著者
安田 尚
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

「福島民報」と「福島民友」は、ともに社内には原発専門家はいないので、社外の原発推進派の技術者に依存し、「安全神話」の普及に貢献している。海外の「原発事故」に対して「我が国では起こりえない事故」と断じている。読売と朝日の記事を比較すると、前者は終始一貫し「原発」推進派であり、「先導」者であった。後者は、原発に関してはその拙速を批判するものの動揺する「容認」派であった。福島の「原発事故」に関する、日仏メディアを比べると、「メルトダウン問題」を仏は迅速に伝え、日本は隠蔽した。仏は「情報源の多様性」を保持し、米軍からの情報も報道している。福島の「原発事故」の深刻度でも仏は事故後すぐ報道している。
著者
安田 尚道
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.1-15, 2008-10-01

本居宣長『古事記伝』の「仮字(カナ)の事」は万葉仮名の二類の書き分けを初めて指摘したものであるが、橋本進吉はこれをあまり高く評価せず、"本居宣長が見付けたのは、特定少数の語についての仮名のきまりであって、コ音・メ音等の仮名全体に通じてのきまりではない。十数個の仮名に二類の別があるのを発見したのは石塚龍麿である。"とする。しかし、『古事記伝』の「仮字の事」を詳しく検討することにより、宣長が、キヒビミケメコソトモヨ等について二類の区別があったことを発見していたこと、さらに、二類の仮名を配列するにあたって中国漢字音(中古音)を念頭に置いていたらしいこともわかる。
著者
安田 尚道
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.1-14, 2003-04-01

万葉仮名の二類の書き分け(上代特殊仮名遣)の存在と,それが音韻の区別に基づくことは,本居宣長・石塚龍麿などがすでに述べていることで,"橋本進吉がのちに宣長・龍麿とは無関係に独立して発見した"との説は認めがたい。橋本がはじめ,"ヌに二類あり,『古事記』ではチにも二類あり"としたのは,龍麿の『仮字遣奥山路』に基づくものである。宣長・龍麿が認めた『古事記』のモの二類の区別を橋本がのちに否定したためこの区別の再確認を行なった池上禎造・有坂秀世は,その過程で『韻鏡』の利用や「音節結合の法則」などから,上代特殊仮名遣が音韻の区別に基づくことを明確にしたのであった。
著者
保坂 到 中島 智博 梅田 璃子 大川 陽史 安田 尚美 柴田 豪 伊庭 裕 川原田 修義
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.118-122, 2022-03-15 (Released:2022-04-06)
参考文献数
3

Peripherally inserted central catheter(PICC)は病態に応じて小児から成人まで広く用いられる中心静脈カテーテルであり,内頸静脈や大腿静脈,鎖骨下静脈をアクセスとする従来の方法と比べ手技関連合併症が少ない.一方,血栓症や静脈炎の発症が多く,稀ではあるが抜去困難の報告も散見される.症例は13歳女児で,神経変性疾患のため鎮静剤の長期投与をPICCから受けていた.PICCが閉塞を来し交換の方針となったが,用手的抜去が困難であり当科に紹介された.CTにて,PICCが右腋窩静脈で屈曲しその周囲に高吸収域の構造物が確認された.当科および小児科の合同カンファレンスで治療の確実性と侵襲度を検討し,外科的摘出を選択した.手術は全身麻酔下に右鎖骨下を切開し,腋窩静脈を露出し直視下に静脈閉塞部位を露出した.血管内腔には白色石膏状の構造物が充満しており,内部にカテーテル本体が埋没している奇異な形態を認めた.構造物を摘出し,屈曲したPICCを直線化した後に,穿刺部である右肘窩から抜去した.石灰化を伴う抜去困難症例は報告があるものの,本症例のような形態で抜去困難に至った症例は他になく,また外科的摘除が非常に有効であったと考えられたため今回文献的考察を交えて報告する.
著者
馬殿 恵 今川 彰久 阿比留 教生 粟田 卓也 池上 博司 内潟 安子 及川 洋一 大澤 春彦 梶尾 裕 川﨑 英二 川畑 由美子 小澤 純二 島田 朗 高橋 和眞 田中 昌一郎 中條 大輔 福井 智康 三浦 順之助 安田 和基 安田 尚史 小林 哲郎 花房 俊昭 日本人1型糖尿病の成因診断病態治療に関する調査研究委員会
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.37-46, 2019-01-30 (Released:2019-01-30)
参考文献数
34
被引用文献数
5

