著者
米元 孝一 井上 繁 鮫島 斉 黒木 史郎 讃井 元 安間 舜 長田 寅之助 中田 典男
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1965, no.24, pp.1-10, 1965-11-20 (Released:2009-07-31)
被引用文献数
1

A new tea variety for Kamairitya was registred in 1965, and it was named "Yamanami, " This variety was develeped by the Tea Breeding Laboratory, Kawaminami Branch, Miyazaki-Pref. Agr. Exp. Sta., financially supported by M. A. F. "Yamanami" is a progeny of Chinese variety introduced from Hupeh Province, China, and was selected from the natural crossing seeds.This variety shows vigrous growing, high yield from young age, strong cold-resistane, and superior qualities of tea. It is a middle season variety, whose plucking time is 3 to 4 days later than that of "Takatiho."This variety is available in the Kyushu distict, and is recommended to cultivate in Kagosima, Kumamoto, Miyazaki prefectures.
著者
桑原 穆夫 竹尾 忠一 佐藤 哲哉 古畑 哲
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1959, no.13, pp.69-73, 1959-04-30 (Released:2009-07-31)
参考文献数
4

紅茶の製造上欠くことのできない萎凋操作の条件中,空気の温湿度を取り上げ,その高低に基づく影響を,恒温恒湿器を使つて試験した。その結果,予備的試験ではあるが,温湿度の変化に対応する萎凋の速度・所要時間・茶葉温ならびに品質的に許される範囲,傾向などについて一端をうがうことはできた。終りに,測定に協力していただいた当室の渡辺,川上両氏に感謝する。
著者
竹尾 忠一
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1984, no.60, pp.50-53, 1984-12-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

中国,福建省,台湾省産の鳥龍茶の香気成分組成をしらべた。福建省産の色種,水仙,鉄観音,黄金桂および台湾省産木柵と,台湾省産文山,北埔との間には,香気成分組成に特異的な差が認められた。即ち前者は発酵度の軽度の包種茶系の茶でこれにはジャスミンラクトン,インドールが検出されたが,後者の発酵度の進んだ鳥龍茶系の茶には両成分が検出されなかった。また発酵度の進んだ茶は発酵度の進んでない茶よりも,高沸点部の芳香成分量が多かった。次に半発酵茶は焙焼香気成分である。1-エチルピロールー2-アルデヒドが香気中に検出され,火香の強い茶ほどその量は多かった。産地別の茶香気中のテルペンアルコール組成をみると色種,水仙,鉄観音はリナロールの組成比が高く,台湾省の文山,北埔はゲラニオールが多く含まれていて,それぞれ種間特性を示していた。最後に本試験に用いた茶は,三井農林株式会社,株式会社伊藤園より恵賜されたことを記して謝意に代える。
著者
安間 舜
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1977, no.45, pp.13-16, 1977-03-31 (Released:2009-07-31)
参考文献数
2

煎茶用品種の早期選抜に資するため,本ぽ定植前の交配実生の新芽に出現するアントシアンと,その個体が成木になった時の新芽に出現するアントシアンの程度との関係を検討した。その結果11の煎茶用交配組合せの幼成木間の表現型相関はすべて有意であった。11組合せの相関係数の算術平均は0.409であった。これらの相関係数は当初期待していたほど高くはなかった。しかし今後調査法を改良し各個体の笛1葉が現わすアントシアンの発現程度を正確に評価すればこの相関関係はかなり高めることができると思われるので,そうなれば新葉の色による煎茶用品種の初期選抜は極めて有効な選抜法となり得る。なお幼木期の新芽のほうがアントシアンが濃く発現するとか,逆に成木期の新芽のほうが濃く出現するというような傾向があるかどうかを検討したがそのような傾向は認められなかった。
著者
斎藤 嘉 落合 勝義 松本 五十生
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.47, pp.56-61, 1978-03-30 (Released:2009-07-31)
参考文献数
2

