著者
藤原 洋志
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では効用関数の考え方を応用したオンライン最適化問題を考察する。ミクロ経済学では、次元の異なる量を組み合わせて効用関数が定義されている。しかし、アルゴリズムの性能評価尺度としてはほとんど使われてこなかった。我々は、制約条件として扱われていたものを目的関数に取り入れたり、性能評価尺度の期待値を目的関数としたりして問題再設定を行う。結果、一方向通貨交換問題に対しては、どのような効用関数の設定をするかに依存して最適戦略が大きく変わってくることを実証できた。また、オンライン・オフライン混合ジョブスケジューリング問題に対しては実用的かつ頑強なアルゴリズムが得られた。
著者
三枝 正彦 南條 正巳 鳥山 欽哉 木村 和彦 渡辺 肇
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

肥効調節型肥料の発明は肥料を種子や根と接触施用することを可能にした。この方法では土の介在なしに目的とした肥料成分を直接植物根に供給することが可能であり、肥料の利用効率を飛躍的に向上させ、作物の収量と品質を飛躍的に改善することを明らかにした。またこの方法で、不耕起移植栽培や、不耕起直播栽培、接触施肥シードテープ栽培、スティック肥料茶栽培など収量、品質を低下させることなく、環境負荷を低減する画期的農業システムを開発した。
著者
北田 敏廣 岡村 聖
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

"持続可能"な都市・地域形成の要件として、二酸化炭素排出の抑制が求められている。このために都市規模での省エネルギー・未利用エネルギーの有効利用が必要であるが、重要な方策の一つとして土地利用の制御・計画と植栽等地表面の制御に基づく熱環境の緩和が考えられる。本研究は、都市大気の交換特性(風の道)を良くし、超熱帯夜・超真夏日を緩和するために、どのように都市の空間構造を設計すれば良いかを明らかにすることを目的とした。名古屋市を対象に、都市空間を500mx500mのセルに分割し、セル内の熱環境に関わる空間構造を以下のパラメーターで表しGISの下でデータベースを作成した:(1)都市建造物群のセル内面積比と高度分布(建物を中・高層、低層に二分し、それぞれの建物表面積をLAI,Leaf Area Indexで表現)、(2)道路面積比、(3)裸地面積比、(4)植生群の面積比と高度分布(植物を高木、低木に二分し、それぞれの葉面積指数LAIで表現)、(5)開水面の面積比、(6)人工排熱強度。これらのデータを入力にして名古屋市を囲む領域に対して熱帯夜や極度の日中高温と空間構造パラメーターの関係を明かにするべく三次元キャノピーモデルによるシミュレーションを行った(典型的夏型気圧配置であった1995年7月24日-31日を対象にして)。夜間の高温度(熱帯夜)、日最高気温の出現場所等について、ほぼ再現できた。これによって、上に述べた意味での都市構造の違いを熱環境に結びつける三次元キャノピーモデルが構築できた。現在、このモデルを用いての感度解析研究を実行している。
著者
上原 秀幸
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

圃場で観測した土壌水分データの空間相関特性に基づき、センサノードをクラスタリングし、ノード間の協調制御で低消費電力を図るセンサネットワークプロトコルを開発した。具体的には、(1) 観測データの空間相関分布特性に基づくクラスタリング・アルゴリズム、(2) ノード間協調によるON-OFFスケジューリング制御、(3) 環境の変化に対応してクラスタを再構築するアルゴリズム、(4) 省電力化に加え転送遅延とスケーラビリティを改善する疑似同期MACプロトコルを開発した。
著者
中川 聖一 秋葉 友良 山本 一公 土屋 雅稔
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