抗PD-1抗体投与後に発症する1型糖尿病について,日本糖尿病学会員への調査と文献検索を行い22症例を検討した.初回の薬剤投与日から発症までの平均期間は155日,発症時の平均年齢63歳,平均血糖値617 mg/dL,平均HbA1c8.1 %,尿中C-ペプチド4.1 μg/日(中央値),空腹時血中C-ペプチド0.46 ng/mL(中央値)であった.31.6 %に消化器症状,27.8 %に感冒様症状,16.7 %に意識障害を認め,85.0 %でケトーシス,38.9 %で糖尿病性ケトアシドーシスを発症した.50.0 %が劇症1型糖尿病,50.0 %が急性発症1型糖尿病と診断された.膵外分泌酵素は52.6 %で発症時に,28.6 %で発症前に上昇した.1例でGAD抗体陽性であった.抗PD-1抗体投与後に発症する1型糖尿病は,劇症1型糖尿病から急性発症1型糖尿病まで幅広い臨床病型を呈し,高頻度に糖尿病性ケトアシドーシスを発症するため,適切な診断と治療が不可欠である.
著者
徳永 あゆみ 今川 彰久 西尾 博 早田 敏 下村 伊一郎 阿比留 教生 粟田 卓也 池上 博司 内潟 安子 及川 洋一 大澤 春彦 梶尾 裕 川﨑 英二 川畑 由美子 小澤 純二 島田 朗 高橋 和眞 田中 昌一郎 中條 大輔 福井 智康 三浦 順之助 安田 和基 安田 尚史 小林 哲郎 花房 俊昭 日本人1型糖尿病の成因診断病態治療に関する調査研究委員会
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.840-849, 2018-12-30 (Released:2018-12-30)
参考文献数
29
被引用文献数
2

劇症1型糖尿病は急激な発症と重症代謝異常が特徴である.本委員会では膵臓MRIのうち水分子の拡散制限を反映する拡散強調画像に注目し,劇症1型糖尿病発症早期における診断への有用性を検討した.画像データが存在する劇症1型糖尿病症例14例について,拡散の定量化指標であるADC(Apparent Diffusion Coefficient)値を算出し,非糖尿病対照例21例と比較した.劇症1型糖尿病症例では膵臓の全領域でADC値が有意に低下し,膵全体にわたる単核球浸潤による細胞密度上昇が示唆された.ADC値の最良のカットオフ値を用いると,診断感度86 %,特異度71 %であり,非典型例2例の診断にも有用であった.また,劇症1型糖尿病症例におけるADC値は血糖値および動脈血pHと有意に相関し,発症後経過とともに上昇傾向であった.以上より,膵臓MRI拡散強調画像は劇症1型糖尿病の効率的な診断の一助となることが示唆された.
著者
畠 俊郎 高橋 裕里香 西田 洋巳 安田 尚登
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.151-160, 2017 (Released:2017-03-31)
参考文献数
18

近年,日本近海に存在する新しいエネルギー資源としてメタンハイドレートが注目されている。このメタンハイドレートを分解してメタンガスを生産する場合,堆積層の強度低下等に伴う地盤変形によって生産活動等が阻害される可能性が危惧されている。本研究では,この地盤変形の抑制に日本近海で採取したメタンハイドレート胚胎層サンプルから新たに単離した微生物の代謝機能を活用する生産支援技術の適用性について検討した。太平洋側および日本海側で採取したメタンハイドレート胚胎層サンプルを対象に尿素の加水分解酵素であるウレアーゼ生産能を持つ微生物の単離を行うとともに,この単離微生物を対象として模擬堆積物の間隙内にカルサイトを析出させる室内試験を実施した。その結果,カルサイトの結晶析出による粒度分布の変化および粘着力の増加に伴う強度増進効果が期待できることが明らかとなった。
著者
中里 佳央 臼井 朗 西 圭介 日野 ひかり 田中 雄一郎 安田 尚登 後藤 孝介 イアン J. グラハム
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2015年大会
巻号頁・発行日
2015-05-01

