2 0 0 0 OA 貝類雜記 (5)

著者
瀧 巖
出版者
日本貝類学会
雑誌
ヴヰナス (ISSN:24329975)
巻号頁・発行日
vol.3, no.6, pp.346-358, 1933-02-28 (Released:2018-01-31)
著者
北尾 耕二 波部 忠重
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.61-63, 1982-04-15 (Released:2018-01-31)

Hamineobulla kawamurai Habe, 1950 (Figs. 1-2) had been described based on only a single empty shell collected from Okinawa Main Island, Ryukyu Group, and provisionally placed in the family Bullidae. But, after Kitao's observation on radula of the specimen collected from the shallow sandy bottom off Tomioka, Amakusa, the west coast of Kyushu, it was shown that this species has no central tooth and one horn-shaped lateral tooth on each side, suggesting a close relationship with Cylichnatys angusta (Gould) of the Family Atyidae, which has one central tooth and one horn-shaped lateral tooth on each side. Therefore, Hamineobulla kawamurai Habe may be transferred from the family Bullidae to the family Atyidae. According to the original description of Pseudophiline hayashii Habe, 1976 (Figs. 3-5), this species has neither radula nor stomachal plates. But, Kitao has found the vestigial radular teeth in the buccal cavity. The radula has no central tooth, a single large lateral tooth, and two small marginal teeth on each side like in the genus Philine Ascanius, which has only a large lateral tooth on each side. Therefore, Pseudophiline hayashii Habe may be transferred from the family Aglajidae, which has neither radula nor stomachal plates, to the family Philinidae.
著者
キルバーン R. N.
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌 (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.215-218, 1992

大英博物館とパリ自然史博物館収蔵のインド太平洋産のクダマキガイ科を研究中, 次の3種がそれぞれアクキガイ科とフトコロガイ科に所属することが判った。Pleurotoma (Defrancia?) trifilosa E. A. Smith, 1882はColumbella burnupi E. A. Smith, 1901の古参名で, 正しくはZafrona trifilosa(フトコロガイ科)となる。Clavatula fimbriata Hinds, 1843はDaphnellopsis lamellosa Schepman, 1913の古参名で, 正しくはDaphnellopsis lamellosa(アクキガイ科)となる。Lienardia obockensis Jousseaume, 1888は恐らくCronia属(アクキガイ科)と思われる。
著者
小菅 丈治
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1-2, pp.67-70, 2009-09-30 (Released:2016-05-31)
参考文献数
8
被引用文献数
1

ブンブクヤドリガイ科アケボノガイ属の一種Barrimysia siphonosomae Morton & Scott, 1989を,石垣島名蔵湾から記録した。本種は,香港の砂泥質の干潟に棲息するスジホシムシモドキSiphonosomacumanenseの巣孔内に棲息することが知られ,石垣島名蔵湾でもサンゴ片などの礫混じりの砂泥干潟に棲息するスジホシムシモドキの巣孔内より見出された。日本からは初めての記録であり,ホシムシの一種の巣孔に棲む習性とアケボノガイ属の一種であることに因んで「ホシムシアケボノガイ」の新和名を提案した。模式産地以外から初めての記録でもあり,香港から琉球列島にかけて分布することが明らかになった。2008年8月に行った名蔵湾での観察結果では,採集したスジホシムシモドキの巣孔の15~17%にホシムシアケボノガイが生息していた。ホシムシアケボノガイは,多くの場合単独で生息していたが,2個体の貝が1つの巣孔から見つかる例も少数観察された。
著者
加瀬 友喜 バルデス アンヘル
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.233-240, 1997-10-31
被引用文献数
1

