュ(環境保護に努めているふりをしながら利益を貪ること)」と呼ばれるエコ商品特有の現象である。経済学的実験から、被験者にエコ商品を購入する機会を与えると、環境理念全体に対する貢献度の低下につながる可能性があることが判明した。被験者はエコ商品を買うことで、それ以外の環境理念に対する寄付をやめるのである。一方、環境理念に対する貢献を求められた時の道徳的ジレンマを回避するために、あえてお金を払う被験者もいる。要するに、エコ商品のために、環境理念に充てられる資金が減少し得るということである。
著者
竹中 治堅
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、金融危機のように長期的に顕在化しない政策問題がどのように解決される条件について比較政治における集合行為論や政官関係論を参考にしながら探ることを試みた。このため日本、アメリカ、スウェーデンにおける金融危機が発生した時の、政府の対応を比較分析した。政治状況について把握することにつとめた。各国を比較して明らかになったのは金融危機の解決される状況に共通の特徴があることである。それは政権交代がおきることが、金融危機の解決を促進するということである。1920年代の日本、80年代のアメリカ、80年代から90年代のスウェーデンの場合、いずれも長期化した金融危機は政権交代がおきた後に初めて解決されている。ただ、政権交代が短期間におわった90年代の日本では政権交代が金融危機の解決を促進することにはならなかった。政権交代が金融危機の解決につながることは集合行為論や政治家や官僚の選好によってこれを説明することができる。金融問題は長い間顕在化しないため、問題解決に取組もうとする場合、まず問題の存在を認めることから始めなくてはならない。問題の存在を認めることは過去の政策の失敗を認めることである。政権交代がおきていれば、政策の失敗を過去の政権政党に帰することができるのに対し、政権交代がおきていない場合には、与党や官僚機構に対する批判を招くことになる。このため、与党や官僚はなかなか問題解決に取組まず、問題が長期化するのである。金融システムの安定が公共財の性格を帯びており、他の政治アクターが問題解決することを期待し、自らは行動しようとしないただ乗りの問題が発生することも金融危機の長期化につながっている。
著者
大野 健一 大野 泉 細野 昭雄 上江洲 佐代子 川端 望 木村 福成 ALTENBURG Tilman LEFTWICH Adrian KHAN Mushtaq GEBRE-AB Newai GEBREHIWOT Berihu Assefa 森 純一 PHAM Hong Chuong NGUYEN Thi Xuan Thuy
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

市場経済やグローバル化と矛盾しない産業振興を「プロアクティブな産業政策」と定義し、東アジアを中心にそのような政策事例を収集・比較したうえで、その具体的な内容、つくり方、組織、文書などを解説する英文・和文の書物を出版した。また研究成果を現実の開発政策に適用するために、本学が国際協力機構(JICA)等と共同で実施しているエチオピア政府およびベトナム政府との産業政策対話において、カイゼン、官民協力、行動計画のつくり方などにつき提言を行い、そのいくつかは実際に採用された。