著者
杉本 つとむ
出版者
東北大学
巻号頁・発行日
1969

博士論文
著者
鈴木 道男 山下 博司 藤田 恭子 佐藤 雪野
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

ディアスポラ存続の条件として、構成員によるアイデンティティーの共有がある。しかし、他文化の中に暮らす人々にとって、アイデンティティーの再確認がなくては、「故国」、「民族」は意識から遠のく。それが同化のプロセスの一面であるが、マイノリティにとってその結束の拠所である「故国」、「民族」、「歴史」は彼らが不動のものとして捉えている規範通りのものではない。むしろ、これらのビジョンは常に変容し、それをもとに自らの立場を絶えず確認することで、彼らは継続的に結束を保っている。すなわち、永続的なデイアスポラとして存在するマイノリティには、その個々人の意識の有無は別として、結束の紐帯を再確認させ、たえず強化するする機構が必ず存在する。かかる共通認識の下、ディアスポラの維持・確認、あるいは創出の装置としての文学の諸相をとらえた。山下は、本来ディアスポラたちが形成した国家と目されているシンガポールにおいて、他国に住まうシンガポール人に対して、あらためてシンガポール系ディアスポラというまとまりを付与しようとする政府の政策と文学の位置づけを論じた。佐藤はドイツ語で書くチェコ人女流作家レンカ・レイネロヴァーに焦点を当て、主観性を伴う自伝や語りも、一つの時代を知る重要な資・史料であるとする立場から、ドイツ系チェコ人ディアスポラの激動の20世紀をたどろうとした。藤田は多文化の平和的共生が機能し、ドイツ語をあやつるユダヤ人の桃源郷とされてきたブコヴィナの像を、ユダヤ系女流詩人アウスレンダーの作品から抉り出し、ユダヤ人のアイデンティティ形成におけるその政治的意味を考察した。鈴木は、民族主義の高まりの中で、はじめて自らをマイノリティあるいはドイツ系ディスポラとして意識したトランシルヴァニアのドイツ系住民において、その結束の紐帯とて企図された詩集と、その国家社会主義的意図の意味について考察した。
著者
星 猛
出版者
東北大学
巻号頁・発行日
1956

博士論文
著者
阿部 茂樹
出版者
東北大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2016

研究目的 : ディジタルシステムの制御回路設計や演算アルゴリズムを短時間で実習する環境を提供することを目的とし、プログラマブルデバイスの一つであるFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いた実習システムを構築した。その例として種々のソーティングアルゴリズムをハードウェア記述言語を用いてプログラミングし、それを可視化するための表示回路を製作し、その動作確認を行った。研究実施計画 :1. 論理回路の基礎である種々の演算アルゴリズムに対しハードウェア記述言語を用いて回路記述を行い、2進数で与えられた入力の値を7Seg-LEDに10進数で表示させる2つの変換アルゴリズムについて演算速度、回路面積等の評価をする。2. ソーティングアルゴリズムを例として、簡単なアルゴリズムであるバブルソート、選択ソート、挿入ソート、高速なアルゴリズムであるクイックソート、ヒープソート、マージソートなど種々のアルゴリズムをプログラマブルデバイスで実現し性能比較をするとともに処理ステップ毎に可視化できるようなハードウェア構成とする。また、特徴などを解説できる資料の作成を行う。研究結果 :1. 2進数で与えられた値を10進数に変換する方法として、一般的に考えられる減算法と高速な計算ができるシフト演算法の2つについてプログラミングし、FPGAで動作させることによって演算速度の違いを体感できるシステムを構築することができた。また、論理シミュレーションによって2つのアルゴリズムの動作速度やハードウェアの使用面積などを評価でき、短時間で効果的な実習を可能とすることができた。2. 種々のソーティングアルゴリズムについてプログラミングし、論理シミュレーションによって演算終了までの演算速度の比較を行うことができるとともに、演算過程および3段階前までの演算履歴を可視化できるシステムを製作し、アルゴリズムだけでなく表示システムの制御と併せて学習できる実習環境を提供することができるシステムを構築できた。
著者
片山 翔太
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-04-01

