著者
佐藤 寿倫
出版者
福岡大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

依然として上昇している要求性能に答えることが可能な,プロセッサ性能の向上が達成されている.しかしシステム全体を眺めると,十分な性能を提供できているとは言い難い.メモリが足枷となっている.加えて,メモリはエネルギー消費量が大きい点でも問題である.このような問題意識から,本課題を実施した.近い将来に磁気抵抗メモリ等の次世代メモリが利用可能になるという仮定の下で,アーキテクチャ上の工夫により高性能・低電力・高信頼なメモリシステムを実現するために,従来の記憶階層を解体して新たに構築することを目標とした.提案する記憶階層を用いると最良の場合で,エネルギー遅延積を49%改善できることが確認できた.
著者
山口 幸生
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では地域集団戦略の発想から,地域住民のまちなか移動における歩行や自転車利用促進に関係する心理社会的要因を明らかにし,効果的な身体活動促進プログラムを開発することを目的とした.結果として,かしこい車利用を促す情報冊子の効果は,自宅と最寄り駅との距離の違いによって異なっていた.また,自転車の利用に関する行動意図と,自転車利用に関する態度,社会的支援,自宅周辺の主観的環境要因、自己効力感、阻害要因が関係していた.
著者
山本 大地
出版者
福岡大学
雑誌
福岡大学研究部論集. A, 人文科学編 (ISSN:13464698)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.49-55, 2012-01
著者
渡邉 英博
出版者
福岡大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

クロオオアリの社会形成において重要な役割を果たす、巣仲間識別の神経機構を解析した。第一に、揮発させた体表物質を手掛かりにアリが巣仲間を識別することを行動学的に発見した。この研究結果をふまえて巣仲間識別に関わる触角感覚子よりインパルス応答を記録し、内在する感覚細胞の嗅覚刺激に対する応答特性を調べた。また、巣仲間認識機構の神経基盤となる脳内領域を一次嗅覚中枢および高次嗅覚中枢で同定し、これらの領域の有無を他種の膜翅目昆虫と比較解析することにより膜翅目昆虫の社会性の進化過程について考察した。
著者
所 浩代
出版者
福岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、雇用における障害差別の是正を実効的に行うための仕組みを考察した。雇用における障害差別については、障害差別を禁止する法律を立法し、差別の是正と予防を行うことが一般的である。もっとも、障害差別の規制方法は、国によって異なる。米と英は、障害に特化した差別禁止法を制定し、裁判所により司法救済を個人が求めることができるようになっているが、それとは別に行政機関が差別の苦情を受け付け、紛争の内容を吟味し、解決に向けたアドバイスを行う。本研究では、このような行政による支援の有効性を検証した。また、障害者の雇用機会の拡大という政策目標に、差別禁止法がどの程度貢献しているのかについても検討した。
著者
上原 明 塩谷 孝夫 上原 清子
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は、ヒト心室頻拍患者の心筋リアノジン受容体の点変異体K4750QをIn vitro再構成し、変異体の単一チャネル電流特性とCa2+動態を検討した。その結果、細胞質側Ca2+による活性化、細胞質側Ca2+による不活性化、小胞体内腔側Ca2+による活性化の3つから成るRyR2のCa2+感受性機構群は、全てCa2+リーク能が劇的に高まる方向に変化していた。これは、3つのCa2+リガンド結合部位群からのCa2+結合に伴う構造変化の情報がK4750を含む箇所で収斂される部位に変異が入っていることで説明される。変異RyR2発現細胞では、Ca2+リーク亢進による小胞体内口腔のCa2+枯渇も確認された。
著者
原 健二 久保 真一 柏木 正之
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

火災で発生する熱分解物すなわち煙成分を焼死体の血液から証明する研究をした。方法としては、固相マイクロ抽出を使って揮発性成分を抽出し、低温濃縮ガスクロマトグラフィー質量分析法を使った。この方法により、熱分解産物であるフェニルアセチレン、スチレン、インデン、ナフタレンが熱傷を伴う焼死体の血液から検出されることがわかった。すなわち、この分析において、焼死体の血液から火災で発生した煙成分を証明することができる。煙成分の検出は火災発生時において焼死体が生存していた証拠になる。
著者
内尾 英一
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

抗アデノウイルス作用を持っている可能性のある薬物のアデノウイルス増殖抑制作用をin vitroで解析した。アデノウイルス増殖抑制効果が見られた薬剤はザルシタビン,スタブジンおよびGRGDSPペプチドであった。抗ヒト免疫不全ウイルス薬では核酸系逆転写酵素阻害薬のみが有効であった。GRGDSPペプチドは吸着阻害作用による効果を示した。これらの薬剤がヒトのアデノウイルス結膜炎への安全な治療点眼薬である可能性が示された。
著者
竹下 盛重 中村 昌太郎 石塚 賢治 石塚 賢治
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本のEATL(腸管症関連T細胞リンパ腫)では大部分がII型であり、その多くはCD56+, CD8+T細胞リンパ腫であった。その非腫瘍部位の粘膜には、腫瘍性のIEL(上皮内リンパ球)が約70%にみられ、また反応性IELが多くみられる腸管症病変が約50%に認められた。腫瘍細胞はC-METの反応が約80%に、またリン酸化MAPKが90%、C-MYCが約40%、BCL2が70%強に認められた。また、FISH によるC-METの増幅は65%、C-MYCの増幅が71%に認められた。EATLでは、C-MET/MAPK系やC-MYC/BCL2系を介する細胞の増殖維持が腫瘍化に関与していると推測した。
著者
山田 勝士
出版者
福岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

