著者
建林 正彦
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.19-34, 2014 (Released:2018-02-02)
参考文献数
22

2012年に政権復帰した自民党議員は,どのような政策指向を有していたのか。本稿では,2012年総選挙の候補者に対する早稲田大学と読売新聞社の共同サーベイをもとに,自民党議員の政策位置を分析した。分析の結果,2012年に大量に当選した新人議員とシニア(多選)議員の間には,安保・憲法にかかわる争点や,経済開放・国内開発に関する争点において立場の違いが存在し,シニア議員がよりタカ派的,国内開発的な立場を採っていることが明らかになった。また議員の政策的立場を規定する要因としては,前者については,都市選出の議員ほど,選挙で強い議員ほどよりタカ派的な立場を採る傾向にあり,年齢をコントロールした上でも当選歴の効果が見られたのに対し,後者については,地方選出の議員ほど国内開発指向が強く,年齢をコントロールすると当選歴の効果は見られなくなるという争点ごとの違いが明らかになった。
著者
朴 志善
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.58-71, 2018 (Released:2021-07-16)
参考文献数
22

現代民主体制の下,与党は,政府の議会提出予定法案の作成過程に一定の役割を果たしている。しかし,大統領制の場合,立法府・行政府の関係の観点からアプローチすることが多く,政府案の作成過程における与党の参加(事前審査)の過程については十分な研究は行われてこなかった。その点から,本稿は,韓国の事例を通じて,大統領制の下での与党の事前審査の現状と,与党に対する大統領の資源が事前審査に及ぼす影響を明らかにする試みである。韓国の最高位レベルの事前審査である「高位党政協議」のデータを用いた分析の結果,大統領制の韓国においても多様な議題に関して事前審査が行われ,大統領の権限,大統領の支持率,発足後の月数など,大統領と所属議員の関係に影響する要因が事前審査の開催と性格に影響してきたことが確認された。本研究は,立法における事前審査,また,与党のリーダーとしての大統領の役割の重要性を指摘し,与党の立法活動の比較および理論化への貢献を試みる。
著者
白崎 護
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.5-22, 2009

1993年総選挙を対象とする本研究は,有権者の政治的な意識や行動に影響を与える対人接触とマスメディア接触に関しての計量分析である。政党のマスメディア対策が精緻化する今日,その端緒となった本選挙におけるマスメディアの役割を再確認する。同時に,ソーシャル・キャピタルの一環として近年注目が高まる対人環境の果たした役割を検証する。以上の目的に最も適合したデータは,対人接触とマスメディア接触に関する質問項目が豊富なCNEP(Cross-National Election Project)データであり,これを使用する。 各党に対する感情温度,および投票を従属変数とする回帰分析により得られた知見は以下の通りである。既成政党(自民党・社会党)に関しては,対人接触に一貫した影響を認めた。他方で新党(新生党・日本新党)に関しては,マスメディア視聴に一定の影響力を検出したが,対人接触の影響力をほとんど確認できなかった。
著者
前田 幸男 平野 浩
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.5-18, 2015

選挙制度改革の目的の一つは,政党・政策・首相候補を三位一体として選択する体制の構築にあった。その意味で,有権者が抱く首相イメージが,政党や政策との関係を軸として形成されるのか,首相個人のリーダーシップや人柄に左右されるのかは,重要な論点である。本研究では, JES - IV の自由回答を利用して,有権者が抱く首相イメージの形成およびそのイメージが内閣支持に与える影響について分析した。有権者の多くは政治報道を通じて内閣の好きな点および嫌いな点について明瞭なイメー ジを持っており,そのイメージが内閣支持・不支持を左右している。しかし,その内閣についての好きな点,嫌いな点の影響は対称ではなく,好きな点の影響が嫌いな点の影響を上回っている。さらに,好きなイメージの影響が直接的であるのに対して,嫌いなイメージの影響は政治的関心の媒介を必要とすることが明らかになった。
著者
玉井 清
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
no.21, pp.137-157,216, 2006

