著者
市川 貴大 高橋 輝昌 浅野 義人 小林 達明
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.623-626, 2002-05-31 (Released:2011-02-09)
参考文献数
19
被引用文献数
5 5

簡易かつ精度よく雨水や塩化カリウムによる土壌抽出液に含まれるアンモニア態窒素を定量するために, 水質分析で用いられているインドフェノール青法 (原法) の試料・試薬を少量化し, 簡易化した。すなわち, 試料2mlを25mlの試験管にとり, 水を10ml加える。つぎにフェノール・ニトロプルシッドナトリウム溶液を2ml加えたのちに, すばやく次亜塩素酸ナトリウム溶液を2ml加えて混和し, 室温で一・定時間放置する。この液の吸光度を635nmで測定する (試験管法)。本研究では, 吸光度に及ぼす試料の塩化カリウム濃度, 反応させた温度, 反応時間の影響について検討した。その結果, 吸光度は塩化カリウム濃度, 反応させた温度, 反応時間の上昇に伴い高まる傾向にあった。また, 測定結果を原法と試験管法で比較したところ, 両者はよく一致し, ほぼ1: 1の直線で回帰できた。このことから, 試験管法は簡易かつ原法と同様の精度で雨水や塩化カリウムによる土壌抽出液に含まれるアンモニア濃度を測定することができる。
著者
山岸 裕 松江 正彦
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.241-244, 2011 (Released:2012-03-14)
参考文献数
8
被引用文献数
2 1

本研究では,街路樹として植栽されているイチョウ,プラタナスの地上部の形状の作成及び体積の計測を地上型レーザースキャナによる計測,計測データの編集及び樹木のサーフェスモデルを作成することにより行った。また,光波測距儀のマニュアル方式を用いた計測と比較検討を行った。本研究では,剪定後の街路樹で,切り口が瘤状の複雑な形状となり,光波測距儀では,正確にモデリングできなかったが,地上型レーザースキャナでは,枝等の瘤や樹皮の凹凸までほぼ正確に形状をトレースすることができた。ただし,イチョウなどの細枝などで一部形状を作成しきれない面も見られた。
著者
田崎 冬記 折戸 由里子 斎藤 新一郎 丸山 純孝 野嶽 秀夫 越後 貞
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.277-280, 2014 (Released:2015-09-18)
参考文献数
9

ケショウヤナギの水系毎の特性を把握するため,渚滑川水系 (渚滑川) および十勝川水系 (札内川) のケショウヤナギの結実および種子散布時期の比較を行った。その結果,渚滑川水系のケショウヤナギは,札内川より 3倍程度,種子散布期間が長く,9月下旬まで種子散布を行うことが明らかとなった。また,渚滑川において種子散布時期の初期~終期にケショウヤナギ種子を採取し,発芽試験を行ったところ,種子散布時期によって発芽能力に差異は見られず,7~9月まで発芽能力の高い種子を散布させることが明らかとなった。種子散布期間等から渚滑川のケショウヤナギは札内川のものとは異なる特性を有する可能性が示唆された。
著者
野田坂 伸也 鈴木 俊二
出版者
日本緑化工学会
雑誌
緑化工技術 (ISSN:03865223)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.1-14, 1982-03-31 (Released:2011-02-09)
被引用文献数
1

