著者
Shu-Yuan Lin Jen Yen Kwoting Fang
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.5_11-5_20, 2012 (Released:2012-02-22)
参考文献数
16

The purpose of this study is to facilitate the discovery of categories for packaging-design benefits and brand equity in order to further examine the impact relationship among categories in the two dimensions, as seen from the perspectives of packaging design experts. Finally, this article will develop research propositions that were used as a basis for formulating hypotheses in empirical studies. Research results showed that the dimension of packaging-design benefits included 13 categories that are aesthetic, cultural, symbolic, convenient, environmental, informative, visibility, protective, innovative, identifiable, systematic, memorable and displayable qualities. In the brand equity dimension, the literature review and coding analysis obtained 22 categories. In examining the categories relationship between packaging-design benefits and brand equity, this study found 68 category relationships between the two dimensions. Furthermore, analysis from the perspective of packaging design experts showed that the relationship between packaging-design benefits and brand recognition was the strongest and also the most important. Packaging design experts considered the influence of packaging-design benefits on brand awareness and brand association equally important. However, in terms of brand association, the relationship strength and importance of packaging-design benefits and non-product-based association was low compared to product-based association.
著者
三橋 俊雄 宮崎 清 坂本 勝比古
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.82, pp.49-56, 1990-11-30
被引用文献数
1

本小論は,大正期から昭和戦前期における農村・農家副業としての工芸生産に関する史料を解析し,今日の地域産業おこしに対する基本的視点を見定めようとしたものである。本小論の検討内容ならびに結論は,次のように要約される。(1)疲弊する農村救済策としてなされたこの時期の農商務省による副業奨励施策は,時代の推移につれ,その中心を,地域資源を活用した地域工芸の創生に移していった。(2)初期商工省工芸指導所ならびに高崎におけるブルーノ・タウトは地域工芸のあるべき理念・方法を提示した。両者は,ともに,伝統的・地域固有資源の再認識に基づく工芸デザイン活動が地域社会に根づいていくことこそ,調和ある社会発展にとって不可欠であることを説き,実践した。(3)初期工芸指導所および高崎におけるブルーノ・タウトの活動には地域産業自体の「内発的」活性化に向けての要件が含まれ,今日の地域工芸産業の振興に関しても示唆する点が多い。
著者
宮木 慧子 石村 真一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.147-156, 2001-11-30
被引用文献数
1

本論は、有田(伊万里)焼のワラ荷造りにおける「輪巻き」と「菰包み(小口切り)」の特色ある形態に関する造形要素について考察することを目的とする。絵画資料および現地調査によって得られたワラ荷造りの造形要素等を考察した結果、次の結論を得た。(1)「菰包み」・円筒形俵タイプは、日本の伝統的包装技術である俵、苞、菰、縄の技術文化の発展とみられる。形態については、海上輸送を主体とする衝撃に強い小型陶磁器専用包装として発展してきた。(2)精緻な「輪巻き」は、造形要素である太縄(ドグラワ)の格別な意匠に特徴がある。意匠の独自性は、大型陶磁器を対象として、遠距離海上輸送における保護機能を最優先して発展した可能性が強い。さらに、調査の結果、輪巻きタイプの成立は、陶磁器包装にみる樽掛け縄の事例や、輪巻きの呼称が示すように、近世、酒の海上輸送用容器として発展した酒樽の〓の意匠や、樽の梱包文化との連関が類推される。
著者
吉岡 聖美
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.39-46, 2010-07-31
被引用文献数
1

