著者
砂山 渡 川口 俊明 田村 幸寛
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.10, pp.2032-2041, 2010-10-01

近年のインターネットの普及につれ,大学などの教育機関において電子レポートを提出する機会が増えてきている.手書きのレポートであれば,人間が目で見て採点する必要があるが,電子的なデータとして存在するレポートであれば,そのレポート内の単語情報を計算機が自動的に取り出すことができるため,採点支援環境の構築により,人間の負荷を軽減することが期待できる.実験や演習のレポート課題においては,その課題に即したレポート提出者の意見が含まれている必要がある.しかし,レポートの独自性だけではなく,課題に関連して記述されている情報量を評価対象とする必要がある.そこで本研究では,レポートの情報量を,「レポートの課題に対する結果,及び結果に対する自分の意見の記述量」として定義し,これをもとにした客観的な各レポートの情報量を提示することで,レポート評価者がレポートの比較を行うことができるシステムを提案する.評価実験の結果,レポートの長さのみによらず,レポートの内容による評価を支援することができた.
著者
岩崎 哲弥 綾木 良太 島田 秀輝 佐藤 健哉
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J93-B, no.10, pp.1388-1396, 2010-10-01

インターネットのBGP経路制御環境を前提とした,ルータの性能調査や運用監視技術の評価,実験を行う際には,可能な限りインターネットで運用されるルータと同等の環境が必要とされる.このような状況をテスト環境において実現するために,複数のBGPエミュレータが提案されている.しかし,これらのBGPエミュレータでは,インターネットと同等な経路情報,経路広告頻度の双方を満たした経路広告ができない.そこで,本研究ではインターネットで交換されるBGPの経路情報のアーカイブデータを利用し,過去の広告時刻を考慮した経路の再現,広告が可能なBGPエミュレータの開発を行った.また,経路情報をRDBMSにて管理することで,過去の特定期間における経路情報や,特定のパス属性値に基づく経路情報を柔軟に抽出し,広告することを実現した.実装したBGPエミュレータの評価を行い,経路の再現広告を行うBGPエミュレータとしての有用性を示す.
著者
秋田 祐哉 三村 正人 河原 達也
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.9, pp.1736-1744, 2010-09-01

我々は国会審議の会議録作成支援を想定した音声認識システムの研究開発に取り組んでいる.会議録では原則として発話をすべて書き起こして記録することから,音声認識を活用する際には高い認識精度が求められる.このため,本研究では衆議院の審議音声からなるコーパスの整備を進めるとともに,これを用いた高精度の音響モデル・言語モデル・発音辞書の検討を行ってきた.音響モデルについては,種々の正規化手法に加えて最小音素誤り(MPE)学習を導入した.また言語モデルと発音辞書に関しては,話し言葉音声向けのモデルを生成するために発話スタイルの統計的変換手法を適用し,4-gram統計言語モデルと発音の変異形を含む辞書を構築した.これらのモデルに基づく音声認識システムについて実際の審議音声における評価を行ったところ,それぞれの手法が有効に機能していることが確認され,最終的には86%の文字正解精度が得られた.
著者
肥後 芳樹 宮崎 宏海 楠本 真二 井上 克郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.9, pp.1727-1735, 2010-09-01

これまでに様々なコードクローン検出手法が提案されているが,ギャップ(不一致部分)を含むコードクローンを検出できる手法は少ない.本論文では,ギャップを含むコードクローンを検出できないコードクローン検出手法の出力結果に対して後処理を行うことで,ギャップを含むコードクローン情報を生成する手法を提案する.提案手法は,グラフマイニングアルゴリズムの一つであるAGMアルゴリズムを用いており,効率的にギャップを含むコードクローン情報を生成することができる.提案手法を検出ツールCCFinderのポストプロセッサとして実装し,複数のオープンソースソフトウェアに対して適用したところ,多数の興味深いコードクローン情報を得ることができた.しかし,提示する必要がないと思われるコードクローンも生成してしまうことがあった.本論文では,この実験の結果について述べ,また,上記の問題に対する解決策についても考察する.
著者
伊藤 仁 伊藤 彰則
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.9, pp.1745-1754, 2010-09-01