音声認識の高精度化と音声認識結果の整形化、音声ドキュメントからの検索語の高速・高精度検索法の研究を行った。音声認識の高精度化に関しては、従来のHMMを越える新しい音声認識モデルを提案し、その有効性を示した。音声認識結果の整形に関しては、話し言葉音声の音声認識結果からの書き言葉への整形のための確率モデルを提案し、その有効性を示した。音声ドキュメントからの検索語の高速検出に関しては、音節のnグラムインデックスに基づく手法を提案し、その有効性を示した。
著者
加藤 三保子 本名 信行
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、アジアにおける手話言語とろう者社会をめぐる諸問題について、ベトナム、シンガポール、タイの事情を調査研究し、アジア各国のろう者が直面している言語的・社会的問題を明らかにして、その解決策を探るとともに、日本における手話言語とろう者社会のあり方を考察することにある。今回訪問した3カ国では、(1)聴覚障害者団体の組織と活動、(2)聴覚障害児(者)教育、(3)手話言語の地位と役割、(4)手話研究の動向、(5)手話通訳者の養成事業の各項目について調査をおこなった。ベトナムでは、聴覚障害者団体の組織力はまだ弱く、手話通訳もごく少数のボランティアに頼っているのが現状である。シンガポールは手話通訳養成事業やろう学校での手話使用がすすんでいるが、英語が国の公用語となっている影響で、ろう教育でも「正しく英語を表現するための手話」が前面に出ている。国土が南北に細長いために手話の地域差が大きく、手話の標準化がなかなか図れないのはベトナムとタイに共通する問題である。しかし、この両国では近年、先進国の援助団体からの出資により、手話語彙集や手話事典の編集、成人ろう者の教育などが大きく前進している。日本は聴覚障害者団体の組織や活動、手話通訳養成事業のあり方などはアジア圏で先進的な立場にあるが、ろう者の高等教育についてはベトナムやタイに大きく遅れをとっている。日本では、ベトナムやタイの事例から多くを学び、早急にろう者の高等教育のあり方を議論しなければならない。本研究の成果は、先行研究(韓国と中国での調査研究)の成果と併せて、『アジアのろう者情報事典』(仮題)を編集するための基盤となった。アジア各国のろう者社会や手話言語についての社会言語学的研究はまだほとんどなされていないので、本研究を今後も継続し、アジア諸国の手話とろう者に関する正確な情報を各国が共有して、アジアにおけるろう者の言語的・社会的自立に寄与したい。
著者
水野 慎士
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

我々が開発している仮想彫刻・版画システムの機能・表現手法の改良を行うと共に,一般の人々に実際に使用してもらうことでシステムの検証・評価を行った.仮想彫刻および仮想木版画では切削,彩色,版画摺工という作品制作の各工程において,筆圧タブレットを利用して操作の強さを考慮した操作を実現した.三次元仮想彫刻に対する彩色では,筆圧と彫刻表面形状を考慮しながら色と水分量の情報を持つ絵の具を対話的に塗布することが可能となった.そして仮想版木表面に水分量を様々に変化させた絵の具を塗布することで,絵の具の色と水分量,版木形状,ばれんの操作具合の相互作用によって生み出される浮世絵などの多版多色摺り木版画を仮想空間内で忠実に再現することが可能となった.また筆圧タブレットに対応した仮想彫刻・木版画システムのプロトタイプを構築して,コンピュータやCGの専門家ではない人に実際にシステムを使用してもらって評価を行った.実験では,多くの被験者にとって筆圧タブレットによる仮想彫刻操作はマウスに比べて直感的な操作が可能で,操作感覚も実際の彫刻に近いと感じることがわかった.また操作力と変形量の関係を変化させることで,素材の固さの違いを感じ取ることができるという結果を得た.ただし,タブレットペンが滑りすぎることや,音や削り屑などが出ないなど,実際の彫刻との細かな違いが彫刻としての操作感覚を損ねているという意見もあり,これらの問題を解決する必要がある.仮想銅版画システムでは銅版画制作物理モデルの改良に加えて,様々な銅版画手法の濃淡の解析を行い,より実世界の銅版画に近い画像の合成を実現した.特に代表的な銅版画手法の一つであるメゾチントでは目立てた銅版をスクレッパーとバニッシャーで削ることで濃淡表現を行うが,それぞれの使用頻度に応じた中間表現方法を提案して,操作の違いによる銅版表面状況の変化とそれに基づく版画画像の濃淡の変化を実現した.これらの研究内容は,論文や国内外の会議で発表した.
著者
菊池 洋 田中 照通 梅影 創
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

