著者
三好 孝典 今村 孝 上 泰 真下 智昭 石橋 豊 小山 慎哉 上木 諭 寺嶋 一彦 兼重 明宏 青木 悠祐 北川 秀夫 三枝 亮 大場 譲 河合 康典
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

マスターである人間の運動や力覚を遠隔地において忠実に再現しようとするロボットをテレコピーロボットと定義したとき,自身のコピーロボットが遠隔地に存在し,その遠隔地に居る人間(マスター)のコピーが目前に存在する環境において,1.テレコピーロボットの概念の提示と,それを実現するための全方向移動機能を有した双腕コピーロボットの製作.2.通信遅延に対して安定な4chバイラテラル制御アルゴリズムの提案と実装.3.コピーロボットによるバイラテラル遠隔制御の実現.を行い,目前のコピーロボットを通じてあたかも遠隔地のマスターと直接力学的インタラクションをしているかのような体験が実現可能であることが実証された.
著者
井上 隆信 永淵 修 山田 俊郎
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

インドネシアのカリマン島のカハヤン川流域では金採掘が活発であり、下流に位置する中央カリマンタン州の州都のパランカラヤ市では、金採掘に伴う水銀汚染が社会問題となっている。本研究では、カハヤン川と主な支川であるルンガン川について、河川水、底質、魚の水銀濃度の調査を行い、汚染レベルの調査を実施した。カハヤン川ではパランカラヤの上流約100kmのツバングミリまで、ルンガン川ではカハヤン川流入地点から約50km上流のムングクバルまでの問で、本川と支川で行った。河川水の総水銀濃度は、200ng/L以下であり、インドネシアの環境基準の1000ng/Lよりは低かった。濃度の高い場所は、金採掘の盛んな地域の支川であり、金採掘近傍の地域では高濃度になる可能性があることがわかった。河川底質の総水銀濃度は0.01〜0.1mg-Hg/kg-DWであり、他の汚染地域と比べて高くなかった。魚中の濃度は0.02〜0.5mg-Hg/kgであり、特に底生魚のナマズの一種で高かった。最高濃度は、厚生労働省が発表した「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」で2週に一度の摂食が望ましいとされる魚と同程度の濃度(注意が必要な魚の4段階のレベルで上から3番目)であった。カハヤン川沿いには部落が点在し、農業と漁業により自給自足的な生活をしている。イスラム教徒の割合が高く豚肉と牛肉は食べないため、魚は鶏肉とともに重要なタンパク源となっている。これらのことから、現時点では金採掘に伴う水銀排出による河川の水銀汚染が深刻な状況までに至っていないと考えられるが、魚を通して、人体への影響が懸念される状況であり、今後のさらなるモニタリングが必要な状況であった。
著者
大澤 映二 保柳 康一 千々和 一豊 田中 一義 小澤 理樹
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

天然フラーレンC_<60>の存否は未だに定かでない。KT層、PT層など燃焼煤を含むとされる黒色古地層あるいは隕石クレーター中の岩石から抽出される炭素質中に存在するとされるC_<60>濃度は概ね0.1ppm以下で、技術的に確証を取るのは困難である。唯一高濃度に存在し、複数の分析手段を併用して確実な結果が得られたのは中国雲南省一平浪炭鉱産出の石炭であるが、情報が不正確で炭層が特定できず、追加試料は全てネガティブであったために、現地採取を行って確認を行うのが本研究費の目的であった。研究費支給期間中に地質学者を帯同して中国を3回訪問し、一平浪炭鉱のみならず中国各地から石炭サンプルを採取した。一平浪近くの隕石クレーターにも足を伸ばした。また南アフリカに存在するマグマ貫入炭層、世界最大最古の隕石クレーターにも赴いて試料を採集した。その結果以下の結果が得られた。(1)一平浪炭鉱石炭試料のみが0.3%のC_<60>/C_<70>を含み、同試料は共存異常成分として煤と酷似した構造をもつ黒鉛型ナノ炭素粒子、鉄銅硫酸塩ほか一点の未記載鉱物(おそらく高温高圧変態)を含む。またフラーレンは石炭表面に存在する、(2)他の石炭試料に関するフラーレン分析結果は悉くネガティブ。この結果から自然界で発生する衝撃波によるフラーレン生成説が浮上した。しかし、中国の炭鉱に立ち入ることが出来ず、また坑内地図も閲覧が自由にならないので、採取場所の特定は依然として不可能であった。研究期間終了後も粘り強く交渉を続け、漸く最近に至って中国煤炭勘査局が全山から系統的サンプリングを行い、採取した試料を入手することに成功した。時間飛行型質量分光器による予備分析の結果C_<60>が検出され、現在高速液体クロマトグラフによる定量分析中であり、間もなくC_<60>産出場所の正確な位置が特定できる見込みである。
著者
助川 たかね
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

