著者
小葉竹 重機 清水 義彦
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

森林が大気循環に果たす役割について、観測とその結果に基づくシミュレーションモデルの構築という2本の柱を中心に研究を進めた。観測は平成8年度は琵琶湖プロジェクトに参加し、平成9年度は埼玉大学、千葉大学、建設省土木研究所との共同観測に参加した。琵琶湖プロジェクトでの観測は、参加者が集中的に観測を行っていた水田の近傍で、もと天神様のお社があった30m【cross product】50m程度の大きさの孤立林で、林内の気温、湿度、風速、日射、地温の観測を行った。平成9年度の共同観測は、つくば市の土木研究所の近傍にある100m【cross product】200m程度の林で、林内の気温、湿度、風速、地温の鉛直分布および日射と、林外での気温、風速、日射の観測を行った。これらの観測を通じて得られた共通の結果は、日中は林外の方が気温が1〜2°C高いが、午後3時〜4時頃からは林内の方が気温が高くなり、その状態は翌朝の6時の日出まで続く。気温のピークの時差は30分程度であり、樹冠部で受けた日射が順次散乱、放射によって下方に伝達されていることが分かるが、一方、強い風を伴う夕立のような急激な気象変化は林内も林外と同様な気温変化となり、外部の変化がそのまま林内に持ち込まれている。つくばでの鉛直分布の観測結果からは、丁度、樹冠から樹冠上に相当する14m〜18mにかけて、気温、比湿ともに勾配が大きく、また14mの付近で極大値をとることが分かった。この結果から2点法を簡略化して時刻を固定して拡散係数を逆算し、その観測期間中の平均値を用いてフラックスの算定を行ってみたところ、顕熱、潜熱の値が熱収支から予想される値の2倍程度となった。したがって推定した拡散係数の値が大き過ぎることが分かるが、得られたフラックスの向き、傾向は従来の知見と矛盾がなく、気温、湿度、風速などの鉛直分布の観測が、正しく行われていることが確認できた。LESモデルを用いてシミュレーションを試みている。
著者
松田 直 山西 哲郎 岩崎 清隆 金澤 貴之
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,県内の企業と学校関係者,障害者本人,保護者間の連携により,社会調査,実際の就労場面を用いた評価,改善案の提示,再評価を行い,その結果を養護学校での就労支援を中心とした個別移行支援計画の構築に反映させることで,知的障害者の就労が定着しにくいという問題の具体的な改善を図るために,以下のような形で研究を進めた。初年度は,1)就労支援に専門的に関わる関係者へのインタビュー,2)県内の養護学校教員,保護者,福祉行政担当者,作業所職員などによる検討会の実施(3年間継続して月1回程度実施),3)就労場面のビデオ分析を行い,県内の障害者就労の状況の把握やコミュニケーションが障害者の職場定着を促す可能性を示唆することができた。二年目は,1)養護学校卒業後,中度知的障害をもちながら一般就労しているモデルケース1名への長期的な参与観察,2)知的障害者と共に働く職場職員に対するアンケート調査,3)知的障害者雇用企業へのインタビュー調査を行った。わかりやすい指示の仕方や知的障害者の行動特性を職員に伝えることの必要性や,知的障害をもつ職員と他の職員とをつなぐ支援の必要性などが示唆された。また,心地よい職場環境や社長との信頼関係が職場定着の要因の一つとなることや,作業台の配置によって近くで仕事をする職員がすぐに手助けできる体制が作業効率を上げていることが示唆された。三年目は,養護学校高等部での現場実習において,モデルケース1名について参与観察を行い,支援方法の検討を行った。その際に,二年目に行ったモデルケースと,上記ケースとの比較をすることによって,一般就労と現場実習においての同僚職員との関係構築過程の違いを探った。これらの結果をふまえ,三年間の成果をまとめた報告書を作成した。
著者
茂木 一司 福本 謹一 上田 信行 阿部 寿文 下原 美保 宮田 義郎 苅宿 俊文
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

