著者
赤居 正美
出版者
国際医療福祉大学学会
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.7-12, 2016-08-10
著者
二宮 洸太 又吉 康綱 中村 聡史
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2019-HCI-184, no.15, pp.1-8, 2019-07-15

コンピュータやスマートフォンが普及した現在においても,手書き文字を使う機会は多くある.また,自分の手書きに対して苦手意識を持っている人たちもいる.これまでの研究で,複数の手書き文字を合成し平均化した文字が綺麗であることや,それを用いた手書き平均化アプリケーションも実装されている.しかし,立った状態でメモを走り書きするなどのシーンのように,手書きが崩れてしまったものを読めるようにできるかについての検討は,十分に行われてこなかった.そこで本研究では,崩れた手書き文字データセットを構築するための手法について検討を行うとともに,構築したデータセットを用いて平均化によって美化し,読めるようにすることができるかを検証した.検証の結果,平均化によって可読性が向上することがわかった.また手書きの可読化においてユーザ間に相性が示唆された.
著者
山本 恵理 佐々木 良一
雑誌
研究報告コンシューマ・デバイス&システム(CDS)
巻号頁・発行日
vol.2015-CDS-12, no.26, pp.1-8, 2015-01-19

近年,自分で自分の健康を管理するヘルスケアへの関心が高まっている.ヘルスケアを目的とするデバイスとして用いられるウェアラブルデバイスは,WBAN(Wireless Body Area Network) とよばれる人体を中心とした無線通信により,ハブ端末であるスマートフォンやタブレットとの通信が行われている.この WBAN は,IEEE 802.15.6 によって規格が策定されており,物理層として UHF 帯狭帯域通信,超広帯域通信 (UWB),人体通信 (電界方式) の三種類が技術仕様として定められている.我々はこの中でも,ウェアラブルデバイスへの搭載が期待されている,消費電力の少ない人体通信について着目した.人体通信機能がウェアラブルデバイスへ実際に搭載された事例は ID カードと玩具の数例しかなく,その通信の安定性については,まだいくつかの課題が残されている.そこで著者らは,ハブ端末とウェアラブルデバイス間の通信を,人体通信を用いて行う場合の人体上の伝搬特性と周波数特性について,21MHz と 455kHz の搬送波周波数を用いて測定を行った.この結果,21MHz に比べ 455kHz の搬送波周波数を使用した場合,安定した通信が行えることを確認した.この結果を用い,455kHz の搬送波周波数を使用し,人体通信で情報を送信または受信するウェアラブルデバイスの製作と,受信した情報をスマートフォンで可視化するためのアプリケーションの開発を行い,さらに,人体通信の実用化のため,通信の安全性を考慮し,AES を用いて通信傍受対策を行った.これにより,雑音にそれほど強くない符号化 ASK でも,手先や顔の周辺では人体通信でウェアラブル機器同士の通信が十分行えることを確認したが,足付近では雑音によって情報が誤って受信されるという課題が残った.今後、雑音対策として FEC の実装を行い,消費電力に考慮した対策を行っていく予定である.
著者
宮内 貴久
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.207, pp.347-389, 2018-02-28

本論は『朝日新聞』,『読売新聞』の記事から,添い寝中に子どもが死亡する事故について,なぜ発生するのか,死因,住環境,授乳姿勢,死亡年齢を検証することにより,添い寝と授乳の実態と変化を明らかにした。さらに育児書の検討から添い寝がどう捉えられていたのか,適当とされる授乳期間はどの程度だったのか明らかにした。添い寝で死亡する事故は明治期から発生しており,時代によって死因は異なった。1870~1910年代は80%以上が乳房で圧死していた。1920年代になると乳房で圧死は67%,布団と夜具での死亡事故が20%となる。1930年代には乳房での圧死が50%まで減少し,布団と夜具での死亡事故が26%となる。こうした事故は職業には関係なくあるゆる住宅地で発生していた。1940~1960年代前半には深刻な住宅不足問題を背景に,スラムなど極めて劣悪な住環境に居住するブルーカラーの家で事故が発生した。1960年代後半にも住宅の狭小が原因による圧死事故が発生するが,高度経済成長による所得の増加による家電製品の普及とともに,タンス,学習机などの物があふれて部屋が狭小化し,そのため圧死するという事故が発生した。1970年代にはアメリカの育児法が紹介され,うつぶせによる乳児の死が問題視され,さらに死の多様化が進んだ。18冊の育児書の検討から11冊の育児書が添い寝を否定,5冊が注意すべきこととされたこと,また添い寝中の授乳により乳房で窒息死する危険性を指摘する育児書が12冊あったことからも,添い寝の危険性を喚起する新聞記事と一致し,社会問題となっていた。20冊の育児書の検討から,適当とされた離乳開始時期は5ヶ月頃からが3冊,10~12ヶ月が4冊,もっとも遅いのは2~3年だった。時代による離乳期の特徴は特にみられなかった。離乳時期は遅く4~5歳児への授乳,特に末子は5~6歳まで授乳するケースもあった。授乳は母親にとって休息がとれる貴重な時間であり,それが遅い離乳の要因の一つだった。母子健康手帳では添い寝が否定されたが,現実には多くの母親は添い寝をしていた。育児における民俗知と文字知にはズレがみられる。1985年に『育児読本』が大幅改訂され,これまで否定されていた添い寝が,親子のスキンシップとして奨励されるように変化した。
著者
澤田 和人
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.69-99, 2006-03-25