岩手県の中部にある貯水開始後15年たったダム湖の, 定期的に水没と露出をくり返すゾーンの植生調査を行なった。このダム湖は4~5月の雪どけ時に満水位になり, その後9月までは減り続け15~20m, 低下する。10月から再び上昇し満水位より数m低い状態が冬の半ばまで続く。2~3月は流入量が減るため低下し夏の水位に近くなる。この年満水位は約60日続いた。植生調査によって知り得たことを列挙する。(1) 水没深15m水没期間230日のゾーンで生育していた植物は木本11種, 多年草14種1年草11種。水没深10m, 水没期闇190日のゾーンで生育していた植物 (ただし上記の分を含む) は木本23種, 多年草19種, 1年草14種。水没深5m・水没期間60日のゾーンで生育していた植物 (上記の分を含む) は木本67種, 多年草31種, 1年草14種。以上は, たまたま調査区域に出現したものだけであるから, 調査が進めばこれよりはるかに多くの植物が長期の水没という厳しい条件に耐えられるということが見いだされるだろう。(2) 水没深 (当然水没期間と関係がある) と群落の変化の関係を見ると, 浅いところから深い方へむかって, 高木・亜高木林-低木林-多年草群落-1年草群落という変り方をしている。これは生活形で見ると「木本型=地上部・地下部共生き残る-多年草型=地上部は枯れ, 地下部だけが生き残る-1年草型=地上部・地下部共枯れ, タネから再生する」という変化で環境圧の増大に対応していることになる。(3) 水没深の浅い区域では, ダム建設以前にあった植生の影響が強く残っている。はっきりわかるもので水没深7m付近までは, 元の植生が残っている。(4) 長期水没~露出をくり返す区域でもふつうの場所と同じように, 地形や土壌の違いが植生に影響している。(5) 水没深と樹高・草丈とは相関関係がある。しかし, 一部の植物でははっきりしない。(6) サクセッションはふつう地にくらべるとかなり遅く, 深いところではほとんど停滞してしまうと考えられる。(7) 部分的に水没し, 一部が水面上にでている植物は, 春になるとそのままの状態で水面上の部分は開葉し, 花を咲かせる。しかも近くの陸上の同種の個体と同時期にこれを行なう。(8) 水がひいたあとで発芽してくる早さは種によって異なるが, 早いものは1週間後にははなれて見ても一帯が緑になったことがわかるほどすみやかに生長してくる。
著者
奥村 武信 澤 教子 藪下 裕己 田中 博
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.67-72, 2002-08-31
参考文献数
2
被引用文献数
4 4

国立公園内登山道に近接した長大な治山堰堤の景観的瑕疵を緩和する目的で河床砂礫による盛土が行われ近隣樹林からの飛来種子による樹林化を図るための生育基盤として植生基材吹付工,むしろ伏せ工が準備された。本論文では,(1)広大な河原への種子飛来の可能性を確認し,(2)施工翌年の発芽・枯死調査で植生定着にはむしろ伏せ工が適当であること,(3)続く1年の調査で植生基材吹付工が定着植生の初期成長に対して効果を示したこと,(4)その原因は表土層の水分保持特性と地温変動抑制の差異にあること,(5)樹種により効果に差のあることを述べ,その他の観察・調査した諸事項から植生基材吹付工の改善すべき点を議論する。
著者
比嘉 基紀 川西 基博 米林 仲 崎尾 均
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.451-456, 2015 (Released:2016-04-19)
参考文献数
25
被引用文献数
1

日本の主要河川では,侵略的外来種ハリエンジュの分布拡大が問題となっている。本研究では,埼玉県荒川河川敷のハリエンジュ若齢林の伐採跡地で刈り取り試験を行い,本種の刈り取りによる管理について検討した。2007年 1月に伐採跡地に刈り取り頻度 (年 1~3回) の異なる調査区を 10個設置した。5年間試験を行い,処理間で萌芽再生量の経年変化を比較した。年 1回処理区では開始翌年にすべての調査区で萌芽再生量が増大した。3年目以降は,萌芽再生量は減少傾向にあったが,初年度と大きな差は認められなかった。一方,年 2,3回処理区では,開始翌年から萌芽再生量の減少が認められたことから,刈り取りを継続することで萌芽再生量は抑制できると考えられる。萌芽再生量の減少率をもとに萌芽再生量が 0.1 kg/100 m2となるまでの年数を推定した結果,年 2回以上の刈り取り区では 6~8年間であった。しかし,調査地周辺は明るく開けており,刈り取りを停止すると萌芽が再生する可能性がある。このため,実際にハリエンジュを枯死させるためには作業をさらに数年程度継続する必要があると推察される。
著者
田崎 冬記
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.121-124, 2013 (Released:2014-04-02)
参考文献数
6
被引用文献数
1