Hydrogenetic ferromanganese crusts (hereafter called crusts) on the Pacific seamounts are formed by precipitation of iron?manganese oxides from ambient seawater on volcanic and biogenic substrate rocks. Crusts have been used as potential as record of the Neogene paleoceanographic and paleoclimatic conditions, because of their very slow and continuous growth rates 1 to 10 mm/m.y. . In the paper, the crust has been observed as compressed sediment cores which have incorporated part of the weathered product of the substrate, biogenic, volcanogenic, terrestrial particles such as eolian dust during its growth.In this study, a selective leaching experiment were applied on the ferromanganese crust from Federated States of Micronesia at water depth of 2262 m. The leaching procedures used by Koschinsky and Halbach (1995) was modified and optimized a part of sequential leaching experiments. Their work, known selective dissolution procedures were adapted to the treatment of ferromanganese crusts and combined into a leaching sequence that allows for the effective separation of the major mineral phases of crusts from associated metallic components. This study concentrates to observe residual fraction after leaching experiments. As a result, the polygenetic particles was extracted and clearly observed from the crust. These particles are of different origins such as volcanogenic, biogenic, terrestrial and extraterrestrial materials. In addition, we could observe various morphologies of fossil bacterial magnetites (magnetofossils) in residual fraction. These particles seem to reflect regional and local oceanographic environment. This extraction method will improve mineral and structural description the growth history of Hydrogenetic crusts.
著者
和泉 諭 栗山 大 三浦 祐太朗 安田 尚史 四倉 涼 加藤 靖 高橋 薫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.523, pp.19-24, 2007-01-26

高血圧や肥満といった生活習慣病の人々が増加している現代において,その予防策が求められている.本研究では,健康に関するオントロジを導入し,生活習慣病改善を目指す人々を支援するシステムの構築を行う.このシステムでは,センサデバイスやモバイル端末を利用し,ユーザの身体データの取得や管理を行い,さらに,取得した身体データを利用し,健康に関するドメインオントロジに基づいて推論を行うことで,ユーザに適した健康アドバイスを導出する.本稿では,支援システムの設計と実装について述べる.
著者
原 賢太 横野 浩一 安田 尚史 明嵜 太一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

mTORシグナルの栄養代謝における役割を生体で解析するため、mTORC1シグナル特異的阻害剤であるラバマイシンを腹腔内投与したC57BL6マウスモデルを用いて解析を行ったところ、非投与群に比べて体重血糖、遊離脂肪酸や脂肪重量などには有意な差は認めなかったが絶食後の血中ケトン値がラバマイシン投与群で有意に高値を示していることを前年度見出したそこで次に肥満、2型糖尿病モデルであるKK-Ayマウスに同様の解析を行った。その結果やはりラバマイシン処理群で血中ケトン体の産生が有意に増加していた。また投与群で体重増加が有意に抑えられていたにもかかわらず、随時血糖値の上昇、肝・脂肪重量の低下が見られ、またインスリン負荷試験にてインスリン感受性の低下が見られた。一方、mTORヘテロノックアウトマウスを用いて同様の解析を行ったが、ヘテロ欠損はlittermateの野生型と比べても、絶食後のケトン体や遊離脂肪酸の産生および脂肪や肝重量に有意な差を認めなかった。以上のラバマイシンを用いたマウスモデルの解析から、mTORC1シグナルは、飢餓時におけるケトン体産生に対して抑制的に働いている一方、mTORC1経路の抑制は、末梢でのインスリン感受性と膵β細胞の代償性肥大化を抑制することで、耐糖能の悪化をきたすことが明らかとなった。mTORC1は生体において、糖・エネルギー代謝において重要な役割を担っており、分子栄養学的な観点から重要な標的分子であることが明らかとなった。