著者
大久保 史郎 徐 勝 上田 寛 赤澤 史朗 松本 克美 中島 茂樹 松宮 孝明
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、民主化以降の現代韓国の法・政治構造の転換を主題とし、日本との比較の中で、韓国側の新進気鋭の法学者を網羅し、3年間の研究を進めてきた。韓国の民主化の転換点を1987年の「6月民主化大抗争」に置いて、盧泰愚政権以降の韓国政治の民主化過程に対応する憲法・刑事法・労働法・行政法・経済法等の変動に関する分析を行い、その過程と到達点、限界などを明らかにした。そこでは、憲法裁判所の役割や国家人権委員会設立過程などで見られるように、司法の権力統制と人権保障機能の段階的強化、司法権の独立および司法制度改革への模索、市民運動の興隆と市民の政治・司法への参加の増大などが認められた。しかし、反面、分断体制からくる制約や権威主義体制の遺産などもあり、国家保安法を存置させている問題も指摘された。3年間の共同研究の経過を下に示す。第1回共同研究(99年4月・ソウル)では、日本側から2本、韓国側から5本の報告がなされた。第2回共同研究(99年10月・京都)では、日本側から3本、韓国側から4本の報告と、園部逸夫氏の記念講演がなされた。第3回共同研究(2000年6月・韓国慶州)では、日本側から4本、韓国側から4本の報告がなされた。第4回共同研究(2000年12月・京都)日本側から1本、韓国側から3本の報告がなされた。第5回共同研究(01年5月・釜山)では、韓国側から3本の報告と、全体の総合討論がなされた。3年間で30本の報告がなされたことになるが、以上の報告のうち、9論文は『立命館大学法学』に翻訳掲載され、全体のなかから選んで、『現代韓国の法・政治構造の転換』として、2002年度に公刊される。
著者
沼田 稲次郎
出版者
立命館大学
巻号頁・発行日
1952

博士論文
著者
三枝 暁子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

室町期京都の権力構造を明らかにするため、比叡山延暦寺(山門)と、その末社である祇園社(八坂神社)・北野社(北野天満宮)の京都支配の構造、および三寺社と室町幕府との関係、について解明した。その際、寺社と幕府との関係を探る重要な素材として祭礼に注目し、室町期の北野社(北野天満宮)の祭礼について取り上げ、考察をすすめた。具体的には南北朝期における幕府の北野祭の再編と北野社西京神人の存在形態、あるいは神社において「神人」を統率する位置にある、「公人」について検討した。さらに中世の「北野祭」の名残りをとどめる、現在の「瑞饋祭(ずいきまつり)」について調査を行い、成果をまとめた。
著者
赤澤 史郎
出版者
立命館大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

本研究の成果は、三部に分かれる。第一部は「第二次大戦後の戦争犠牲者の補償問題」であり、戦後初期から1980年代末までの民間人戦争犠牲者の補償問題の推移を追ったものである。ここでは、日本における戦争犠牲者の補償が民間人をも含めた国民平等主義に立たなかった理由として、その補償政策の立案と実施が1950年代の逆コースの状況の中でおこなわれたためであったことを指摘している。とはいえ1960年代には民間人戦争犠牲者への補償要求運動が生じ、この運動は1970年代には一定の盛り上がりを見せて,議会にも野党の提案で戦時災害援護法案が上程されるが、1980年代に運動は退潮に向かうと述べられている。第二部は「名古屋空襲訴訟」であり、戦争末期の名古屋空襲で負傷した三人の民間人女性が、民間人に対して補償がないのは法の下の平等に反すると訴えた裁判について論じたものである。この裁判は1976年から1987年まで続いたものだが,ここでは訴訟の経過を記すとともに、その争点の性格を説明し,さらに訴訟の歴史的な位置づけに言及している。第三部は「戦時災害保護法小論」であり、第二次世界大戦中から戦後初期にかけて、民間人戦災者に対する援護法として存在した同法を扱ったものである。ここでは戦時災害保護法がその運用状況からすると、事実上補償主義に傾斜した性格であることを説明し、さらに戦災への補償の性格の強い給与金として、膨大な金額が支払われていた事実を指摘している。以上の三部によって,第二次世界大戦中から1980年代までの民間人戦争犠牲者の補償問題の推移を、全体的に明らかにしようとしたものである。
著者
浅野 真司 向所 賢一 位田 雅俊
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アクチン結合タンパク質であるエズリンは,細胞内で膜タンパク質と細胞骨格とを有機的に連結して,上皮細胞の頂端膜や神経組織の形態形成に働く。近年になって,エズリンが特定の膜輸送タンパク質や接着分子の細胞表面へのターゲッティングに関わることが明らかにされた。本研究では,エズリン遺伝子を改変したノックダウンマウスなどを用いて,主に動物個体におけるエズリンの上皮組織構築,上皮輸送調節や,神経細胞の突起形成やネットワーク形成における役割を検討した。その結果,エズリンが腎尿細管におけるリンの再吸収や,胆管細胞における胆汁の修飾や流量調節,また神経細胞における突起形成に関わることを見出した。
著者
北野 勝則 北城 圭一 青柳 富誌生
出版者
立命館大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-06-29