北海道内の河川においてもハリエンジュ繁茂が各種の問題を引き起こしている。また,道内の河川では,近年,ヤナギ繁茂が著しく,ハリエンジュと同様に適切な管理が求められている。そこで,本調査では,これらの河畔林において冬季に伐株断面への薬剤塗布等を行い,薬剤塗布による河畔林管理の可能性について検討した。その結果,ハリエンジュは伐採のみでは枯死せず, 伐採後8 ヶ月程度で元の樹高の7 割に達する萌芽を複数伸長させた。他方,薬剤塗布ではハリエンジュは7 割が枯死し,生存個体も矮小化した。また,ヤナギでは薬剤塗布により全て枯死した。伐株断面への薬剤塗布は,従来の噴霧型に比べ,水系への薬剤の流出の心配が少なく,有効な河畔林管理の一つとなると考えた。
著者
崎尾 均 川西 基博 比嘉 基紀 崎尾 萌
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.446-450, 2015
被引用文献数
1

外来樹種ハリエンジュの除去方法を検討するために,巻き枯らし(環状剥皮) 処理を行い,9年間に渡って調査を行った。巻き枯らし後,地上部の幹や水平根から萌芽が発生したが,伐採と比較して根萌芽の発生量は少なかった。萌芽の除去の回数を検討した結果,1年間に 2回以上行えばハリエンジュを枯死させることができると考えられた。また,ハリエンジュは水平根によって個体間で接続している場合があるため,林分全体の個体に対して巻き枯らしを行うことで,効果的に枯死させることができると予想された。以上の結果から,巻き枯らしはハリエンジュの除去に有効な手段であることが示された。
著者
頭山 昌郁 中越 信和
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.13-20, 1994-08-10 (Released:2011-06-07)
参考文献数
28
被引用文献数
11 15

都市域の緑地を, 相観に基づいて, 森林 (W型), 散開林 (P型), 開放地 (O型) の3つの植生タイプに分けた。これらを地表の被覆状態に基づいて細分し, 全部で6つの相観タイプに類別した。これらの緑地でアリ相の調査を行い, 生群集の維持・保全に適した緑地の内部構造について検討した。その結果, Ao層の豊富なW型の緑地でアリの種数が最も多く, 樹林地と開放的な芝地の性格を併せ持つP型の緑地がこれに次いだ。アリ類の種多様性は, 環境の多様性に左右されているようであった。
著者
彦坂 洋信 小林 達明 浅野 義人 高橋 輝昌
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.221-229, 2000-02-28 (Released:2011-02-09)
参考文献数
19
被引用文献数
1

神奈川県の丹沢山地において, 周辺植生と登山道荒廃の程度等との関係について調査を行った。その結果, 傾斜度や登山道周辺植生の低木・草本層の違い, あるいは土性の違いによって, 侵食量・侵食幅・侵食深といった登山道荒廃の程度等に明らかな差異が認められた。特に, 草本層の植被率が低い所やイネ科の草地内など, 周辺植生の表土中に太い根が少なく, 植被率や植生高が低く人が脇にそれやすい地点では, 登山道幅の拡大が顕著にみられた。また, 登山道内の土性が, 透水性が悪く侵食されやすい壌土の地点では, 侵食深が拡大する傾向がみられた。逆に, ササ類が密に生育し, 表土中の太い根の量が多い地点では, 侵食幅の拡大はほとんどみられず, また透水性の良い砂壌土の地点では比較的侵食深の拡大は抑えられていた。
著者
金丸 拓央 澤田 佳宏 山本 聡 藤原 道郎 大藪 崇司 梅原 徹
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.437-445, 2015 (Released:2016-04-19)
参考文献数
19
被引用文献数
1