本稿は,昭和3(1928)年に実施された第1回普選の投票率に注目しながら,普選導入により新たに選挙権を獲得した人々の選挙に対する基本的な意識,すなわち彼らが新たに獲得した選挙権をどのように自覚し,投票を通じた政治参加にどの程度の意義を見出していたかについて考察を加えた。<br>その結果,新有権者の選挙に対する関心や意識が必ずしも高くなかったことを,前年に実施された普選による府県議選の低投票率や,選挙買収を当然視する考え等から明らかにした。政府は,かかる違反防止のための選挙啓蒙活動を積極的に行うが,その活動は,有権者に選挙違反への脅威を抱かせ,彼らを選挙から遠ざけ,棄権を助長する恐れを生じさせた。こうした状況を受け,選挙後半戦より政府が,違反防止から棄権防止に力点を置く選挙啓蒙活動を展開するようになったことを,実際に用いられたポスターやビラ等を紹介しながら明らかにした。<br>第1回普選の投票率は,当初懸念されたほど下がることはなかったものの,その背景において,本稿において詳述したような選挙啓蒙活動が必要にせまられ積極的に行われていた事実を示すことにより,新有権者の選挙に対する関心や意識は必ずしも高くはなかったことを検証した。
著者
岡田 信弘
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.5-14, 2012

本稿は,憲法学の視角から,最高2011(平成23)年3月23日大法廷判決について検討を加えたものである。本判決は,現行衆議院議員選挙制度(「小選挙区比例代表並立制」) の下で,小選挙区区割基準規定の1人別枠方式に係る部分とそれに基づく区割規定について,違憲状態にあることを認めた初めての最高裁判決である。本稿では,憲法上の幾つかの問題点について,衆議院議員選挙に関する直近の2007(平成19)年6月13日大法廷判決と比較しながら検討を加えた。なお,その際,選挙区割りは,「法」と「政治」の接点に位置づけられる問題であるので,「民主主義と司法審査のバランス」が常に問われるこ とになるが,本稿では,その点を考慮に入れて考察を進めた。
著者
建林 正彦
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.19-34, 2014

2012年に政権復帰した自民党議員は,どのような政策指向を有していたのか。本稿では,2012年総選挙の候補者に対する早稲田大学と読売新聞社の共同サーベイをもとに,自民党議員の政策位置を分析した。分析の結果,2012年に大量に当選した新人議員とシニア(多選)議員の間には,安保・憲法にかかわる争点や,経済開放・国内開発に関する争点において立場の違いが存在し,シニア議員がよりタカ派的,国内開発的な立場を採っていることが明らかになった。また議員の政策的立場を規定する要因としては,前者については,都市選出の議員ほど,選挙で強い議員ほどよりタカ派的な立場を採る傾向にあり,年齢をコントロールした上でも当選歴の効果が見られたのに対し,後者については,地方選出の議員ほど国内開発指向が強く,年齢をコントロールすると当選歴の効果は見られなくなるという争点ごとの違いが明らかになった。
著者
六辻 彰二
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.20-32, 2013 (Released:2017-12-06)
参考文献数
26

アフリカ諸国の選挙制度は,旧宗主国からの影響と,環境に適応した内発的採択の狭間にある。現代のアフリカ49カ国における下院選挙制度を横断的に検証した結果,英語圏では小選挙区制を導入しながらも何らかのアレンジを加える事例が,フランス語圏では小選挙区二回投票制より,程度の差はあれ,比例原理を重視した制度を導入する事例が,それぞれ多く確認された。一方で,各国における下院選挙の結果を類型化した結果,安定的かつ民主的な政党制が定着した国が7カ国なのに対して,ヘゲモニー政党制が12カ国,選挙制度が機能していない国が9カ国,与野党交代が実現しながらも,選挙を経た与党の権威主義化と内部分裂によって二度目の与野党交代が実現するパターンの国が6カ国,それぞれ確認された。これらに鑑みれば,いまだ多くのアフリカ諸国では独自性ある選挙制度の構築と定着のプロセスにあるといえる。
著者
松林 哲也
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.47-60, 2016

有権者を取り巻く投票環境の変化は投票率にどのような影響を及ぼすのだろうか。本稿では投票環境として市町村内の投票所数とその投票時間に注目し,それらの変化が市町村内の投票率に与える影響を推定する。2005年から2012年の3回の衆院選における34都府県の市町村パネルデータを用いた分析によると,1万人あたり投票所数が1つ増えると投票率は0.17%ポイント上昇し,また市町村内の全ての投票所で投票時間が2時間短縮されると投票率が0.9%ポイント下落する。これらの効果は市町村の人口規模や人口密度にかかわらず一定である。投票環境の制約を少しでも取り除き投票の利便性を高めるためにこれまでにもさまざまな制度の変更が提案・実施されているが,本稿の研究結果は投票所の設置数や開閉時間を見直すだけでも投票率が上昇する可能性があることを示唆している。
著者
吉野 孝
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.14-25, 2010

