著者
須田 歩 趙 ひゅん珠 李 宙営 藤井 英二郎
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.465-470, 2009
被引用文献数
1 2

庭園と建築の配置や構成は相互の関係性の中で決められている。幾何学式庭園においても建物から庭園の中央を貫く軸線を通すことでビスタを形成し、その軸線を中心に左右対称に構成するところに特徴があり、対植はその典型である。この対植のような軸線両側の樹木は視点を軸線に向け易くするとされているが、それを実証的に示した既往研究は見られない。本研究は、千葉県松戸市の千葉大学園芸学部校内のフランス式庭園の西端に植栽されたイタリアンサイプレスの対植を対象に、幾何学式庭園における対植がその視知覚にどのような影響をもたらすかについて実験的に検討するものである。
著者
早瀬 真弓 今西 純一 中村 彰宏
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.812-816, 2010-03

名勝清風荘庭園は明治44年頃から数年かけて七代目小川治兵衛(植治)によって作られた庭園であり、昭和26年に文化財保護法の規定により名勝指定されている。本庭園は京都市左京区田中関田町に位置し、植治による庭園の特徴のひとつである京都東山の借景、すなわち五山の送り火で有名な大文字山やその周辺の山並みを庭園の風景に取り込む工夫のなされた名庭である。しかし、近年成長しすぎた樹木によって大文字山が見えない状態となるなど維持管理は十分と言えず、作庭当初の風趣が失われつつある。現在は所有者である京都大学を中心に庭園の修復整備事業が進められているが、成長しすぎた樹木を切り下げる際には、作庭当初は存在しなかった近隣の高い建築物への視線を遮蔽しつつ借景の復元をする必要がある。本件のような場合、事前に様々な視点や角度からの景観に配慮した植栽管理を検討するために景観シミュレーションを行うことが有用であると考えられる。本研究では地上型レーザースキャナを用いて、清風荘庭園における借景復元に関する景観シミュレーションを行い、その実用性について考察することを目的とした。さらに、地上型レーザースキャナによって得られたデータを用いて、庭園周辺に現在の京都市の都市計画で許容されている高さの建築物が建てられた場合、庭園からの眺望景観にどのような影響があるかを検討した。
著者
片山 めぐみ
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.771-777, 2010-03

2005年に北海道の知床半島が世界自然遺産に設録された。今回の登録は、登録地が住民の生活域を含む点においても注目されており、隣接する斜里町(人口約13,000人)と羅臼町(約6,500人)では、自宅の裏庭が自然遺産という状況も珍しくない。なかには個人や町の所有地も含まれる。登録に際しては、登録地周辺も含めた地域住民の日常生活に対する配慮が不可欠とされているだけでなく、当該自然環境での生活知識をもつ住民が自らの生活を通じて自然保護などの啓蒙普及の役割を担うこと、さらにはエコツーリズム等に必要なガイドの育成が推奨されている。登録に際し、住民の意識調査が実施され、観光に対する期待や観光客増加による環境・生活への影響についてアンケート結果が報告されているが、自然とかかわる日常的な活動や場所には注目しておらず、住民の自然に関する知識や経験、大切にしている場所の理解を通してそれらを活かす方法を検討する必要がある。図-1に見るように、斜里町と羅臼町は、東西わずか30km弱の距離にあるが、半島を南北に走る知床連山に隔てられ、知床横断道路が開通する近年まで互いに往来が少なく、世界自然遺産登録に際しての住民の反応や観光地化に対する意識が異なるという声がよく聞かれる。最近では、両地域とも登録域における漁業をはじめ、山歩きや山菜取りなどの自然と関わる生活行動が制限されるのではないかといった懸念の声が共通している。本研究は、世界自然遺産・知床の登録地内およびその周辺地域における、住民の自然とのかかわり方、および居住地に対する誇りの意識を明らかにし、地域資源の再発見という視点から今後の観光のあり方について考察することを目的とする。
著者
村上 暁信 アルマンド・M パリホン
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.693-696, 2009
被引用文献数
1 1

