著者
五十嵐 洋介 福井 和広
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.7, pp.1125-1134, 2011-07-01

時系列画像において抽出・追跡された特徴点集合の座標情報から因子分解法によって得られる形状空間は,特徴点集合の三次元的な幾何関係を表現しており,視点や対象物の動きに対して不変である.本論文ではこの形状空間の特性に着目し,形状空間同士の構造的な類似度に基づく物体認識のフレームワークを提案する.形状空間は特徴点数を次元とするベクトル空間中の三次元部分空間として得られるので,二つの形状空間の構造的な類似度は両者のなす正準角によって測ることができる.しかしながら,この類似度が意味をもって定義されるためには,二つの特徴点集合同士で特徴点が対応づけられている必要がある.この問題に対して,形状空間に付随して得られる直交射影行列を並べ換えることで対応付けを行う方法を提案する.提案する物体認識のフレームワーク及び対応付け法の有効性は,合成データを用いた性能評価,及びホクロなどの微小特徴に基づく顔認識実験により確認する.
著者
武川 直樹 徳永 弘子 湯浅 将英 津田 優生 立山 和美 笠松 千夏
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.7, pp.500-508, 2011-07-01

人と一緒に食事をすることは人のコミュニケーションにおいて重要な役割を果たしているが,研究例は少ない.ここでは,3人が食事をしながら会話をする映像から食事動作,視線,発話の行動を定量的に調査して共食会話の構造を分析した.人は,共食会話中,一つの口を,食べる行動,話す行動のどちらかのために選択していると考えられたが,分析の結果,口に食べものが入っている状況でも他人の行動と自分の行動を照らし合わせて話すべきときには発話を行っていることが示された.食事によって会話に沈黙を生じないようにしていることが分かった.また,箸,食器をテーブルに置いて話す動作は食事の開始,終了以外では見られず,食事にも関与し続けることが分かった.以上の分析の結果,共食会話では会話を優先しつつ,食事をするという構造が明らかになった.
著者
西本 一志 天野 健太 千葉 慶人
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.7, pp.488-499, 2011-07-01

食卓は,単なる食事のための場ではなく,コミュニケーションのための場としても非常に重要な役割をもつ.近年,情報メディアを食卓に持ち込む試みが多数なされつつあるが,それによって食卓における共食者コミュニケーションを促進することを主な目的とする試みは見当たらない.本論文では,筆者らのこれまでのインフォーマルコミュニケーション支援メディアに関する研究から得られた知見に基づき,複数の人々が持ち寄った写真等の情報を話題の種とする食卓コミュニケーション支援メディアの機能要件について検討した.その結果,写真等の情報を閲覧するための情報メディアと会話の話題とするための情報メディアとは全く似て非なるものであり,両者に求められる機能要件は大きく異なることが明らかとなった.具体的には,情報を会話の話題とするための情報メディアには,低い操作性や低い一覧性など,一般的には好ましくないとされる機能特性が要件となることを示す.
著者
遠山 毅 松本 勉
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.6, pp.957-967, 2011-06-01

ステガノグラフィは,通信している事実を第三者に悟られないことを目的とし,無害なデータに真に伝えたい情報を埋め込む技術である.広く使われる可能性のあるXML文書はステガノグラフィの媒体として魅力的であり,その研究においては,埋込手法の埋込効率性の評価に加え,埋込の検出攻撃に対する安全性も評価する必要がある.本論文は,オフィススイート文書保存形式の一つであるODTファイルを,幅広く用いられるXML文書の例として埋込媒体に採用する場合,既存の埋込手法により達成し得る安全性の評価を行う.また,ODTファイルの編集ソフトウェアがODTファイルに与える特徴を考慮した新たなステガノグラフィの埋込手法を提案する.更に,この提案手法は既存の手法に比べ高い安全性をもつことを確認する.
著者
鶴田 雅信 増山 繁
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.6, pp.977-988, 2011-06-01

手掛り語「会社概要」,及び,企業の公式ページのトップページURL一覧を入力とし,企業の基本情報を含むページの探索を行いながら,基本情報の属性を属性名,属性値の組の形で自動的に抽出する手法を提案する.提案手法は,企業の公式Webサイト全体からの属性抽出というタスクの一部を,基本情報ページの探索問題に置き換え,属性抽出の対象となるページ数を削減した上で,属性抽出を行う.そのため,Webサイト全体から属性抽出を行う場合に比べ,属性抽出手法そのものが単純であっても,良好な抽出を行うことが可能となることが特徴である.評価実験の結果,抽出された属性の精度は0.656,再現率は0.416,探索に成功したページのみにおける抽出結果の精度は0.781,再現率は0.625となり,幅優先探索によりページを探索するベースライン手法,及び,幅優先探索によって探索したページから,ナイーブベイズ分類器を用いて基本情報ページを選択するベースライン手法と比較して,良好な結果を示した.
著者
関口 達彦 川畑 秀明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.6, pp.1017-1024, 2011-06-01

