著者
小山 謙二 宮地 充子 内山 成憲
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J82-A, no.8, pp.1212-1222, 1999-08

楕円暗号の数理について,その主要なトピックスについて解説する.
著者
松本 正
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B 通信 (ISSN:09135715)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.p33-40, 1988-01
被引用文献数
2

移動通信におけるディジタル信号伝送では,マルチパスフェージングによる符号誤りを改善する方法としてブロック符号による誤り制御が有効である.Chaseは,channel measurement information(CMI)を用いるブロック符号の効率的な軟判定復法を提案している.本論文では,Chaseの第2アルゴリズムについてCMIとして受信波包絡線レベルを用いる方法の,レイリーフェージング下でのワード誤り率特性を検討した.まず,ビット間の受信波包絡線が独立に変動すると仮定し,受信した1フレームで消失としないビットの受信CNRの確率密度関数を導出して符号の代数的構造に依存しない上下界のワード誤り率を求め,計算機シミュレーションにより理論値の妥当性を確認した.次に,ビット間の受信波包絡線の変動に相関がある場合について,Golay符号を例に計算機シミュレーションによりワード誤り率特性を明らかにすると共に,受信CNRの変動を独立にし,誤りをランダム化するのに必要なビットインタリーブのサイズを求めた.
著者
伊藤 直樹 西本 一志
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.4, pp.965-977, 2013-04-01

計算機を用いた音楽制作におけるMIDIファイル作成法の一つに鼻歌入力法(Voice-to-MIDI)がある.しかし既存システムでは1音ごとの区切りがうまくいかないことによって,出力されたMIDIファイルに欠落音や余剰音の発生,音高の誤判定などの変換精度低下が起こる.この問題に対して,幾つかのシステムでは,歌詞を全て「タ」に置き換える「タタタ歌唱」をさせることで音区切りの精度向上を図っている.しかし,歌詞先作曲のように歌詞歌唱によって,歌詞のイントネーションをメロディづくりに活用したい場合には不向きである.そこで我々は,Voice-to-MIDIの音数・音高判定精度の向上のために,歌唱と同時にタップをすることによってメロディリズムの区切りを入力する,人間と計算機の協調的な音数・音高判定手法を提案する.本手法と,タタタ歌唱を前提としない,自由歌唱可能な既存システム3種類を比較した結果,欠落する音や不要な音の発生が抑制され,音数及び音高判定精度が向上することを確認した.また,楽器経験の有無がタップに影響しないこと,そしてタップの有無は歌唱に影響しないことを示す.
著者
朱 近康 佐々木 重信 丸林 元
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B-(0xF9C2) 通信 (0xF9C2) (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.p207-214, 1991-05
被引用文献数
44

スペクトル拡散 (Spread Spectrum: SS) 通信方式における最も重要な課題の一つは周波数利用効率である.帯域制限のある伝送路にSS方式を適用する場合,データの高速化に伴って処理利得が低下し,SS方式のメリットが生かせなくなる.本論文では,これらの問題に対して有効な新しい並列組合せSS通信方式を提案する.本方式を用いれば,系列長NのN個の直交拡散系列(例えば直交Gold系列)を利用して,送信情報によりN個の系列からr個の系列を並列に組み合わせることにより,(r+log2(NCr)) ビットのデータを同時に送信でき,Nが大きい場合には,例えばr=N/4のとき,Nビットのデータを,またr=2N/3のとき,1.58Nビットのデータを伝送できる.本論文では,並列組合せSS通信方式について,基本原理,システム構成を示し,処理利得と周波数利用効率の関係,組み合わせたr個の系列の誤り率,ビット誤り率,耐振幅制限性,などの特性を解析し,その利点を明らかにする.
著者
田中 利樹 村田 英一
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.490, pp.369-374, 2015-02-25

携帯端末が助け合って混雑を解消する技術の実証に成功 -増大するスマートフォンのデータ通信混雑解消に期待-. 京都大学プレスリリース. 2015-03-03.
著者
柴田 直樹 岡野 浩三 谷口 健一 シバタ ナオキ オカノ コウゾウ タニグチ ケンイチ Shibata Naoki Okano Kozo Taniguchi Kenichi
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J84-, no.7, pp.999-1008, 2001-07-01

加算をもつ有理数の理論(有理数変数,有理数定数,+,-,=,<∧, ∨, ∀, ∃からなる理論)の上の閉論理式(RP文)の真偽判定ルーチンは通信プロトコルのテスト,ハードウェアのタイミング検証などに利用できる.筆者らは以前,計算幾何学の手法を利用し,時間計算量を改善したRP文真偽判定アルゴリズムを提案した.本論文では,まずそのアルゴリズムに対する凹多面体併合を用いた高速化法について述べる.次に,その手法を実装した真偽判定ルーチンをMC68030バス上で非同期バスマスタ転送を行う時間オートマトンの適合性試験系列生成に適用し,評価した結果について述べる.高速化により,比較的簡単な時間制約をもつ時間オートマトンの実行可能性判定の例に対し,実際の検証で現れる変数の数が16個,不等式の数が20個程度のRP文をCPU時間数秒程度(Pentium III 600 MHz)で判定できるようになった.
著者
千葉 則茂 海野 啓明 和田 誓一 村岡 一信 CHIBA Norishige KAINO Keimei WADA Seiichi MURAOKA Kazunobu
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D-2 情報・システム (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.p1742-1750, 1990-10
被引用文献数
8

泥のようなものを乾かしてできるひび割れは,粘着性の度合により乾いた地表面のひび割れからガラスのそれをも含むいろいろな形状を示す.もし,このようなひび割れ形状を生成できるような行動モデルが開発できれば理論的にもCGへの応用上も興味深い.本論文では,まずこれらの粘着性の違うひび割れ形状の特徴を解析し,ひび割れの行動モデルの構築のためのいくつかの仮定を示す.次に,これに基づいて粘着性の強さをパラメータとするひび割れの行動モデルを提案し,シミュレーション例によりその有効性を示す.更に,ひび割れの形状のコンピュータグラフィックスへの応用例,すなわちひび割れ形状による大理石模様や陶磁器のうわ薬のひび割れの表現例を示す.最後に,ひび割れの行動モデルを任意曲面上で動作できるように拡張するための今後の課題について言及する.
著者
山本 正信 Yamamoto Masanobu
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子通信学会論文誌 D (ISSN:0374468X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.p1631-1638, 1986-11
被引用文献数
42

両眼ステレオ視は,3次元情報の手軽な獲得法ではあるが,左右画像間の対応付けの際に,(1)多重対応,(2)隠れ,(3)順序の逆転,(4)水平エッジ,などがある場合に於て,対応点探索が困難になる.本論文では,視点を移動させつつ得られた連続ステレオ画像から,シーンの3次元情報を推定する手法を提案する.まず,連続ステレオ画像から,見かけの運動軌跡が線分として画像化されるような2次元画像を合成する.その時,対応付け問題は,合成画像上の線分検出問題として簡略化される.検出された線分の相互関係を調べることにより,隠れの検出や,見かけの逆転が起きた場合の対応付けも容易になる.更に,視点を一方向だけではなく,それと直交する方向にも移動させることにより,エッジの向きに依存しない一意な対応付けが可能となる.大量の連続ステレオ画像が高速に入力可能な装置を構成し,実際に,複雑なシーンの3次元構造を復元する.