狭山茶の火入れによる香味の改善策として,和紙利用による火入れ機を開発したので,その使用方法について検討を加た。1) 試作した火入れ機では,毎分胴1回転×扇風機70回転(茶温97℃)と,胴3回転×扇風機70回転(茶温95℃)の火入れ処理が最も火入れ香が良好であり,茶温の推移から良い火入れ香味の発揚を促すためには,茶温で95℃前後が最も適切で,90℃以下では火入れ不足の傾向を認めた。品質の総合的な見知から,攪拌型(胴あぶり式)火入れに比べ試作機による火入れ香味が優れており,焙炉火入れに似た特徴のある香気が得られ,火入れ香の強い中にも柔らかい深みのある香気で,味は甘味を増すことが認められた。2) 試作火入れ機による火入れの目的は,上級茶に応用するため開発したもので,従来の胴あぶり式と比べ,締り度の強い茶ほど外観で色沢をそこなわずに火入れを行い,香味の発揚も容易である。また,茶が大型になるほど白ずれし,色沢を損なう傾向が認められた。おわりに,本試験遂行にあたり,火入れ機の試作については伊達機販株式会社,ならびに同社元埼玉出張所長成岡武司氏に深く感謝の意を表します。また,本試験中の火入れ香など分析および助言をいただいた農林省茶業試験場原利男室長ならびに久保田悦郎技官に深じんなる謝意を表します。
著者
岩堀 源五郎 原 利男
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1975, no.43, pp.39-43, 1975-08-15 (Released:2009-07-31)
参考文献数
2
被引用文献数
3

下級煎茶の最適火入れ条件を究明するため,回転型火入れ機を用い,茶火入れ中の茶温と品質との関係を調査し,凍のような結果を得た。(1) 下級煎茶の火入れ条件としては,取り出し時の茶温が110~120℃が良好な火入れで,温度範囲が狭いことが認められた。(2) 火入れ茶のHead space Vaporの香気成分の分析結果から,火入れによってジメチルサノレファイドが増加し,取り出し時の茶温約120℃くらいの時にジメチルサルファイド含量が最高となるような傾向が認められた。(3) 取り出し時の茶温と茶の表面色の関係を調べた結果,110℃以下ではほ:とんど変化はないが,それ以上に温度が上がると変化が激しく,とくに,120℃を越えると著しく褐変した。なお,この実験に際し,茶温測定の御指導をいただいた申野不二雄機械研究室長ならびにHead space Vaporのガスクロマトグラフによる分析に御助力いただいた土壌肥料研究室の池ヶ谷賢次郎技官ならびに製茶第3研究室の久保田悦郎技官に深く感謝いたします。
著者
武田 善行 和田 光正 根角 厚司 武弓 利雄
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.78, pp.11-21, 1993-12-15 (Released:2009-07-31)
参考文献数
11
被引用文献数
2 3

野菜・茶業試験場久留米支場で保存している茶遺伝資源について,新葉裏面の毛茸特性を調査した。中国種の系統はアッサム種の系統に比べて調査した毛茸4形質(太さ,長さ,密度,分布)において変異が小さかった。中国種は,毛茸が長く,密度が高く,しかも全面に分布する系統が多かったが,インドのダージリンから導入した中国種はいくぶんアッサム種の影響が認められた。アッサム種は毛茸が短く,毛茸密度は中~低い系統が多かった。また,毛茸の分布は全面ではなく,葉の内側に分布する系統が多く,中国種とは異なった。アッサム種に属するタイワンヤマチャの系統は葉面に毛茸を欠き,顕著な特徴を持っていた。毛茸の長さ,密度,分布パターンから23の毛茸の分類型を作成した。日本在来種および中国本土から収集した中国種は少数の分類型に集中したが,アッサム種では多くの分類型が認められた。
著者
田中 敏弘 松山 康甫 神嵜 保成 嶽崎 亮
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.63, pp.1-10, 1986-06-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
7

凍霜害の程度とその後の整枝処理が茶芽の生育,品質に及ぼす影響を検討した。凍霜害の被害程度は,被害区分0 (被害率0%),I (同15~40%),II (同41~49%),III (推定50~75%),IV (推定76~99%),V (同100%)に分けられた。被害区分の異なる2.2~2.3期のやぶぎたと3,3葉期のゆたかみどりで,整枝区と無整枝区を設け,試験を行った。さらに,くりたわせで凍霜害を受けた新葉の葉傷み臭味を経日的に調査し,被害後15日目に品質,市場評価を行った。1) 被害区分I~IVにおいては,やぶきた,ゆたかみどりとも無整枝区が整枝区に比べ,新芽数,枠内新芽重収量が明らかに多く,製茶品質でもすぐれ,粗収益も多かった。2) 被害区分Vにおいては,やぶぎたの整枝区が無整枝区に比べ収量,製茶品質,粗収益でややすぐれたが,新芽の生育で は差異が認められず,ゆたかみどりでは両区ともほとんど差は認められなかった。3) 摘採期は整枝することにより概して遅れ,この程度は被害が弱いほど大ぎく,被害区分Vでは差異がなかった。また,粗収益も整枝処理により概して少なくなり,この減収割合も被害が弱いほど大きく,Vでは差異はなかった。4) 凍霜害後の葉傷み臭味は,2日目以降では経日的に軽くなるようであるが,枯死芽の混入割合が80%程度であると19日目において葉傷み臭味がやや残った。しかし,摘採時に20%程度の枯死芽を含んでいた製品は,凍霜害後15日を経過すると無被害の約70%の市場評価額であった。5) 以上の結果から2.2~3.3葉期において,凍霜害が新芽の全てについて上部より1~2節目で褐変した程度であれば,その後の対応としては整枝するより放任の方が適当と考えられる。なお,摘採時には,枯死芽をなるべく混入させないで収穫することも品質上効果があると考えられる。本試験に関して,農林水産省茶業試験場茶樹第3研究室長青野英也氏,当時当場栽培研究室長(現大隅支場長)の岡本信義氏の助言をいただき,官能審査に当っては加工研究室の松久保哲矢,花田十矢,大城光高,佐藤昭一の各氏のご協力をいただいた。ここにお礼申し上げる。
著者
鳥屋尾 忠之
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1967, no.28, pp.25-31, 1967-12-22 (Released:2009-07-31)
参考文献数
16