アジア大都市の多くは、住環境の劣悪化、大気汚染、洪水被害の増大など様々な環境上の問題を引き起こしつつ、拡大を続けている。このような状況に対して、環境調整機能を有する都市緑地を計画的に整備していく必要があるとの指摘がなされている。しかし、緑地計画を立案するためには、まず都市化の過程で緑地がどのように変化するかについて検討をする必要があるが、アジア地域の都市においてはこの点が十分には明らかにされていない。特に、緑の環境調整機能を活用するためには、農地や森林といった土地利用タイプの一つである緑地の変容だけでなく、土地被覆の変容、すなわち緑被の変容について知見を積み重ねていく必要がある。しかし、都市化と緑被の変容については研究例が少ない。そこで本研究では、人口増加の激しい巨大都市のひとつであるフィリピン・メトロマニラ近郊に位置するパテロス(町)を対象として、地域の緑地や緑被が都市化のプロセスの中でどのように変化しているかについて考察することを目的とした。
著者
澤田 みつ子 小幡 和男 上条 隆志
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.834-838, 2010-03
被引用文献数
1

タチスミレはスミレ科スミレ属の多回繁殖型多年生草本種である。現在、本種は関東の利根川水系(菅生沼・小貝川・渡良瀬遊水地)と九州(宮崎県・大分県・鹿児島県)の限られた地域において、主にオギやヨシの優先する低湿地の草原内に生育し、絶滅危惧II類(VU)に指定されている。本種の生育環境であるいわゆるオギ原やヨシ原は資源採集の場として人の営みの場に維持され農業生態系の中に残されてきたが、明治期以降の水田等への土地利用転換によって自然の湿地は大規模に喪失した。そして今日では湿地に依存する生物の多くで減少や絶滅の危機の高まりが見られている。環境庁レッドデータブックによると、本種の生育地メッシュ数は11メッシュ(うち絶滅2メッシュ、現状不明2メッシュ)と少なく、減少の要因として植生の自然遷移、河川開発、管理放棄があげられている。そのため本種は残存する数少ない生育地をどのように保全・維持していくかが課題といえる。本研究の調査対象地である茨城県菅生沼の自生地では、管理放棄されていた生育地において、冬期に火入れを行うことによって、個体密度が増加したことが報告されている。菅生沼のオギ二次草原を含めて、日本のヨシ、オギなどの湿地草原へ継続的に実施されている火入れのうちいくつかでは、毎年1回冬期から初春において行われているが、特定の絶滅危惧種の保全を目的とした場合に、火入れの有無と対象種の応答について把握する必要があると思われる。本研究では、火入れ管理が毎年継続して行われているタチスミレ自生地において、2年間にわたり火入れの中断実験を行うことで、タチスミレの個体数とサイズ構成に変化が生じるのかを明らかにすることを目的とした。
著者
東 淳樹 武内 和彦
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.573-576, 1999

The research on the relationship between the environmental conditions of the habitat and the speci.es and the individual number was made in respect to the frogs which inhabiting in the Kashima and Tegri River, watershed of Inba Marsh, Chiba Prefecture. The field-survey was carried out from May to July in 1997 and 1998. Walking on the paddy field ridge, the number of the frogs, the walking distance and the environmental factors of the surrounding area were recorded. Then the relationship between the individual density of each species and the environmental conditions was analyzed by means of Hayashi's quantification theory I. As a result, the major factors which would affect the individual density were clarified: The underdrainage of the paddy field, the landuse of the slope, the irrigation system and the arrangements of the canal. Another fact was also revealed that the reformation into well-drained paddy field which is promoted by the farmland consolidatuin tends to have the negative impact on the inhabiting of the Japanese brown frog while it does not have much affect on that of the Japanese tree frog.
著者
楠本 良延 小池 文人 藤原 一繪
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.563-568, 2002-03-30
被引用文献数
4 2