帷子は今日よく知られた服飾のひとつであろう。しかしながら、その基礎的な研究は充分にはなされていない。本稿では、そうした状況を打開すべく、基礎的研究の一環として、室町時代から江戸時代初期にかけての材質の変遷を解明する。可能な限り文献を渉猟した結果、以下のような動向が辿られた。一五世紀に於ける帷子の材質は、布類、なかでも麻布がごく普通であった。絹物の例も散見されるが、それはあくまで特殊な用例であり、普遍化したものではない。一六世紀に入ると、麻布の種類も他の植物繊維の例も増え、布類の種類が豊富になっている。それと同時に、生絹という絹物も見られるようになった。一六世紀の末期ともなると、生絹は広範に普及を見せ、布類と等しいまでの重要な位置を占めている。一七世紀初期に於いては、布類については一六世紀末期の状況と大差は認められない。注目されるのは、綾などの絹物や、材質は不明であるが、唐嶋といった生地である。これらは慶長期の半ば頃から登場し始め、帷子の内でも単物として細分されて記録に出てくる。単物は裏を付けずにひとえで仕立てたものである。その材質には、絹物や木綿が見られる。単物は一六世紀後期に明瞭に確立をみせているが、当初は帷子とは分けて記載されており、慶長期中頃に至って帷子の内に組み入れて記載され始める。すなわち、単物というジャンルが、帷子というジャンルに融合をみせていく経過を示すのである。この動向は、絹物である生絹が単物と帷子との間を取り持つ契機として大きな役割を果たし、実現したと推察できる。このように、はじめ布製であった帷子は、やがて絹物でも仕立てられるようになっていった。それは、帷子の独自性を揺り動かす出来事であった。小袖と材質の上でさしたる相違がなくなり、引いては、独立した存在であった帷子が小袖と一元化されるようになるためである。
著者
深見 聡 坂井 伸子
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1,2, pp.No.10, 2020-03-31

本研究の目的は、『十六夜日記』に登場する多くの地名詠の中から、これまで注目されてこなかった馴染みの薄い地名を詠み込んだ和歌を分析し、その特徴を明らかにすることである。鎌倉時代に阿仏尼が京都から鎌倉までの行程を描いた紀行文である『十六夜日記』の中で、特に地名詠の集中している「路次の記」を考察の対象とする。表現技巧の分析や先行歌との関係性を具体的に検討することにより、これまで注目されてこなかった地名詠にも、阿仏尼の心情や歌道家としての技能、当時の東海道の最新の様子などが盛り込まれていることがわかった。また、先行歌との影響関係からは、為家歌との関連性からその影響力が十分に看取される。さらには、鎌倉・宇都宮といった東国歌壇との影響関係にも注目され、それらの和歌には阿仏尼独自の世界を打ち出そうとする姿勢が見られることが明らかになった。
著者
辻下 聡馬 涌井 忠昭
出版者
奈良学園大学
雑誌
奈良学園大学紀要 = Bulletin of Naragakuen University
巻号頁・発行日
vol.12, pp.159-165, 2020-03-10

