著者
中川 成美
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近代以降、日本人の海外渡航に伴う紀行文、旅行記、旅行日記などは膨大な量に及ぶ。本研究ではその堆積を基礎に、日本人が残した海外体験の実相を追及するとともに、そこには異文化への興味を媒介とする自己の相対化が断行されていたことが了解される。それはまた歴史的な事象によって変転する自身の運命との対峙ともなっている。移民や戦争によって戦地に連れ去られる兵士など、日本人が経験した多様な海外体験は膨大な記録となって積み重ねられているが、その殆どが忘れられている現状を鑑み、それらの資料の発掘と、別の視点からの照射は、あらたな文化研究を拓いていくものと考えている。
著者
横田 祐美子
出版者
立命館大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-08-30

本研究はフランス現代思想において多くの文学者や哲学者が論じてきた思考の問題と、彼らが批判する主体概念との関係を、ジョルジュ・バタイユの思想を導きの糸として考察することを試みるものである。それによって本研究は、フランス現代思想における主体批判の内実を明らかにし、批判されている主体に代わって思考を担うのは誰/何なのかを考察する。ひいてはフランス現代思想において貶められてきた「主体」という語の地位をあらためて問い直し、この語の危険性を確認したうえでなお、この語が有する積極的な意味や可能性についても検討する。
著者
尾鼻 崇
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、映像に付随する音楽に焦点をあて、それを音楽学的見地から考察するものである。本年度は「映画音楽」の成立に大きく貢献した作曲家としてマックス・スタイナー(Max Steiner 1888-1971)を取り上げ、彼のスタイルの確立と変遷を明らかにした。「映画音楽の父」と呼ばれるようにスタイナーは1930年代に台頭しつつあったハリウッド映画において「映画音楽」を変容させ、大衆藝術としての新しい音楽ジャンルを確立した作曲家である。だが、同時に彼にはグスタフ・マーラーより本格的な西洋芸術音楽の教育を受けていた音楽的背景がある。ここからスタイナーの活動には通常、分断されて考察されがちな「正統な」芸術音楽と大衆藝術とを結ぶ方法論があることが考えられる。それを明らかにするために、スタイナーの代表作である『キングコング』(1933)、『男の敵』(1935)、『風とともに去りぬ』(1939)を取り上げ、(1).スタイナーが用いた西洋藝術音楽の技法、(2).スタイナーの作風の確立と変遷、(3).「映画音楽」と西洋藝術音楽の相違の三点を考察した。以上の成果は博士論文「映画音楽の誕生と変遷」として立命館大学に提出済みである。他方では、GCOE「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ」の一貫として、人文科学としての「映画音楽」研究の成果を基盤とし、テレビゲームとそのサウンドについての研究を行った。本年度は、立命館大学アート・リサーチセンターにおいて実験的に「テレビゲームの映像」と「コントローラーボタン操作情報」を収録し、デジタル・アーカイヴ化の方法論の構築した。
著者
石原 悠子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究ではニーチェや後期ハイデガー、ガダマー、またフィンクらが展開した西洋近現代における遊びの哲学との比較研究を通して、京都学派における「遊びの哲学」の内実を明確化することを目的とする。具体的には、西田幾多郎・西谷啓治・上田閑照における「遊び」に関する論述を、「自己」「他者」「世界」という三つの問題圏において検討する。このことを通して京都学派の哲学が遊びの哲学に寄与しうる可能性について問う。
著者
有馬 恵子
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2021-04-28

本研究は、京都市の鴨川を挟んで上京区と左京区にまたがる出町エリアを調査地として、都市経済活動の内部において、いかに日常的な経済的・文化的実践が生起し、社会関係や都市空間に働きかけているのかを検討することを目的としている。具体的には、軒先や土間、シェア空間などの非定型空間での経済的・文化的活動、川や橋で日々実践される公式・非公式な活動に注目する。研究をとおして、地域・都市と芸術・文化に関する研究を横断的・批判的に検討し、日々の生活に埋め込まれた日常的実践の実像をあきらかにする。
著者
見城 悌治
出版者
立命館大学
巻号頁・発行日
2000

博士論文
著者
二本松 康宏
出版者
立命館大学
巻号頁・発行日
1998

博士論文
著者
橋本 健志
出版者
立命館大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、運動効果の分子機序としての乳酸が、認知機能などの脳機能にどのような影響をもたらすかを探究し、認知症改善への応用を目指すものである。そして、認知症の予防または改善に効果的な運動・栄養処方の確立のための学術的基礎の構築を目的とした。神経細胞に対する乳酸添加や、実験動物に対する運動と乳酸サプリメント併用の結果から、乳酸が脳機能の亢進に寄与する可能性を示唆する結果を得た。また、ヒトを対象とした実験から、乳酸代謝と神経活動の亢進が認知機能亢進に重要である可能性が示唆された。
著者
稲葉 光行 細井 浩一 THAWONMAS Ruck 中村 彰憲 上村 雅之
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、伝統文化から生活文化に至るまでの様々な日本文化に関する学習環境を、インターネット上に構築することを目指した。本研究ではそのためのプラットフォームとして、世界中からアクセスができ、かつ仮想的な身体(アバター)で動き回ることができる仮想3次元空間(メタバース)を用いた。またメタバースを通してつながる学習者同士が、クイズの答えを共同で探索することで互いの知識を共有する「協調的シリアスゲーム」という学習モデルを考案した。さらに我々は、学習者自身が学習空間やゲームを設計し、それらを改良する過程で自身の学びを深める「デザイン実験」アプローチをメタバース上で実現する学習活動の実用化に取り組んだ。
著者
稲津 哲也 田中 輝幸 片山 将一
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

Cyclin-dependent kinase-like 5 (CDKL5)はタンパク質リン酸化酵素であり、その遺伝子の変異は精神発達遅延、てんかん等を伴う重篤な疾患であるレット症候群を発症させることが知られている。しかし、有効な治療法は存在しない。本研究では、日本古来より用いられる漢方薬である「抑肝散(ヨクカンサン)」を用い、ヒトiPS細胞、Cdkl5ノックアウトマウス(KO)等における抑肝散の効果について検証し、最終的に有効成分の単離を実施し、レット症候群(特にCDKL5 欠失症(CDKL5 deficiency disorder))の治療薬創製を最終的な目標と定める。