音声信号を振幅と周波数が時間変化する正弦波成分の和として近似する正弦波モデルでは,非定常部でのパラメータ推定精度が問題となる.本論文では,音声信号の時間軸を第1調波成分の位相軸に置き換える時間軸変換と,正弦波成分の振幅と周波数の非定常性を単純な時変関数で近似する局所変化率変換に基づく正弦波パラメータ推定法を提案する.成人男女75名が発話した900個の単語音声を用いた性能評価実験により,提案法の推定精度を二つの既存手法と比較した.各手法の推定精度は,パラメータから再合成した信号に基づいて入力対残差パワー比(S/R)として定量化した.提案法の平均S/Rは28.4 dBで,時間軸変換を行わずパワースペクトルの局所ピークを用いるPeak-picking法(14.4 dB)や,正弦波成分の振幅の非定常性を考慮しないIF-attractor法(23.4 dB)より高かった.この推定精度の差は,特に入力音声の非定常性が高い場合に大きくなった.これらの結果から,非定常部を含む有声音声の正弦波パラメータの高精度推定において,時間軸変換と局所変化率変換を統合した提案法の有効性が確認された.
著者
ETO Masashi SONODA Kotaro INOUE Daisuke YOSHIOKA Katsunari NAKAO Koji
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE transactions on information and systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.1106-1116, 2010-05-01
被引用文献数
2

Network monitoring systems that detect and analyze malicious activities as well as respond against them, are becoming increasingly important. As malwares, such as worms, viruses, and bots, can inflict significant damages on both infrastructure and end user, technologies for identifying such propagating malwares are in great demand. In the large-scale darknet monitoring operation, we can see that malwares have various kinds of scan patterns that involves choosing destination IP addresses. Since many of those oscillations seemed to have a natural periodicity, as if they were signal waveforms, we considered to apply a spectrum analysis methodology so as to extract a feature of malware. With a focus on such scan patterns, this paper proposes a novel concept of malware feature extraction and a distinct analysis method named "<i>SPectrum Analysis for Distinction and Extraction of malware features</i>(<i>SPADE</i>)". Through several evaluations using real scan traffic, we show that SPADE has the significant advantage of recognizing the similarities and dissimilarities between the same and different types of malwares.
著者
Hajime TAZAKI Rodney Van METER Ryuji WAKIKAWA Thirapon WONGSAARDSAKUL Kanchana KANCHANASUT Marcelo DIAS DE AMORIM Jun MURAI
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Communications (ISSN:09168516)
巻号頁・発行日
vol.E93-B, no.8, pp.2004-2011, 2010-08-01

Motivated by the deployment of post-disaster MANEMO (MANET for NEMO) composed of mobile routers and stations, we evaluate two candidate routing protocols through network simulation, theoretical performance analysis, and field experiments. The first protocol is the widely adopted Optimized Link State Routing protocol (OLSR) and the second is the combination of the Tree Discovery Protocol (TDP) with Network In Node Advertisement (NINA). To the best of our knowledge, this is the first time that these two protocols are compared in both theoretical and practical terms. We focus on the control overhead generated when mobile routers perform a handover. Our results confirm the correctness and operational robustness of both protocols. More interestingly, although in the general case OLSR leads to better results, TDP/NINA outperforms OLSR both in the case of sparse networks and in highly mobile networks, which correspond to the operation point of a large set of post-disaster scenarios.
著者
Guan PANG Guijin WANG Xinggang LIN
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E93-D, no.3, pp.658-661, 2010-03-01

Human detection has witnessed significant development in recent years. The introduction of cascade structure and integral histogram has greatly improved detection speed. But real-time detection is still only possible for sparse scan of 320 240 sized images. In this work, we propose a matrix-based structure to reorganize the computation structure of window-scanning detection algorithms, as well as a new pre-processing method called Hierarchical HOG Matrices (HHM) in place of integral histogram. Our speed-up scheme can process 320 240 sized images by dense scan (≈ 12000 windows per image) at the speed of about 30 fps, while maintaining accuracy comparable to the original HOG + cascade method.
著者
張 憲栄 真田 英彦 手塚 慶一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J67-D, no.5, pp.599-606, 1984-05-25

活字のような非個性的文字ではなく,個性のある美しい文字による表現手段を,柔軟に且つ容易に可能にするために,漢字毛筆字体の計算機によるパターン合成を試み,一応満足すべき成果を得た.毛筆字体では筆触の形と大きさは運筆によって様々な変化があり,運筆は書道のきまりに従って,起筆,行筆,収筆などの変化がある.本方式は,(1)運筆に従って,形と大きさがコントロールされ,毛筆の動きを正確に捉えることのできる筆触を工夫し,(2)書道のきまりに従って異なった起筆,行筆,収筆などから成り,骨格関数および肉付け関数によって,行筆部が修飾できる画を考察し,すべての画を40余種類に分け,6乃至12のパラメータ,すなわち始点の座標,方向,長さ,太さ,曲度の入力により,画を発生するプログラムをそれぞれ作成しておき,(3)これらの画発生プログラムの組み合わせにより,趣味に合った毛筆漢字パターンを会話形式で合成するものである.本研究により勢いまで表現された漢字パターンの情報圧縮としては極限まで達成されたと考えられる.
著者
小森田 賢史 伊藤 学 千葉 恒彦 横田 英俊
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J93-B, no.7, pp.878-892, 2010-07-01

