著者
関 庸一 長井 歩
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

多量の個人履歴データを用い,行動の類型の上での時間発展の共通性から,個人のクラスターと時間発展モデルを抽出する各種の方法論を提案した.個体集団の細分の方法としては,古典的SOMを用いる方法の事例を検討するとともに,そこで生じた問題点を解決するために,位相的な構造を表現する新たな方法論として,可変自己組織化マップを提案した.また,クラスター上での予測方法として各種の予測モデルを作成した.
著者
中野 眞一
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

いくつかの平面構造を格納する、コンパクトなデータ構造を開発した。これらのデータ構造は少ないメモリしか必要とせず、簡単で、基本的なデータに高速にアクセスできる。さらに、必要であれば、元のデータを再構成することもできる。たとえば、各点の子の個数が高々2であり、かつ、兄弟間に順序がない木を格納するコンパクトな2進文字列を開発した。この文字列の長さは圧縮の理論的限界に非常に近いことも示した。
著者
益田 裕充 鈴木 康浩 藤本 義博 片平 克弘 森本 信也 久保田 善彦
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究はPLCとDBSの理論に基づいて、教師の資質・能力形成のプロセスを明らかにし、理科授業を通して学び続ける新たな教師教育プログラムを開発することである。研究の成果として、理科授業の「問題解決の過程」をコアにした授業カンファレンス、リフレクションのプログラムが、「集団としての一般化」、「課題解決の連動性・適応性」を高めることが明らかとなった。
著者
前田 泰
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究から得た結論の概要を示せば、以下の通りである。父母の有する親権は、子の福祉に適した範囲内でしか行使できない。子の利益に適しない代理権の行使は無権代理であり、無効である。そして、子の利益に適した代理権の範囲は、客観的に決定される。子の財産を純粋に減少させる贈与行為は、代理権の範囲外の行為であり、無効である。同様に、親権者の行うべき身上監護も子の利益に適した内容でなければならない。法定代理権の範囲が、子の状況に応じて客観的に決定されるのと同様に、身上監護の内容も客観的に決定される。未成年者に必要な医療を受けさせないことは、身上監護義務の違反である。未成年者に必要な医療行為を拒否する権利は、親権者にはない。未成年者の医療における親権者の同意の意義も、同じ観点から理解しなければならない。意思無能力である未成年者に対する医療行為は、医療機関と親権者との不真正第三者のためにする契約と構成されるが、この契約の締結は、親権者の法定代理権の行使により行われる。契約締結が子の利益に適するかどうかは客観的に決定され、子に必要な医療契約を締結しない権利は、親権者には存しない。医的侵襲を伴う医療行為に対しては親権者の同意が必要であるが、この同意は、親権者の身上監護義務の履行として行われる。身上監護義務の内容は客観的に決定されるから、未成年者に必要な医療行為には親権者は同意する義務がある。これを拒否する権利は親権者にはない。問題は、子の利益の内容であるが、親権者の意図とは関係なく、子の状況に応じて社会通念により客観的に決定するしかない。以上のように、まず、医療行為の可否は、客観的な未成年者の必要性により決定され、これを法律行為(契約)として構成する必要性がある限りにおいて、法定代理が登場する。法律行為以外については、身上監護義務の履行の問題である。
著者
高橋 滋 本多 正喜 宇部 弘子 椎原 康史
出版者
群馬大学
雑誌
群馬大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:03897540)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.91-97, 1995-03-31

We investigated emotional effects of music in 227 normal female subjects, which were classified into 123 younger-aged group (10-24 yr.) and 104 middle-aged group (30-64 yr.). We presented three different types of classical music: Sonata No.2 (Rachmaninoff), Peer Gynt Suite Nr.1 (Grieg) and Brandenburg concerto No.2 (Bach). The emotional responses aroused by music were assessed by the questionnaire, which were consisted of the 12 emotional responses. The four factors extracted by factor analysis were interpreted as follows: the anti-depressive effect, the anxiety effect, the elated effect and the sedative effect. Compared with the factor scores of younger-aged group, the middle-aged group had higher scores of the anti-depressive effect in Grieg and Bach, higher scores of the anxiety effect in every three music and higher scores of the sedative effect only in Grieg. As to the effect of different types of music, Grieg had the anxiety effect but Bach had the anti-depressive effect. Thus this questionnaire proved to be useful to assess the emotional effect aroused by music.
著者
TAIRA Kazuo
出版者
群馬大学
雑誌
群馬大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:03897540)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.157-163, 1997-03-31

