著者
西川 光一
出版者
群馬大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

麻酔薬のなかには"逆行性健忘"と呼ばれる現象を起こすものがある。麻酔薬による記憶障害や健忘が、シナプスレベルでの可塑的変化とどう関連するのだろうか?今回私達は、ラット海馬スライス標本CA1領域で興奮性シナプスの長期増強現象(Long-term potentiation : LTP)を観察し、それに対するセボフルランの影響を調べることを研究目的とした。【方法】深麻酔下のSDラット(60-80g)から脳を取り出し、500microのスライス標本を作製した。海馬CA1領域でSchaffer-collateral-commissural (SCC) fibersに0.1Hz程度のテスト刺激を加え、記録が安定したところで条件刺激(100Hzの高頻度テタヌス刺激)を用いてLTPを誘導し記録した。セボフルランは酸素化したACSFとともに条件刺激の約30分前から投与した。臨床使用濃度と低濃度のセボフルランを用いてその影響を観察した。【結果】臨床使用濃度セボフルランはLTPの誘導、維持ともに抑制した。低濃度セボフルランは部分的にLTPの誘導を抑制した。そこで、GABA受容体拮抗薬であるBicuculline、 NMDA受容体拮抗薬であるMK-801存在下で同様の実験を行った。10μM Bicuculline存在下で低濃度セボフルランによるLTPの抑制は起きなかった。臨床使用濃度セボフルランではLTPは部分的に誘導されたが、維持は抑制されたままだった。1μM MK-801存在下で、LTPは誘導されセボフルランによる影響に違いは見られなかった。【結論】セボフルランはLTPを抑制する。低濃度の場合はGABA作動性ニューロン活性化が関与し、臨床使用濃度になると興奮性ニューロン抑制作用も加わってLTPを抑制したものと思われる。
著者
内田 陽子 新井 明子 小泉 美佐子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.81-87, 2006-03

本研究の目的は,老年実習における学生のヒアリハットの場面と内容を明らかにし,教育方法を検討することである。対象は協力の得られた本学6期生75人であり,実習中にヒアリハット体験を調査票に記載してもらった。結果,以下のことが明らかになった。1.関連するリスクは転倒・転落が一番多く,ついで誤嚥,外傷,利用者取り違え等であった。2.ヒアリハット体験場面は,入浴,食事,排准などの日常生活援助場面が多く占めた。3.ヒアリハットの件数に比べ教員や職員に対する報告件数は少なかった。対策として学生の確認や技術練習を重ねるとともに,事前に予測されるリスク表を手渡し,実習中に確認させる。実習中にいつでも教員や職員に相談,確認できる体制を整えることが必要と考えた。
著者
山内 春光
出版者
群馬大学
雑誌
群馬大学社会情報学部研究論集 (ISSN:13468812)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.165-178, 2005-03-31

In this article consideration is given to the Kobe case, which was brought about by a fourteen-year-old boy A in May 1997. Why did he have to murder a girl of ten and a boy of eleven, and especially, why did he kill the boy in a cruel way? The cause was probably A's fear of abnormality of his own, and his mother's fear of abnormality itself might contribute to her son's commitment of the cruel murder.
著者
野田 岳人
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究はチェチェン紛争における人権侵害を事例として、冷戦後のロシアをめぐるヨーロッパの国際人権レジームの変化を考察するものである。人権分野では、冷戦時代にソ連に影響を与えた欧州安保協力機構から冷戦後には欧州評議会と欧州人権裁判所へと担い手が交替した。それに伴い、人権保護の射程はより個人的なもの、より人道的なものへと移りつつある。これは国際政治の司法化(judicialization)の現象の一つである。本研究では、第一にヨーロッパ人権レジームの変化と国際政治の司法化の現象を検討する。第二にチェチェン紛争における人権侵害の実態を把握し、その人権侵害の事例が国際政治化する過程を考察する。第三に他の地域紛争における人権侵害の事例と国際人権レジームの関わり方について整理する。初年度の目標は、本研究のアウトラインを可能な限り正確にスケッチすることであった。まず、国際人権レジームの変化については、アクターを欧州評議会・欧州人権裁判所とロシア政府に限定し、学術的動向を把握した。チェチェン紛争の被害者に関し、欧州人権裁判所の裁判記録やNGO団体による人権侵害の資料などをもとに事実関係をまとめた。また、国連や欧米各国が関与して設置された旧ユーゴスラヴィア国際刑事裁判所(ICTY)の成果などについても整理した。しかしながら、第二の点と第三の点は予定通り進んでいない。第二のロシアにおけるチェチェン紛争の動向調査は受入先との関係で、来年度以降に実施することになった。第三の他地域における人権侵害状況を理解し、冷戦後の地域紛争における人権侵害に関する共通点を探るための地域研究者との意見交換も来年度に予定を変更した。
著者
稲垣 滋子 土井 眞美 仲矢 信介
出版者
群馬大学
雑誌
群馬大学留学生センター論集 (ISSN:13461605)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.15-37, 2003-03-03

