- 著者
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諸富 正己
- 出版者
- 日本静脈経腸栄養学会
- 雑誌
- 静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.4, pp.911-916, 2010
腸内フローラの研究からプロバイオティクスという新しい概念が生まれ、これが形となって実際に健康維持や病気の予防、治療に使われるようになった。プロバイオティクスとは、「腸内フローラのバランスを改善することにより、宿主に有益な作用をもたらす生きた微生物」と定義され、その代表的なものは乳酸菌やビフィズス菌である。抗生物質(アンチバイオティクス)に対比される言葉で、「共生」を意味する「プロバイオシス」から派生した言葉である。プロバイオティクスが最近注目されるのは、近代医療が抱える様々な問題–抗生物質と耐性菌の問題など–を考えると当然かつ自然の成り行きで、現代の農業にたとえてみると、農薬や化学肥料への依存から自然の生態系を積極的に利用しようという有機農法への回帰に例えることができる。ここでは最近の腸内フローラ研究の進展について、明らかにされつつある共生のメカニズムを中心に解説してみたい。