1.米国・欧州・アジアの有力専門職大学院で開発・出版された当該分野のケース教材800本のデータ分析によるベストセラー・ロングセラーケースの共通要因・構造の発見2.米国・アジア有力大学のケース開発者,利用者および出版社に対する聞き取り調査を基にした,ケースの開発,出版,活用方法の調査・分析3. 1)と2).の結果に基づく,メディア・エンタテインメント業界の高度職業専門人材育成に向けたケース教材の開発(開発中も含む)
著者
松岡 常吉
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

噴流間の距離が衝突噴流群による固体燃焼の燃焼速度におよぼす影響を明らかにすることを目的として,スリット間隔の異なるノズルを用いて実験を行い,以下のことを明らかにした.・水平方向の燃焼速度分布はスリット間隔によって大きく変化することを示した.間隔が広い場合には燃焼速度が最大となる位置がスリット直下より外側にずれることを示した.・燃焼速度のレイノルズ数依存性を明らかにした.燃焼速度は,非燃焼の場合のよどみ領域と同様,レイノルズ数の0.5乗に比例して大きくなることを示した.一方,スリット間隔が広いときのスリット直下の燃焼速度はレイノルズ数の0.8乗に比例することを示した.
著者
齊戸 美弘
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、針型形状の試料前処理デバイスを開発し、火災現場空気試料の迅速なサンプリングおよび分析前濃縮を行うとともに、その試料を精密分離分析することにより、空間分布が精密解析可能な新規火災原因解明技術の開発を行った。これにより、従来法の問題点を大幅に改善するとともに、火災現場における迅速かつ広範な検証用空気試料の採取が実行できることが明らかとなった。開発したデバイスは、常温でも一定時間までの試料保存が可能であり、従来よりも早い段階で確実に火災原因の断定が可能である。また、石油ストーブへのガソリンの誤給油等の火災原因究明にも応用可能であることが確認できた。
著者
大村 廉
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では, センサデータに欠損が生じた場合にも適切に行動の推定を行うことが可能な行動認識手法の検討を行った.行動認識で用いられるパターン認識のプロセスから,欠損センサデータの補完,欠損特徴量の補完,識別処理での対応,を検討した.具体的には,センサデータの補完には ARAR モデルによる系列データ予測を用いた.欠損特徴量の補完には重回帰およびカーネル回帰による予測を用いた.識別処理での対応には,あらかじめ人工的にセンサデータを欠損させたデータにより学習させた識別器を欠損部位ごとに作成し,欠損状況に併せて選択するようにした.実験の結果,識別器で対応するよりも,センサデータおよび特徴量を補完する方が多くの場合性能がよくなることがわかった.また,欠損部位によって適切な対応方法が異なることがわかった.欠損部位に適した補完方法を用いることで,欠損が無い場合にほぼ匹敵するか,あるいは 0.03 ポイント(F 値)程度の性能低下で欠損データへの対応が可能であることがわかった.
著者
北崎 充晃
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,自分に向かって歩いてくる他者の知覚について,その視覚情報処理の機能と仕組みを解明し,人とロボットがお互いに歩き回るようなダイナミックな場面で潜在的で自動的なコミュニケーションを成立させる要因を特定し,人とロボットが自然に共生できるシステムの提案を行う。特に,潜在的コミュニケーションに深く関与する「顔」や「しぐさ」の情報を操作し,歩行者(人やロボットなど)の方向知覚に及ぼす影響を心理物理学的手法によって研究する。本年度も昨年に引き続き,歩行者刺激をコンピュータでリアルタイムに制御して広視野スクリーンあるいはCRTディスプレイに提示し,観察者の行動反応を心理物理学的手法で測定した。昨年度,多数の歩行者のうち自分に歩いている者あるいは外れていく者を検索する課題を被験者に課し,歩行方向の差にとって,向かってくる歩行者が見つけやすい社会的知覚モードと,外れていく歩行者を見つけやすい一般物体知覚モードの2つがある可能性を発見した。これについて種々のロボット刺激および光点刺激(バイオロジカルモーション),そしてそれらの倒立刺激を用いてさらなる検討を行った結果,ヒトの外観に近い刺激やヒト性に関与する特性が強いほど,社会的知覚モードが見られやすいことを報告した。一方,ヒト刺激の表情および音声に情動を含めた刺激では有意な差は得られず,情報付与の方法の再検討を行っている。さらに,自己の移動イメージを脳波からデコーディングする実験を行い,多チャンネル計測を用いれば単一試行脳波からでもある程度の推定が可能なこと,その際スパースコーディングの適用が効果的であることを示した。これらの研究成果から,自然に行き交えるロボットの設計指針として,ある程度ヒトらしい外見(特に四肢があること)をしていること,およびその動作パタンがヒトらしいことが正確な歩行方向知覚に必要であり,顔の向きは効果の強い知覚への伝達情報であることが示唆された。
著者
原口 直樹
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

