著者
樋口 知志 佐藤 友理
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
Artes liberales (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.41-67, 2010-06-25

現在,多種多様な広告が世の中に溢れ,広告論なる研究も数多く行われているが,近代以前の広告が辿った歴史についてはこれまであまり語られてこなかった。広告の歴史を繙くと,江戸時代に誕生した「引札」という今のチラシ広告に相当する広告媒体がある。江戸時代以前にも,看板,暖簾等の広告媒体は存在したが,とりわけ引札は我が国の商業史上大きな役割を果たし,今日の日本における広告文化の基礎を築いたという意味で重要である。さらに引札は,人々の生活に密着した大衆的なものであっただけに,他の史料には記されていない人々の生活,当時の社会情勢や文化を知る手掛かりとしても貴重な「史料」である。
著者
上野 英二
出版者
成城大学
雑誌
成城國文學論集 (ISSN:02869063)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.41-83, 2015-03
著者
宮里 慶子 森本 美絵 Keiko Miyazato Morimoto Mie 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 京都橘大学 人間発達学部 児童教育学科
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-12,

本稿は、養子縁組里親及び養親に対するインタビュー調査から、当事者自身が、抱える困難をどのように意味づけ、対処しているのか、その特徴をスティグマの問題から分析したものである。その結果、当事者は地域や学校等で特別視され排除されることがあり、その対処に迫られ、養育負担感が増す、抱える困難が拡大・深化する面がありながら、公的支援を受けることに消極的な傾向があるとわかった。
著者
川東 竫弘
出版者
松山大学総合研究所
雑誌
松山大学論集 = MATSUYAMA UNIVERSITY REVIEW
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.97-154, 2018-08-01
著者
青木 順子 Junko Aoki
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.48, pp.125-136, 2020-02-28

2018年後半から2019年前半にかけてのアカデミー賞作品賞を受賞した映画、米国NBC局のキャスターの「ブラックフェース」発言等、社会で論争を引き起こした例を基にして、「拘り」の表明、「拘り」に対する反応、反論、言い訳に見えてくるものを検証し、「拘り」の持つ性質と意義について考察をしている。自らの「拘り」への参加、他者の「拘り」の行為の受容、そして異なる意見の表明によって互いに真摯な応答の過程がなされていく社会を尊重し、「拘り」の表明によって、さらに異なる意見が自由に意見交換されるような空間――これは、カントのいう公共圏でもあり、アーレントが、レッシングの考えた真理の存在、「真理は、言語を通して人間化されるところのみ存在する」について述べたような、多様性を持つ人間が「真理だと思っているもの」を表明し語ることでのみ作り得る「唯一の人間的な空間」でもある。他者のメディア表象への「拘り」を尊重し、真摯に応答する行為を通して、「一人ひとりが・拘り・今・自分に・出来ることを、丁寧に問い・声をあげ、かつ、耳を傾け・異なる他者とのコミュニケーションを続け・それを通して得た真理を・実現しようとする」という異文化コミュニケーション教育の目標は達せられるのである。
著者
小川 健
出版者
専修大学社会科学研究所
雑誌
専修大学社会科学研究所月報 = The Monthly Bulletin of Social Science (ISSN:0286312X)
巻号頁・発行日
vol.646, pp.1-14, 2017-04-20

本稿では関数電卓なしでの実効為替レートの近似計算公式を裏付けるために、加重相乗平均を加重相加平均で近似計算許容可能かどうかを検証する。本手法が成立すればGDP の平均成長率など経済学の多くで必要となる(加重の)相乗平均に対し通常の電卓で計算可能な(加重の)相加平均で近似計算が可能になり、殆ど関数電卓を持っていない中堅私大以下の低学年においても経済学の通常の小テスト及び定期試験での座学による計算問題の可能性が広がる。近似では自然対数のテイラー展開を利用した線形近似、つまり x≒1 のとき ln(x)≒x-1 の適用範囲に落とし込んで計算を行う。なおこの近似は本来、1次同次のコブ=ダグラス型関数に相当する加重相乗平均を、多変数関数と見なした時のテイラー展開を利用した線形近似で直ちに導出できるものである。検証の結果、この近似公式による誤差はかなり大きく見積もっても、1から最大で小数第n 位以内のずれに対しおよそ小数第2n 位までの誤差に収められることが分かった。これは高々数%以内のずれが多い数値例に対し、少なくとも教育上は加重相乗平均が加重相加平均で近似計算可能であることを意味する。
著者
小前 和智
出版者
政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策研究センター (SciREX センター)
雑誌
SciREX ワーキングペーパー = SciREX Working Paper
巻号頁・発行日
no.SciREX-WP-2021-#01, 2021-06

This study examines the labor supply behavior of married women for the 1990s and 2000s in Japan through Douglas-Arisawa’s first law. According to Douglas-Arisawa’s first law, when the primary earner’s income is high, his/her family members’ employment rate would be low. First, it was observed that Douglas-Arisawa’s first law was consistently effective for the 1990s and 2000s in Japan. On the other hand, the elasticity of employment rate to husbands’ earnings has been smaller in 2007 than in 1992. The decline of elasticity relies on increasing wives’ opportunities and the rate to work as regular workers and continue working. Although many studies that conduct estimation by reduced form assume log-linearity or linearity, this study introduces squared terms to estimate the marginal income effect of husbands’ earnings. This method for estimation makes clarify the heterogeneity of magnitude of income effect in husbands’ income levels.Then marginal-effect curves were drawn using predicted values from the estimation for each subgroup generated by family-type and observed year. The result represents that marginal-effect curves of 2007 are above those of 1992, and all the marginal-effect curves have negative slopes. The former indicates that married women had to participate in the labor market on the wide range of husbands’ earnings. The latter indicates that the marginal negative effect of income was more elastic in higher-income groups. At the end of the analyses, the relationship between earnings and the married rate is shown. There is a positive correlation between earnings of men and the married rate of men (no positive correlation between earnings of women and married rate of women). This relationship indicates that there is a social norm that a man needs to have enough earnings to get married in Japan. The norm makes a married woman lose the willingness to work if she married with a high-earnings-husband and results in keeping the negative elasticity (or marginal effect). In addition, the norm is not an absurd idea but the result of rational economic choice under the big difference of rate of return between men and women.
著者
中村 新之介 植村 匠 上瀧 剛 内村 圭一
雑誌
研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS) (ISSN:21888965)
巻号頁・発行日
vol.2016-ITS-64, no.4, pp.1-7, 2016-02-29

近年,交通渋滞を緩和する手法として交通信号機制御による手法が注目されている.筆者らはマルチエレメント GA と交通流シミュレータを用いて交通信号パラメータを最適化し,渋滞を緩和する手法が提案したが,最適化処理に長い時間を要するため,実環境下での運用は現実的ではない問題を有していた.本研究では,交通流シミュレータの入出力関係を学習させた学習機械をシミュレータと置き換える手法を提案し,最適化処理の時間短縮を目指す.