Subsurface cisternae, broad flattened sacs with varying numbers of fenestrae lying along the lateral plasma membrane, in murine hepatocytes were studied in thin sections and freeze-fracture replicas. Subsurface cisternae extended from pericanalicular to perisinusoidal areas of the cytoplasm of closely adjoining hepatocytes. Subsurface cisterna was made up of paired membranes, an inner cisternal membrane facing the cell interior and an outer cisternal membrane facing the lateral plasma membrane. The inner cisternal membrane was continuous in some locations with the endoplasmic reticulum. Subsurface cisterna was fenestra-rich at its portions underneath gap junctions. Subsurface cisternae appeared as anastomosing tubules at pericanalicular and perisinusoidal ends and joined with tubulovesicle networks seen in these cytoplasmic areas.
著者
清水 義彦 小葉竹 重機
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

高水敷の動的樹林化に関する検討 セグメント1の礫床河川である利根川水系渡良瀬川において,前年度の検討では,平成10年台風5号出水1年後,2年後の河道内樹林地調査を行い,洪水撹乱後のハリエンジュ樹林の再生過程を求めた.今年度もさらに時間経過した状況での樹林地回復過程の調査を実施した.洪水後1年目では洪水前に比し約10倍の萌芽本数となったが,競争による生物学的淘汰のため2年後には6倍に減少した.今年度においてはさらに減少することが当初予想されたが,調査結果により,洪水後2年目の生育状況を維持していることが確認された.このことは,洪水撹乱の動的樹林化によって数年にわたり高い密生度の樹林地が維持されることを意味し,樹木管理の必要性が重要との結論に至った.このような動的樹林化によって礫床河川の樹木繁茂が生まれていることを,近年の経験洪水規模と高水敷冠水時の樹林地撹乱の考察から明らかにした.洪水による樹林地の撹乱規模評価の検討 洪水規模との関係から,高水敷樹林の撹乱規模を推定しておくことは,樹林地管理において重要な判断材料となる.そこで,樹林地の破壊につながる洪水規模,樹木の世代交代を生んだ洪水規模,また,動的樹林化を生む近年の洪水規模について,河床表層の移動限界礫径を指標として評価できることを示した.また,洪水規模を上げた状況予測を一般化座標系平面流計算から求め,セグメント1河道特性をもつ礫床河川では、樹林地の平面的位置関係によっては高水敷基盤撹乱が生じる可能性があることを示した.高水敷樹木管理の指針作成に関する基礎資料の作成と総括本研究の実施により,高水敷樹林地における治水上の問題があきらかになった.とくに,(1)樹齢の浅いハリエンジュでは樹木根茎支持層が細粒砂層内にあることが多く,このため,洪水時に高水敷乗り上げ流れが生じることで樹木の破壊を含む撹乱が生じやすい.(2)高水敷樹林地と堤防間に流水が生じると,移動限界礫径が大きくなり,高水敷侵食の可能性が生まれる.(3)高水敷(低水路)河岸沿いに樹林帯を伴う場合は,河岸侵食によって樹林地の破壊(流失)が生じ,河道内流木生産源と成り得る可能性が生まれる.(4)現況密生度の樹林地が拡大した場合で,抵抗増加分を水位上昇分として捉え,これを洪水規模別に樹木抵抗を考慮した般化座標系平面流数値計算から評価した.こうした基礎資料のもとに,高水敷樹木管理の判断を,ハリエンジュの繁茂特性と移動床過程に着目して提案した.
著者
田北 啓洋 藤井 雄作 太田 直哉 上田 浩 丸 浩一 吉浦 紀晃
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

