著者
佐々木 誉斗
出版者
東京藝術大学
巻号頁・発行日
2016-03-25

平成27年度
著者
宇津木 安来
出版者
東京藝術大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2017-04-26

本研究の目的は、日本舞踊の「体幹部」の技法について、その具体的な動きをモーションキャプチャを用いて明らかにすることである。日本舞踊において、「体幹部」の技法は日本舞踊のパフォーマンス全体を支える基盤であり、最中心となるべき重要な技法であるにも関わらず、非明示的であるために、これまで感覚的に伝承されてきた。本研究では、熟練した指導者が行う「体幹部」の動きを解明することで、より具体的な技法の習得を可能にし、日本舞踊の伝承水準の向上に繋がることを目指している。今年度は、平成27年度、28年度に東京藝術大学日本舞踊部屋で光学式モーションキャプチャシステム(Motion Analysis MAC3D System)、赤外線カメラ16台(Raptor-12HS×8台/ Kestrel×8台 )、反射マーカ81個を使用して計2回実施した計測データのポストプロセス作業(編集作業)と解析作業を行った。研究は「体幹部」の技法の中でも特に日本舞踊の要と言われる「腰」の技法を中心に行った。モーションキャプチャデータと指導言語とを併せて参照し、指導言語の背景にある指導者の実際の腰の動きについて明らかにすることで、これまで考えられて来た「腰」の技法に対する指導言語への解釈を新たにする結果を得た。 研究成果については、国際学会や国内の学会、論文などで発表した。また、一般公開のワークショップや発表の場で研究成果の発表と踊りの実演を併せて行うなど、多様な形でのアウトリーチ活動を行った。
著者
羽田 康一 佐野 好則 山口 京一郎
出版者
東京藝術大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

紀元3世紀に2人のフィロストラトスが書いた『エイコネス』(絵たち)は古代エクフラシスの代表作である。本研究では、『エイコネス』各章の記述において、造形の伝統と文学の伝統がどのように混在しているかを精細に考察し、また各作品中の複数場面を明確に区別することに努めた。個々のモチーフや描法、構図が出現したおおよその年代を、場合によってはその特定の典拠まで、推定できる事例は多い。フィロストラトス『エイコネス』全80数章と、彫刻を扱ったカッリストラトス『エクフラセイス』全14章の翻訳註解に加え、エクフラシス、第二期ソフィストなどの問題についても考察し、さらに一部の章について再現図を制作した。
著者
松野 誠 亀川 徹 松原 隆一郎 森山 威男
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

フリー・スタイルであるのにスイングするという独特の演奏法を編み出し、1974年のヨーロッパ公演では爆発的な反響と評価を勝ち取った「初期山下洋輔トリオ」の技術構成について、ドラマーである森山威男氏のドラミングを撮影することを通じて解明した。フリー・スタイルであるのにスイングする秘訣は、固定したメンバーと演奏を繰り返し、ビートや楽譜ではなく「間」を共有することにある。それを実証するために、森山・山下、森山・坂田のデュオを収録した。本研究の成果は追加画像も含めてヤマハ・ミュージック・エンターテインメント・ホールディングスから今年中に出版される予定で、鋭意編集中である。
著者
植村 幸生 薩摩 雅登 小島 直文 尾高 暁子 松村 智郁子 久保 仁志 佐竹 悦子 塚原 康子
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

大学附設の民族音楽アーカイブを拠点とし、地域の邦楽器製作者や販売者らとの協働を前提に、邦楽専門家を擁する拠点大学の地の利を生かして、当該地域の児童生徒や学内学生むけ地域文化プログラムの開発と提案を行った。具体的には、下町の邦楽器製作業者/職人への取材をもとに、楽器製作や技の継承をめぐる今日的課題を明らかにし、これに関する問題意識を次代を担う若い世代に喚起すべく、展示と実演の場を設けた。同時に、邦楽を含む下町の伝統芸能や儀礼について、広義の担い手・上演場所・機会を項目とするデータベースを作成し、邦楽を育んだ土壌を通時的に俯瞰する手だてを、アーカイブから発信する準備を整えた。
著者
平野 貴俊
出版者
東京藝術大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本年度は、フランス国立公文書館でフランス国営放送ORTF(Office de Radiodiffusion Television francaise、運営期間1964~1974[Televisionのe2つにアクサン・テギュ、francaiseのcにセディーユ])とフランス文化省に関連する資料を閲覧し、口頭発表でその研究成果を発表した。日本音楽学会全国大会での発表では、ORTFと文化省が1960年代半ばの「音楽の危機」をいかに打破しようと試みたかを論じた。1964年ころから、『ル・フィガロ』等の新聞・雑誌に寄稿する音楽批評家は、フランスにおけるレコード産業の興隆と、自国の音楽家の外国での認知度の低さを糾弾した。こうした問題に対処するため、1966年文化省に新設されたのが音楽局 Direction de la Musique である。発表では、本改革を準備した音楽家の多くが、1950年代に国営放送の音楽活動審議会に参加したことに着目し、1960年代に音楽行政の主体が国営放送から文化省へと移行したと述べた。以後、ORTFは文化省と協同して危機に対処することになる。ORTF音楽監督ミシェル・フィリッポ Michel Philippot(在任1964~1972)は、文化省の改革に沿う形でレコード会社との連携、ORTF出版部門の活用を推進した。一方、フィリッポの後任ピエール・ヴォズランスキー Pierre Vozlinsky(在任1972~1974)は、文化省への従属に懐疑的な態度をとり、独立した公的組織として質の高い音楽番組を製作することを重視した。こうした方針の変遷は、1970年代までにフランスの音楽界が上記の危機を乗り越えたことを示唆している。2014年12月には、以上の内容を増補した研究発表を、パリのフランス国立社会科学高等研究院におけるシンポジウムで行った。
著者
木島 隆康 桐野 文良 山梨 絵美子 林 洋子 上野 勝久 佐藤 一郎
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