異文化理解・総合・マルチメディアパッケージ教材の開発・実践・評価に関する2年間の研究は、以下のように整理できる。1.「子どもによる子どものための芸術・文化発信プロジェクト」の教材開発として、「お茶箱プロジェクト」(インドネシア共和国・バリ・ウブド小学5年生対象、イタリア共和国・フィレンツェ市小学1年生対象、越後妻有アートトリエンナーレ)と「なりきりえまきプロジェクト」(同・フィレンツェ大学語学センター学生対象、同トリエンナーレ)の2つの異文化理解ワークショップを開発し、各地で実践し、ワークショップという共同的/協働的な学びの有効性を実証し、確認できた。2.「お茶箱プロジェクト」では、日本の茶道の仕組み(しつらい)を使って、ものの来歴を「語る」ということを通して、ことば(語り合う・表現し合う)と学習環境のデザインの関係を明らかにした。「なりきりえまきプロジェクト」では、日本美術独特の絵巻を題材にして、絵画における時間表現(現代のアニメに通じる)を登場人物に変身する(なりきる)という身体化と重ねて行うワークショップを開発した。これらは、異文化理解教育の方法に有効であった。3.研究成果の社会還元の方法として、展覧会に注目し、上記の内容を「越後妻有アートトリエンナーレ2006」(新潟県十日町市)で「学びの繭」展として発表した。会場での空間及び映像展示は非常に美しく心地よいという参観者の評価を得た。同時に、会場当番にあたった制作スタッフ・学生スタッフと来場者との多様なコミュニケーションによって、研究の経過の公開と共有の場のみならず、さらなる共同の学びの場となるという「(学びの)入れ子構造」がつくられることがわかった。
著者
小野里 好邦 山本 潮 河西 憲一
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

多様な事象が生起しても情報の流れに対して大きな影響を及ぼさないためには、情報ネットワークの機能を損傷しない仕組みが大切である。想定外の事象が生じたとき情報ネットワークが生き延びる為の対処法として、情報ネットワーク構成に冗長性を持たせ高い結合度を確保する仕組みを内包しておき、多様な状況変化に迅速に対応し情報の流れを大域的及び局所的に制御する研究を行った。
著者
松尾 一郎
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

細胞内ペプチドN-グリカナーゼ(PNGase)は不要糖タンパク質からN-型糖鎖を遊離させる酵素であり、タンパク質の品質管理機構に関わる分子として注目されている。本研究ではPNGase活性を高感度に検出するために、還元末端にクロロアセタミド基を、非還元末端側の4位にプロパルギル基を有するキトビオース誘導体をデザイン、合成した。クリック反応により蛍光性置換基を導入、得られたプローブはPNGaseの脱糖鎖活性をμMオーダーで阻害した。
著者
遠藤 啓吾 PAUDYAL Bishnuhari
出版者
群馬大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

