著者
細坪 護挙
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, pp.215-220, 2016-11-05

一般講演要旨
著者
江崎 通彦
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.161-182, 1991-10-25
被引用文献数
2

This paper introduces the DTCN method; an new method for creative R&D that attempts to achieve the following three aims: (1) to create a new sense with regard to certain values; (2) to develop a useful method to deal with both R&D and the commercialization of its results; (3) to develop a method by which creative thinking finds concrete expressions. In the DTCN method, the origin and the norms for thinking and action are located in the customer. These thinking and action are systematized through DTCN. This method is thus a tool to stimulate and systematize the creativity of an organization and its members so that it may be rendered operational.
著者
小林 慎一 粂野 文洋 白井 康之 犬島 浩
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.192-206, 2010-03-01

ソフトウェア分野の研究開発力を強化するための一つの方策として,研究開発対象にする重点テーマを策定する方法論を提案する。この方法論では,ソフトウェア技術に関する複数のトレンドがそれぞれ独立に進展することによって対立概念が顕在化し,その解消のために新たな技術の創出が求められると考える。将来の対立点がどこに発生するかを推測することが重点分野の検討につながる。従来課題とされていた対立点の推測はソフトウェア工学の知見を活用したFURPS+モデルによるトレンドの対立度計算手法による。本方法論を用いて公的な研究費配分機関における重点的な研究開発テーマの検討を行い,25の重点分野を策定した。これらの重点分野の妥当性を評価するために,デルファイ法にもとづいて実施された文部科学省技術予測調査で得られた主要課題との比較分析を行った。本方法論で得た重点分野は文科省調査の主要課題の89%(8テーマ/9テーマ)をカバーしており,高い精度で両者が一致している。本方法論の重点分野の36%(9テーマ/25テーマ)は文科省調査の主要課題には存在しないテーマである。この部分は文科省調査に対する本方法論の独自性を示している。本方法論によって重点分野の検討プロセスに体系的な手順と一定の網羅性が得られ,複数人での検討作業が過度に発散せず,系統的で見通しの良いものになることを示した。
著者
Collins Steven
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.12-18, 2005
参考文献数
14

アメリカにおけるバイオテクノロジー・センターに関する最も際立った特徴の一つは, いくつか少数の地域にクラスターが集中していることである。2003年の時点で, アメリカのバイオテク企業1,466社のうち60%が5つの州に立地し, カリフォルニア州だけで30%を占めている。しばしば商業的なバイオテクノロジーの誕生はバイドール法の制定に結び付けられるが, その起源はアメリカのナショナル・イノベーション・システムにおける三つの発展-1930年代から始まるロックフェラー財団の支援による分子生物学の発展, 冷戦期の科学システム, 50年代から70年代におけるNIHによる生物医学への財政的支援-に遡る。そして, 70年代半ばまでに, 商業的なバイオテクノロジーのための科学的及び政治的基礎が適宜据えられたのである。本論文では, アメリカにおけるバイオテクノロジーの地理的クラスターについて概観するために, 主要な6ヶ所を取り上げる。バイオテクノロジー企業のほぼ半数が本拠を置くサンフランシスコ及びボストンは, 前者では76年のGenentech, 後者では78年のBiogenの設立によって, 創始的なクラスターの誕生した地域で, 1995年から2001年までの期間, バイオテク企業に対するベンチャー・キャピタルの約3分の1を前者が, 20%を後者が引き寄せ, またNIHのトップ100市に対する研究資金の配分において前者が6%, 後者が12%を得ているが, それらインプットの集中は, 最初のバイオテク企業のパイオニアを生み出したことや多くの研究者・企業家・ベンチャー・キャピタルを引きつける地域的比較優位条件をもっていたことと, 冷戦期の科学技術政策と歴史的合成の結果である。それら二つの地域の後に続く, サン・ディエゴ, ワシントンDCメリーランド, ノースカロライナ州のリサーチトライアングル, シアトルの4つの地域を加えてみると, アメリカにおける主導的なバイオテクノロジー・クラスターには, 共通するいくつかの特徴-NIHの研究基金のより大きな受納者にランクづけされる研究大学が存在すること, バイドール法の制定以前に技術移転のメカニズムや手法がよく開発されていたこと, ベンチャー・キャピタルが利用可能であることや起業家精神の風土, そして時宜を得た戦略的政策関与が支援的な役割を演ずること, バイオテクノロジー・センターの必要に対して専門化された人的資本の充分に開発されたプール(科学者だけではなく, 工学者, パテント弁理士, 建築家, 技術者, そしてスタートアップの立ち上げに経験をもつ経営者たちなどを含む)があったこと-が見出されるのである。
著者
岡本 信司
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.367-382, 2009-05-25
被引用文献数
1