やぶきた(k/+)×こうろ(k/k)のF1と,比較のために,他のこうろ種とアッサム種を用いて28形質を調べた。その結果,こうろ型と普通型との間には,葉の大きさと形,着花の多少,さし木発根性およびタンニン含量に有意な差がみられ,この両型の差異は,k遺伝子の多面的発現で説明されることがわかった。こうろ型の成葉は大きく,波曲が大で,花はほとんど着かず,タンニン含量は普通型よりも多かった。また,耐凍性・早晩性・クロロホルムテストによる発酵性は差異が認められなかった。こうろ型は葉の側脈数ときょ歯数が決定された後に,葉の形態形成の制御機構に異常が生じて,非常に大きく,かつ波曲の多い成葉が形成され,それに伴って二次的に,他の一連のこうろ型の特徴形質が発現するものと推定した。k遺伝子の多面的発現による遺伝子型相関について論じ,また,アッサム種とタンニン含量の多いことが,成葉の大きいことに関係があることを,こうろ種とアッサム種の相似形質との関連から推察した。
著者
武田 善行
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.103, pp.1-39, 2007-06-30 (Released:2009-12-03)
参考文献数
81
被引用文献数
1
著者
桑原 穆夫 竹尾 忠一
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1966, no.26, pp.48-57, 1966-11-30 (Released:2009-07-31)
参考文献数
3

1,揉ねん室の温度を15℃から45℃の間を5℃間隔に変え,茶葉温度を室温に近い温度に保ちつつ揉ねんし,その製品の品質を比較した。2,茶葉の発酵力は,揉ねん中葉温が44℃になった場合に低下がみられた。3,茶葉のタンニンは,揉ねん室温度が低い場合は揉ねん中の酸化の進み方は少ないが,これを25℃で発酵させた場合には正常に酸化した。25℃,35℃区は揉ねん中にもタンニンの酸化は進み,その後の発酵中の酸化も正常であった。45℃区は揉ねん中にタンニンの不溶化が進み,発酵力の低下もともなって,発酵2時間後の酸化,重合型タンニン量は少なかった。このため,製品の水色も15,25,35℃間ではあまり差がなかったが,45℃区は色調はさえずうすかった。4,揉ねん室温度によって発酵適期に至る発酵時間は変化し,揉ねん15℃,20℃では180分前後,25℃区:120分,30℃区,35℃区:60~90分と短縮するが,40℃区は若干長くなり,45℃区では発酵120分たっても十分に発酵が進まなかった。5,茶の品質は,揉ねん室温度15℃,20℃,25℃,30℃,35℃区間でみると,茶期による差が若干あるが,この区間ではあまり大きな品質の差がなかったが,40℃区45℃区になると品質は前5区よりも低下し,特に45℃区の品質は劣っていた。しかし,15℃区では揉ねん中茶葉の粘性が減り,揉ねん操作が円滑にゆかない欠陥がみられ,これらの点を考えると,揉ねん中に茶葉温度が20~35℃程度に維持されてることが望ましいように考えられた。
著者
竹尾 忠一
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1975, no.42, pp.1-13, 1975-02-15 (Released:2009-07-31)
参考文献数
143
著者
中川 致之
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1970, no.32, pp.72-77, 1970-01-30 (Released:2009-07-31)
参考文献数
6