脳活動の計測手法と解析手法の発展により,Brain-Machine Interfaceのように脳活動から情報を取り出す技術の研究が盛んである.本論文ではその手法を対象物に対する「選好」の推定に適用し,商品(腕時計)のデザインを脳活動から評価する可能性について検討を行った.機能的核磁気共鳴撮像法(fMRI)によって計測した全脳の活動信号データを対象として,提示された個々の腕時計の画像に対する被験者の選好(好き嫌い)を推定したところ,「好き/嫌い」の2択で74.4%,「好き/どちらでもない/嫌い」の3択で54.2%とチャンスレベルよりも統計的に優位に高い正解率で選好を推定できた.以上のことから,脳活動を用いて商品のデザインに対する選好の推定が可能であることが示された.この結果から,選好評価に応じた脳活動部位の解析の信頼性について検証する方法を提示するとともに,アンケート調査結果の信頼性を明らかにするものとして脳活動の多変量パターン解析が有効であることを議論する.
著者
高道 慎之介 穗刈 治英 島田 正治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.6, pp.449-452, 2011-06-01

本論文では,オーディオ帯域相当(100 Hz~15 kHz)での頭部球モデルにおけるHRTFの複素ケプストラム処理による最小位相化の有効性の範囲について理論値と測定値を比較し,同時に測定したHRTFを全零モデルにより近似し,その零点分布からHRTFの最小位相性を検証した.その結果,理論値と測定値の比較によって最小位相化の有効性を検討するとともに,測定したHRTFは影耳となる方位角において非最小位相零点が増加することが明らかになった.
著者
浦中 慎二 穗刈 治英 島田 正治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.6, pp.440-444, 2011-06-01

直線型スピーカアレーにおいてスピーカの逐次切換による実音源移動音と波面合成法を用いた仮想音源の逐次切換による仮想音源移動音の連続性を,受聴試験とIaTD,IaLD,頭部中心位置におけるパワーの時間変化より検討した.受聴試験より,仮想音源間隔をスピーカ間隔よりも狭くすることで受聴位置rightで移動音を連続的に知覚した回答率が向上した.また,IaTD,IaLD,パワーの時間変化と標準偏差から受聴試験結果を評価した.
著者
RYU Jegoon NISHIMURA Toshihiro
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE transactions on information and systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.359-366, 2010-02-01
参考文献数
30
被引用文献数
1 2

In this paper, Cellular Neural Networks using genetic algorithm (GA-CNNs) are designed for CMOS image noise reduction. Cellular Neural Networks (CNNs) could be an efficient way to apply to the image processing technique, since CNNs have high-speed parallel signal processing characteristics. Adaptive CNNs structure is designed for the reduction of Photon Shot Noise (PSN) changed according to the average number of photons, and the design of templates for adaptive CNNs is based on the genetic algorithm using real numbers. These templates are optimized to suppress PSN in corrupted images. The simulation results show that the adaptive GA-CNNs more efficiently reduce PSN than do the other noise reduction methods and can be used as a high-quality and low-cost noise reduction filter for PSN. The proposed method is designed for real-time implementation. Therefore, it can be used as a noise reduction filter for many commercial applications. The simulation results also show the feasibility to design the CNNs template for a variety of problems based on the statistical image model.
著者
浦川 隼人 小林 和朝 高田 寛之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J94-B, no.5, pp.708-715, 2011-05-01

トークンバケットポリサー(TBP:Token Bucket Policer)を用いてQoS保証を行う背景にはNGN (Next Generation Network)の存在がある.NGNでは,SIP (Session Initation Protocol)を使ってRACF (Resource and Admission Control Function)によるリソース受付制御を実現している.この際にセッションごとに設定要求(帯域やバッファ)があり,これをもとに伝送路の経路やセッションの受入れを可否する.音声通信と異なり動画配信においてはセッションの設定値を定める方法論が確立されていない.そこで本論文では,動画配信のQoS保証を実現するTBPパラメータ推定のアルゴリズムを提案した.動画自体がもつ映像・音声データに転送付加情報を考慮することで転送トラヒックをシミュレーションし,そのトラヒックからTBPパラメータを推定した.推定結果と実測実験結果を比較すると,十分実用可能な推定ができていることが判明した.
著者
和泉 光紀 中川 健治 横谷 哲也
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J94-B, no.5, pp.698-707, 2011-05-01