防犯カメラの最大の欠点である「プライバシ侵害の可能性」を解消した,新たな防犯カメラシステム「e自警カメラ」の普及を目的とし,e自警カメラの開発・改良,社会実験を通した運用方法の開発を行ってきた.その過程で,屋外機の前を常時撮影し暗号化保存するドアホン「e自警ドアホン」の開発も行った.また,社会実験に参加した市民の意識の中で,e自警カメラを用いることで,プライバシ侵害に対する不快感・危惧が減少し,逆に,見守られない場合の不安感が増大する意識変化が生じてくることが確認できた.「事件の際,目撃情報が無いことが有り得ない社会」の実現に向け,前進することができた.
著者
堀内 雅子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬大学教育学部紀要. 芸術・技術・体育・生活科学編 (ISSN:05336627)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.33-40, 1990

The relation between the styles of briefs and the physical condition, especially the extent of menorrhalgia or menstrual pain was investigated through a questionnaire from 655 girl students of Gunma University. 1) Although the extent of menstrual pain mainly depend on their constitutional tendencies or the period after the beginning of the menstrual function, the extent of the pain also depends on the styles of wearing briefs ; the girl students wearing usually bikini briefs felt stronger and more frequent pain during menses than the students wearing standard briefs. 2 ) The effects of the six major factors (period after menarche, amount of menstrual flow, interval of menses, history of the family on menorrhalgia, shape of briefs, and life style) on menorrhalgia were compared by the method of multivariate statistical analysis, The shape of briefs affected least of these factors on the frequency of the menorrhalgia, but it significantly affected (forth of six factors) on the extent of the pain.
著者
細川 宜秀
出版者
群馬大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

我々は,これまでに,文書データに出現する地名表現をそれが指すランドマークの緯度経度に翻訳するための技術(ジオ・コーディング技術)追求を行ってきた.その技術の特徴は,空間的文脈認識を伴って地名の指すランドマークの緯度経度を自動算出することにある.ここで,空間的文脈とは,説明文を構成する語群のうち,文書に含まれる地名表現が指し示す意味(緯度経度)を特定するのに貢献する語群を表す.しかしながら,我々のジオ・コーディング技術は,ランドマークに関する知識メタデータベース(ランドマーク・メタデータベース)を前提とするため,そのメタデータベースに登録されていないランドマークの緯度経度を指す地名を含む文書データを翻訳対象外としてきた.本研究開発では,文書データベースを対象としたランドマーク・メタデータベースを自動生成するためのシステムの実現方式を実現した.本実現方式の主要な特徴は次の点にある:文書データベースから得られるランドマーク-単語間共起関係に基づいたランドマーク・メタデータ自動生成メカニズムの実現.これにより,先行研究で実現したジオ・コーディング技術の適用範囲を拡大することが可能になる.つまり,地理空間上に自動配置可能な文書数を大幅に増大させる.実験により,本実現方式の妥当性を明らかにした.
著者
中里 洋一 平戸 純子 佐々木 惇 横尾 英明 石内 勝吾
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

脳腫瘍の組織・細胞形態、形質発現、遺伝子異常の観点から、脳腫瘍の特性を解析した。この中でdiffuse astrocytoma,oligoastrocytoma, oligodendroglioma,pilocytic astrocytoma,glioneuronal tumorなどの腫瘍に小型円形細胞が存在し、これが共通して核内転写因子Olig2を発現することを示し、これらの脳腫瘍の発生母細胞であることを指摘した。蛋白発現ではGFAP,Olig2,nestin,NFPなど、遺伝子異常ではIDH1,p53,EGFR,1p/19q,INI-1が重要であり、これらの蛋白発現および遺伝子異常の組み合わせと従来の病理組織学的分類を融合させることにより、脳腫瘍の形態・遺伝子分類の基礎を確立することができた。
著者
吉原 利忠
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

脂質膜,細胞内の酸素濃度を明らかにするためにレシオ法に基づいたプローブ分子を設計・合成した。合成したプローブ分子の発光は溶液,脂質膜中において酸素感受性の低いクマリン343の蛍光と酸素感受性の高いイリジウム錯体のりん光を示した。これらのプローブ分子のレシオ比(りん光強度/蛍光強度)は酸素濃度が減少するにつれて増加した。また,プローブ分子を培養細胞の培地に添加して蛍光顕微鏡で観察したところ,細胞から蛍光とりん光が観測され,細胞内酸素濃度計測のために有用な分子であることが明らかとなった。
著者
伊藤 隆 渚 勝
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