銅-64はPET検査に用いることのできるポジトロン核種として注目されている。通常抗体を用いたイメージングは抗体に錯体を標識し、放射性物質(銅-64など)を導入したもので直接法が普通であるが、今回、親和性向上を狙い、アビジン-ビオチン系を用いた新しい腫瘍イメージングを検討した。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は血管新生において重要な役割を果たしている。血管新隼はがんの形成や成長に必須であり、1-2mmを越えて腫瘍が育っためには栄養や酸素を供給する血管が必要である。VEGFに対するヒト化モノクローナル抗体であるベバシツマブ(アバスチン^<【○!R】>)と抗癌剤の併用による治療が開発されいる。本研究では血管内皮細胞増殖因子に対するモノクローナル抗体であるベバシズマブ(アバスチン)をビオチン標識し、ストレプトアビジン(Streptavidin)に1,4,7,10-tetraazacyclododecane-N,N,'N'',N'''-tetraacetic acid (DOTA)錯体を標識し、群馬大学にて製造した銅-64を導入した。ヒト由来大腸ガンであるHT29株を移植したヌードマウスにて評価した。前標的剤としてビオチン化ベバシズマブを投与し、24時間経過後、[^<64>Cu]-DOTA-ストレプトアビジンを投与し、その後、1、3、6、24時間後のPETイメージと体内分布を収集した。24時間後のPETイメージで腫瘍部位に良好な集積を有し、腫瘍部位以外では腎臓に分布が見られ、尿路排泄系によるクリアランスが期待される。本研究ではビオチン化ベバシズマブ、[^<64>Cu]-DOTA-ストレプトアビジンという二段階の手法を用いることにより、低バックグラウンド値かつ腫瘍部位の高集積化を実現し、有効性の高い優れたイメージング方法として大いに期待できる。
著者
佐藤 由美 結城 恵 齋藤 智子 中山 かおり 山田 淳子 齋藤 泰子
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、群馬県内の南米系外国人集住地域において、外国籍住民と日本人住民、関係者が研究者と協働で『子供の健康づくり』の観点で課題を共有し、有効な活動方法を見出していく参加型アクションリサーチである。1年目は日本移住者が多いブラジルサンパウロ州を訪問し、子供の教育と保健医療体制、出稼ぎ状況について理解を深めた。2、3年目は、群馬大学主催の在日外国人学校健康診断を中心に、外国籍住民や関係者の意向調査や協議を通じて、今後の方策を検討した。
著者
萩原 治夫 村上 徹
出版者
群馬大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

人の体のつくりについて学習する教材を制作した。本年度は、泌尿器、男の生殖器、女の生殖器、神経、感覚器、からだの中をのぞいてみようのぺ一ジを制作した。「泌尿器」のコンテンツとして、泌尿器のつくり、腎臓のつくりと働き、尿をつくるしくみ、尿管、ぽうこう、泌尿器の病気、エックス線で見る泌尿器を制作した。「男の生殖器」のコンテンツとして、男の生殖器のつくりと働き、精巣のつくりと働き、精子を制作した。「女の生殖器」のコンテンツとして、女の生殖器のつくり、卵巣、卵管、子宮、受精と妊娠、性の決定を制作した。「神経」のコンテンツとして、神経のつくり、神経細胞、中枢神経、大脳のつくりと働き、脊髄、脳神経、脊髄神経、自律神経、皮ふの感覚の伝わりかた、筋肉を動かす指令の伝わりかた、エックス線で見る脳、MRIで見る脳を制作した。「感覚器」のコンテンツとして、目、耳、鼻、舌、皮ふを制作した。「目」のコンテンツとして、目のつくり、ものが見えるしくみ、近視と遠視、盲点をさがそうなどを制作した。「耳」のコンテンツとして、耳のつくり、膜迷路、音を感じるつくり、体のバランスを感じるつくりなどを制作した。「鼻」のコンテンツとして、鼻のつくり、においを感じるつくりを制作した。「舌」のコンテンツとして、舌のつくり、味らい、味を制作した。「皮ふ」のコンテンツとして、手のひら型の皮ふのつくり、ふつうの皮ふのつくり、皮ふに見られるつくりを制作した。X線、CT、MRIなどによる医用画像を利用して、体の内部の様子をみることができる教材として、「からだの中をのぞいてみよう」を制作した。これらのコンテンツを、生き物探検センター(http://anatomy.dept.med.gunma-u.ac.jp/rika/):人の体のつくりとして、一般に公開した。
著者
竹内 利行 石川 英一 小暮 公孝 堀内 龍也
出版者
群馬大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1989