オオフサモは主に関東以西の各地で水路の閉塞や在来種の圧迫などの問題を引き起こしており,特定外来生物に指定されている。近年,各地でオオフサモの駆除が行われているが,どの事例でも駆除後にオオフサモが再繁茂し,根絶できていない。本研究では,オオフサモの根絶手法を検討するため,オオフサモの生育状況調査,室内での遮光実験,野外での駆除試験をおこなった。生育状況調査の結果,オオフサモはため池全面を高被度で覆っていたが,定着しているのは水深の浅い水際部だけで,水深が 30 cmを超える場所には生えていなかった。室内での遮光実験の結果,長さ約 20 cmのオオフサモの苗は,遮光期間が長くなるにつれて主茎の上部から枯れ下がり,短くなっていった。遮光 158日目にはまだ生残個体があったが,遮光 197日目には生残個体は確認されなかった。野外での駆除試験の結果,底泥剥ぎ取りと遮光を併用した場合に限り,駆除後にオオフサモが再生しなかった。これは,大部分の根茎断片が底泥剥ぎ取りによって除去され,残された少数の断片が遮光によって枯死したためと考えられる。底泥剥ぎ取りと遮光を併用すれば,オオフサモを局所的には根絶させられる可能性がある。
著者
安里 隆 友利 昌俊 横塚 享
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.175-178, 2007 (Released:2008-02-21)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

リサイクル緑化工法により,現地採取種子を用い大保ダム建設工事 (付替村道) において施工した法面緑化について,施工後5年3ヶ月を経過した時点での植生状況・生育基盤状況を報告する。また,当施工において生育基盤材料として用いた未完熟チップ材に関する追跡調査結果と,同様に施工された全国の事例における生育基盤状況調査結果との比較を行い,C/N比の推移や植生への影響などについてあわせて報告する。
著者
〓 徳泉 増田 拓朗 守屋 均
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.292-295, 2001-08-31
参考文献数
10
被引用文献数
1

高松市中央通りの中央分離帯に植栽されているクスノキ並木をめぐって, 市のシンボルとしての緑豊かな樹冠を望む一般市民と, 見通しのよい圧迫感のない車道空間を望む運転者の論争が20年以上にわたって繰り広げられている。車道上に張り出した車道建築限界 (4.5m) よりも低い枝が問題になっているわけだが, 現在, このクスノキ並木の平均樹高は10.4mで, ほぼ樹高成長の上限に達しており, 現状で下枝を切除すると極めて貧弱な樹冠にならざるを得ない。4個体を選んで土壌断面調査を行ったところ, 有効土層は浅い所では40cm, 深い所でも80~90cmであり, 固結土層が樹高成長を制限している可能性が示唆された。固結土層を膨軟化して, 有効土層を深さ1.5m以上確保してやれば更なる樹高成長が期待でき, 緑豊かな樹冠と見通しのよい圧迫感の少ない車道空間の両立が可能になるものと考えられる。
著者
陣門 泰輔 佐藤 治雄 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.397-402, 2000-05-20
被引用文献数
10 5

本研究では森林表土の持つポテンシャルを評価し, その利用法を検討することを目的とした。大阪府茨木市のアベマキ林, モウソウチク林, 千早赤阪村のシイ林, 泉佐野市のコナラ-アオモジ林, 兵庫県西宮市のアカマツ林の森林表土を荒廃地のモデルとした土壌基盤に播きだし, 活性炭素混入, 施肥, 土壌基盤・マサ土との混合, コバノミツバツツジの追加播種などの追加処理を行い, 全木本発芽個体の消長, 高さ・葉張りを追跡調査した。どの森林表土からもアカメガシワなどの先駆木本種の発芽がみられ, 成長を続けた。森林表土播きだしが荒廃地における早期の植生回復に有効であり, 施肥によってより早期の植生回復が望めることがわかった。
著者
倉本 宣 辻永 和容 斉藤 陽子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.385-390, 2000-05-20
被引用文献数
3 2