迎賓館赤坂離宮(平成21年、国宝に指定される)は明治42年に建設され、わが国最大の面積を誇る天井画を持つ(15部屋)。天井画はカンバスに描かれた油彩画である。過去に大修復が行われているが、その後も劣化が進行し著しく損傷している。本研究プロジェクトは、天井画に生じた損傷と劣化原因を調査し、その損傷原因が過去の粗悪な設置環境と過去の不適切な修復処置、さらにカンバスが貼られた木摺に主な原因があることがわかった。さらに、天井画の由来はフランスで制作され輸入されたものであることを突きとめた。
著者
伊藤 有壱 小町谷 圭
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の為に作成した2体(クレイ、金属関節人形)を含めた3種類のアニメーションパペットと、そのガイドとなる実写人物、そして着ぐるみの5要素のキャラクターが、異なる3パターンの背景(アウトドア実景、ミニチュアセット、グレーグリッドセット)で同じアクションを繰り返す、立体視アニメーション撮影のベーシックとなりうる画期的な素材の作成に成功した。新たに撮影された背景等新要素によりその組み合わせパターンは無限となることから、次世代に向けての拡張性も含んでいる。さらに本研究の情報開示は、撮影対象物であるクレイやパペットの貴重な立体アニメーション制作技術の普及にも貢献するものである。
著者
関根 和江
出版者
東京藝術大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

シモン・ゴールドベルク旧蔵資料が、2010年、東京藝術大学音楽研究センターに一括寄贈され、「シモン・ゴールドベルク文庫」として資料整備が開始された。資料全6524点の整理がほぼ終了し、その内容を広く国内外に紹介し、資料利用に供する準備が整いつつある。本研究では、初年度に、文庫公開の第一歩として展覧会「シモン・ゴールドベルク資料展」を開催し、文庫資料の初公開を果たした。また、次年度には、文庫資料目録を日本語版と英語版で出版し、さらに、センターのホームページ経由で、データを発信することができた。
著者
野口 昌夫
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

トスカーナのティレニア海沿岸とリグーリア海沿岸、さらに島嶼沿岸を含めた歴史的小都市とその後背地域が、各々の小都市のネットワークを介して有機的な関係を保持しながら形成されてきたことと、それがイタリア半島西側の海域の制海権とも関係しつつ、各都市の領域の形成にもつながっていたことを、現地調査と史料・文献の収集、精査を4年間にわたり続け、地形、経済、政治、宗教の要因を具体的に把握することで明らかにした。
著者
日高 健一郎 石崎 武志 井上 浩一 川西 宏幸 高根 沢均 田村 幸雄 原 隆 堀 賀貴 水嶋 英治 吉田 昭仁
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-04-01

中近東と北アフリカにおいて、ユスティニアヌス1世期(6世紀)の主要な教会堂建築を対象として基礎研究、考古学調査、工学、保存科学、遺産公開の5領域で研究を行う。リビアのトクラ遺跡では「西教会堂」の発掘で、アプシスが出土、ヨルダンのジェラシュ遺跡では「三連教会堂」の詳細実測を終え、アトリウムの一部発掘を実施し、先行建築を確認した。対象国の政情不安と騒乱で一部研究が未完となったが、研究期間後半ではハギア・ソフィア大聖堂(トルコ、イスタンブール)を主対象として、上部構造の形状と微動を計測し、劣化の主因となる壁体への水分浸透を解析した。構造と保存科学の視点から、同大聖堂の保存と公開への基本指針を得た。
著者
長谷 海平
出版者
東京藝術大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本年度は映画教育に必要な実践内容を提示するために、具体的な実践から学習者の反応を記録し、その記録に対して考察を深め論文化を行った。また、映画における学習効果に関する研究を行った。映画制作を用いた教育実践を行う上で、実践者が留意しなければならない事はその実践に見込まれる学習効果である。しかしながら映画制作は基本的に協同的な作業であるため、個別の学習者について学習効果を測定する事が難しい。映画制作を用いた教育の有用性が認識されているものの、手法に多くのバリエーションが存在しないのは、この学習効果の見込みや測定の困難さが原因の一つである。つまり、学習の目的を明確にしづらいため映画を用いた教育をデザインしにくいのである。そこから、本年度は学習者が映画制作を体験学習し、その学習から受けた影響がどのようなものであるかについて作品の分析を通じて行った。そのために、映画制作内でのそれぞれの学習者の役割を明確にし、個別の学習者と作品に反映された表現の関係性が明確になるように実践を行った。分析はショット単位で行い、結果として自ら映画言語を獲得しようとする創意工夫、すなわち学習者個人の映画的な表現が見られた。映画制作を通じた教育実践には協同学習的な教育的価値、映像情報形成の仕組みを知るためのメディア・リテラシー的教育的価値などが存在し、これらの観点から学習的な意味が問われる研究が広く行われているが、本研究では映画を通じた芸術教育の可能性を提示する事ができた。