一般のノルム空間をヒルベルト空間上の作用素のなす空間(作用素空間)へ埋め込めるが、ノルム空間が順序を有する場合、順序とノルムの両方を保存して埋め込むことは、一般には成功していない。そこで正値性を保存するために、埋め込みと可換な作用素の研究が必要となった。本研究では、特に埋め込みと可換(テンソルの形)なテープリッツ作用素のなすテープリッツ環の重層構造(アップワードルッキング位相)を解析し、極大イデアルの形を決定した。
著者
中沢 信明
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,嚥下障害の予防を目的として,高齢者のための顔面体操トレーニングシステムの開発を行った.筋レベルから顔面体操の検討を行った結果,口を閉じた状態での“頬の膨らまし運動”が他の運動に比べて口輪筋の筋活動が活発になることが見出された.また,唾液の分泌促進を目的とした顔面の“指圧運動”に着目し,指先変位量と指先力の関係から,顔面の指圧部をばね要素でモデル化することで,肌の柔らかさを推定した.これらの物理量を指圧運動中に算出し,使用者に対して,指圧の達成度合いを視覚的に表示させることで,フィードバック型の支援システムの構築を行った.
著者
山路 稔 岡本 秀毅 久保園 芳博
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ベンゼン環同志が隣り合ってたくさん繋がった縮環化合物と呼ばれる分子は有機化学的の作成する事は大変手間と時間がかかる。本研究では、1)光を当てるだけで環縮環生成する反応機構を解明する、2)この反応機構を応用し、従来の有機合成では生成困難な多環芳香族化合物や窒素、酸素、イオウなどの原子を含む複素環芳香族化合物を新たに創成する、3) 作成した多環縮環化合物を電子・発光デバイスや超伝導材料としての可能性、について研究を行った。
著者
市川 武 柿崎 暁 堀口 昇男
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

横紋筋肉腫の発癌機序を調べるために、肝細胞増殖因子トランスジェニクマウス(HGF/SFtgマウス)と癌抑制遺伝子であるp53、Arf、Ink4aそれぞれのノックアウトマウス(p53-/-マウス、Arf-/-マウス、Ink4a-/-マウス、)を交配して作成されたHGF/SFtg+p53+/-マウス、HGF/SFtg+Arf-/-マウス、HGF/SFtg+Arf+/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a-/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a+/-マウスに発生した横紋筋肉腫を解析した。HGF/SFtg+p53+/-マウスに発生した横紋筋肉腫のウエスタンブロッティングによる解析では、Ink4a、Cdk4、Cdk6の発現は維持されていたものの、Rb発現の消失を認めた。またHGF/SFtg+p53-/-マウスの骨格筋に比較してc-myc発現の増強を示した。同様にリアルタイムPCRでもHGF/SFtg+p53+/-マウスに発生した横紋筋肉腫においてc-myc DNAコピー数の増加(extracopyあるいはhalf copy)を確認した。筋原性分化に関与するMyogeninはHGF/SFtg+p53-/-マウスの骨格筋には発現を認めなかったのに対して、横紋筋肉腫では発現が確認された。一方、HGF/SFtg+Arf-/-マウス、HGF/SFtg+Arf+/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a-/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a+/-マウスに発生した横紋筋肉腫の同様の解析ではRb、p53の発現は維持されていることを確認した。c-mycはHGF/SFtg+Arf-/-マウス、HGF/SFtg+Arf+/-マウスに発生した横紋筋肉腫においてはHGF/SFtg+p53-/-マウスと同様に骨格筋に比較して発現の増強を示したが、HGF/SFtg+Ink4a-/-マウス、HGF/SFtg+Ink4a+/-マウスではc-myc発現の増強は明らかでなかった。これらの結果より(1)横紋筋肉腫発癌にp53/Arf径路の不活性化が重要であるが、p53とArfは必ずしも同様の機序で横紋筋肉腫発癌抑制に関与しているわけではなく、Rb不活性化が関与する可能性が認められた。(2)横紋筋肉腫発癌にはp53/Arf径路の不活性化に加え、c-mycの関与が示唆された。