本論文では,抽象絵画における直線表現要素の違いと印象評価の関係を検証し,併せて,病院空間に展示された場合の印象評価について比較検証することを目的とする。方法は,直線表現の異なる抽象絵画を用いた画像を鑑賞し,得られた印象評価の評定値について分析を行った。これにより,傾きのある直線・長方形を強調したマレーヴィチ絵画は,"イライラする""激しい""動的な"という印象評価が大きくなった。境界を強調しないロスコ絵画は,"穏やかな""退屈な""静的な""リラックスした"という印象評価が大きくなった。垂直線・水平線を強調したモンドリアン絵画は,"軽い"という印象評価が大きくとなった。また,病院空間という特有の空間に絵画が展示されると,直線表現要素の違いによって固有の印象評価に差が生じた。この研究結果から,抽象絵画における直線表現要素の違い(垂直線・水平線・斜線)が印象評価に影響することが示唆された。
著者
土屋 雅人
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, pp.12-15, 2006-03-30
被引用文献数
1

神奈川県藤沢市では、市内の13の地区毎に防災マップを作成し、6〜8年間隔で地図の改定を行っている。そのひとつ、辻堂地区では2001年に作成された防災マップがあるが、記載情報に経年変化が生じているため、最新版の制作が必要となっていた。そこで、湘南工科大学土屋研究室と辻堂地域の市民提案団体「辻堂くらし市民の会」(以下「くらまち」)は、2004年4月に防災マッププロジェクトを立ち上げ、協働して防災マップの調査・制作を行った。従来の防災マップの作成では、実地調査や地図制作の効率の悪さが課題となっていた。そこで本研究では、GPS(全地球測位システム)機能付携帯電話を利用したGIS(地図情報システム)を導入し、ITツールの高精度化・効率化と地域住民の地の利の相乗効果を狙った手法を試みた。2004年5月〜7月に実施された調査の結果、街頭消火器や貯水槽など、合計約480箇所の情報が取得された。2005年3月に防災マップが完成し、2,000枚の地図が辻堂地区住民に配布された(図1)。
著者
佐々木 美貴
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.16, no.16, pp.94-97, 2011-03-30

篠崎ビオトープは東京都江戸川区の江戸川の河川敷にあります。ここは、地域のボランティアグループの活動が元になり計画されました。著者は、環境デザイナー、市民としての8年間、このビオトープの計画に関わってきました。ビオトープ完成までの経緯。また、工事終了後に「絶滅危惧種の植物」が確認されたことも、合わせて報告します。
著者
竹末 俊昭 西澤 明洋 朝霧 重治
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.13, no.13, pp.40-45, 2008-03-30

本案件は、埼玉県川越市(通称:小江戸)のビールブランド「COEDO」のブランドデザインプロジェクトである。商品パッケージを含む、全ブランドアイテムのリニューアルを行い、かつてのいわゆる「地ビール」から「プレミアムビール」へのブランドリニューアルを行うことが最大の目的であった。ブランドロゴと日本の色をコンセプトとしたデザインはブランド認知の向上とプレミアムブランドに相応しい表現の両立を狙った。大手メーカーがひしめくビール市場の中で「中小企業でもデザインによって確固たるアイデンティティを獲得できる」ことを実践するため、コンセプトから商品の細部、ブランド戦略に至るまで時間をかけて丁寧に作り込んだ。デザインが一企業の為だけにとどまらず、川越地域(小江戸)全体のイメージ向上に貢献できることを目指し、COEDOの世界観を構築していった。
著者
SATO Kiminobu KON Yuichi KUSHIDA Risa IZUMISAWA Aya TSUJI Nahoko
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.109-116, 2011-01-31

This paper carries out a classification of the existing interactive exhibits at a science museum. Various interactive exhibits are examined to identify their characteristics, which are used for evaluation purposes to create a matrix for evaluation of each exhibit. The Quantification Method III is used to elucidate the overall characteristics of the target exhibits. Cluster analysis is applied to these results so as to sort into groups. By plotting the target exhibits on 'the degree-of-freedom' and 'the development of understanding vs. the opportunities of learning' axes, it is possible to ascertain the characteristics of these exhibits. It is clear that six groups can be formed, each with different characteristics. Visitor interviews and video recordings are taken of visitors'utterances and behavior to examine how the visitors engage with the exhibits. From the data is compared to examine the relationship between the characteristics of the exhibits and the evaluations of the visitors, the popular exhibits tend to be 'physical entertainment' type exhibits where 'interaction between the exhibit and the visitor' and 'communication between visitors' occurred in more or less the same proportion. In other words, the exhibits that evoke interaction with the exhibit as well as communication between visitors in good balance are considered to be very enjoyable.
著者
堀田 明裕
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.57-66, 1997-07-31
参考文献数
17
被引用文献数
2