神奈川県域で1969-2000年に取得された826地点の残存自然植生のデータベース化を行い, TWINSPANならびに植物社会学的表操作により自然植生の分類を行った。これにより調査地の自然植生を14タイプに分類した。次に環境データとして, 地形, 気候, 土壌, 地質, その他の環境データを構築し, GISを用いて植生調査地点の環境値を抽出し, ロジステック回帰分析を用いることにより各植生タイプの成立環境要因を定量的に把握した。さらに, このモデルを用いて潜在自然植生図を作成した。この研究により, 個々の自然植生の成立する環境が明らかになるとともに, 客観的な方法による潜在自然植生図の作成が可能となった。自然植生の保全や回復の基礎的な情報となるものと期待する。
著者
平松 玲治 堀江 典子
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.585-590, 2009
被引用文献数
4

インタープリテーションは米国の国立公園で発達し、わが国では自然公園の分野で導入された。特に1990年代から「解説」や「自然解説」等の訳語ではなく、「インタープリテーション」(以下「Ip」と表記する)としてカタカナ表記で紹介されてから、環境教育や都市公園をはじめとする多くの分野で使用し広まった。本研究がとりあげる国営公園は、1974年に三箇所の公園が開園し、1976年の法制化によりはじまった大規模都市公園である。特に自然資源を活用した利用サービスについては、自然公園・観光・環境教育・博物館等で導入されている手法や取り組みの影響を受けた展示・案内解説・プログラム提供がなされてきているが、Ipの概念や展開手法が分野によって必ずしも一様ではないことを考えれば、各分野に共通する概念や相違点を把握した上で、国営公園の目的に合致したIpを導入する必要があろう。そこで、国営公園の役割を踏まえたIpの導入と展開手法を構築するため、関連分野におけるIpの比較分析を踏まえてIpの概念と構成について現状を整理し、国営公園におけるIpの展開の方向性と課題について考察する。
著者
亀山 章
出版者
日本造園学会
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.8-9, 2011 (Released:2012-12-03)
著者
北村 泰一
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.421-428, 1995-03-29
参考文献数
22
被引用文献数
1

自然災害を受けやすいわが国では, 土砂災害・水害に対する安全性を確保しつつ多様な水辺環境を保全しなければならない。水辺の植生復活に配慮した河川工法として水制工が注目されているが, 空中写真の比較判読と現地調査の結果, 木曽川下流部の水制域では施工より約60年を経た1975年以降, 治水事業による洪水低減効果に起因してヤナギ林を主体とする水辺林が形成されたことが明らかになった。水制域の水辺林は, 湿地・干潟・草地・樹林帯など様々な微地形が形成推移する自然立地的空間であり多様な生物空間を提供しているため, その保全維持管理に果たす造園の技術的可能性は大きく, 関連する河川構造物との有機的連携が必要である。
著者
北村 泰一
出版者
日本造園学会
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.421-428, 1995 (Released:2011-03-05)
著者
飯山 直樹 鎌田 磨人 中川 恵美子 中越 信和
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.579-584, 2002-03-30
参考文献数
35
被引用文献数
11 13

棚田畦畔がもつ草地性植物の生育地としての機能を把握するため, 徳島県上勝町樫原地区において, 次のようなことを明らかにした。当地では, 全水田面積に対する畦畔面積の割合は29.4%であり, 水田に付随する草地の面積は大きい。植物群落は, 畦畔の物理的な構造に対応して異なっており, 土や石垣等の様々な物理環境の畦畔があることにより, 地域内の植物の多様性が高められている。畦畔における年間の草刈り回数の違いは植生高や遷移度に影響を与え, 刈取り回数が多いほど (最大3回), それらが低く保たれた。一方, 草刈り回数の違いは, 植物群落の種組成や多様度には大きな影響は及ぼさなかった。出現種数や多様度は草刈りが行われないまま2年間放置された畦畔でも変わらず維持されていたが, 5年間放置されると極端に減少していた。
著者
加藤 和弘
出版者
日本造園学会
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.805-808, 2009 (Released:2011-02-03)
著者
三田 育雄
出版者
日本造園学会
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.42-47, 1984 (Released:2011-03-05)