The enigmatic Japanese species Bertinia bertinia Jousseaume, 1883 is currently placed within the notaspidean opisthobranchs. However, detailed examinations of the shape, colour and microstructure of the type material, have shown that this name is actually based on the spatula shell layer of the patellogastropod Cellana nigrolineata (Reeve, 1854), of which it is therefore a junior synonym.
出版者
日本貝類学会
雑誌
ヴヰナス (ISSN:24329975)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3-4, pp.App2, 1938-12-25 (Released:2018-01-31)
出版者
日本貝類学会
雑誌
ヴヰナス (ISSN:24329975)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3-4, pp.App3, 1938-12-25 (Released:2018-01-31)
著者
高田 宜武
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.145-155, 1997-06-30
参考文献数
23
被引用文献数
2

九州西部の天草の転石地潮間帯において4種のNipponacmea属のカサガイ(コウダカアオガイ・ホソスジアオガイ・クモリアオガイ・アオガイ)について加入, 成長, 生残を調べた。コドラート法による定量採集を16ヵ月定期的に行い, 4種類の殻長サイズヒストグラムを作成して検討した。コウダカアオガイは1月と3月に加入し, 成長は春期に速く夏期は遅い。殻長18 mmまで成長し翌年の5月までにほとんど死亡した。ホソスジアオガイは2月に加入し単調に成長した。10月までの生残は良いが, 10月以降は急に生残が悪くなり, 殻長20ミリに達する3月にはほとんど死亡した。クモリアオガイは12月と3月に加入し, ゆっくり成長し翌年の2月に殻長16ミリに達する。夏期からの死亡は徐々に起こり, 5月までにほとんど死亡した。アオガイは主に春期に加入するが, 以後の解析はコホートの分離が出来なかったので不可能だった。以上のように, 4種のカサガイの加入後の生活史には若干の違いが認められた。
著者
広瀬 もえり 鈴木 廣志 山本 智子
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1-2, pp.55-64, 2003 (Released:2018-09-01)
参考文献数
9

The relationship between body length and color of Elysia ornata (Swainson, 1840) was examined by laboratory experiment and field observation. The results indicated that the difference in body color is not an individual variation but is related to growth. Body coloration follows a sequence from transparent, pale green, dark green, greenish white and to beige, with the length reaching maximum size at dark green, and decreasing thereafter. Based on these results, it was inferred that E. ornata has an annual life cycle beginning in late spring.
著者
瀧 巖
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類學雜誌 (ISSN:24330701)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5-8, pp.267-310, 1944-08-30 (Released:2018-01-31)

(1) マダコ屬に於て雌雄は外形, 體の大さ, 外套の形で區別せられる.(2) 更に雄に於ては腕の太く, 且吸盤の大きくなることによつても區別される.(3) 後唾腺はテナガダコの雄に於て雌よりも大きいが, その變異も甚だしい.(4) 肝臟(中腸腺)はマダコ屬3種に於て雌の方が大きく, この區別は發生の初期から認められる.(5) 水槽中に於ける觀察で雌雄の生態的差異を記した.(6) 雄生殖器の解剖學的所見を詳記し, 特にMarchand(1907)が精莢腺第一部とした部分は基部精莢腺proximal spermatophoric glandとして之を區別し, 又精莢腺は之を屈折點より3分するのが適當であることを記した.(7) 雄生殖器に於て陰莖枝の形態を考察し, マダコ科に4型を區別した.(8) 陰莖枝は後期發生に於て陰莖基部の彎曲部に陰莖が一廻轉しつゝ膨出部を生ずることによつて形成せられる.(9) テナガダコ精巣は内臟嚢の左側前方から後端に成長と共に筋肉の収縮によつて移動する.この筋肉を精巣牽引筋retractor muscle of testisと名付けた.幼若期に存する特殊器官の一である.(10) 交接腕の發育を觀察し, マダコ科にマダコ型, ミヅダコ型, テナガダコ型の3型あることを記した.(11) 卵巣は體の後端に生じ成長と共に移動することはない.(12) テナガダコに於ける後唾腺, マダコ屬3種に於ける肝臟及び吸盤直徑に於ける性的差異が雌雄發育中の如何なる時期に成立するかを精査した結果, 發育中の或る時期に性的分化點があり, それは生殖腺成熟と必ずしも一致しない事を見た.(13) マダコの雄を去勢して飼育した場合, 交接腕は正常の如く發育する.(14) マダコ雄の精巣剔出により, 輸精管より精莢嚢に至る輸精管系は組織融解を初め, 3∿4個月後には全く退化し液化するに至る.併し陰莖は之に參與しない.この輸精管系の融解は精巣の缺如によるもので, 精巣の生成物質に是等器官の維持と機能に必要なる成分が含まれるものと考へられる.(15) マダコ雌の去勢により何等見るべき外形上の異常なく, 輸卵管は正常の如く發育する.(16) マダコ屬3種の兩性に就いての形態的, 實驗的考察により, 生殖腺に性的特徴を支配する内分泌現象の存することを確證することは出來なかつた.
著者
髙野 剛史 田中 颯 狩野 泰則
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.45-50, 2019

