著者
柚木 泰彦 山本 毅 秋田木工株式会社 パラマウントベッド株式会社
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.7, no.7, pp.14-17, 2001-03-30
被引用文献数
1

曲げ木車いすは、秋田県産のブナ材を用い、主な地場産業である秋田木工(株)の曲げ木技術を活用して開発された。これからの高齢社会において、生活者のための日常生活用具に求められる要素としては、安全性や使いやすさとともに、安心感や愛着感といった情緒面への配慮が欠かせない。車椅子というと、歩行補助器具としての機能性が先行しがちであるが、本作品のコンセプトは、むくのブナ材による温もりを大切にした屋内空間における動く家具の具現化である。本研究開発では、二度にわたる試作品の製作を通して、車椅子使用者による既存車椅子との比較評価および座圧分布測定の結果からいくつかの改良を経て商品化に至った。
著者
蓮見 孝 山田 博之
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.8, no.8, pp.48-53, 2003-03-30
被引用文献数
1

4ch(ヨンチャン)は、大学と企業がコラボレーションを行いながら企画・開発・制作した「ムーバ(人スケールの移動機器)」である。20世紀に急速に発達・普及したパーソナルカーの次の時代を創る新しい乗り物の概念とかたちを模索し、実走が可能なプロトタイプ・モデルを製作した。移動支援機器である電動車椅子や電動スクータもムーバの一種といえるが、本プロジェクトは、そのようなムーバを多くの人が乗りたいと感じるような魅力的な次世代型移動機器として提案しようとするユニバーサルデザインの取り組みでもある。本作品を、「産学コラボレーション」「授業運営」「デザイン・コンセプト」「機能と諸元」という4つの視点から紹介していく。
著者
永井 由美子 野島 久雄 小早川 真衣子 須永 剛司
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.A12-A12, 2010

私たちは「思い出を記録するワークショップ」を2006年から行っている。ここでの表現には「写真」と「語り」が使われている。本稿では開発した「Zuzie」を使用したミニワークショップを行った。そこでの「語り」は次の4種類あった。1語りたい語り、2写ってない語り、3見てない語り、4本当かどうかわからない語り。「思い出を記録するワークショップ」では、参加者は、表現方法についてはすぐに話し合えるが、個人の思い出に関して語るには時間がかかる。このミニワークショップでは、一つの写真に対して、いくつもの視点からみることによって、いくつもの「語り」を行うことができた。このことが、表現の共同体を構成するための重要な要素となると言える。
著者
梁 根榮 桐谷 佳惠 玉垣 庸一 赤瀬 達三
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.79-86, 2010-09-30

本研究では,日本に在住している外国人にどのような方法で行政機関から災害の情報提供がなされているのか調査を行った。まず,日本全国都道府県と政令指定都市に対し,質問紙調査を行った。次に,提供されている情報媒体を対象とし,分類,検討を加えた。その結果,災害情報の提供方法としては,大部分の地域で印刷物やホームページを利用して提供していることがわかった。そして,それらは,主に,英語,中国語,韓国語,スペイン語,ポルトカル語に翻訳して情報を提供していた。提供媒体の分類については,最も多く利用されていた印刷物・ホームページを中心に分析を行った。まず,各自治体において印刷物・ホームページによって提供されている災害情報に関する内容の分類およびデザインの分類を行った。分類の結果,帰宅対策はあまり提供されていなかった,避難所については印刷媒体に比べてホームページを利用して情報が提供されていた,デザイン面の分類については,印刷媒体は多言語と文字・イラストでほとんど提供しているが,ホームページでは,言語は1ヵ国語で,テキストのみ提供していることがわかった。
著者
宇都木 望 阿部 眞理
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.12, no.12, pp.98-101, 2007-03-30
被引用文献数
2

現在の普及型車いすは、冷たく地味であるといったイメージをもたれている。また、座面、背面かシート状になっているため、乗車している人の姿勢を崩すといった機能面での欠点も有している。そこで、本研究では、木材や紙材等の自然素材を主材料とし、感触や乗車時の姿勢の保持といった要素に配慮しながら、小回りの利く家庭用の車いすを提案した。使用した素材は、ブナ、キリ、コルクといった木材、紙材、フエルト材で、部材ごとに使い分けた。乗車時の姿勢の保持については、座面および背面を固定型とすることで解決し、さらに、家庭用といった用途にあわせ、狭いスペースでも小回りが利くよう車いすを改良した。自然素材を多用し、一般家庭内でも走行しやすい工夫を施した人にやさしい車いすの提案である。
著者
森 優子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.46, pp.64-65, 1999-10-15