本稿の目的は,アメリカ連邦公職選挙における選挙-政党組織関係の変化を分析し,その特質を解明することにある。同国の連邦公職選挙では,1950年代に至るまで,集票が固定的人間関係に基づいて行われ,政党機関が選挙運動をコントロールした。1960代にテレビの利用がはじまると,党大会の運営と選挙戦略の立案においてメディア専門家が全国委員長に取って代わった。1970年代以降,世論調査,メディア広告,ダイレクトメールなどの選挙運動手段が発達し,選挙コンサルタントが登場すると,候補者は自身の選挙運動組織を形成し,政党組織は周辺に追いやられた。1980年代に豊かな資金を背景に全国政党機関が選挙運動の表舞台に復帰したものの,2000年代になると,候補者はインターネットを用いて直接的な選挙民への到達を試みた。要するに,新しい選挙運動手段に対応する過程で,政党組織は選挙運動の重要な役割を喪失してきた。
著者
境家 史郎
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.5-17, 2010

本稿の目的は,候補者レベルの選挙公約が決定されるメカニズムについて,現代日本政治の保守化の問題と関連させながら論じることである。1990年代後半以降,国旗国歌法制定,首相の靖国神社参拝,防衛「省」昇格,教育基本法,国民投票法制定など保守的傾向の強い政策実施が目立つが,こうした日本政治の保守化傾向を説明する要因のひとつとして選挙過程が機能しているというのが筆者の立場である。すなわち,近年の「小選挙区制+左翼政党候補の出馬+公明党の自民候補推薦」という選挙競争の文脈において,自民党,民主党候補が「選挙民の選好分布とは独立に」より保守的な公約を訴えるインセンティブを持つことを理論的に示し,実証するのが本稿の主題である。
著者
水崎 節文 森 裕城
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
no.13, pp.50-59,269, 1998

The general election held on October 20, 1996 was the first election after the 1994 electoral reform of the House of Representatives. The new electoral system combines two different electoral systems: a single-member constituency system (300 seats) and a proportional representation system (200 seats). Using locality-level aggregate data, this paper examined the impact of the new electoral system on voting behavior and campaign strategies, and identified a mechanism through which a voter's choice of candidates/parties in one system influences his/her choice in the other.
著者
湯淺 墾道
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.75-90, 2014

公職選挙法により候補者,政党等が選挙運動期間中にインターネットを選挙運動目的で利用することは禁じられていたが,2013年に公職選挙法が改正され,インターネット(電子メール,ウェブページ等)を選挙運動に利用することが解禁された。しかし,誹謗中傷への対応,電子メールの定義とSNSのメッセージとの関係,電子メールの送信規制,落選運動の定義など,多くの問題点が残されている。本稿では,インターネット選挙運動を解禁した公職選挙法改正の法的問題点について考察し,今後の課題や再改正の方向性について検討する。
著者
三船 毅
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.69-94, 2008

亥年現象は,これまで保守系地方議員の選挙動員が低下することにより生起するとされてきた。この論理は,有権者に対する選挙動員の影響力が強いことを暗黙裏に前提条件としている。本稿では,そのような前提条件が大部分の政党で成り立たないことを検証し,亥年現象の生起する過程を新たな視点から捉え直す。またこれらの作業を通して,2007年に亥年現象がなぜ起こらなかったのかをシミュレーションから検証する。
著者
富崎 隆
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
no.18, pp.58-77,255, 2003

本稿は2001年イギリス総選挙の投票行動を,British Election Study 2001年調査の生データ資料を使用して分折した。その際,投票行動の一般モデルから予測できる要因をできる限り幅広く取り上げた。多変量解析の結果,以下の点が明らかになった。(1)社会的属性特に職業階級は以前程の規定力を有しない。(2)政党帰属意識の規定力はモデル上有意である。(3)首相&bull;党首評価,最重要争点への対応評価は保守&bull;労働&bull;自民党への投票に,経済危機対応能力評価は2大政党への投票に,階級&bull;強い政党帰属意識とは独立に連関関係を有し,経済業績投票,保守党の政策ポジション失敗&bull;労働党の中道化戦略の成功の影響も概ね確認できる。戦後最低となった投票参加を規定する多変量解析では,年齢&bull;選挙関心&bull;投票義務感&bull;投票経験頻度&bull;政党帰属意識強度&bull;党首評価度が影響を与えるモデルが選択され,労働党勝利の予想が選挙関心と投票率を低めた可能性が指摘できる。
著者
石生 義人
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.72-87, 2012