地域におけるイノベーション・システムの構築は我が国の重要政策課題であり,文部科学省の知的クラスター創成事業や経済産業省の産業クラスター計画等の地域クラスター政策をはじめ地方公共団体においても数多くの取り組みがなされている。これら地域クラスター政策の課題として,科学技術基本計画における重点4分野等への偏りが見られており,中央集権的志向,行政主導で地域特有の既存産業や中小企業家等のイニシアティブを促す「内発的発展」の姿勢はないとの指摘がある。一方,我が国には長い歴史と各地域の特性に立脚した伝統工芸産業があるが,需要の低下,新規市場開拓の問題,後継者難等の多くの課題を抱えている。これら伝統工芸に関する技術の中には先端科学技術に応用発展した事例があり,将来の地域イノベーション・システム構築に向けては,各地域の特性を生かした地場産業の一つである伝統工芸産業を基盤とした新たな展開が考えられる。本稿では,伝統工芸から先端技術への創出に向けた産学官連携活動を行っている京都地域と石川地域における活動の事例を分析して,地域における伝統工芸産業などを基盤とする科学技術を活用した「地域伝産学官連携」(地域における伝統工芸産業と大学,国及び地方公共団体,産業界との有機的な連携)の概念を導入した新たなイノベーション創出による地域活性化に関する提言を行う。
著者
板谷 和彦
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, pp.83-86, 2015-10-10

研究開発の最前線では欧米の背中が遠くなる一方で、多くのリソースをかけて開発した技術を新興国によって短期間でキャッチアップされる問題にも直面している。しかしながら、日本では多くの技術系企業では、従来からの中央研究所スタイルの組織を維持しているところは多い。時代・環境の変化はこれら日本における中央研究所の風土や人材のモチベーションにどのような影響を与えているのだろうかとの問いに対して、中央研究所での今日的な創造的風土の変化を調べるために、組織行動の視点からアンケート調査分析を行った。
著者
板谷 和彦 丹羽 清
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.85-97, 2012-09-20

本論文では,発見を支援するマネジメントに関する新たな視点を導くことを目的として,発見のプロセスの理解に基づく現場主導型マネジメントを提示する。さらに,大手技術系企業の研究所において,4チームに対し,2ヵ月半にわたり非適用群を設定した実証実験として適用を行い,研究者の研究行動に与える効果を定性的方法により分析した。研究行動の事例は,適用群,非適用群によらず,「仮目標の設定」,「試行の場の設定」,「試行錯誤」の3つにカテゴリー化された。一方,適用群の事例では,発見志向の研究行動に多く適合する傾向にあり,相互に関係性を示す複数の発見志向の研究行動に適合する事例も見られた。現場主導型マネジメントの適用の効果は,高い自律性を有する施策によって,発見への探索の方法や経路の選択に関する制約や失敗に対する躊躇を抑制するとともに,偶然の結果に対する気付きや洞察,飛躍に結びつく視点の変化を導くことにあるとの考察を示した。
著者
玄場 公規 児玉 文雄
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.179-189, 1999-11-25
被引用文献数
7

各産業の研究開発活動及び事業活動における多角化度を定量的に分析した。多角化度については、エントロピー値という指標により測定した。1980年代においては、多くの産業で研究開発活動の多角化が進展しており、事業活動の多角化についても、研究開発活動に追随するように進展している。次に、研究開発活動及び事業活動の多角化データと産業連関表の産出投入表のデータを用いて、多角化の方向性を川上多角化度及び川下多角化度といった指標により定量化した。そして、研究開発の多角化の方向性を各産業の技術機会と捉え、産業カテゴリー毎に技術機会の方向性を整理した。分析の結果、ハイテク産業及び規模依存型産業は、川下方向への技術機会があり、科学技術と関連のある繊維・医薬・紙パ産業では川上方向への技術機会があると考えられる。さらに、本研究では、収益性向上に資する多角化戦略を検討するため、事例分析を行い、付加価値の高い川下方向への技術の展開を図る多角化戦略が収益性向上に寄与するという仮説を導き出した。最後に、この仮説を示唆する実証結果を多変量解析により得た。
著者
児玉 文雄
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.2-4, 2004-02-20

Activities of the Japan Society for Science Policy and Research Management in early periods were focused on recommendations on science and technology policy rather than establishment of an original knowledge system based on theoretical and empirical analyses. However, the 1990s saw a general shift of subjects of the publications at the annual meeting from reviews or recommendations to case studies on specific technology development projects. This will facilitate identification of factors contributing to the success or failure of the projects, which will then be utilized in the development and management of technology. For such developments to occur, a vocabulary should be offered for mutual understanding of different organizations and industrial sectors. Such a framework is a prerequisite for exploitation in future of accumulated experiences, and will help presentations and criticism of new concepts. In this process the priority of research should be respected through accurate citations.
著者
福澤 尚美
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.40-51, 2012
参考文献数
36