遺伝子発現が関連する難病の治療薬として人工的な小分子RNAなどが期待されている。しかし、現在のRNA合成法は、手間やコストがかかり、創薬という点で問題がある。本研究は、意図したとおりの配列をもつ人工RNAを微生物により生産させることを目指し、圧倒的な低コストでの高機能RNA医薬の製造法を開発しようとするものである。本研究では、自然界で自身のRNAやDNAを培地に放出する性質をもつ海洋性光合成細菌、Rhodovulum sulfidophilumを操作し、機能をもつ人工RNAアプタマーをこの菌の培地中に生産させることに世界で初めて成功した。
著者
菊池 洋 梅影 創
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

ランダム配列のRNA集団の中から生体分子に特異的に結合できるRNA分子を選択増幅し、得ることができ、この分子を丁度抗体のように利用できる。この分子をRNAアプタマーという。RNAアプタマーを開発するためには、SELEX(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment)法を中心とする人工進化系が採用されるのが一般的である。本手法は、一度の操作で複数のRNAアプタマーを取得しようとするものである。これまでに、ヒト前立腺癌細胞の可溶性タンパク質を標的としたSELEX法を実施した結果、昨年度問題となった非特異的RNA結合タンパク質の存在によるSELEXの進行阻害の問題が本年度はある程度解決され、(1)SELEXのターゲットが複数存在しても人工進化させることが可能であること、(2)特異的な結合能を有するRNAアプタマーの選択が可能であることが示された。このような、網羅的なアプタマー創製に関する報告はこれまでなされておらず、当研究室オリジナルの手法であると自負している。特許出願を念頭に実験系の改良を行っているところである。また、本年度、網羅的に得られるRNAアプタマーのターゲットタンパク質を網羅的に同定するために、網羅的ノースウエスタン法を考案した。この手法は、網羅的なタンパク質ターゲットサンプルをメンブレン状に固定化し、蛍光ラベルした網羅的RNAアプタマーを結合させ、イメージアナライザーによって検出しようとするものである。この手法は予備的な段階であるので、まだ改良の余地が残されているが、特異的なアプタマーの結合が観察されており、メンブレンからRNAアプタマーを回収し、RT-PCRによって増幅可能であることも確認している。
著者
栗山 繁 大渕 竜太郎 青野 雅樹 持丸 正明
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

人体の動作や形状を計測して大規模に蓄えられたデジタルデータ集合に対し、所望のデータを探し出す技術とそのデータを様々に役立てる再利用技術を開発した。動作データの探索に関しては世界最高の性能を達成し、規則の導出に基づく新たな探索機構も開発した。一方、形状データの探索に関しても特徴量の学習に基づく各種手法を開発し、世界最高クラスの性能を達成した。また、再利用技術を用いた種々のアプリケーションを開発した。
著者
永持 仁 石井 利昌
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
特定領域研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究ではグラフ構造の解明,高速グラフアルゴリズムの開発を行った.グラフの連結性に関する問題について以下の結果を得た.重み付き無向グラフのすべての最小カットを,カクタスと呼ばれるグラフ構造に表現するアルゴリズムの計算量を軽減した.ここで使われている手法は最大隣接順序というグラフの探索法であり,すべての最小カットを計算するために最大流アルゴリズムを必要としない点が特徴である.グラフをk-分割する枝集合はk-カットと呼ばれる.最小k-カットを求める問題に対し,グラフの2-カットを大きさの小さい順に部分的に列挙するという新しいアプローチにより,k=3,4,5,6に対して従来の計算量を改善した.k-辺連結でないグラフにおいて,カット値がk未満のカットから適当なものをいくつか互いに交叉しないように選んでやると,グラフの連結度増大問題を解くために必要な情報が取り出せるという性質を示した.あらかじめこのようなカットの集合を求めておけば,連結度増大問題における解の形を細かく制御できることを示した.近似解を求めるアルゴリズムについて以下の結果を得た.グラフの点連結度増大問題は,これまで,目標の点連結度kに対し,入力のグラフの点連結度が(k-1)である場合にしか解法が知られていなかったが,新たに,入力グラフの連結度が任意である場合のアルゴリズムを与えた.このアルゴリズムは最適解に比べ,高々2(k-α)k本しか余分に付加辺を使わない解を計算する(ここでα=(入力グラフの点連結度)).さらに連結度増大問題では点連結度と辺連結度を同時に扱うものも研究し,目標値のみに依存する絶対誤差の近似アルゴリズムを得た.この他,相対誤差のアルゴリズムとして,重み付き3点連結化問題に対する(7/2)-近似アルゴリズム,最小重み辺支配集合問題に対する2-近似アルゴリズム,次数dのハイパーグラフ上のネットワーク設計問題に対するdH(r)-近似アルゴリズムを設計した(rは連結度の最大要求量,H<>は調和関数).
著者
松田 厚範
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