The purpose of this research is to reconsider the fundamental aspects of Japanese typesetting. The results showed as follows. 1.The actual usage of typographical signs in periodicals and books in literature of from 1887 to 1896 during the Meiji poriod were grasped. 2. Books written in classical Chinese and its usage of punctuation had a major influence over the way of using them in Japan. 3. There are some effective and attractive, although they are in the primitive form, of typographical signs in the Meiji period's prints.
著者
西川 潔 森 優子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.45, pp.212-213, 1998-10-30

The object of this research is to consider appropriate Japanese standards on printing and copy editing styles. For that, we search under typographical signs on the printing : novels and newspapers in the Meiji period. The results of the search are following : We collected 26 kinds of punctuational patterns first. And, we collected about 100 kinds of typographical signs except punctuational marks. we also collected rrLany kinds of various ways to use them. As the result, we recognized that there are some effective or attractive examples of typographical signs on the printings in the Meiji period .
著者
森 優子 西川 潔
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.45, pp.210-211, 1998-10-30

The purpose of this research is to confirm a history of Japanese typographical signs and to comprehend its total image since the Meiji period. In this paper the authors survey the texts in the editorial handbooks, literatures and encyclopedias, and to classify the usage of punctuational marks, symbols, arranging and tabulating them in chronological order. These procedures may show that the influence of the Western punctuations and their usage appear variously changed the Japanese way of using them in the printing books.
著者
生田目 美紀 北島 宗雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.105-112, 2011-07-31

ウェブは,アクセシビリティ要件を満たしていると同時に,ユーザビリティ要件を満たしている必要がある。しかしながら,これらの二つの要件を同時に満たすようなウェブのデザイン方法が確立されている訳ではない。そこで本研究では,これら2つの要件の両立の可能性について検討するため,「理解可能」「操作効率」をとりあげ,ハイパーリンクというデザイン要素に着目し,視線計測実験を行うことにより実験的に検証した。実験は,2種類のユーザー(テキスト情報処理に優れた被験者群・イメージ情報処理に優れた被験者群)を想定し,3種類のハイパーリンクの表現方法(テキストのみ・イメージのみ・テキスト付きイメージ)を提示して行った。その結果,「テキスト付きイメージ」はユーザー特性に関係なく理解可能であり,操作効率が良いことがわかった。デザイン方法の一例として,アクセシビリティ要件とユーザビリティ要件を両立させるハイパーリンクの情報表現について明らかにする事ができた。
著者
羅 彩雲 宮崎 清 楊 静 植田 憲
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.81-90, 2008-09-30
被引用文献数
2

本稿は、台湾における伝統的な寝台「紅眠床」の制作技術に関する諸特質を、中部地域の職人からの聴き取りを通して明らかにしたものである。また、本稿は、職人からの聴き取りと文献資料との比較・考察を行い、台湾における伝統家具「紅眠床」に関する史料作成を志向したものである。本稿では次のことを明らかにした。(1)「紅眠床」を構成する部材名称は、機能特質を表現しつつも、職人の居住地域によって異なっている。(2)「紅眠床」の用材は時代によって変化するが、とりわけタイワンヒノキが「紅眠床」の歴史と密接に関係していた。(3)「紅眠床」の製造工程は、職人の営業形態によって異なるプロセスになっていた。(4)「紅眠床」の寸法規格は独特な単位に基づいており、職人の居住地により、その演算方法が異なっていた。(5)伝統家具「紅眠床」の制作は、時代とともに分業化が図られ、個々に専門技術を有する職人の連携によってなされるようになった。

1 0 0 0 パタパタ

著者
三崎 大地 五十嵐 浩也 高橋 紀元
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.15, no.15, pp.72-77, 2010-03-30

本作品は、帝国器材株式会社と筑波大学五十嵐研究室による、学校空間のための新しい木製家具の開発に関する共同プロジェクトの成果物である。日本の伝統的な玩具である「パタパタ」から着想を得た本作品の基本構造は、梯子状の四枚の板からなり、互いに帯で結合されている。この構造は、柔軟に変形し梯子の間に板を渡すことで、机や書棚、ベンチ、掲示板等の用途を持たせることができる。この変形可能な使用方法により、本作品は現在の学校環境に求められる様々な空間機能に、幅広く適用することを可能にする。
著者
植村 朋弘 刑部 育子 戸田 真志
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.16, no.16, pp.34-37, 2011-03-30