ネットワークシミュレータNS-2を用いてDRR (Deficit Round Robin) のパケット廃棄確率を推定する.IS (Importance Sampling) シミュレーション法を適用し,シミュレーションを高速化し,かつ推定精度を向上させる.その際,推定値の分散を最小にする分布,いわゆる最適シミュレーション分布を決定して使用する.MC (Monte Carlo) 法とIS法によるシミュレーション結果を比較し,考察する.
著者
Abdel Alim KAMAL Amr YOUSSEF
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E94-A, no.4, pp.1156-1158, 2011-04-01
被引用文献数
9

In this paper, we present a fault analysis of the original NTRU public key cryptosystem. The fault model in which we analyze the cipher is the one in which the attacker is assumed to be able to fault a small number of coefficients of the polynomial input to (or output from) the second step of the decryption process but cannot control the exact location of injected faults. For this specific original instantiation of the NTRU encryption system with parameters (N,p,q), our attack succeeds with probability≈ and when the number of faulted coefficients is upper bounded by t, it requires O((pN)t) polynomial inversions in Z/p Z[x]/(xN-1).
著者
中野 雄介 近藤 悟 森谷 高明 大西 浩行 赤埴 淳一 寺西 裕一 西尾 章治郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.5, pp.780-790, 2011-05-01

ネットワーク上の複数PCの計算リソースを用いるグリッドコンピューティングに関する研究が行われてきた.特に,Webブラウザを介して計算リソースを利用することで,より多くのPCの計算リソースを利用できる有効な手法がある.しかし,PCの負荷を考慮せずにリソースを利用するため,ユーザのWeb閲覧を妨げる可能性がある.加えて,計算対象がXMLのような複雑な構造をもち,問題分割の時間を考慮する必要がある場合,効率的に計算できないと考えられる.本論文ではこのような課題を解決する,Web閲覧者のPCの余剰リソースの効率的利用の手法を提案する.本手法はWebブラウザの負荷に応じて計算速度を動的に変化させることで,ブラウザユーザのWebページ閲覧に対する影響を考慮した計算を行う.これにより,Webアプリケーションを提供するために必要なリソースを,Webアプリケーションユーザ自身から収集することが可能となる.また,計算対象問題の分割に掛かる時間を考慮した効率的な問題の分配を実現する.
著者
傅 暁宇 浦浜 喜一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.4, pp.303-306, 2011-04-01

主要物体の形状を保って画像のサイズを変える重要度拡散リサイジング法において,重要度を複数の行や列に拡散させ,同時に画素値の色も拡散させる拡張法を提案し,重要度を両隣の行や列に拡散させるだけの方法よりも画素値の不連続や物体ひずみ,ジャギーなどが低減されることを実験で示す.
著者
白井 啓一郎 池原 雅章 岡本 正行
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.4, pp.275-284, 2011-04-01

暗所での撮影の問題点としてノイズの増加が挙げられる.フラッシュ撮影によりノイズを減少させることは可能であるが,フラッシュにより画像中のスペキュラ光が増して色彩が失われる問題がある.また,長時間露光によってもノイズを低減できるが,対象物またはカメラの動きに敏感となりぼけを生じやすくなる問題がある.本論文では上述の問題を解決するため,ノンフラッシュ画像の色彩と陰影をフラッシュ画像の成分に反映する手法を提案する.色彩については,色線形性画像特徴の概念に基づき,フラッシュ画像の局所的な色分布をノンフラッシュ画像の色分布に投影し,色変換を行う.陰影については,光源位置によって画像間にオクルージョン領域が生じるため,オクルージョンに対応したフラッシュ画像の局所的な輝度をノンフラッシュ画像の輝度に投影する手法を示す.
著者
中林 智之 佐々木 敬泰 大野 和彦 近藤 利夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.4, pp.646-656, 2011-04-01