シンコナアルカロイド、シンコナアルカロイド四級塩、キラルイミダゾリジノン塩、キラルピロリジンなどの不斉有機分子触媒を固定化した高分子微粒子や架橋高分子の合成およびキラル有機分子触媒組込型高分子の合成に成功した。得られた高分子触媒を不斉アルキル化反応、不斉Diels-Alder反応、不斉Michael付加反応、不斉非対称化反応などに用い、触媒構造、スペーサー構造、高分子構造を最適化することにより、低分子モデル触媒と同等以上の不斉選択性を有する高分子触媒の開発に成功した。高分子微粒子触媒は特に高い回収性を示し、その再使用においても、触媒性能を低下させることなく、5回程度の再使用が可能であった。次に、キラルイミダゾリジノン塩およびキラルピロリジン部位を有する2つの高分子微粒子によるワンポット反応を行った。触媒構造、スペーサー構造、高分子構造や反応条件を検討した結果、高分子微粒子内部に導入したそれぞれのキラル触媒が独立して作用し、光学活性化合物が高選択性で得られる系を見いだした。また、酸触媒としてスルホン酸、塩基触媒としてキラルピロリジン部位を有する2つの高分子微粒子によるワンポット反応が進行し、目的とする光学活性化合物の合成にも成功していることから、本手法が相反する性質の触媒の同一系内でのワンポット反応に有効であることが明らかとなった。
著者
渡邉 昭彦 細田 智久
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