多摩川河川敷においてカワラサイコの局所個体群が103箇所, ヒロハノカワラサイコの局所個体群が3箇所発見された。両種の分布は細粒堆積物が薄く, 群落高の低い立地に限られていた。芝の堤防法面においては, カワラサイコは生育していたが, ヒロハノカワラサイコは見られなかった。発芽実験の結果, カワラサイコはシャクチリソバの菜の庇蔭による発芽抑制効果および変温による発芽促進効果を持たないのに対し, ヒロハノカワラサイコは両効果を持っていた。カワラサイコは植被の下でも発芽するのに対し, ヒロハノカワラサイコは植被の下では発芽しないと推測される。この発芽特性の違いが, 芝の堤防法面における分布に影響を与えている可能性がある。
著者
宮脇 成生 伊川 耕太 中村 圭吾
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.343-347, 2014
被引用文献数
3

主に 2001~2005年度の期間に実施された河川水辺の国勢調査の植生図より植生タイプ別面積を集計した。その結果,全国 109水系における外来植物が優占する群落の面積は,調査範囲における陸域の 8%を占めることが明らかになった。また,外来植物が優占する群落面積の 4割以上を緑化植物の優占する群落が占めていた。外来種別の優占群落面積では,上位 10種のうち 6種が緑化植物 (ハリエンジュ,カモガヤ,シナダレスズメガヤ,オオアワガエリ,オニウシノケグサ,イタチハギ) で占められており,日本の河川域において,外来の緑化植物が広範囲に拡大していることが明らかになった。
著者
相澤 章仁 田中 愛子 小林 弘和 小林 達明
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.527-533, 2015 (Released:2016-04-19)
参考文献数
28
被引用文献数
4

外来種を管理・防除するためには,どの外来種が在来生態系に影響を与えているかを評価する必要がある。本研究では千葉県北西部を流れる利根運河の堤防植生を対象として,コドラートを使ったランダムサンプリングによる植生調査を行い,TWINSPANと統計モデリングを用いて外来種の在来生態系への影響評価を行った。TWINSPANの結果,対象地の植生はセイバンモロコシ・セイタカアワダチソウを指標種とした 2つの外来植物群落と 2つの在来植物群落に分かれ,統計モデリングでもこの外来種 2種が在来種の分布に影響を与えていることが示された。影響の度合いはセイバンモロコシの方が強く,個体レベルでの影響 (50 cm × 50 cm)と個体群レベルでの影響 (5m × 10 m)の両方の空間レベルで在来種に影響を与えていた。セイタカアワダチソウは個体レベルでの影響は検出されなかったため,本種の完全排除というよりは,低密度管理を行うことで在来種の回復が望める可能性があることがわかった。現地において防除活動を進める際には本研究の調査方法を用いてモニタリングを進めていくことが有用であると考えられる。
著者
相澤 章仁 田中 愛子 小林 弘和 小林 達明
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.527-533, 2015
被引用文献数
4

外来種を管理・防除するためには,どの外来種が在来生態系に影響を与えているかを評価する必要がある。本研究では千葉県北西部を流れる利根運河の堤防植生を対象として,コドラートを使ったランダムサンプリングによる植生調査を行い,TWINSPANと統計モデリングを用いて外来種の在来生態系への影響評価を行った。TWINSPANの結果,対象地の植生はセイバンモロコシ・セイタカアワダチソウを指標種とした 2つの外来植物群落と 2つの在来植物群落に分かれ,統計モデリングでもこの外来種 2種が在来種の分布に影響を与えていることが示された。影響の度合いはセイバンモロコシの方が強く,個体レベルでの影響 (50 cm × 50 cm)と個体群レベルでの影響 (5m × 10 m)の両方の空間レベルで在来種に影響を与えていた。セイタカアワダチソウは個体レベルでの影響は検出されなかったため,本種の完全排除というよりは,低密度管理を行うことで在来種の回復が望める可能性があることがわかった。現地において防除活動を進める際には本研究の調査方法を用いてモニタリングを進めていくことが有用であると考えられる。