1.外国産および国産紅茶の高,中,下級品35点についてテアフラビン,テアルビジンの分析と官能検査を行なった結果,テアフラビン含量と水色,滋味の間に危険率1%の相関関係のあることが認められた。2.紅茶中のテアルビジン含量は高級品でも下級品でもほとんど差がなく,テアフラビンに対するテアルビジンの比率の高いものは一般に品質がよくなかった。3.テアフラビン,テアルビジンに対する水色の重回帰式から計算した値と水色審査評点の"ずれ"はきわめて小さかった。おわりに,外国産紅茶の試料を提供していただいた三井農林株式会社藤枝工場,統計処理に関し御指導,御意見を賜わった農林省食糧研究所吉川分析部長,官能検査を担当され,実験に対し有益な御意見をいただいた当場桑原技官,計算に御協力をいただいた当場岩浅技官,試料の調製に御協力いただいた中島技官に深く感謝する。
著者
三ッ井 稔 原田 重雄
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1962, no.19, pp.10-14, 1962-11-15 (Released:2009-07-31)
参考文献数
10

昭和34年から37年の間にインド種6種類の実生苗または栄養系苗を供試して,8,11および14時間の日長処理を行なった。茎葉の生育は8~11時間よりも14時間日長下においてすぐれる傾向が認められた。この性質は中国種の日長感受性と似ている。なお日長効果は葉数よりも茎長において現われやすい傾向があった。
著者
上野 健二 杉山 春喜智 斎藤 弘 岩堀 源五郎
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1958, no.12, pp.59-73, 1958-11-30 (Released:2009-07-31)
参考文献数
2

1.セイロンより輸入したC.C.C型シングルアクション揉ねん機による,ブロークン型の紅茶の製造法につき,はさみ摘原葉を用いて,1955~1957年にわたり試験した。2.この機械の基本的な操作方法としては,生葉投入量はインド,セイロン等における手摘原葉の場合に比し約20%減で,生葉換算113kg(萎凋程度3G~35%)が適当と認められた。この投入量に対しては,回転数は43rpm,揉ねん時間は第1回揉ねん40分,第2回揉ねん30分が良好であつた。3.回転数と揉ねん時簡との間には密接な関係があるので,特にこの点に関して再調査を行つたが,回転数を43rpmとし第1回揉ねんを40~50分(第2回揉ねん30分)とした時が最も適当で前の成績を確認した結果となつた。4.揉ねん機の合理的な使用法を明らかにするため,普通型の揉ねん機と組み合せて比較した結果,第1回揉ねんに従来型の揉ねん機を使用し,第2回揉ねんにおいて,本機により強圧揉ねんすることが効果的であることがわかつた。5.揉ねん中の茶温の上昇が製茶品質に影響することが大きいと思われたので,1回の加圧時間を短くし重圧のかけはずしの回数を多くして試験した結果その欠点を防ぐことができた。また第1回揉ねんに普通型揉ねん機を使用するかわりに,本機を無加圧で使用しで試験し,投入量113kg,回転数毎分43回の場合,揉ねん時間を多少長くして,第1回50分,第2回40分とすることによつて目的を達することを認めた。
著者
岡田 文雄
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.48, pp.52-56, 1978-09-30 (Released:2009-07-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1

カテキンの植物体への吸収作用とその生体内でのウイルスに対する阻害作用を検討した。(-)ECgと(-)EGCgの1000ppmと2000ppmの溶液を断根処理したN. glutinosaに吸収させてTMVを接種すると,TMVの病斑形成は阻害された。その結果を全体的に比較すると,1000ppmの(-)ECgが92%,(-)EGCgが99%,また,2000ppmでは(-)ECgが90%,(-)EGCgが99%の阻害率を示した。4種のカテキンそれぞれをタバコKy-57の根から24時間吸収させると,1000ppmでは変化を生じないが,同一濃度でも混合液で吸わせるとタバコの葉に葉脈の褐変と,赤い斑点をつくった。また2000ppmになると葉は外巻き症状を呈した。タバコKy-57に(-)ECgと(-)EGCgをそれぞれ7日間吸収させて,ポリフェノール成分の変化をペーパークロマトグラフィーで調査した。その結果,対照区に比べ(-)ECg区に3個,また(-)EGCg区に2個の未知のスポットが増加し,ポリフェノール物質であることが確認された。これらのことからカテキンは生体内へ吸収されることが明らかとなった。
著者
堀江 秀樹 山本(前田) 万里 氏原 ともみ 木幡 勝則
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.94, pp.60-64, 2002-12-31 (Released:2009-07-31)
参考文献数
9
被引用文献数
14 15

緑茶のカテキン類,ストリクチニン,カフェインを分析するための抽出法について検討した。2%リン酸水溶液で茶粉末を分散後,エタノールを等量添加して抽出する方法により最も高い抽出率が得られた。