近年,モバイル端末等の消費エネルギーの増大が問題となっており,低消費エネルギーと高性能の両立が要求されている.そこで我々は,その要求を満たす手法の一つとしてVSP(Variable Stages Pipeline)を提案している.VSPはパイプライン段数を動的に変化させることで低消費エネルギーと高性能の両立を目指す手法である.また,LDS-cellという特殊なセルを導入することでパイプラインステージ統合によって増加する回路内のグリッチを削減している.しかし,LDS-cellはグリッチを低減するためにクロックを供給する必要があるため,クロックトリーの消費エネルギーが増大する危険性がある.そこで本論文ではLDS-cellの駆動によるオーバヘッドを低減する手法として,LDS-cellへのクロックゲーティング適用と,高性能セミスタティックTSPC DFFをベースとした改良型LDS-cellを提案する.更に,二つの提案手法を併用した場合に発生する問題点を解決する手法も提案する.提案手法を実装し,評価を行ったところ,従来VSPから18%消費エネルギーが低減できた.
著者
柴田 誠也 本田 晋也 冨山 宏之 高田 広章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.4, pp.657-670, 2011-04-01

組込みマルチプロセッサシステムの設計空間探索を効率化するためのシステムレベル設計環境 SystemBuilder-MPを開発した.本環境は,新規開発したマルチプロセッサ対応実装合成機能と複数の外部ツールを組み合わせ,設計から評価までのシステムレベル設計全体を支援する.実装合成機能は,プロセッサや専用ハードウェアへの割当を考えない高い抽象度で記述された機能記述と,ハードウェアアーキテクチャ,及び機能とハードウェア間のマッピングを入力として,組込みマルチプロセッサシステムの実装記述を自動合成する.合成結果は,SystemBuilder-MPが生成する外部ツール用設定ファイルを用いることで,手間なくシミュレーションやFPGAプロトタイプ実装により実行することができる.プロセスのマッピング変更,実装及び評価の繰返しを容易化することで,要求を満たすマッピングを探索する期間を短縮する.本環境を用いた設計の効率の高さを,MPEG-4デコーダの設計事例により示す.
著者
木下 航一 小西 嘉典 勞 世 川出 雅人 村瀬 洋
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.4, pp.721-729, 2011-04-01

顔画像に対して,高速で高精度に形状モデルフィッティングを行う手法を提案する.形状モデルのフィッティング手法は多数提案されているが,顔画像に対するフィッティングは影や表情変化などのノイズの影響を受けやすく,高精度な結果が得られにくいという課題があった.また多数の繰返し演算を必要とするため,リアルタイム処理の実現は難しかった.我々はこれらの課題に対して,(1)形状モデル上でのサンプリング点の構造的配置,(2)特徴量による形状パラメータの摂動量推定,を行うフィッティング手法を提案する.(1)によってノイズの影響を受けにくい局所特徴量を有効に活用でき,影や表情変化などに対する頑健性が向上する.また(2)によって特徴量から一度の行列演算で形状パラメータの修正量を求めることが可能となり,処理時間が削減できる.公開データベースによる実験の結果,従来手法と比較して約20倍の高速化を実現しつつ,影や表情変化などのノイズのある顔画像に対して従来手法を上回る検出性能を示した.
著者
吉安 祐介 山崎 信寿
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.3, pp.582-592, 2011-03-01

本論文では,一般的なディジタルカメラとその内蔵フラッシュで撮影した複数の画像から,身体3次元形状を簡便かつ詳細に復元する方法を提案する.本手法では,身体に貼り付けたマーカの3次元位置,画像のシルエット及び陰影から推定した法線に適合するように,あらかじめ用意したテンプレートメッシュを変形する.本研究の主な貢献は,(1)内蔵フラッシュでフォトメトリックステレオを実現するための光源変化の獲得方法と,(2)陰影から推定した法線に対してメッシュを正確かつ効率的に適合させるアルゴリズムである.計測手法の妥当性を確認するために足長250 mmの足模型を計測し,市販のレンジスキャナと比較した結果,両データ間の距離は平均1.4 mmとなった.また,計測した被験者9名の足型から甲の表面長さを推定し,巻尺の計測値と比較した結果,その差が約2%となり,ISOの定める最大許容誤差程度であることを確認した.最後に,計測した足形状から個人に合う靴型モデルを自動的に作成する方法も示した.
著者
福永 圭司 穗刈 治英 島田 正治 杉山 精
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.3, pp.222-225, 2011-03-01

剛体球-円板モデルによる数値解析と6種類の耳介模型を用いた耳介伝達関数(PRTF)の測定により,耳介形状の影響の少ない音源入射方向について検討を行った.結果として,耳介方位角を耳介傾斜角と同等,また耳介仰角を220°付近とする音源入射方向で耳介形状の影響が少なくなる傾向にあることが示唆された.