ロシア語圏における日本語教育で現在必要とされている事柄を知り、かつそれに基づいた支援内容及び支援方法を検討することを目的に、本年度9月に現地調査をおこなった。調査はモスクワ市、アルマトゥイ市、ウラジオストク市の3都市で実施し、7大学9学部の日本語教育関係者と面談をおこなった。これらの都市における日本語教育は従来、歴史的経緯から、また、ロシア語が通用する国であるという理由から「ロシア語圏における日本語教育」としてひとくくりにして扱われることが多かった。しかしながら、今回の調査の結果、地域によって、さらには機関によって、学習者の学習動機や日本語使用環境に相違があり、そのため、教師の考える日本語教育に対する理念や教育目的、教育方法も大きく異なっていることが確認できた。今後は、今回の調査結果を参考に、それぞれの地域や機関の相違点を考慮に入れた支援環境整備に関して分析と検討を重ねていきたい。
著者
奥 浩之
出版者
群馬大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

(1)序論マラリアは熱帯〜亜熱帯地方に流行する寄生虫感染症であるが、現在でも臨床応用されているワクチンが無い。共同研究者の鈴木と狩野らは流行地の疫学調査から、熱帯熱マラリア原虫が産生するエノラーゼは流行地住民の血清中に抗体が多く存在することを明らかにしてきた。そこで我々はAla256-Asp277の部分ペプチド(AD22)を用いた人工抗原研究を行っている。平成19年度は合成面(AD22の多抗原化高分子)と構造面(AD22の構造解析)から研究を行った。(2)ワクチン分子の化学合成本研究の合成面での検討として、AD22配列とポリリジンとの複合体を合成した。poly[Lys-co-Lys(protected ND14-Gly-)]およびpoly[Lys-co-Lys(protected AD22-Gly-)]を合成し、平均重合度90のポリリジン鎖1分子当り2分子の保護抗原を担持できる事を明らかにした。更にTFMSA-TFA-thioanisole,m-cresolの処理によって脱保護されたpoly[Lys-co-L.ys(ND14-Gly-)]及びpoly[Lys-co-Lys(AD22-Gly-)]を合成した。また本年度は、製造方法の特許(WO2006/035815A1)についてJSTの補助を受けて各国移行(日米英印仏スイス独伊)の手続きを開始した。(3)ワクチン分子のコンフォメーション解析AD22についてPBS中でのコンフォメーション解析を行った。15Nラベル化AD22の3次元NMR測定を抗AD22抗体の存在下と非存在下で測定した。その結果、AD22分子の各シグナルについて帰属と温度依存性の解析に成功した。スペクトル中には明瞭なtransfer NOEは観測することができなかった。更に測定条件を精査して再測定することで、今後実施するワクチンの分子設計に役立つと期待される。
著者
内田 陽子 新井 明子 小泉 美佐子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.93-103, 2005-03
被引用文献数
3

本研究の目的は群馬大学医学部保健学科での老年看護学実習の評価を行い,学生の高齢者に対する看護実践のやる気を高める条件を明らかにすることである。対象は2004年5月から7月にかけてS介護老人保健施設で実習をした39人の本大学の学生である。調査は学生の実習終了最終日に学生に質問紙を配布し,各自記入をしてもらった。質問紙の主な調査項目は,(1)学生の高齢者看護実践のやる気の程度と,それに影響する条件として(2)学生の背景条件,(3)受け持ち高齢者の背景条件,(4)実習における学習の程度に関する項目を設定した。結果,1,学生にとって受け持ち高齢者へのアセスメントや看護実践に対しては教員が,他の高齢者に対する看護実践では看護師が有効であると認識していた。 2,学生の看護過程や技術に対しての自己評価は高かった。3,痴呆棟に実習に行った学生のほうが,高齢者から拒否された経験が生かされ関わる自信がついていた。4,学生の今後の高齢者に対する看護実践のやる気と有意な正の相関がみられた項目は,「アセスメントができた」,「実習が楽しかった」,「介護老人保健施設に就職したい」,「元来実習が好きである」,「受け持ち高齢者に拒否された経験があった」,「受け持ち高齢者に対する看護技術の実践」であった。「受け持ち高齢者の排泄が自立している」については負の相関がみられた。5,学生のやる気はグループ毎に相違があり,最も有効なやる気を高める条件は「実習が楽しかった」であった。痴呆高齢者に拒否されても,日々のケアのなかで患者と分かり合えることを促す指導を実践していくことが求められる。教員は授業としての実習を展開するなかで,学生の気持ちや表情を観察し,学生が問題解決のどの過程にあるか,満足いく実習ができているか常に確認していく必要がある。
著者
石田 和子 下田 薫 中村 美代子 神田 清子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.41-47, 2000-03