CAVScene(Gyobu,Toda,Uemura,kudo,2009)は、幼稚園など実践活動における学習環境を、観察記録するためのツールとして開発された。そこでの偶発的・創造的に起きる学びの過程を追いながら、効果的な観察記録が可能である。このツールは、片手で持てるサイズのWebカメラ付きモバイルPCで、移動しながら観察できる。画面上のタブレット機能によって、動画や静止画を撮影したり、再生しながら画像に直接メモ書きができる。付箋機能によって観察内容をテキスト人力し画像に貼ることもできる。このツールは、実践直後でも具体的画像を基に実践者にフィードバックし、観察者と情報共有しながらの振り返り(リフレクション)が可能である。開発は幼児教育・情報システム開発・インターフェイスデザインの3分野の研究者によって進められた。
著者
梨原 宏 奥田 光子 伊東 隆子 雫石 勝蔵 吉田 旺弘
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.65-74, 1996-09-10
被引用文献数
4

本報告は工業化に導いた木製車いすにおける木質環境が人間の感覚に及ぼす効果について明らかにしている。車いすの心理的イメージ評価から、木製車いすは20代の学生による外観評価では上品で温かく地味で落ち着いたイメージ、施設で介護に携わる使用評価では温かく女性的で健康的イメージと受けとめられている。日常の温度環境のもとの車いすの温度分布計測から、木製フレームは周辺温度変化に緩慢に反応し、金属フレームに見られない保温性をもつことが知られた。強調フィルターを用いた車いすの形態の認知性調査から、木材フレームの素地色は黄色系で反射率が低く、高齢による視力低下でも形態を認知できると推測された。高齢者の色彩の認知調査では寒色系および低彩度の色彩は誤認知をまねき易いことが分かった。以上から木製車いすの素材と色彩選択の設計指針が明確にされた。
著者
頼 瓊〓 趙 英玉 田中 みなみ 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.46, pp.98-99, 1999-10-15

台湾では、近年若者の服装の色として、黒がずっと流行色として定着している。本研究は、台湾における色彩文化研究の一環として、黒に対するイメージ調査を三回に分けて行った。初めのイメージ調査において、黒は「上質」「高級」「高価」のイメージが強いという結果を得た。次ぎの調査の結果、「重い」「強い」「硬い」「冷たい」「粗暴な」が黒の主なイメージ語として選ばれた。最後に黒の服装に対するイメージ語を書いてもらったところ、「セクシー」「クール」「ハンサム」などの連想語が55%〜60%であった。以上のようなイメージ調査を通して、人びとが黒を着装する理由として、黒の物理的性質によるのではなく、主にはその心理的なイメージによる実用性を重視した結果であることが明らかになった。
著者
日原 広一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.11-18, 2010-01-31

本論は,句作法や映画手法等創作体系において知られるモンタージュに着目。それが「ヒトの心を揺り動かすユニバーサルな法則」に関係するものと考え,そのモデル構築のための定義と構造を提示した。定義において,外延を心の諸機能(主観)であるのに対し,その内包を徹底的客観によって得られる心地よい響き合いとした矛盾の解決には,夏目漱石の主観の徹底的追及の果てに現れる非人情(超客観)という概念を当てた。また,超客観的な心地よい響き合い(ハーモニクス)の解説では,視覚系,聴覚系それぞれの種差といえる色相及び音律の生成アルゴリズムを用いた。そのことから,本論でいうモンタージュとは,その背後にある循環移行性を性質とする体系の作用反作用であるとした。モデルの検証は,ヒトの心を基礎、情緒、理性の3つの機能に大別させ,それぞれに対応したモンタージュ・モデル(ハーモニクス・ホイール)を設定。そこに循環移行性がみられるかどうかの方法でおこなわれた。結果,それぞれに循環移行性をもつモデルをつくることができた。
著者
須永 剛司 植村 朋弘 永井 由美子 須永 公清 繁田 智行 小早川 真衣子 敦賀 雄大
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.55, pp.122-123, 2008-06-20
被引用文献数
2

Information Design driven a multi disciplinary research project has been started. It is one of the CREST project funded by JST. In this paper we introduce a framework of the project that is "Platform design and development for creating, sharing and exchanging of people's everyday expressions." Concept of the design from "Marginal Art" by Shunsuke Tsurumi, philosopher, comprehensive views and recomposing functions for reflective thinking on the expressions and communal wisdom of the expressions are introduced as the framework. Acting practical workshops as ways of organizing the research project with multi disciplines for developing these concepts into technological system and cultural program are also discussed.