緑内障は本邦における中途失明原因第1位の眼疾患である。日本人の緑内障患者の約7割は正常眼圧緑内障であり、眼圧下降以外の有効な治療法の開発が望まれている。ATPはエネルギー代謝の中心的役割を果たす分子で、緑内障で障害される網膜神経節細胞では重要な働きをしている。眼圧非依存因子としての眼循環障害が緑内障病態の一つであることも証明されており、エネルギー代謝の異常によるATP量の減少が考えられる。本研究では、網膜神経節細胞特異的なPDHK遺伝子の破壊を行い、PDHK阻害剤投与による網膜神経節細胞の保護効果が網膜神経節細胞内のPDHK阻害によるものであるかを検証する。
著者
ABE Koji TAKANE Shouichi SATO Sojun
出版者
東北大学
雑誌
Interdisciplinary Information Sciences (ISSN:13409050)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.151-157, 2015

Adding a sound to a certain environment is likely to be effective for design of impression there in acoustical point of view. However, until now, little is known about the effectiveness of additional sound on the change in impression. In order to investigate the effect of additional sound, an experiment was conducted by using three kinds of audio-visual materials offering three environments and five kinds of additional sounds. The audio-visual materials were respectively recorded at ``forest,'' ``park,'' and ``shopping street.'' They represent ``natural,'' ``artificial green,'' and ``urban'' environments, respectively. Five kinds of sound stimuli were respectively chosen as: ``bird singing,'' ``sound of stream,'' ``roaring of waves,'' ``traffic noise,'' and ``hum of voices.'' The former three stimuli are regarded as sounds in nature, while the latter two are regarded as artificial ones. The experiment was based on the method of paired comparison, consisting of the unprocessed original audio-visual material and that with one of the additional sounds. The subjects evaluated relative comfortableness and naturalness of each pair. Sound pressure level of the additional sound was controlled in order to discuss the influence of the loudness of the additional sound to the evaluation. The experimental results showed that the comfortableness was improved when the additional sound was `bird singing' or `sound of stream' categorized in the nature sound and its sound pressure level was a little lower than that at the original environment. Moreover, it was found out that the naturalness is degraded gradually for almost of the additional sound stimuli, as their sound pressure level is increased.
著者
篠沢 洋太郎
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

本研究の究極の目的はヒトに被移植中間層皮膚に汗腺を導入することであり、そうであれば最近進歩著しい再生医療を応用して、患者自己の体性幹細胞をみつけ、これが汗腺細胞に分化・増殖する可能性を検討し、汗腺細胞を移植皮膚へ導入することを考えるのが得策であろうとの結論に達した。そのためには、体性幹細胞の汗腺細胞への分化・増殖のための足場(ハード)および化学性因子(ソフト)を検討する必要がある。よって、まず熱傷ラット早期における個体の被移植部(熱傷創部)を流れる血中の分化・増殖因子(サイトカイン)動態を検討した。方法:(1)250〜300gのSDラットを用い、40mg/kgのベントバルビタール腹腔内投与麻酔下に、背部に30%TBSAIII度熱傷を作製した。(2)熱傷(-)、3、24、48、72時間後、麻酔下に頸動脈にカニュレーションしヘパリン採血、犠死させた。血漿を24時間蓄尿とともに-80℃に冷凍保存した。結果:熱傷(-)、3、24、48、72時間後の値は以下の通り(いずれもn=5、単位はpg/ml)。IL-1β:24±10,9±3,9±3,6±0,94±79、IL-8(GRO/CINC-1):42±12,285±15,124±52,22±5,34±15、IL-1ra:12±0,2428±54,222±112,79±39,268±140、IL-10:17±5,57±9,10±0,10±0,209±77、8-OHdG(遺伝子の活性酸素傷害物質)/Cr比:66±8ng/mgCr,24±0,39±6,59±12,140±22。考察:観察期間においては72時間に活性酸素傷害指標は最大となったが、これには3時間後のIL8の増加(これに引き続く好中球の活性化)が関与したと考えられた。Th1系のIL-8、IL-1βはTh2系のそれぞれIL-1ra、IL-10と連動しており、一方の活性化を制御していると考えられた。結語:増殖因子(サイトカインなど)はこれに対する生体の制御因子と連動していると考えられた。
著者
張 世波 Acuna Cesar M. 矢沢 彬
出版者
東北大学
雑誌
東北大學選鑛製錬研究所彙報 (ISSN:0040876X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.143-154, 1985