近年,ALL IPネットワーク上で高品質なサービスを実現するNGNが登場し,その中核技術であるIMSが注目されている.IMSは,従来閉じていた携帯通信事業者のサービスとインターネットなどのサードパーティとの連携を可能とし,連携したオープンなサービスの登場が期待されている.一方で,端末においても従来の通信事業者に特化した端末に対して,AndroidやLiMoのように端末共通のプラットホームに基づいたオープン化が進められている.特にAndroidは既に実用化されており,また構成要素の多くがオープンソースであるため自由度の高いプラットホームとして注目されている.しかしながら,それらを実際に用いたシステムとしての検証は十分ではない.そこで本論文ではAndroid端末にIMSクライアントを実装するための方針とアーキテクチャを提案し,実機上にその機能を実装する.また,IMSに接続して動作検証を行い,その動作と現在の課題を明らかにする.
著者
Kashfi Fatemeh Agah Amir Fakhraie S. Mehdi Safari Saeed
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Electronics Express (ISSN:13492543)
巻号頁・発行日
vol.4, no.22, pp.696-700, 2007
被引用文献数
1

We describe a high speed adder that employs a carry-lookahead structure and uses low-voltage-swing pass-transistor-based Manchester carry chain. This structure is implemented in 65nm technology and accommodates 15GHz clock frequency at the slowest corner which is 20% higher than the highest speed in the previously studied high-speed structures.
著者
Yangwoo ROH Jaesub KIM Kyu Ho PARK
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E92-D, no.10, pp.2053-2063, 2009-10-01

Applications usually have their own phases in heap memory usage. The traditional garbage collector fails to match various application phases because the same heuristic on the object behavior is used throughout the entire execution. This paper introduces a phase-adaptive garbage collector which reorganizes the heap layout and adjusts the invocation time of the garbage collection according to the phases. The proposed collector identifies phases by detecting the application methods strongly related to the phase boundaries. The experimental results show that the proposed phase-adaptive collector successfully recognizes application phases and improves the garbage collection time by as much as 41%.
著者
山口 暢彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.5, pp.632-641, 2010-05-01

近年,観測データの分布を潜在変数の非線形変換を用いて表現することにより,観測データの本質的な構造を探るGTM (Generative Topographic Mapping)が提案され,データの可視化やクラスタリング等への応用が行われている.しかしながら,GTMは独立同一分布からの標本を仮定しており,互いに相関をもつ時系列データに対してGTMを適用した場合,誤った結果を導きかねない.そこで本論文では,時系列データの生成モデルとして制約付きARHMM (Auto-Regressive Hidden Markov Model)を仮定するGTM-ARHMMの提案を行い,GTM-ARHMMを用いた時系列データの可視化手法について提案を行う.
著者
船越 孝太郎 木村 法幸 中野 幹生 岩橋 直人
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.5, pp.610-620, 2010-05-01

本論文では,少数の教示発話から,ユーザが任意に決めた物体や場所の名称をロボットが学習し識別するための手法を提案する.高齢者や児童も含めたユーザの使いやすさを高めるためには,語彙や言い回しに関する制限を課さないことが重要である.また,背景雑音などによって生じる誤認識に対して頑健でなければならない.そこで提案手法では,大語彙連続音声認識を用いて入力音声を認識し,複数の認識候補(N-best)に対しbag-of-wordsモデルに基づくトピック分類を適用することで,語彙や言い回しの制限を無くし,音声の誤認識に対して頑健な名称識別を可能にする.評価実験では,10の名称と六つの異なる言い回しを用いて16人分の音声発話を収集した.これらの音声発話を,雑音なし,雑音あり,雑音があり名称がすべて辞書に未登録,という三つの条件で音声認識し,その認識結果を用いて名称の学習と識別を行った.実験により,提案手法が言い回しの多様性や誤認識に対して頑健に名称を識別できることを確認した.分類手法としては,EMM,SVMV,LSAの3手法を比較し,LSAで最も良い結果を得た.また,N-bestからの頻度情報の抽出に関して,トークン計数法とタイプ計数法の二つの手法を比較し,我々の問題設定においてはタイプ計数法が適当であることを確認した.
著者
木本 晴夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J74-D1, no.8, pp.556-566, 1991-08-25