当研究は、米・英国で経済的な問題などを抱える地域のフル・サービス型コミュニティスクールの訪問実態調査を行い、我が国の学生のドロップアウト10万人以上という問題の解決を目的にしている。1、肪問実態調査-当研究では3年間て米・英の29団体等と47事例を訪問調査し、サービス提供団体等のサービス提供方法とサービス内容、学校でのサービス提供方法とサービス内容、学校内や敷地内のサービス拠点であるファミリーセンター等の施設と利用の実態を示し、全体像を明らかにした。2、サービス対象とタイプ-サービス提供団体及びフル・サービス型コミュニティスクールでは、(1)学生、(2)学生の親と家族、(3)コミュニティに対してサポートを行い、(1)から(3)の対象にA,学習サービス、B、生活サービスを行い、その他のサービス1種類の計7種類の多様な内容のサポートサービスを行っている。3、サービス提供団体-州(例、ワシントン州)や市(例、セントルイス、デンバー市)が制度を設けて実施、民間団体や大学が実施、学校単独で実施等9種類のタイプがある。4、サービス内容-サービス提供団体で異なるが、A,学習サポートでは、英語等の読み書きの基本的学習から職業や環境、スポーツまで幅広く提供され、B,生活サポートでは、衣・食・住の基本的生活のサポートから、事件に関連した場合の法律相談や弁護、福祉サービス等への申請や代行まで幅広くサポートを行っている。5、サービスの提供時間-学生は授業開始前(食事を含む)、昼休み、放課後、土曜日や夏休み期間のサービスもある。学生の親や家族は夜間クラスもあるが昼間の時間帯(主婦は家庭での食事の準備等がある)、コミュニティには昼間と夜間の両時間帯に提供されている。6、サービスの活動場所-多くが学校施設を活用し、ファミリーセンター等はサービスの事務や会合等に活用されている。7、フル・サービス型コミュニティスクールの効果-恵まれない家庭や地域環境が多い学校で、学生が生き生きと学習し、貧しい地域であっても治安などの問題は少なく、フル・サービス型コミュニティスクールが学生や家族、地域に生きる目的を与えていることが明らかに出来た。
著者
藤戸 敏弘 藤原 洋志
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

1.最小コスト木被覆問題・有向シュタイナー木問題・有向木被覆問題・b辺支配集合問題などのNP困難なグラフやネットワーク上での組合せ最適化問題に対し,新たに近似アルゴリズムを設計し,従来からの近似保証を改善した.2.侵入者と守衛の間で行われるグラフ護衛ゲームにおいて,最小の守衛数を求める問題に対し,従来手法を拡張し,侵入者が木上を移動する場合でもΘ(log n)倍以下で近似可能であることを示した.3.多状態スキーレンタル問題について,いかなるインスタンスに対し最適戦略をとっても,競合比はe/(e-1)より小さくできないことを示した.
著者
栗山 繁
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

場所に応じて配信される情報をスマートフォン等の携帯型情報端末で受け取るために、意図的に調光される光源で照らされる物体等を付属のデジタルカメラで撮影した動画から情報を読み取る技術を開発した。この技術は、その場に設置されたLED照明の光源色を配信情報をコード化したパターンで調光し、動画からはその変化量を検出して復号化する事により、2次元バーコードや近接無線通信に代わる情報の配信手段を提供する。これは既存の可視光通信とは異なり光源の高速変調を必要とせず、標準的なイメージセンサでの読み取りを可能とするので、市販のカラーLED照明やカメラ付きスマートフォンの製品を用いて、送受信器を低コストに開発できる。
著者
松本 博 宋 城基
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

持続可能なアジア型都市・建築システムの基盤となる都市エネルギー需給システムを構築するための戦略的なシナリオを提案することを最終目標として,アジア型中核都市をケーススタディとして都市エネルギーフローをシミュレートするシステムダイナミクス(SD)モデルを開発し,各種シナリオ(ポリシー)に基づく都市エネルギー消費量及びCO_2排出量の将来予測を詳細に検討した。
著者
林 孝彦
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
雲雀野 : 豊橋技術科学大学人文科学系紀要 (ISSN:0388757X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.115-126, 2006-03-31