今年度は、高温相を持たない硫酸水素カリウム(KHSO_4)とリンタングステン酸(WPA)の複合体をミリング処理により作製し、得られた複合体の構造および導電率をCsHSO_<4->WPA系複合体と比較し、ヘテロポリ酸-硫酸水素塩系複合体の構造とプロトン伝導性について検討を行った。χKHSO_<4->(100-χ)WPA複合体の無加湿条件における導電率の導電率は、KHSO_4含量によって大きく変化した。WPA(χ=0)およびKHSO_4(χ=100)の無加湿条件下における伝導性は低く、100℃での導電率はそれぞれ、1×10^<-7>S/cmおよび5×10^<-6>S/cmの値であった。しかしながら、KHSO_4含量が80mol%以上になると、導電率が上昇し、χ=90および95の複合体では、160〜50℃の範囲で1×10^<-2>〜1×10^<-3>S/cmの非常に高い導電率を維持することがわかった。伝導の活性化エネルギーは23kJ/molと見積もられ、先に報告した90CsHSO_<4->10WPA複合体よりも低いことも明らかとなった。超プロトン伝導相を持たないKHSO_4とWPAの複合体が、高温超プロトン伝導相を持つCsHSO_<4->WPA系複合体と同様に、室温から160℃程度の広い温度範囲で高いプロトン伝導性を維持したことから、WPAのケギンアニオンPW_<12>O_<40>^<3->とKHSO_4あるいはCsHSO_4のHSO_4^-アニオンがブレンステッド酸-塩基対の形で水素結合を形成することが導電率の向上に関係していると考えられる。以上の結果より、中温無加湿条件下で高いプロトン伝導性を示す材料を合成するには、オキソ酸とヘテロポリ酸の間に形成される、水素結合ネットワークを設計することが、本質的に重要であり、必ずしも超プロトン相が関与する必要はないことが実証された。
著者
松本 博
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,建築材料や殺虫剤・化粧品等の使用による生活行為の甲で放散されるホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)等の室内化学汚染物質を除去し,清浄な室内空気質(IAQ)を維持するための新しい制御方法として,材料の物理的な吸着・脱着効果を利用した室内空気清浄システムの開発とその基本的な化学物質除去性能を明らかにすることを目的とする。平成16年度は前年度の成果を受けて,システムの基本性能試験および運転・制御法の検討,実大空間を対象にしたシステムのVOC除去性能,ならびに実用化のためのシステム性能の改善について検討した。以下に,その概要を示す。(1)プロトタイプの各種吸着材のVOC除去性能試験およびシステム運転・制御法の検討:前年に引き続き,市販の吸着性能の高いと思われる各種材料(軽石,レカトンなど)のVOC除去性能試験を行い,システムの最適なオンライン運転・制御方法を検討した。その結果普及型PCにより容易に制御可能なシステムが構築可能なことを明らかにした。(2)実大居室を用いた汚染質除去性能の実証試験:本学実験室に設置された実大居室(2.7×2.7×2.3m)を用いて,2ユニットタイプ吸脱着型空気清浄装置(吸着材として,ハニカム状活性炭および繊維状活性炭フィルターを使用)のVOC除去性能およびその評価法に対する実証試験を行い,実用可能性の検討を行った。また,長期運転時の特性や材質の劣化などの変化を調べた。(3)空気清浄装置の改良とその性能試験:実用化を目指した装置の小型化,装置の性能向上のための改良および新規に不織布活性炭フィルターを用いたVOC除去性能試験,などについて検討した。(4)本研究で開発したVOC除去性能の定量的評価法を,観葉植物のVOC除去性能試験法や換気効率の測定法に応用し,様々な環境条件下における特性を明らかにした。以上の成果は,国内外の学会等に発表した。
著者
飯田 明由 水野 明哲 金野 祥久
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