本論は大学におけるデザイン教育の問題の分析と、今後の方向に関する提案を目的としている。戦後我が国に導入されたデザインの考え方は、経済や技術、あるいは生活スタイルなどの影響を受けて大きく変化してきた。この変化に対するデザイン教育の問題として、デザイン教育の検討体制、技術と技能、美的評価、教育におけるコンピュータ使用の位置づけ、教育と研究の関係、大学の基本的役割について分析した。これらに基づいて、今後のデザイン教育の目標を構想能力と造形能力の獲得とし、その方法として実技教育と知識教育の融合とした。また、教員の役割として、各自の教育上の特色を持つこと、教育技術の向上、教員間のデザイン評価に関する討論と学生への公開、研究作業への学生の参加を提案した。更に、今後のデザイン教育の共通基盤構築の視点から、デザインにおける美的評価の論理や教科書作成の必要性を提案した。
著者
生田目 美紀 北島 宗雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.90-91, 2009-06-20

This paper reports an eye-tracking experiment conducted to compare alternative representations on web pages. The experiment simulated a directory-based information search task to understand how it is performed when directories are represented in text, labeled-pictograms, or unlabeled-pictograms. The eye movement data were analyzed by the parametric ANOVA to understand how the method of directory search adopted by the hearing group and the deaf group might be different under the influence of the differences in directory representations. The result demonstrated that only in the labeled-pictogram representation, the hearing group and the deaf group performed equally well in terms of the eye movement measures.
著者
田中 隆充
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.154-155, 2009-06-20

地域には観光ガイドブックやインターネットの情報等にはない、地元の人にしか分からない由来や体 的な歴史がある。それらの情報は現場にいかなければ分からないことや住んでいなければ分からない情報も多々ある。これらの情報は本来、代々伝えていくことが重要であるが、これらをアーカイブ化し、共有することも大切な要素と考えた。また、その情報の貴重性を伝えるために、情報の演出の仕方を考える必要がある。そこで、その場にいてその場の過去の映像や音声を体感することで、その地域の特色や本質的な歴史観を見いだすことができるのではないかと考えた。そこで、それらを具体的に示す方法の一つとして、携帯電話のQRコード読み取り機能を用いて、使い手がインターネットに手軽にアクセスし、そこから過去の画像等を携帯電話側に読み込ませることで、携帯電話の画面やイヤホンから表示できるコンテンツを実 的に制作した。本研究においては岩手大学構内に 力所のQRコードパネルを2006年度から2007年度の 年間に設置し基礎的な実 を行った。そして、2008年度は国立公園に指定されている岩手県浄土ケ浜に設置することで、観光の最前線での試みを行い始めた。
著者
山下 久美子 平田 克二
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.47, pp.186-187, 2000-10-16

This study proposes an approach to establishing a color Scheme for Town Scape Design. It should be do the town scape design for a long time, so the analog data change the digital data for scene research data, color reserch data, and symuration. The abstract of the scene reserch is building mesurement, struchture, color, etc. The color reserach data change the digital data are useful of color scheme and plannig process for town scape designs.
著者
林 振陽
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.99, pp.1-6, 1993-09-30