本論文では,2004年大統領選挙時点におけるイラク戦争支持の決定要因をサーベイデータを使って分析した。その結果,アメリカ人のイラク戦争支持に影響を与えていた社会・心理的特徴は,帰属政党,信仰宗教・宗派,愛国心,最終学歴であることがわかった。 帰属政党に関しては,共和党帰属者が最もイラク戦争支持傾向が強く,民主党帰属者が最も弱かった。信仰宗教・宗派に関しては,キリスト教バプテスト派が最も支持傾向が強く,ルター派・メソジスト派の支持が特に弱かった。愛国心はイラク戦争支持に正の影響を与えていた。最終学歴に関しては,大学院等の教育を受けている人の支持傾向が弱く,短大卒以下の最終学歴を持つ人の支持傾向が強かった。これら四つの要因が,イラク戦争の正当性を批判的に評価することを促進または抑制し,その結果として戦争支持態度が影響を受けたと考えられる。
著者
河崎 健
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.78-87, 2010 (Released:2017-05-08)
参考文献数
25

本論は2009年9月27日に行われたドイツ連邦議会選挙を分析したものである。 大連立政権を構成していた二大政党・キリスト教民主/社会同盟とドイツ社会民主党の 首相候補(メルケル首相とシュタインマイヤー前外相)同士の争いとあって,同選挙は争点に乏しく,投票率も過去最低であった。その中で選挙前に論議されたのは,同国の選挙制度特有の超過議席如何によって与野党が逆転する可能性についてであった。しかしながら予想外の低投票率もあり社民党が惨敗したため,超過議席の問題は未然に終わった。本論では,この超過議席をめぐる議論を簡単に紹介した後,投票率と社民党の得票率の相関を見た上で,この低投票率の原因と,連立政策との関連で各党の勝敗を決した要因について分析を行う。
著者
上條 諒貴
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.57-70, 2017

議会の過半数を占める政党が存在する「多数状況(majority situation)」における内閣総辞職は,議院内閣制における内閣の終了を扱った研究が拠って立つ政党間交渉の理論からでは説明困難な現象である。本稿では,数理モデルを用いて執行部への党内支持の観点から総辞職を理論的に分析する。モデルの含意として,党への支持が低下している場合に,現在の世論により合致した政策選好を持った政治家に党首を交代させることで支持を回復するという戦略の有効性が増すため,多数状況においては政党が集権的な場合の方がより総辞職が起こりやすいという仮説が提示される。理論的検討の後,この仮説を1960年から2012年の日本の内閣データを用いて実証する。分析の結果,内閣支持率などの変数を統制してもなお,党内の集権性が高まった政治制度改革後の方が内閣総辞職のリスクが高いことが示される。
著者
川人 貞史
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
no.17, pp.58-70,205, 2002

本稿は,2000年総選挙における選挙制度&bull;政治資金制度と政治的アクターたちとの間の相互作用の分析を行う。1994年の政治改革で導入された小選挙区比例代表並立制は,小選挙区制にウェイトがあるために2大政党制志向をもつ制度であるが,2000年における比例代表選挙の定数削減によりいっそう小選挙区制中心の制度になった。新選挙制度下の2度目の総選挙において,政党間の選挙協力や政治資金が選挙競争にいかなる影響を及ぼしたか,そして,通常,小選挙区制において顕著に見られる有権者の戦略投票がどのように選挙結果に影響を及ぼしているかについて,さまざまな集計データをもとに分析を進める。本稿の結論は,自公協力が自民党候補者の得票率を増加させていること,戦略投票が行われることによって生じる上位2候補への得票の集中も顕著にみられること,さらに,選挙協力によって自分の選挙努力によらない投票を得た自民党候補において,政治資金支出が本人の候補得票率を増加させる有意な効果が存在しなかったことである。