骨髄移植を受けた患者が退院後抱える適応問題を分析し,入院中における効果的な看護介入の方法を明らかにすることを目的に研究を行った。村象は同種骨髄移植を受けた40歳代の男性患者3名であり,半構成的面接法により1回につき30分から60分の面接を行った。面接内容を逐語録に起こし,ロイの適応モデルの自己概念様式,役割機能様式,相互依存様式を用いて分析した。その結果,自己概念様式としては「死への恐怖」「再発への不安」「夫婦関係」の3カテゴリーが抽出された。また役割機能様式では「経済的問題」「役割の変化」の2カテゴリー,相互依存様式では「食事に対する不満」「趣味の変化」の2カテゴリーが導き出された。以上のことより,1.「死への恐怖」「再発への不安」は病名告知時,移植を受容する時,移植後まで引き続く問題であり,患者とともに話し合い,患者の立場で生きる希望を失わず,頑張れるよう精神的な支えになることが必要である。2.「夫婦関係」「経済的な問題」「役割の変化」「食事に村する不満」「趣味の変化」は退院直後からの問題であり,家族を含む個別的な指導が必要であり問題が継続しないよう,患者と話し合うことが大切である。など有効な看護介入が示唆された。
著者
岸 章治 横塚 健一
出版者
群馬大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

硝子体の形態の維持における網膜の役割を解明するため、有色家兎の網膜を光凝固で破壊し、それに続発する硝子体の変化を観察した。1)幼若な家兎に光凝固で網膜萎縮巣を作成すると、3か月以降に萎縮巣の前方に硝子体の液化が生じた。14か月経過すると、硝子体液化腔はさらに明瞭となり、その輪郭は網膜の萎縮巣に一致していた。このことから眼球が成長過程にある眼では、網膜が破壊されると、それに面した硝子体に続発性の液化、もしくは硝子体の無形成がおこることが示唆された。2)光凝固をび慢性におくと、幼若家兎ではび慢性の硝子体液化が網膜前方に続発した。3)成熟家兎で、同様の実験をおこなうと、やはり同様の硝子体液化が網膜前方に続発した。したがって眼球の成長が完了した成熟家兎眼でも、硝子体の形態の維持のためには、正常な網膜が必要であることが示唆された。硝子体は再生しうるか否かを知るため、家兎眼の硝子体を切除し、12か月飼育した後に眼球を摘出した。家兎では硝子体と水晶体の癒着が強いため、冷凍プローブで水晶体嚢内全摘をすると硝子体を一塊として除去できた。しかしこの群では、網膜の全剥離が続発し、眼球癆となった。組織学的には残存硝子体の器質化と色素上皮細胞の増殖による前部増殖性硝子体網膜症(PVR)であった。硝子体の再生は起こらなかった。経毛様体硝子体切除をおこなった家兎は眼球の大きさは保存された。ゲルの切除部位は空洞化したままで、硝子体の再生は起こらなかった。家兎では人工的な後部硝子体剥離の作成が困難であった。部分硝子体剥離を生じた部分では、内境界膜は硝子体と一体化して網膜から分離していた。
著者
福地 豊樹
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、体操教師矢島鐘二の大正期から昭和戦前期までの活動を明らかにすることを目的とする。群馬離県後の矢島は、体育行政、学校管理職を歴任し、体操の実践活動からは離れたが、その実践で得た経験をもとに、多くの教育活動の成果をあげた。昭和初期を通して台頭する競技に対しては、運動家精神(スポーツマンシップ)を失うことなく、教育的な配慮が必要であることを説いた。戦時体制下にあっても、その生き方は、一貫したものであった。
著者
茂木 一司 宮田 義郎 苅宿 俊文 上田 信行 福本 謹一 阿部 寿文 熊谷 保宏 大泉 義一 稲庭 佐和子 郡司 明子 下原 美保 刑部 育子
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、日本伝統文化, 身体とメディアなどを活用したアートワークショップ(型学習)が現代の多元的共生社会に実現に有効なことが実証できた。美術、音楽、ダンス、演劇など(広義の)アートワークショップ(型学習)で起こるコミュニケーションやコラボレーションは単なる方法(手法)ではなく、自己表現と他者理解を促し、ヒトの学び(学習)を根源的に能動的に変化させ、創造的思考力(Creative thinking)を育てる。
著者
沼田 加代
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.15-24, 2005-03
被引用文献数
2