成長ホルモンやプロラクチンは、粗面小胞体でシグナルペプチド部分が切断されるだけで生理活性ペプチドとなるが、インスリンなど多くの生理活性ペプチドは前駆体として産生され、分泌顆粒に入る過程で、そのペプチドに隣接する塩基性アミノ酸対が限定分解をうけ、生理活性ペプチドとなる。この限定分解は内分泌細胞に特異的で、線維芽細胞、上皮細胞、リンパ球のような非内分泌細胞では、インスリン遺伝子を組み込んでもインスリンは前駆体として産生され、生理活性型には変換されない。ところで血液凝固因子や成長因子のあるものは、非内分泌細胞中で前駆体として産生され、生理活性蛋白に変換されるが、最近この変換はーArg^<ー4>ーXーLys/Arg^<ー2>ーArg^<ー1>配列がFurinという蛋白分解酵素で分解されることが分った。更にインスリン受容体や補体第3因子、第5因子の前駆体はサブユニット間に4つの塩基性アミノ酸配列を持ち、線維芽細胞やリンパ球で限定分解をうけて複数のサブユニットから成る成熟型蛋白となることが知られている。そこで我々はラットプロインスリン前駆体cDNAをB鎖ーArgーArgーLysーArgーCペプチドーArgーArgーLysーArgーA鎖となるようにした変異インスリンcDNAを作製しアフリカ緑毛猿腎上皮細胞由来COSー7に導入し、発現させたところ、培養液中の免疫活性は約60%がインスリン分画に移行してい。更にFurin遺伝子を同時発現させると、成熟型インスリンへの変換はほぼ100%となった。又インスリン分画の生物活性はヒトインスリン製剤とほぼ同等であった。以上の実験からCOSー7のような非内分泌細胞でもプロセシング部位が4つの塩基性アミノ酸配列になるように変異を加えたcDNAを発現させると、変異プロインスリンは生理活性型インスリンへ変換することが分かった。このことは非内分泌細胞でインスリンを発現させることによって、代用インスリン産生細胞として用いることができる可能性を示している。
著者
伊藤 漸 小浜 一弘 近藤 洋一 竹内 利行
出版者
群馬大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

モチリンは消化管粘膜から分泌されるペプチドホルモンで消化・吸収の終了した空腹時に約100分間隔で血流中に放出され、先ず胃・上部十二指腸に一連の強収縮をひきおこし、これが順次下部消化管に伝播して、空腸・回腸に溜った胃液・腸液を大腸の方に押しやる働きをする。モチリンによる消化管平滑筋収縮作用は、動物種によって大きく異なる。例えば、ブタやイヌから抽出したモチリンは、ラット,モルモットの消化管には全く作用しない。イヌに投与すると空腹時強収縮をひきおこし、この作用はアトロピンによって抑制されるので、モチリンの作用はアセチルコリンを介していることが予想される。ところがin vivoのウサギの実験ではこの強収縮は観察できない。しかしウサギ腸管平滑筋条片をマグヌス管につるして筋の収縮を調べるとモチリンによる筋収縮を確認でき、しかもアトロピンでは抑制されず、モチリンの平滑筋への直接作用が考えられる。但し単離筋細胞を用いた培養実験では、アセチルコリンは筋収縮をひきおこすが、モチリンでは筋収縮を確認できていない。我々は、ウサギ平滑筋膜上にモチリン受容体の存在を想定して、膜分画への ^<125>Iーモチリンの結合実験を行った。 ^<125>Iーモチリンは膜の粗分画を用いると結合を認めたが、精製した膜分画を用いると結合が認められなかった。そこで我々は、モチリンが直接平滑筋に働くのではなく、神経に作用しアセチルコリン以外の伝達物質を介して筋に働いている可能性を考慮しているが、同時に、1) ^<125>Iーモチリンの比放射能活性を高める 2)13位のMetをLeuに置換して酸化をうけにくくさせる 3)第7位のTyrを除き、カルボキシル端にTyrを付加したモチリンを合成する,等の工夫により、生物活性がヨ-ド化によっても十分保持できるモチリンの作成を行なった。現在これらの修飾モチリンを用いて平滑筋膜分画との結合実験を継続している。
著者
竹内 利行 菅野 健太郎
出版者
群馬大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