トンボの飛翔を模擬した羽ばたき型MAVを開発し, 羽ばたき翼周りの流れと発生する流体力の関係を定量的に明らかにした. また, ヘリウムガスを用いてMAVの機体重量を調整することにより, 世界で始めて自由飛翔中のMAV周りの流れの非定常計測を行い, 自由飛翔中のトンボとMAV周りの流れが相似であることを定量的に示した.
著者
須田 善行 菅原 広剛 高山 純一
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

(1) カーボンナノチューブ(CNT)の原料ガスであるCH_4にCO_2ガスを添加したところ,多層CNTの層数・内径・外径が増加した。また,CO_2添加により単層CNTの直径分布を太い方へ変化できた。(2)CNT成長領域から60cm程度の距離にプラズマを発生させることで,Si基板上に堆積したAl_2O_3/Fe/Al_2O_3の3層構造触媒から欠陥のほとんどない高品質な単層CNTが合成できた。
著者
伊崎 昌伸 笹野 順司
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

理論変換効率が約 28%となる 1.3eV のバンドギャップを有する p-CuOと n-ZnO から構成される新規な太陽電池を電気化学的に形成するために,化学熱力学に立脚した溶液組成の設計,電気化学ヘテロエピタキシャル成長による高品質化ならびに光電変換機能を有するダイオード形成について検討した。電気化学に形成した-CuO 層上に SiO 層と ZnOを堆積させたダイオードが良好な整流性を示すと共に,0.43V の開放電圧などの光電変換機能を示した。
著者
田中 三郎 廿日出 好 岩佐 精二
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

核磁気共鳴(NMR)は静磁場中で原子が固有周波数の磁気エネルギーを吸収・放出する現象で、これを利用した地中の石油貯留層を探査する地下資源探査システムの研究開発に取り組んだ。rf-SQUIDに結合したシステムを作製し、地磁気レベルの低磁場を用いてプロトン1^HのNMR信号の計測を行なった。実験の結果、1^Hのピーク信号が確認でき、このときのSN比(信号対雑音比)は7以上の良好な結果を得ることができた。よって、地磁気中の1^H-NMRを計測可能なSQUID地磁気NMRシステムの基礎を構築することができたと考えられる。
著者
伊藤 光彦
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
雲雀野 : 豊橋技術科学大学人文科学系紀要 (ISSN:0388757X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.57-74, 2006-03-31

古英語期から現代にいたるまでに,各時代を通してケルト語彙が英語に借用されてきている(Ito, 1988a)。本論での主な研究目的は,ケルト借用語の中でもブリタニック系の語彙を英語母語話者がどの程度受容語として理解しているかを調査検証した。特に,受容度の点で性差があるか,また年齢差があるかを検証した。この他に,アイルランド語借用語(Ito, 1997, 2000b),スコットランド語借用語(Ito, 2003),フランス語経由のケルト語(Ito, 2000a)の理解度との比較を検討した。研究に当たり,利用するコーパスはSODとし,採取された48語を用いた。調査方法は,48語のリストを示しその意味,定義を別の一群から選びマッチングを被験者に求めるアンケート方式とした。アンケート用紙作成に当たり,著者のこれまでの研究と一貫性をもたせるため従来と同じ形式とした(Ito, 1997, 2003)。調査の対象は英語を母語とする成人男性,女性とした。男性被験者25名,女性被験者25名の回答から得られたデータをもとに分析および議論をした。分析,議論にあたり上記目的のみでなく,回答率,正答率,正答率の高い語,他の辞書における48語の扱い等についても検証を行った。
著者
村松 由起子 劉 偉
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
雲雀野 : 豊橋技術科学大学人文科学系紀要 (ISSN:0388757X)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.27-39, 2008

The purpose of this paper is to treat the differences in the use of the Japanese "-te" and "-to" complex sentences. For this study, a survey was first prepared on the improper use of "-te" and "-to" among Japanese language learners in China; it demonstrates the difficulty for Chinese learners to properly use these constructions. Subsequently, in this paper, the transposition of "-te" and "-to" are classified into three cases, which clarifies the conditions for their transposition.