大型競争的研究資金である21世紀COEプログラムにより,どれだけ研究が促進されたのかを,学術データベースにより作成した個別研究者の論文数と1論文あたり被引用数を成果指標としてDifference-in-differences推定量により実証分析した。その結果,生命科学分野全体では論文数,被引用数共に正に有意な増加効果が得られ,情報・電気・電子分野全体では被引用数で正に有意な増加効果が得られた。社会科学分野全体では論文数,被引用数共に正に有意な増加効果は得られなかった。本分析からこのプログラムにより概ね研究が促進されたと評価出来る。また,推定結果をピアレビューと比較した結果,生命科学分野では大きな相違は見られなかったが,情報・電気・電子分野と社会科学分野では相違がみられた。従って,分野により研究の特性が異なるため,ピアレビューのみならず定量的な分析との併用が研究評価の手法として望ましいと考える。
著者
金間 大介
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.285-295, 2010-05-14

技術予測は,科学技術政策や戦略の検討プロセスとして,1990年代以降に多くのOECD加盟国で実施され,その後アジアや南アメリカなどでも注目されるようになった。結果として,これら各国の異なる社会的・政策的ニーズを満たすべく,技術予測を実施する各機関は従来の手法を独自に発展させてきた。そのため,技術予測全体に関する知識体系は複雑化している。本稿では,技術予測を,目的,手法,対象とする自然科学系の研究分野(各技術予測手法の適用分野)の3つの観点から検討を試みた。技術予測は,科学技術政策の立案に資するデータの提供および検討を行うことを前提としながらも,科学技術・イノベーション政策に関する知識基盤の構築といった,いわゆるラーニングツールとして活用している例も多いことがわかった。また,各々の技術予測手法には各特性に応じた長所と短所があり,EUや北米,アジアといった各地域によって,使われてきた手法も大きく異なることがわかった。さらに,デルファイ法,シナリオ・プランニング,技術ロードマップに注目し,その3手法に関する自然科学分野における論文を分析したところ,その対象分野としては,デルファイ法は健康・医療分野,シナリオ・プランニングは環境・エネルギー分野,技術ロードマップは電気,半導体分野といったように,手法ごとに大きく異なっていることが明らかになった。
著者
伊東 真知子
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.144-159, 2014

科学が発展する過程には,既存の研究分野にまたがる学際分野の形成が欠かせないが,科学の潮流を生み出しうる新しい分野の形成は日本では必ずしも活発ではない。学際研究にはさまざまな困難が伴うため,その軽減策を国から現場までのレベルにおいて検討・実施することが重要である。近年では書誌情報等の定量的解析の普及も進んでいるが,論文が公表される以前の学際研究はどのように芽生えるものであり,何に対するどのような支援が可能なのだろうか。今後の学際研究促進策の立案のために,定量的データを補完する定性的データを得ることを目的として,日本のゲノム研究コミュニティを例にとり,資料調査と研究者への半構造的インタビューをおこなった。学際分野への転進の契機には能動的な例も受動的な例もみられたが,その違いに対する否定的な言及はみられず,むしろ学際交流やハイリスク研究を制度設計によって促すべきという意見もみられた。学際交流の場は,研究に直接関係する情報交換だけでなく,優秀な若手研究者の奨励や,創造性に貢献する浅く広い人脈の形成という機能も担っていることが示された。学際的な分野であっても,研究者には深い専門性が求められ,異分野の知識や技術の習得にはまとまった時間と労力がかかる。今回は,大学院生時代に解析対象を広げた例と,学位取得直後に集中的に習得した例がみられた。既に職を得た研究者が異分野に挑むための制度が望まれている。
著者
安彦 元
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.29-39, 2012-09-20
参考文献数
12

本研究では,「権利形成過程における特許請求の範囲に対する意思決定が特許権侵害訴訟における判決と相関を持つ」という仮説をあくまで定量的に検証するため,独立請求項の出願から権利化に至るまでの格成分数(技術的範囲)の変動比率CLD率を介して数値化した。そして実際の特許法第104条の3が施行された後の5年間の裁判に焦点を当て,あくまでステップ数や動作数,条件数により技術的範囲の広狭が主に支配され,それが格成分数として現れ易い電気,機械分野を調査対象の中心に据えて実例分析を行った。その結果,1)敗訴(無効)は,勝訴と比較して,よりCLD率が高くなること,2)敗訴(逸脱)は,勝訴と比較してCLD率は大きな差が無かったが,ややCLD率が高くなること,が分かった。本研究を通じて,侵害訴訟の勝率を向上させる上であくまで権利形成過程における特許請求の範囲に対する意思決定の観点から一つの方向性を示したものであるが,知財高裁や最高裁の判決をも考慮に入れて分析を行うことで,また違った角度での考察もできると考えられる。