この論文は,ワールド・ワイド・ウェブ上の日本語のサイトを利用して日本語の学生のために開発した各種の学習活動の過程を説明したものである。この活動の目的は,中級及び上級レベルの日本語の学生に,クラス外で,多くの学生が楽しんでいるウェブ上のブラウジングをしながら,日本語でのインターラクションの時を過ごし,日本社会について学んでもらおうということである。日本のビジネス,政府機関,公益法人,大学といった日本語のウェブサイトやその一部分が,安定性及び興味深さに基づき選ばれた。これらのサイトは,教員が作成したホームページにリンクされた。これらのサイトからの文章は,抜粋され,語彙リスト,漢字の読み,理解力をチェックする質問と共に教員のホームページに載せられた。教員のホームページとリンクされたサイトの利用法のいくつかの例が論じられた。一つの活動では,学生は,まず,元々の文脈の中にある,これらのウェブサイトからの特定の文章を探して読むことを試み,その次に,教員のホームページ上で,直接,抜粋された文章と添えてあるサポート資料で学ぶ。この過程は,「一村一品」運動を紹介している大分県のホームページからの文章の一節で説明されている。スキャンした資料とオーディオ資料,そして日本語の電子メールの利用など,インターネットの他の可能な利用法も簡潔に説明されている。これらのアプローチを使う利点は,インターネットや電子メールの利用から多くの学生が感じている楽しみや動機づけがあることや,インターネットのマルチメディア能力,そして,現在の本物の資料へのアクセスができることなどである。論じられているこの方法の困難さは,ウェブが常に変わっていく性質を持っていることや,他の人によって作成されウェブに載せられた資料の適正な利用について不確定な点があることなどである。
著者
吉村 弓子 河合 和久
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、多様化した日本語学習者の対応した読解教材を作成を支援するシステムを開発することにある。具体的には、WWW情報のキーワード検索において、各学習者に相応しい漢字難易度、語彙難易度、ジャンルに絞り込むシステムをWWW上に作成した。漢字の難易度は日本語能力試験級別漢字表を参照し、学習者が指定する級よりも上級の漢字含有率が20%未満の文章に絞り込むシステムを作った。同様に、語彙の難易度も日本語能力試験級別語彙表と照合し、任意の級よりも上級の語彙が20%未満しか含まれない文章に絞り込むようにした。ジャンルは、歴史、地名、生物、美術、文学、人物、政治、用語の中から学習者がいずれかを選択すると、さらにジャンル毎に設定してあるカテゴリ別に絞り込みを表示した。今後の課題としては、ジャンルの妥当性を検討する必要がある。また、技術面では、システムをWWWサーバから各学習者のコンピュータにダウンロードして使用する方式に改善したい。そうることにより、WWWサーバのセキュリティの強化、また各学習者によるカスタマイズが可能となり、より使いやすいシステムとなることが期待できる。
著者
松田 厚範 片桐 清文
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究では、交互積層法を応用し、無機物質と有機物質がナノレベルで積層されたラミネートコア-シェルハイブリッド粒子および中空カプセルを作製し、その機能探索を行った。今年度は、以下の3点について研究を推進し、重要な成果を得た。【物質輸送放出機能】: 高分子電解質とSiO_2-TiO_2の多層膜からなる中空粒子や、高分子電解質とSiO_2およびWPAの多層膜からなる中空粒子の作製プロセスを確立した。得られた中空粒子の内包物放出挙動や化学的安定性の評価を行い、さらに磁場応答材料の設計について研究を進めた。【ナノリアクター機能】: 多孔質基板上に、交互積層法を用いて電子伝導性高分子、酸化チタン光触媒、プロトン伝導性高分子電解質、白金ナノ粒子、さらに電子伝導性高分子を積層し、マイクロ・ナノリアクターの構築を行った。紫外光照射によって、燃料として多孔質基板側から供給されたアルコールが酸化チタンの光触媒効果によって酸化され発電することを確認した。【プロトン伝導・センサ機能】: イオン性液体を内包するカプセル粒子を作製し、誘電率変化によって、吸着化学物質を検出する新規化学センサや金属ナノ粒子交互積層法によって電極基板上に形成したレインセンサの構築を試みた。得られた薄膜素子が有機物の吸着や水滴の付着によって誘電率が変化する容量検出型センサとして機能することを明らかにした。
著者
鈴木 裕子
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
雲雀野 : 豊橋技術科学大学人文科学系紀要 (ISSN:0388757X)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.137-154, 2008
被引用文献数
2