<p>ハナゴウナ科Eulimidaeの腹足類は,棘皮動物を宿主とする寄生者である。同科の<i>Mucronalia</i>属は形態および生態情報に乏しいグループで,タイプ種のフタオビツマミガイ<i>M. bicincta</i>は生貝での採集報告がなされていない。Warén(1980a)による殻形態に基づく属の概念では,つまみ状の原殻,内唇滑層,ならびに中央部の突出した外唇を有することが重要視されている。また2既知種がクモヒトデ寄生性であることが知られており,これが本属貝類に共通の生態とみなされている。本報では,神奈川県真鶴町の潮下帯より採取されたアカクモヒトデ<i>Ophiomastix mixta</i>の腕に外部寄生する<i>Mucronalia</i>属の1新種を記載した。</p><p><i>Mucronalia alba</i> n. sp.オビナシツマミガイ(新種・新称)</p><p>原殻がつまみ状に突出すること,殻口内唇に滑層を有すること,また外唇は中央部が突出し横からみると大きく曲がることから,<i>Mucronalia</i>属の一種であると判断された。殻は本属としては細く塔型,最大5.5 mm,白色半透明である。後成殻は6.6巻,螺層は時に非対称に膨れ,螺塔は成長に伴い不規則に太くなる。外唇縁痕は不定期に現れ,僅かに褐色を呈する。殻口は細長い卵型。軸唇はまっすぐで,体層の軸から20°傾く。原殻は淡い褐色。</p><p>本種の殻形は,同じく日本に産するヤセフタオビツマミガイ<i>M. exilis</i>と,オーストラリアのクイーンズランドから記載された<i>M. trilineata</i>に似る。一方これら2種は殻に褐色の色帯を有し,また軸唇の傾きが弱い。オマーンをタイプ産地とする<i>M. lepida</i>と<i>M. oxytenes</i>,メキシコ西岸の<i>M. involuta</i>はいずれも本種と同様白色の殻をもつが,前2種は殻が太く螺層の膨らみが弱い点で,また<i>M. involuta</i>は本種と比してはるかに小型である点で区別される。タイプ種であるフタオビツマミガイ<i>M. bicincta</i>,オマーンに産する<i>M. bizonula</i>,スリランカの<i>M. exquisita</i>は,色帯のある円筒形の殻をもつ点で本種と明瞭に異なる。</p><p>上述の種のほか,コガタツマミガイ"<i>M.</i>" <i>subula</i>やヒモイカリナマコツマミガイ"<i>M. lactea</i>"が<i>Mucronalia</i>属として扱われることがある。しかしながら,前者は殻口外唇が湾曲せず,カシパンヤドリニナ属<i>Hypermastus</i>に含めるのが妥当である。後者は,殻形態,寄生生態および予察的な分子系統解析(髙野,未発表)により,セトモノガイ属<i>Melanella</i>の一種であると考えられた。しかしながら,<i>Eulima lactea</i> A. Adams in Sowerby II, 1854が同じ<i>Melanella</i>に所属すると考えられるため,ヒモイカリナマコツマミガイに対する<i>lactea</i> A. Adams, 1864は主観新参ホモニムとなる。そこで,ヒモイカリナマコツマミガイに対する代替名として<i>Melanella tanabensis</i>を提唱した。東アフリカのザンジバル諸島産で,同じくヒモイカリナマコに内部寄生する"<i>Mucronalia</i>" <i>variabilis</i>もセトモノガイ属に含めるのが妥当と考えられ,本論文で属位を変更した(<i>Melanella variabilis</i> n. comb.)。</p>
著者
足立 尚子 和田 恵次
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.115-120, 1998-07-31
被引用文献数
1