言語処理・知識処理・統計処理を用いる新しいキーワード自動抽出法として語特徴評価法を提案する.また,語特徴評価法に基づくキーワード自動抽出システム(INDEXERシステム)を作成し,評価を行ったのでその結果を報告する.本論文でのキーワード抽出の対象は日本語で書かれた新聞記事である.従来のキーワード自動抽出はフリーターム方式か統制キーワード方式を用いて行われていた.これらの方法では必要キーワードと共に,その3~5倍もの不必要キーワードが抽出されていた.語特徴評価法は,これらの不必要キーワードを大幅に削除して精度の高いキーワード自動抽出を実現することを目的としている.本方法はシステムが抽出したキーワード候補語について,個々の語の,文章中やシソーラスにおける特徴を抽出して,その特徴によって,キーワード候補語が文献の内容をよく代表していて,文献を検索するためのキーワード(以下では必要キーワードと呼ぶ,またシステムが自動抽出したキーワードで必要キーワードでないものを不必要キーワードと呼ぶ)として必要か否かを評価する方法である.ここで,語の特徴として次に掲げるものを採用している.それらは,並立に表現された語,連体修飾語,強調表現された語,シソーラスにおける上位語,シソーラスにおいて上位・下位の関係にある語,語の文章中における出現位置,出現頻度等である.語特徴評価法を用いることにより,抽出される不必要キーワードの数を従来の方法と比較して1/4にできることを実験によって確認した.更に,処理対象とする文書の分野特性を利用することによって,よりいっそうの精度向上が可能なことを述べる.またシステムが自動抽出したキーワードの相対的重要度を語の特徴を利用して評価した結果,上位の10語の中に専門家が付与したキーワードの95%を入れることができた.
著者
WAN Yi ASAKA Takuya TAKAHASHI Tatsuro
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE transactions on information and systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.92, no.10, pp.2073-2081, 2009-10-01
被引用文献数
1

User Generated Content (UGC) VoD services such as YouTube are becoming more and more popular, and their maintenance costs are growing as well. Many P2P solutions have been proposed to reduce server load in such systems, but almost all of them focus on the single-video approach, which only has limited effect on the systems serving short videos such as UGC. The purpose of this paper is to investigate the potential of an alternative approach, the multi-video approach, and we use a very simple method called collaborative caching to show that methods using the multi-video approach are generally more suitable for current UGC VoD systems. We also study the influence of the major design factors through simulations and provide guidelines for efficiently building systems with this method.
著者
横山 正太朗 江口 浩二 大川 剛直
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.3, pp.180-188, 2010-03-01

近年ブログの利用が爆発的に増加しており,重要な情報源の一つになりつつある.ブログは,ハイパリンクを利用することで,参考にした情報を明示的に参照することが可能であり,このネットワークを対象にした研究が最近注目されつつある.しかし,こういった研究のほとんどが,リンク情報のみを対象にしており,本文の情報を参照していない.そこで本研究では,リンク構造だけでなく,本文のトピックを推定し,適切に情報伝搬をとらえる手段を確立することを目的とする.文書集合の潜在的なトピックを統計的に推定するのに用いられる確率的トピックモデルの代表的なものに,潜在的ディリクレ配分法(Latent Dirichlet Allocation:LDA)が挙げられ,広く用いられている.本研究では,このLDAを用いてポストのトピックを推定し,リンク間のトピック分布を比較することで,情報伝搬の単位(カスケード)を的確に抽出する枠組みを提案する.日本語ブログデータを用いた実験において,提案手法の有効性を示す.
著者
江口 浩二
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.3, pp.157-169, 2010-03-01

情報検索のための確率的言語モデルは1998年にPonteとCroftによって提案されてから,情報検索やそれに関連する課題に対する新たなアプローチとして注目を浴びてきた.その特徴の一つに,それまでに研究されてきたベクトル空間モデルや古典的確率型検索モデルで導入された発見的方法を極力用いず,数理的に説明可能な枠組みである点が挙げられる.その表現能力と柔軟性の高さにより,適用範囲は非構造なテキストデータに対する種々のタスクだけでなく,構造化文書検索やクロスメディア検索にも及ぶ.そこで,本論文では,情報検索のための確率的言語モデルの研究動向と将来課題について調査する.
著者
渡辺 賢 岩井 儀雄 八木 康史 谷内田 正彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J80-D2, no.10, pp.2713-2722, 1997-10-25

本論文では,単眼カメラから手を撮像し,得られた画像特徴量から指文字を認識するシステムの構築を目的とする.手のような関節物体は自由度が多く多彩な変形をするため,その形状を認識する際には,対応付け問題,オクルージョン問題などのさまざまな問題が発生する.そこで,本研究では撮像の際にカラーグローブを装着することにより,手の特定領域の検出を正確かつ容易にし,オクルージョンにも対処できる方法を提案する.また,実画像データをもとに計算機で生成したCAD理想モデルを用いた決定木の学習結果と,実画像を用いた学習結果の検証についても併せて紹介する.