・領域内A03班において、てんかん患者に対する治療の過程で計測された皮質脳波(ECoG)データに対し、情報理論的手法であるpermutation entropy(順列エントロピー)およびsymbolic transfer entropy(シンボリック移動エントロピー)を適用し、解析を行った。その結果、発作開始期には、電極間の相互作用より電極内部のダイナミクスの影響が大きいなど、発作期と発作間欠期における脳活動ダイナミクスの違いを特徴づけることに成功した。・様々な解析手法が非侵襲脳活動データに適用されているが、その結果が示すものについては不明な点が多い。脳活動に直接的な摂動を与えることが可能となる経頭蓋磁気刺激(TMS)による脳活動変化が検出可能かについて、permutation entropyおよびsymbolic transfer entropyを用いて解析した。その結果、上記手法はTMSの有無による脳活動の差を検出可能であること、後頭部に適用したTMSが前頭部に影響を与えることなどを明らかにした。・TMS-頭蓋脳波同時計測により、安静時には微弱な脳波の位相振幅ーカップリングが変調されるかを検証した。運動野、あるいは、視覚野に単発、あるいは、5 Hz、11 Hz、23 Hzでの5連発の反復刺激を行った。その結果、反復TMSの周波数での位相とガンマ波の振幅がカップルする位相ー振幅カップリングがTMSを印加しない場合に比べてより強くなる現象が見られた。過渡的な位相―振幅カップリングを効率よく検知する新規計測解析手法を提案した。
著者
立命館大学校友会
出版者
立命館大学
巻号頁・発行日
no.(245), 2011-07
著者
長島修
出版者
立命館大学
雑誌
立命館国際研究
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, 2005-06
著者
赤間 亮 Tomsen Hans 松葉 涼子 李 増先
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

欧州の5か所の所蔵機関が所蔵する浮世絵・絵入版本のカタログを目標に開始したが、最終的に欧州9か国30機関の作品デジタル化とカタロギングを実施し、大部分の作品は、「ARC浮世絵ポータルDB」「ARC古典籍ポータルDB」にそれぞれ搭載され、許諾を得られた組織については、一般公開を行っている。また、自前のコレクション・オンラインDBを運用している機関は、そこからも本研究の成果が発信されている。対象国は以下の通り。チェコ共和国(3機関)、ギリシャ(1機関)ドイツ(4機関)、イタリア(6機関)、英国(7機関)、ベルギー(1機関)、スイス(6機関)、オランダ(1機関)、アイルランド(1機関)。
著者
谷 徹也
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、京都・伏見・大坂(さらには淀・名護屋、江戸・駿府)を複数の首都として捉え、それぞれの役割と関係性を検討することによって、近世初期における首都の多元性、江戸時代の三都との継承関係を解明することを目指す。その具体的な作業としては、京都の国家的位置づけ、伏見における武家統合と廃城の歴史的意義、軍事要塞としての大坂の重要性について検討を行い、比較のうえで総括・提言をする予定である。