Three kinds of melting experiments were carried out for investigating the equilibria between ferrite slag and matte as follows : (I) Calcium ferrite slag and copper matte were brought into equilibrium under a current of SO_2-Ar gas. This corresponds to the condition of oxidizing smelting. (II) Calcium ferrite slag, copper matte and metallic copper were brought into equilibrium under a current of Ar gas. This corresponds to the condition of reducing smelting. (III) Three liquid phases of slag, matte and copper were brought into equilibrium under a current of SO_2-Ar gas. This corresponds to the direct production of copper by oxidizing smelting. In all of these cases, the distribution behaviour of arsenic, in addition to those of the principal components, was investigated. The solidified samples were investigated by microscope and electron probe microanalyzer (EPMA) to confirm the structure and composition for each phase obtained. The following crystallites were recognized in each phase. In the metal phase : a. Matrix of copper metal containing arsenic. b. Small bluish-grey particle of Cu_2S or bornite. c. Small greenish-grey crystallite of copper arsenide. d. Small light-grey arsenide consisting of Cu-Fe-As. In the matte phase : i. Bluish-grey matrix consiting of Cu_2S and bornite solid solutions. ii. Hair-like metallic copper. iii. Tiny dark grey crystallite of CaS. iv. Round dark grey particle consisting of calcium ferrite and bornite. v. White particle of iron. vi. Round yellowish-white grain consisting of copper and arsenic. vii. Tiny grey eutectic-type grains of Cu_2O recognized under very high oxygen potential. viii. Dark grey boundary crystallites observed in low grade matte. Sulfide-oxide mixture of Fe-Ca-S-O system. In the slag phase : 1. Large dark grey plate-like crystallites of 2CaO・Fe_2O_3. 2. Large grey plate-like crystallites of FeO・Fe_2O_3・CaO. 3. Massive light grey crystallites of FeO or Fe_3O_4. 4. Tiny dark grey grains observed in calcium ferrite crystallite. 5. Light yellow crystallites of FeS. 6. Brown or bluish-grey crystallites of bornite. 7. Greenish-grey plate-like or massive crystallites. Sulfide-oxide mixture of Fe-Ca-S-O system. 8. Small metallic copper grains. 9. White spherical crystallites of Fe occasionally containing As.
著者
三浦 佳二
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究においては、グラフ版のHodge-小平分解の神経科学への応用を目指した。Hodge-小平分解は、向き付けられたネットワークを流れに見立てて勾配流、大域循環流、局所渦の3成分へと分解して、ネットワークの構造解析を可能とする。例えば、大域循環流(harmonic flow)の自由度はネットワーク中のループの数に対応し、勾配流の自由度は連結成分数を反映する。本年度は、このHodge-小平分解を青木・青柳らによる時間変化するネットワークモデルの構造解析に応用した。その結果、ネットワークの結合の時間変化を支配する学習則がSTDP則(β~0)である時に、ループが多くでき、Hebb則(β<-0.5)である時にはループができにくいことを解明した。また、ネットワークの不変量であるループの数が、従来知られていたこのモデルの分岐図(Aoki & Aoyagi 2009, 2011)を反映するだけでなく、これまでカオス領域としてひとくくりにされていたパラメタ領域(Anti-Hebb則,β>0.3)をさらに細かく特徴づけることを可能とすることを発見した。また、Hodge-小平分解のデータ解析への応用だけでなく、脳のモデルとして、脳の触覚系がHodge-小平分解のアルゴリズムを利用して、不変量を取り出しているという仮説を提案した。数学のトポロジーの分野において導かれた(連続変形において保存する)不変量を活用することで、2次元タッチパネル上の指の形や位置に全く影響を受けず、タッチ回数を正しく数える並列アルゴリズムを提案した。
著者
佐藤 雪野
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

「ロマ」を「ジプシー」の言い換えとすると、必ずしも共通の特徴やアイデンティティがある存在ではなく、「ジプシー」とは、しばしば他から貼られたレッテルであった。しかし、チェコやスロヴァキアでは、「ロマ」は、文化・言語・歴史などの共通性や共通のアイデンティティを持っているので、「ロマ」の集団への帰属は、自己規定と他からのレッテル貼りによるものとが共存し、近代的「民族」としての誕生も、他者との関係で創り出されるともいえる。
著者
高橋 弘紀 茂木 巖
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