本研究の目的は,育児グループを行政主催型育児グループと自主型育児グループとに分け,母親の育児不安の内容と育児グループの効果を検討することである。対象は,M市内の育児グループヘの参加者のうち,乳幼児を持つ母親8名ずつの計16名である。研究方法は,対象者である母親に半構成的面接法を実施し,その内容を質的に分析した。面接内容は,基本属性,育児不安の内容,育児グループ参加の効果,子どもおよび母親の育児面の変化,専門職との関わり状況等である。結果,母親の年齢は26〜38歳,子どもの年齢は1〜5歳であった。育児不安の内容は,「兄弟姉妹による育児の相違」,「夫や周囲からの協力不足」があげられた。育児グループ参加による効果については,行政主催型育児グループと自主型育児グループに共通した内容は,「友達が増える場」であった。さらに,行政主催型育児グループのみにあげられた効果は,「相談ができる場」,「遊び場・機会の確保」,「遊びを教えてもらえる場」,「気を紛らわす場」などであった。自主型育児グループのみにあげられた効果は,「交流の場」,「作り物ができる場」,「情報が得られる場」,「視野が広がる場」などであった。これらのことから,行政主催型育児グループは,保健師などの専門職との具体的な相談の場を求めており,自主型育児グループは,母親同士の交流をはかりながら自分たちの創作活動をする場を求めていたといえる。
著者
岡崎 彰 栗原 淳一 益田 裕充
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、デジタルコンテンツと理科室のモデル実験とを有機的に結び付けた教材を開発し、新たな視点から展開する天文学習指導プログラムを提案することである。当初の研究実施計画では、(1)「月の満ち欠け」と(2)「日食と月食」で教材開発とそれに基づく天文学習指導プログラムの開発、(3)「太陽の年周運動」と(4)「惑星の動き」で実際に観測された動画や画像を用いた教材開発をテーマに取り組むこととした。(1)「月の満ち欠け」では、月と太陽の離角を媒介として実際の観察結果とモデル実験とを有機的に結び付ける教材と学習プログラムを開発し、公立中学校で授業実践を行った。生徒の理解度の調査・分析の結果、開発した授業が学習内容の理解を促し、その定着を図る上で有効であり、観察記録とモデル実験結果の関連付けを図る上でも有効であることを明らかにした。(2)「日食と月食」では、予備的に開発した教材を用いて公立中学校でモデル実験の授業実践を行い、また、平成24年5月の金環日食では大学内で事前説明会と観察会を実施した。教材の改良と学習プログラムは期間内に完成していないが、本物の日食や月食とモデル教材との結びつきを生徒に実感させることの重要性やモデル教材の作成上の留意点等を考察した。(3)「太陽の年周運動」と(4)「惑星の動き」については、研究期間の短縮もあり次のように統合した形で進めた。恒星に対する太陽や惑星の動きを直接に観察できる素材として太陽観測衛星が太陽と惑星と恒星を同一視野に撮影した実写動画(NASAが公開)に着目し、中学校授業「太陽の年周運動」での利用の有効性を実践例に基づいて論じ、さらに高校地学の探究活動として、この動画を教材とする「合」付近での「惑星の動き」の具体例を提案した。このほか、関連研究として、天球の内側からと外側からとの視点移動を支援する実験用モデル教材作成についても考察した。
著者
五味 暁憲 横尾 聡 神戸 智幸
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