It is said that there has been a decline in the scholastic ability of university students in Japan, and the Japanese ability of those students today has declined as well. With this in mind, Nakamori and Yamada conducted research into the ability of students at Toyohashi University of Technology to read and write kanji in 2005. And we announced the results in the article. Therefore, we strongly felt the necessity to conduct research into the Japanese ability of students including kanji ability. So we conducted research on the ability of students at Toyohashi University of Technology to read and write kanji, proverbs, honorifics, kanji idioms, kanji radical identification, kanji stroke order, etc in 2006. The results of this research are presented in this bulletin and are divided into four separate article. The authors of these and the topics are as follows: General Remarks: Yasuyuki Nakamori Junior High School Level Kanji Ability: Yoko Yamada Proverbs, Kanji Idioms, and Kanji Radical Identification, etc: Hironobu Hibino Honorifics, Kanji Stroke Order, etc: Yuko Suzuki
著者
松田 厚範 武藤 浩行 大幸 裕介 逆井 基次 小暮 敏博
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、種々の硫酸水素塩とリンタングステン酸(WAP)やケイタングステン酸(WSiA)を遊星型ボールミルを用いて複合化し、複合体の導電率の温度・組成依存性を系統的に調べた。CsHSO_4-WPA系と同様、KHSO_4-WAP系とNH_4HSO_4-WPA系では、硫酸水素塩含量が90mol%付近で導電率の極大が認められた。ミリング処理によって、WPAのプロトンの一部が一価カチオンによって置換され、ヘテロポリ酸の面間隔が小さくなっていることや、硫酸水素アニオンとヘテロポリ酸の間に新たな水素結合が形成されていることがわかった。導電率の対数値とH^^1 MAS NMRスペクトルのケミカルシフトから求めた水素結合距離の間に良好な相関を確認した。また50H_4SiW_12O_40・50CsHSO_4複合体をポリベンズイミダゾール(PBI)に混合することでPBI-50Si50Cs系コンポジット膜を作製した。シングルセル発電試験(無加湿160℃)の結果、コンポジット膜は非常に優れた発電特性を示した。これは無機固体酸複合体が分散することで、プロトンのホッピングが容易になったためと考えられる。
著者
感本 広文 河村 庄造
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

自動車衝突事故は大きな社会問題となっている.事故後の車両停止位置と事故現場の状況から事故前の車両速度等を求める問題は,結果から原因を推定する逆問題である.本研究では車両衝突事故の逆解析手法を構築する事を目的としてニューラルネットワークによる車両衝突事故の逆解析を行い,以下の知見を得た.1.衝突後の車両運動の逆解析と車両衝突の逆解析を組み合わせる事により,二車両の直角側面衝突に対して車両停止位置から衝突初速度を求める逆解析を行った.その結果,実用的に良好と思われる精度で車両の衝突初速度を求める事ができた.今回は時間の都合上,直角側面衝突のみを扱ったが他の衝突形態についても逆解析を行ってニューラルネットワークによる車両衝突事故再現の再現精度と適用範囲を調査していく必要がある.2.本研究でニューラルネットワークの教師データ作成に用いた衝突後の車両運動解析は比較的詳細な車両モデルによって精度の高いシミュレーションが行われていると考えられる.一方,車両衝突解析は剛体衝突理論によるものであり,衝突前後の二車両の運動量は保存され,物理的には合理的な結果を与えるが,車両の変形形状や衝突中の車両移動等の詳細は考慮されない.したがって現段階では例えば本手法を詳細推定の第一次近似として用いる等,使用法を適切に選択すれば合理的かつ効率的な事故再現の有効な補助手段になり得る.3.本研究では剛体衝突理論ならびに車両運動シミュレーションによってニューラルネットワークの教師データを作成したが,他の手法あるいは実際の事故データによって,系統的で信頼性の高い教師データが利用できれば,本研究で述べた逆解析の枠組みは同様の手法で適用する事ができる.