多くのペプチドホルモンは前駆体として産生され、まず生理活性ペプチドに隣接する塩基性アミノ酸対部分が限定分解を受け、更に生理活性ペプチドのカルボキシル(C)端のGlyがアミド化酵素によってC端アミドに変換される。限定分解やアミド化は内分泌細胞で特徴的におこり、上皮細胞や線維芽細胞のような非内分泌細胞ではおこらない。我々は限定分解能とC末端アミド化能が内分泌細胞の一般的特徴であることを知るために、アミド化ペプチド産生が知られていない下垂体前葉細胞も含め、種々の内分泌細胞と非内分泌細胞で限定分解能とアミド化能を検討した。そのプロ-ブとしてC端アミドの構造をもつガストリン及び、膵ポリペプチド(PP)のcDNAを、内分泌細胞(GH3,AtT20,RIN5F,PC12)及び非内分泌細胞(NIH3T3,BHK21,Hepalー6)に導入し、生産されたペプチドをそれぞれのC末端特異的抗体で検討した。内分泌細胞は全て前駆体からアミド化ペプチドを産生する能力を有していたが、非内分泌細胞ではガストリン,PP共にアミド化を受けない前駆体が産生された。ガストリンの場合は、予想通り大分子の前駆体として産生されていた。ところがPP前駆体はアミド化はうけていないものの限定分解をうけていた。非内分泌細胞で前駆体が限定分解されるには塩基性アミノ酸対の前ー4位またはー5位に、もう一つ塩基性アミノ酸が必要である。PPはーArgーTyrーGlyーLysーArgーのアミノ酸配列をもつので非内分非細胞で限分解をうけたものと考えられる。結論)アミド化ペプチド産生が知られていない内分泌細胞でも、アミド化され得るペプチドのcDNAを導入すると、アミド化ペプチドが産生されるが、非内分泌細胞では発現ペプチドのアミノ化はおこらない。しかし塩基性アミノ酸対の前方にもう一つの塩基性アミノ酸がある場合には前駆体は限定分解をうける。
著者
佐藤 浩一
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

自伝的記憶・意味記憶・エピソード記憶の想起の安定性を比較した。自伝的記憶の想起のみ、加齢に伴い安定性が高まったことから、自伝的記憶は意味記憶やエピソード記憶とは異なるシステムとして機能していることが示唆される。過去の出来事と現在の自己を結びつける意味づけが自伝的記憶を特徴づけることが、大学生~高齢者の調査で示された。さらに自己・記憶・時間を関連づけて検討するため、Zimbardo時間展望尺度日本語版が作成された。
著者
神田 清子 栃原 裕 飯田 苗恵
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