開鼻声値(NS)は鼻咽腔閉鎖機能(VPC)の評価に有用だが,高齢者のNSは不詳である。本研究はNSを用いた高齢者のVPC評価を可能にする条件を探るpilot studyである。健常高齢者9名について母音,子音,低圧文「よういはおおい」,高圧文「きつつきがきをつつく」のNSを測定した。主なサンプルのmeanNSの平均値は/a/25%,/i/41%,低圧文23%,高圧文23%であった。また低圧文のmaxNSは平均52%で,高圧文は平均70%であった。過去の報告と比し高圧文,低圧文のmaxNSが若年者より高値であった。この結果を踏まえると,高齢者に限定したNS基準値は必要と思われる。
著者
鈴木 庄亮 ROBERTS R.E. LEE Eun Sul. ORLANDAR Phi 町山 幸輝 BLACK Thomas 小林 功 山中 英寿 BUJA Maximil SHERWOOD Gue 倉茂 達徳 土屋 純 BURKS T.F. 伊藤 漸 BUTLER Patri 中島 孝 石川 春律 SHERWOOD Gwendolyn BURKS F.thomas THOMAS Burks 森下 靖雄 ROBERTS R. E 鈴木 守 LEE Eun Sul 古屋 健 JUDITH Crave RONALD C. Me GUENDOLYN Sh 大野 絢子 GEORGE Stanc 城所 良明 近藤 洋一 PAUL Darling 三浦 光彦 村田 和彦
出版者
群馬大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

平成5年度に、医学教育全般、基礎医学、看護教育、大学院教育及び病院管理を中心に相互の調査研究を実施した。これをうけて平成6年度は臨床医学教育、臨床病理・検査医学、教育技法を中心に相互訪問し、資料作成提供、説明とヒアリング、見学と討論及びセミナー開催を行なった。(1)日本側大学: 群馬大学及びその医学部、生体調節研究所(前内分泌研究所)、及び医療短期大学部。研究分担者は各部局の長および医学部教務担当教授、内科、外科、臨床病理の教授。(2)相手校: 州立サキサス大学健康科学センターヒューストン校(H校と略す)およびその医学部、公衆衛生学部、看護学部、医療技術学部、及び生物医学大学院。研究分担者は教務担当副医学部長を代表として各部局の教務関係教官。(3)渡米した教官: 中島孝(医学部教務担当、病理学)、小林功(内科学、臨床検査医学、団長)、山中英寿(外科学)、及び倉茂達徳(医短、臨床病理学)の4教授。(4)訪日した教官: 教務担当副医学部長PMバトラ-女史(医、小児精神医学、団長)、Mブヤ(医、病理学主任教授兼医療技術学部教授教授)、PMオルランダー(内科学)、及びCTブラック(外科学)の4教官。(5)研究分担者会議を日米7回開催し、研究の概要説明、研究計画実施手順、資料収集、研究討論、などを行った。(6)前年度のサキサス大学訪日団の報告書の修正、入力、整理、翻訳を行い学内関係者に回覧し、意見を求めた。(7)渡米・訪日期日: それぞれ、6月6-13日と10月22-29日。(8)渡米団の活動: 前年度訪日したH校副学長、医学部長から歓迎の意を表された。目的とする卒前卒後の臨床医学教育訓練を中心テーマとして、予定されたプログラムにそって、資料提供、説明、見学、討論が行われた。すなわち、ヒューストン校の概要、医学部カリキュラム、医学部卒後教育、臨床病理学教育及び施設、学習資源センター、医学総合図書館、教育関連病院、学生相談システム、学生評価、教官採用評価昇進等について見学と討論が行われた。(9)訪日団の活動: 日本の医学教育及び群馬大学医学部における卒前卒後の医学教育訓練について、内科外科臨床教育を中心に各研究分担者が用意した資料にもとづいて説明し、討論した。附属病院内科外科外来病室及び臨床病理中央検査部で詳細な現地見学聴取討論をし、卒後臨床教育の観点から学外の大学関連病院および開業医2ヵ所を見学した。医学教育セミナーを開催し、H校の4教官がそれぞれの立場から具体的な医学教育の方法、内科診断学教育、一般外科の実習、臨床病理学の教育、問題解決型学習および標準患者による臨床実習の方法について説明と話題提供をした。(10)報告会と報告書: 渡米した4教授による調査研究の公開報告会を7月12日に開催し、報告書の提出を得た。今年度訪日した4教官の報告書入手中。(11)本事業の意義について: 双方の教官は、相互訪問し各自の医学教育システムを最大限わかってもらえるよう努めた。相互訪問で視察と討論を行うことにより相互の文化的背景にまで及ぶほど理解が深まった。とくに西欧社会はこれまでわざわざアジアを理解しようとすることは少なかったので、テキサス大学教官にとっては国際理解のいい機会になった。米教官の一人はこのような試みに研究費を出す日本政府は米政府より将来優位に立つかもしれないと述べた。(12)日本にない米医学教育システムの特色: 入学者選抜は約15倍の学士である志願者に対して1.5時間におよぶ面接口頭試問を含む、PhD教官による基礎科学と医師による臨床医学の接続がうまくいかない、カリでは行動科学・プライマリケアが重視されている、問題解決型学習が定着している、カリにゆとりがあり積極的な自己学習を期待している、標準患者による具体的で実際的な診断学教育が行われている、学生当たりの教官の数が5割程度多い、卒後医学教育が「医局」でなく一定のプログラムの下に行われ専門医等の資格に至るようになっている、臨床検査技師教育はより専門分化している、等である。
著者
河西 憲一
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では途中退去が伴う複数サーバ待ち行列システムの待ち行列長分布について検討した。特に途中退去までの時間が一定の場合を前提として、待ち行列長の定常分布を解析した。サービス中の客のうち、最後にサービスを開始した客の経過系内滞在時間、あるいはシステムの仮待ち時間が従うべき積分微分方程式を導出し、それらの解を行列指数形式の混合として与えた。さらに行列指数形式を安定行列として表現することにより、数値計算に適した待ち行列長分布の評価アルゴリズムを開発した。さらに、客が途中退去する確率、客の待ち時間分布を評価するアルゴリズムも開発した。
著者
武田 亘弘
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