本研究では、ラットにおけるあくび行動の発現機序について検討を加え、以下の研究結果を得た。1.あくび行動は、選択的ドパミンDー2受容体作動薬のタリペキソ-ルの皮下投与によって誘発され、本あくび行動は、βーアドレナリン受容体遮断薬のピンドロ-ルあるいはαー1アドレナリン受容体遮断薬であるプラゾシンやブナゾシンの前処置によって増強された。2.ムスカリンMー1受容体作動薬であるRS 86およびAF102Bの皮下投与によってもあくび行動を誘発した。3.RS 86、AF102B、ピロカルピンおよびフィゾスチグミンの投与によって誘発されるあくび行動は、ピンドロ-ルの前処置によって増強されたが、プラゾシンやブナゾシンの前処置では影響を受けなかった。4.これらの薬物によって誘発される全てのあくび行動はムスカリン受容体遮断薬であるスコポラミンおよびαー2アドレナリン受容体遮断薬であるヨヒンビン、イダゾキサンあるいはラウオルシンの前投与によって著明に抑制された。5.ドパミンDー2受容体作動薬誘発あくび行動は、ジヒドロピリジン系カルシウムチャンネルアンタゴニストであるニフェジピンおよびニカルジピンの前投与によって増強されたが、非ジヒドロピリジン系のベラパミルやジルチアゼムでは増強されなかった。6.ムスカリンMー1受容体作動薬およびコリンエステラ-ゼ阻害薬によるあくび行動は、いずれのカルシウムチャンネルアンタゴニストの前処置によっても影響されなかった。以上の結果より、あくび行動は、高感受性ドパミンDー2受容体あるいはムスカリンMー1受容体の刺激を介して発現し、また本行動に関与するドパミン性神経ーアセチルコリン性神経連絡系のアセチルコリン性神経活動に対してノルアドレナリン性神経が抑制的に、さらにアセチルコリン性神経に続く未知の神経に対してアドレナリン性神経が抑制的に制御していることが明らかとなった。さらに、あくび行動の発現に関与するドパミン性神経活動においてカルシウムが重要な役割を演じていることが示唆された。
著者
小野 博 穂屋 下茂 田中 周一 工藤 俊郎 加藤 良徳
出版者
福岡大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

多くの教員は学生のコミュニケーション能力を感覚的に把握しているが、数値化された測定方法が共通化されていないため、測定方法を開発した。学習に際し大学生に求められるコミュニケーション能力の構成要素は、(1)発信力、(2)受信力、(3)初対面積極性、(4)学習積極性の4要素が重要だと考えた。約6、000名の学生に質問紙調査を実施した(1)質問紙の評価、(2)教員の面接による評価、(3)客観的な日本語力調査を実施し、学生のコミュニケーション能力と基礎学力等の検討を行い、教員の感覚と一致する測定方法を開発した。
著者
水崎 博明 水崎 博明
出版者
福岡大学
雑誌
福岡大學人文論叢 (ISSN:02852764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.1177-1210, 2009-03
著者
池田 浩
出版者
福岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、メンバーを奉仕するサーバント・リーダーシップに着目し、その効果を実証的に検討した。その結果、サーバント・リーダーシップは従来の変革型リーダーシップとは異なる効果を持っていた。すなわち、変革型リーダーシップは、有能性を意味するメンバーの「認知的信頼」を引き出していたのに対し、サーバント・リーダーシップは「情緒的信頼」を引き出していた。また、サーバント・リーダーシップは、メンバーの基本的な心理的欲求(有能感、自律性、関係性)を満たすことで、自律的なモチベーションや職務パフォーマンスを引き出していた。さらに、サーバント・リーダーシップは職場全体に波及する効果も持っていた。
著者
Holster Trevor ペロウ ウィリアムロバート レイク ジェイ 徳永 美紀
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

多読用英語リーダーに対する学生の主観的難易度を登録すると、ラッシュ分析により学生の能力とリーダーの難易度が比較できるシステムを開発した。300冊のデータを検証した結果、難易度への影響は本文の長さが一番大きく、次にセンテンスの長さであった。語彙レベルの影響は小さかった。他のシステムとの比較では、「読みやすさレベル」が本研究による難易度評価に最も近く、次いでLexile Levelであり、Graded Reader Scaleとの相関は低かった。本システムは無料でダウンロードが可能であり、ERFと協力し、Graded Reader Scaleの改善に貢献した.
著者
難波 秀行
出版者
福岡大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

2種類の携帯電話を用いた身体活動量測定システムを開発して,その妥当性を日常生活の身体活動量を最も正確に測定できる二重標識水法(以下DLW法)を用いて検討した.対象者は一般健常な男女20名(25~61歳)で,それぞれの方法で7日毎に計14日間の測定を行った.本研究で開発したシステムによって,総エネルギー消費量を精度よく推定することが示された.本システムの特徴は短時間,低コストで利用できることから,多人数の生活習慣病の予防等に利用できる可能性がある.