癌化学療法に伴う味覚識別能の変化に対応した食事ケアを検討することを目的として,次の3研究を施行した.第一に,癌化学療法を受けた入院中の患者45名を対象に治療前・中(4日目)・後(治療後10日目)の甘味・塩味・酸味・苦味についての識別能を試薬滴下法により検査し分析した.第二に,癌化学療法を施行する患者のための病院献立および食事への取り組みについて,全国の病院241施設を対象として郵送法により調査し,有効回答145施設の現況を分析した.第三に,癌化学療法を受けている患者,3事例の味覚識別能および食事摂取状況,食事嗜好を調査し,栄養バランスの評価を行った.結果は次のようにまとめられる.1.甘味・塩味・酸味・苦味のうち癌化学療法の影響を強く受けていたのは塩味であり,識別閾値は治療中敏感になり,治療後は有意に鈍感になっていた.2.癌化学療法を受ける患者のために特別な献立を有している施設は,48(33%)であり,献立の種類は,化学療法食,口内炎食,加熱食などであった.3.味覚識別能と食事の嗜好との関係では,甘味・塩味・酸味の味覚では,味が鈍感になった味覚を主体とする食品を補食する傾向にあった.また,薬剤投与中は,蛋白食品や煮物に対する嫌悪感が認められた.4.化学療法剤が投与されている期間および口内炎の合併は,蛋白質,脂質,炭水化物摂取量を極端に減少させ,熱量は基礎代謝量にさえ満ちていない.以上,癌化学療法を受け味覚に変化をきたした患者の食事ケアとしては,鈍感になった味を少し強化した味付けにする.化学療法剤投与中では,肉,卵,魚類の蛋白食品を少量使用する.治療後は,口内炎の合併がなければ塩味をやや濃くし,麺類など塩分の味付けを集中させる献立を提供する.加えて,食事ケアでは,病院食として化学療法食,口内炎食を確立する必要がある.そのためには栄養士と協力し,組織的な取り組みを行うことが不可欠である.
著者
大友 智 岡出 美則 中井 隆司
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は,大学・大学院における実践的指導力量形成のための体育科教員養成プログラムの開発であった.この目的を達成するために,以下の課題を設定し,検討した.第一に,体育科教員養成の課題について検討した.具体的には,近年,諸外国から体育科教育学研究者が招聘され体育教師教育に関する情報交換が行われているが,そこで論議されていることは何か,体育科の専門性と教師教育の課題は何か,教師の力量を高めるためにどのような授業研究が求められるのか,そして,教員養成段階にある学生は,体育をどのように捉えているのかを検討した.第二に,新任教師の能力基準を打ち出し,教師教育改革がすでに実行されているアメリカを対象に,体育教師教育カリキュラムとそのアセスメントを分析した.特に,JTPEにおいて,体育教師教育の取り組みが特集で紹介されているジョージア州立大学に焦点を絞り,その考え方やシステムを分析した.第三に,体育教師教育で利用することのできる期間記録に関するデジタルコンテンツ及び相互作用行動に関するデジタルコンテンツを作成し,それらの有効性を検討した.これらのデジタルコンテンツは,近年の体育授業研究成果を参照し,どの教師にとっても必要とされ,獲得できる可能性の高いものを設定するように試みた.また,それらのデジタルコンテンツを実際の大学の授業に適用し,学生の指導力量がどのように変化したかを分析した.第四に,体育授業の研究方法論を検討した.体育授業研究の研究成果は,体育教師教育の内容を豊かにしていくが,新たな知見は,新たな研究方法によって産出される.そのような意味から,質的研究と認知に関する体育授業研究方法論に検討を加えた.
著者
茂木 一司 福本 謹一 上田 信行 苅宿 俊文 刑部 育子 阿部 寿文 下原 美保 佐藤 優香 宮田 義郎 熊倉 敬聡
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

異文化理解・多文化共生の可能性を探る身体・メディア活用型プロジェクトの主要な成果は、(1)日本文化(美術)、身体を基礎にしたアート(学習)、障害児(者)のアート(学習)、プログラミング(cricket, scratch)による創造学習、などのワークショップの開発・実践・評価、(2)カフェ的な空間=オールナタティブスペースの創出と学びの検討、(3)ワークショップにおけるファシリテータ養成プログラムの開発とNPOの教育力の活用、の3点である。(1)では、異文化や多文化を単なる外国文化との交流だけでなく、障害のあるなしも含めた広い概念で捉え直し、日本文化(美術)を基盤にした(ワークショップ型学習には不可欠な)身体性を中心に据えたワークショップ(型学習)の開発・実践・評価を行い、それが表現性や協同性という特色によって、学びを創造的にし、(学校教育を含めた)現代の閉塞的な教育状況において非常に有効であることが実証できた。(2)(3)では、新しい学びの空間(学習環境のデザイン)をカフェという「ゆるやかにつどい語らう場」での学びがやはり現代教育にとって有効であることやワークショップという学びを支えるファシリテータに必要な資質の検討や育成のプログラムを作成した。
著者
白尾 智明 関野 祐子 安田 浩樹
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

初代培養神経細胞系と遺伝子変異動物を用いて、神経細胞樹状突起スパイン内のアクチン結合タンパクの変化はシナプス機能変化に直接結びつくことを明らかとした。次いで、アクチン結合タンパクのスパイン内集積動態を測定することにより、グルタミン酸作動精神系繊維は、グルタミン酸受容体の二つのサブタイプを使って、両方向性にアクチン結合タンパクのスパイン内集積を制御していることが明らかとなった。
著者
小澤 瀞司
出版者
群馬大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