高品質・高機能材料を得るための1つの方法として,磁場・磁気力場を利用した材料プロセスの研究を行った.その手段として磁場中で同時に3方向から観察可能な加熱装置を開発し,いくつかの有機結晶に対して磁場中溶融凝固過程のその場観察を行った.その結果,尿素の凝固過程においては,過冷却状態から瞬時に凝固するのを観察し,取り出した容器内では針状結晶が生成する位置に磁気力による違いがあることを見出した.
著者
加地 伸行
出版者
東北大学
巻号頁・発行日
1982

博士論文
著者
栗林 均
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、清朝の公用語であったモンゴル文語について、官製の満洲語辞典(清文鑑)、官製史書、および档案(政府公文書)等の「官用」モンゴル文語文献資料の言語的特徴を明らかにした。これに基づき、17世紀以降のモンゴル文語を、木版刷の仏教経典に用いられた「古典式」モンゴル文語と、規範からはずれる「世俗的」文献に分ける従来の捉え方に対して、「官用」のジャンルを加えて「近世モンゴル文語」という枠組みで捉え直した。研究の基礎資料として作成した各種「清文鑑」と官製史書を含むモンゴル文語のデータベースに基づき、テキストデータと原本の画像データをリンクさせた資料検索システムを構築してインターネットで公開した。
著者
山本 光璋 前田 敏博 小倉 久直 井上 昌次郎 佐藤 俊輔 武者 利光
出版者
東北大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

本総合研究では、まず班員全員により、生体1/fゆらぎ現象についてレビューを行い、続いて代表者を中心として、ネコの心拍リズムの長時間計測と解析、さらには、脳単一ニューロン活動の計測と解析を行い、その結果について討論してきた。1.これまでに知られているあらゆる生体信号における1/fゆらぎ現象のサーベイをまず行った。細胞レベルでは、下等動物の神経系における自発発射や軸索中のインパルス伝導、ネコの脳単一ニュロン活動のレム睡眠時における1/fゆらぎ、器官のレベルでは、最も典型的な心拍リズム、血圧、呼吸リズム、瞳孔径及び焦点調節、自律神経活動、α波の周波数ゆらぎ、さらに個体レベルでは、身体動揺やヒトの手による拍子とりリズム、これら広範囲にわたる生体現象に1/fゆらぎ現象がみられることを再確認した。周波数範囲は現象により異なるが、10^<-5>から10Hzの帯域に及ぶ。2.これらの生体1/fゆらぎ現象における最も重要な関心事は、その低周波限界である。ヒトの心拍リズムでは、10^<-1>Hz以下10^<-4>から10^<-5>Hzまで1/fゆらぎがみられるこいうことが経験的に知られてきた。10^<-5>Hzとは約一日のタイムスケールに相当する。本研究では、ネコを用いた長時間心拍記録実験が中心的に行われた。3.ネコの心臓に直接電極を取り付け、連続4日間にわたる計測を異なる条件下で3回成功させた。その結果、10^<-4>Hzまで大枠としては、1/fスペクトル特性を示すことが確認された。また、連続6日間(144時間)にわたって行った記録実験の結果では、10^<-5>〜10^<-4>Hzの帯域に於いて、スペクトルは平坦化する傾向を見せた。スペクトルの低域での平坦化傾向は、ネコが有限の大きさのケージ内で、外界と遮断されたことにより行動が抑制され、心拍リズムの超低周波成分が減弱したものと推測された。ネコの脳単一ニューロン活動については、レム睡眠時における1/fゆらぎがエピソードを越えて一貫したものであることが示され、これがホップフィールド型の相互結合型ニューラルネットワークモデルのダイナミクスとして説明することが示された。また、確率過程として見たときの1/fゆらぎ現象の新しい解釈が与えられ、今後の数理的な研究の基礎固めができた。
著者
神垣 太郎
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

アンケートでは352標本を回収することができ、のべ39992回の接触が記録された。年齢別に見ると13-15歳が最も高く、ついで16-24歳および6-12歳であった。身体的接触は家庭では70%を超えていたが、通勤・通学では約30%であった。接触マトリックスモデルでは20歳以下の未成年層を中心に同年齢に対する接触が最も高く表され、至近距離での接触では、さらに子供と親年齢での接触密度および成人と高齢者の接触密度が増加する傾向が認められた。先行研究と変わらない接触密度が観察された一方で、成人と高齢者との高い接触密度が観察されたことは我が国に特徴的な接触パターンの可能性が示唆された。