高齢化とともに平均寿命と健康寿命との差が課題となっている。この差を短縮することは高齢者の生活の質を高めるだけでなく、社会保障費の削減も期待できる。健康寿命の延伸に向けて高齢者が運動や健康づくりを行う際には、人生の目的を考え、そのうえで実施可能な運動や活動を行っていく必要がある。高齢者の運動や健康行動の変容に関する研究では、外発的・内発的動機づけの有効性や、運動がQOLの向上に及ぼす影響などについての報告は見られるが、高齢者の人生の目的に着目し、人生の目的と健康状態、生きがいおよび肯定的な感情との関連性に関する研究は筆者らの知る限り見受けられない。そこで本研究では、高齢者の人生の目的と生きがい、前向きな態度および健康関連QOLとの関係を明らかにすることを目的とした。調査対象および方法としては、大阪府A区に居住する65歳以上の高齢者で、老人会の運営を行っている18名(男性15名、女性3名)に対して、人生の目的、生きがい、前向きな態度および健康関連QOLに関する質問紙調査を行った。その結果、健康関連QOL(SF-8日本語版)における身体的サマリー(身体的QOL)と精神的サマリー(精神的QOL)、生きがい、前向きな態度の値は、人生の目的の高い群が低い群より高値を示し、身体的サマリーのみ高い群が有意に高い値を示した(p<0.05)。人生の目的が高い者は、健康的な行動を促進し、健康に対する肯定的な意識が高いと示唆された。高齢者が人生の目的を高く持って運動することは、健康寿命の延伸の一助になると推察される。
著者
原田 眞澄
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.51-57, 2017-06-16

私は,タッチケアを特集する雑誌を見たことをきっかけに,どのようなものか興味をもった。タッチケアとはどのようなものなのか,肌に触れるスキンシップのことを指すのであろうか,抱っこやおんぶやベビーマッサージなども含むのであろうかと様々な疑問をもった。そこで,平成29年2月12日~3月16日の期間,タッチケア・抱っこ・おんぶをキーワードに中国学園図書館で文献検索を行った。その結果,タッチケアという言葉には狭義と広義があることがわかった。狭義では,アメリカマイアミ大学のTouch Research Institute のタッチセラピーを起源としたもので,1999年吉永により日本に伝えられたものをいう。一定の圧力をかけながら子どもの全身をゆっくりとマッサージするふれあいの方法であり,従来から言われてきたスキンシップや,赤ちゃんマッサージ全般を指しているものではないということがわかった。また,広義では子どもの体に(あるいは肌に)触れること全般(たとえば,子どもに対する整体や子どもの気持ちに寄り添ったスキンシップ,ベビーマッサージなど)が包括されていた。タッチケアとベビーマッサージを比較すると,目的や手技に大差はなかった。どちらも赤ちゃんの肌に指や手のひらで触れ,一定の圧力でマッサージしながらふれあえるものである。する側,される側のどちらにとっても情緒が安定する効果があることと親子の絆が深まることがわかった。しかし,タッチケアが未熟児・新生児も対象とする点で対象月齢が広いこと,資格取得・講習会などが無料で営利を目的としていない点で,ベビーマッサージと違うことがわかった。子どもは,抱っこやおんぶによって大人と広範囲に肌を接触してもらうこと,手のひらで優しくマッサージしてもらうこと,トントンとリズミカルに皮膚に刺激をされることなどを好む。「皮膚は露出した脳」といわれ,大きな意味がある。近年,スマホで子育てする親も少なからず見受けられるが,一緒にいるときには子どもと肌を密着すること,心地よい接触の仕方をすること,子どもの状態をしっかり感じ取ることが大切であることが分かった。
著者
安達 房子 京都学園大学経営学部
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.49-70, 2010-10-01

情報通信技術を利用した.場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を、テレワークという。テレワークのいくつかの実施場所の中でも、自宅は仕事と家庭生活の調和等を実現する可能性が高く、導入する企業が増えつつある。しかし問題点も多く、それほど普及していないのが現状である。そこで本稿では、自宅で働くテレワークを在宅勤務と在宅ワークに分け、それぞれについて問題点を探り、問題点に対処するための条件について考察した。
著者
井原 久光
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 = BULLETIN OF NAGANO UNIVERSITY (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.9-34, 2003-09-30

本論の目的は3つある。第1に、レビットやエーベルなど、ドメインの基本的な理論をあらためて紹介して整理した上で、ドメイン論の問題点と現実的応用について筆者なりに考察することである。第2には、シナノケンシ株式会社(以下、シナノケンシ)の歴史的な発展の過程を振り返って、繊維→モーター→電子機器とドメインを変えながら成長を続けている同社の事例を紹介することである。第3には、シナノケンシ成功の理由と同社の課題を筆者なりに分析して、戦略的な提案を試みることである。