前報「精神薄弱児の基本形態と製品形態に対する認知」に引き続き,本稿は扇風機のボタン操作における認知と反応についての実験をまとめたものである。形状や付加記号や色彩の異なるボタンに対する精神薄弱児の認知と反応を調査・検討した。ボタン操作実験では,使用するボタンの形を正方形,長方形,円形,三角形,楕円形の5種類に,記号と色彩の配合をI:無記号・無着色ボタン,II:アラビヤ数字ボタン,III:漢字ボタン,IV:ローマ数字ボタン,V:1色着色ボタン,VI:3色着色ボタンの6種類に設定した。実験対象は台湾省台南啓智学校在学生30名で,すべて6〜15歳の軽・中度精神薄弱児である。実験は,実験組15名と,制御組15名の2班に分けて行なった。結果として,ボタン形状に対する認知において,三角形と円形と正方形の正答率が高く,文字・記号・色彩などが付けられた場合は上記VI・IV・IIの正答率が高いという知見が得られた。本研究で得られた知見は,精神薄弱児により適切な生活製品を提供するための参考になると思われる。
著者
和田 精二 大谷 毅
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.53-60, 2005-03-31
参考文献数
17

関連報告(研究1, 研究2)において, 松下電器と三菱電機のデザイン部門が成立するまでの経緯をMOD(Management of Design)[注1]の視点から調査した。本研究においては, 東芝のデザイン部門が成立するまでの経緯を扇風機のデザインを事例として調査した。その結果, 東芝のデザイン部門は, 松下電器や三菱電機と違った経緯で組織が成立したことが理解できた。東芝は, 家電製品に関し日本で最も長い歴史を持っている。その伝統が歴代の経営幹部によって引き継がれるとともに, 当該業界では日本初とも言える社外の公的機関である産業工芸試験所との強い連携, 同所からのデザイン指導, 外国人の嘱託採用などが同社デザイン部門の設立に寄与したことが理解できた。
著者
平野 聖
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.200-201, 2009-06-20

A purpose of this research is to find the feature of the design development of Japanese home electronics by studying history with the design of electric fan. We considered about the design development case of the electric fan in Panasonic ecology systems at the Showa latter period, and noticed the following things.The shape of the electric fan of each company had almost become same, so they aimed at the quality of the wind. For the purpose of reproducing "natural wind", their electric fan has evolved in "the wind of the 1/f shake" via "the rhythm wind" and "the random wind". They changed the form of their electric fan body to appeal for the innovation of their new "natural wind".
著者
岩田 彩子 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.31-40, 2009-11-30
参考文献数
23

本稿は、JIDA機関誌掲載記事を対象にして、1960年代におけるJIDAの活動内容、とりわけ世界デザイン会議(WoDeCo)の意義を中心に、観察・考察を行ったものである。その結果、次の知見を得た。(1)1960年5月に開催されたWoDeCoにJIDAは組織としては参画しなかったものの、会議に参加したJIDA会員たちの間には世界における日本のIDへの気付きが生まれた。(2)1960年代にJIDAはIDに関する研究会活動を活発化させ、機関誌にその詳細を掲載し、JIDA会員に広く知らしめた。(3)1960年代のJIDA機関誌は、ICSID国際会議に参加したJIDA会員による詳細な報告を掲載し、世界におけるIDの動向への注視と会員への広報に意を注いだ。(4)JIDAは、1965年以降、ICSID国際会議等の海外におけるID会議の動きにも対応し、国内で活発化したID研究会の経験的蓄積に基づいて、国内におけるデザイン会議を毎年開催するようになった。(5)ICSID総会を日本に招致することをJIDAは1965年に機関決定し、1973年の日本におけるICSID国際会議開催への繋がりを築いた。
著者
大谷 未起生 植田 憲 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.51, pp.182-183, 2004-05-30

This paper aims to investigate the Boushu Round Fan as the one of National Designated Traditional Craft that is produced on Southern Chiba. By analyzing the history and present condition, this study tried to find the essential matters for future Industrial Promotion. This Boushu Round Fan Industry recently rapidly decrease and be done only by the aged people. Problems to discover the present values and the lack of bamboo as the basic material also caused the decreasing of the production activity of Bousho Round Fan. Based on field survey, by various perspectives this study concretely observed the promotion plan.