中枢神経系のグルタミン酸受容体チャネルは、NMDA型、AMPA/カイニン酸、(KA)形、KA選択型の3種類に分類される。このうちAMPA/KA型は、AMPAとKAのいずれに対しても感受性を示し、分子生物学的にはGluR1-GluR4という4つのサブユニットのいずれかの組合せで構成されている。本研究では胎生17-19日のラット胎児より得られた培養海馬ニューロンを対象としてAMPA/KA型受容体の諸性質とその発達について調ベ、次のような知見を得た。1)馬海ニューロンは培養後7日目頃から、AMPA、KAに対して感受性に示し始め、その後ニューロンの発達に伴い反応は増大していく。この反応はAMPA/KA型受容体の活性化によるものでKA選択型受容体の関与はほとんどない。2)AMPA/KA型受容体は、外向き整流特性とCa^<2+>透過性をもたないI型、および強い内向き整流特性と高いCa^<2+>透過性を示すII型に分類される。Reverse-transcription(RT)-PCR法により、それぞれのサブニユット構成を調ベた所、I型はGluR1、GluR2サブユニットからなり、II型はGluR1、GluR4サブユニットからなることが明らかになった。3)II型のAMPA/KA型受容体は小型の介在ニューロンに特異的に発現した。このニューロンはGADをもつことからGABAを産生する抑制ニューロンと考えられる。4)培養条件下でCA3/CA4野ニューロンとCA1錐体細胞の間で興奮性シナプスを形成させると、CA1ニューロンからはやい時間経過の興奮性シナプス後電流(EPSC)と持続時間の長いEPSCの両方が記録された。前者はAMPA/KA型受容体、後者はNMDA型受容体の活性化によるものであった。シナプス形成後のCA1ニューロンの尖端樹伏突起上にはAMPAに対して著しく感受性の高い部位が局在した。はやい時間経過のEPSCはその整流特性からほとんどI型受容体の活性化によるものと結論された。
著者
小葉竹 重機 清水 義彦
出版者
群馬大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

森林の気候緩和効果に関して、観測とその結果に基づくシミュレーションモデルの構築という2本の柱を中心に研究を進めた。観測は大学から北約1. 5kmの山林のふもとにおける気温と湿度、大学構内に設置した簡易型総合気象観測装置による気温、日射、風速、風向、雨量について行い、この他に桐生市のアメダスの記録も収集した。さらに、異なった地被のもとでの夏期における気温、放射収支の計測も行った。得られた結果を要約すると以下のようである。1.地被の異なる場での気温、放射収支の観測から、夏期にはアスファルトと土の面上の気温差は2℃程度となり、アスファルトでは夜9時を過ぎても地面からの放射が50W/m^2程度残っている。2.夏期の日中の表面温度を熱収支式から検討したところ、アスファルトでは約60℃程度になることがわかった。これは浅枝等によって得られている値と同じである。3.森林の近傍にある孤立樹木の木陰で観測した気温と、大学に設置している簡易型総合気象観測装置による気温、および桐生市アメダスの観測結果を比較したところ、夏期には約2℃〜3℃程度森林の方が気温が低いことがわかった。また、日射の強かった日の夕方の数時間は、アスファルト等で舗装された地被の場合と比較すると5℃程度森林の気温が低くなる。これらが夏期の気候緩和の効果である。4.また、冬期には風が強い日の日中に森林の方が気温が高くなる場合がある。これは森林以外の観測地が風の通り易い場合であることと、それらが川沿いであることに一因がある。5.森林と大学の観測塔の気温差あるいは森林とアメダスの気温差の変化の様子は季節によって異なり、日射の効き方も季節によって異なる。正確な再現には厳密なシミュレーションモデルが必要である。6. LESモデルを用いた3次元モデルの構築を目指したが、熱収支式を取り込むところまで進めなかった。