新規三脚型四座配位子 [o-RSC_6H_4]_3P (R = i-Pr, t-Bu) を用いて二価10族金属 (Ni, Pd, Pt) 錯体を合成し,置換基Rおよび金属の違いが錯体の構造に与える影響を明らかにした。さらに,新規三脚型四座配位子(o-RSCH_2C_6H_4)_3Si- (R = i-Pr, t-Bu) を有するIr(III)およびPt(II)錯体の合成と構造決定に成功した。
著者
桐山 勝枝 柳 奈津子 戸田 美紀 橋本 三智重 柴田 明子 時田 潮
出版者
群馬大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、ヒーリングタッチによって生じる生理的・主観的効果を検証することであった。生理的反応では、ヒーリングタッチを施術する者のバイタルサインや唾液アミラーゼの数値が上昇し、ヒーリングタッチを受ける者の数値が下降する傾向がみられた。主観的反応では、ヒーリングタッチによるリラクセーション効果の他にも様々な反応がみられた。生理的反応と主観的反応を確認することにより、ヒーリングタッチは数値では測定できない反応が多くあることが示唆された。
著者
綿貫 早美 狩野 太郎 亀山 絹代 筑井 夕佳織 諸田 了子 中野 良子 神田 清子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.109-116, 2003-03
被引用文献数
3 1

術後せん妄は重大な医療事故につながる合併症である。術後せん妄は医師と看護師が共に責任を持つべき問題であるが,高齢者の術後せん妄予防に向けた看護介入を検討した報告は少ない。今回我々はせん妄の発症率,発症時期,症状,発症因子を分析した。対象と方法:1998年〜2000年の3年間に当院泌尿器科で手術を受けた65歳以上の高齢者502人を対象に,カルテ及び看護記録から遡及的にデータ収集を行った。収集したデータをもとに術後せん妄発症率及び発症のピーク時期,症状などを分析した。また,502人中,せん妄を発症した22人を「せん妄群」とし,せん妄群と性,年齢,術式,麻酔の種類を一致させた22人を抽出し「非せん妄群」とした。せん妄群と非せん妄群を比較しせん妄発症に関連する要因を分析した。結果:せん妄の発症率は腰椎麻酔患者で2.2%,全身麻酔患者で17.1%だった。術後せん妄の発症ピークは,全身麻酔患者で術後2-3日目,腰椎麻酔患者で術当日の夜だった。せん妄の発症に関連する要因として,1)不眠・昼夜逆転 2)視聴覚障害 3)鎮痛・鎮静剤の使用が明らかとなった。結論:術後せん妄予防のため,術後早期から睡眠の援助,眼鏡や補聴器の使用,鎮痛・鎮静剤の適正使用の援助を実施することの重要性が示唆された。