和歌山県那智勝浦ゆかし潟の潮間帯砂泥地に同所的に生息するウミニナとホソウミニナについて, 潮位と植生に対する分布を調査した。ウミニナは, 高潮位において高密度で出現したのに対し, ホソウミニナは, 低潮線付近において高密度で出現した。塩生植物の出現する場所において, 2種が多く出現した植物の種は異なっていた。室内実験では, ホソウミニナは, ウミニナよりも水のある場所を好む傾向を示した。これは, 野外での2種の潮位に関する分布の違いの結果と一致した。
著者
伊藤 寿茂 北野 忠 唐真 盛人 藤本 治彦 崎原 健 河野 裕美
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.77-87, 2014

2006年に国内で初めて記録された石垣島のドブガイモドキについて,幼生の採集を試み,幼生が寄生している魚種を調査するとともに,実験飼育下で宿主として機能する魚種を確認した。島内の生息地においてプランクトンネットをひき,幼生の採集を試みるとともに,採集した成貝を継続飼育し,放出した幼生を採集した。幼生の殻の形状は亜三角形で腹縁に鉤を持つAnodonta型であり,殻長,殻高,殻幅の平均はそれぞれ221.5 μm,228.0 μm,108.3 μmであった。次に,現場で採集した幼生の寄生を受けていると想定される6魚種(ギンブナ,グッピー,タイワンドジョウ,ティラピア類,オカメハゼ,タウナギ)と,飼育下で放出された幼生を人為的に寄生させた12魚種(コイ,キンギョ,タイリクバラタナゴ,ドジョウ,ヒレナマズ,メダカ,グッピー,タイワンキンギョ,オカメハゼ,タナゴモドキ,ゴクラクハゼ,ヨシノボリ類)を実験水槽内で継続飼育して,魚体から離脱してきた幼生を観察,計数した。その結果,ヒレナマズ,メダカ,グッピー,タイワンキンギョ,オカメハゼ,タナゴモドキ,ゴクラクハゼ,ヨシノボリ類の8魚種より,変態を完了させた稚貝が出現した。寄生期間中に幼生サイズの増大や外形の著しい変化は見られなかった。全離脱数に占める稚貝の出現率は魚種によって差があり,タイワンキンギョ,グッピー,ヨシノボリ類において,特に出現率が高かった。次に,同生息地において採集した6魚種(ギンブナ,カダヤシ,グッピー,ティラピア類,オカメハゼ,タナゴモドキ)を10%ホルマリン水溶液で固定して,魚体に寄生した幼生の状態を観察,計数したところ,グッピーとティラピア類の体に寄生が見られた。寄生は鰓や各鰭のほか,鰓蓋の内側,鰓耙にも見られた。幼生の相対寄生密度および被嚢率はグッピーの方が高かった。石垣島を含むドブガイモドキの生息地においては,その幼生の宿主として,在来種,外来種を含む複数の魚種が宿主として機能している可能性がある。特に,石垣島では,生息する魚の大部分を外来種が占めており,中でもグッピーが主な宿主として機能していることが判明した。このことから,石垣島内における宿主魚類の移入による分布拡大が,ドブガイモドキの分散に寄与した可能性がある。
著者
杉谷 房雄
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌ヴヰナス
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.360-361, 1961-12-31