著者
人見 佳枝
出版者
近畿大学臨床心理センター
雑誌
近畿大学臨床心理センター紀要 = Bulletin of center for clinical psychology Kinki University
巻号頁・発行日
no.1, pp.29-40, 2008-09-01

[要約] Jungのアルコール依存症に対する基本的な考えを紹介し、特徴的な症状や病態について分析心理学的な立場から考察した。すなわちアルコール依存症とは否定的な女性性にとらわれた混沌とした状態のなかで起こっており、そこから抜け出すためには「切る」という言葉に代表される男性的な力を必要とする。 Jungは個性化について「人が心理学的な個体になることであり、分割できない統一性(in-dividual)、全体性に至るプロセス」であると定義しているが、断酒そのものが個性化に至ろうとするプロセスそのものであるといえる。従ってアルコール依存症患者とは「霊的な渇きの低い水準の表現」を捨ててより高い水準への変容を目指す人々と考えられた。
著者
内藤 祥雄 禰津 孔二
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, 1969-11-15
著者
那須 律政 松崎 公紀
雑誌
第54回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.173-180, 2013-01-11

ペンシルパズルのうちでも,数独に対してさまざまな研究が行われている.そのうち,最少ヒント問題とは,唯一解を持つ盤面を構成できる最少のヒント数はいくつかという問題である.通常のサイズが9×9の数独については,2012年1月にMcGuireらによって,ヒント数16の盤面がない,すなわち,最少ヒントが17であることが示された.GPCCの2011年問題では,サイズが16×16の数独に対する最少ヒント問題がとりあげられ,そのなかで白川によってヒント数56の盤面が発見された.著者らもこの数独の少数ヒント問題に対して研究を行っている.数独の少数ヒント盤面を効率良く生成するには,広大な探索空間の中から適切に探索を行う必要がある.著者らは,ゲーム分野で近年活発に研究されているモンテカルロ木探索手法をこの問題に適用し,少数ヒント問題を効率良く生成することを目指している.本論文では,数独少数ヒント盤面生成にモンテカルロ木探索手法を適用するにあたり必要であった工夫と,得られた少数ヒント盤面について報告する.
著者
杉浦 功一
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.69-80, 2020-03-31

本稿では、広義の民主化支援の動向と変化の要因を、国際政治の構造変化と絡ませながら検証する。民主化支援活動は、西側諸国優位の中、1980年代終盤から90年代にかけて民主化の「第三の波」とともに発達した。しかし、2003年のイラク戦争以降、民主化支援はバックラッシュにさらされた。このバックラッシュは、欧米の「衰退」と中国など新興国の「台頭」という国際社会の権力構造の変化で拍車がかかった。2011年の「アラブの春」により、多くの政権は民主化支援への警戒をさらに強めた。NGOへの統制強化など、民主化支援に対処する政権側の戦略は巧妙かつ大胆になっていく。この民主化支援へのバックラッシュに対し、西側諸国やEUなど国際機構は、活動の工夫や国際的な連携で対処しようとしてきた。しかし、西側諸国の国際的優位が失われていく中で、安全保障や経済的利益に対する民主化支援の優先順位は低下し、対象国の政権が望まない政治的分野を避けるなど民主化支援の「非政治化」が進んでいる。
著者
米山 裕太 高橋 健太 西垣 正勝
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2013-CSEC-62, no.45, pp.1-6, 2013-07-11

著者らが提案した生体情報を秘密鍵とするディジタル署名 Fuzzy Signature においては,曖昧な生体情報を誤り訂正するために整数格子上の Fuzzy Commitment を用いている.整数格子上の Fuzzy Commitment では,L∞ 空間における整数格子への丸め処理によって誤り訂正を行っている.しかし,顔認証など,特徴量がユークリッド空間上のベクトルとしてコード化される場合には,Fuzzy Commitment への適用が困難であった.本稿では,三角格子の最近傍探索を用いることで,近似的にユークリッド距離に基づく Fuzzy Commitment および Fuzzy Signature を実現する方法を提案する.
著者
白崎 護 Mamoru Shirasaki
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.111, pp.165-178, 2020-03

本稿は、公的な制度の内外を問わず選挙以外の場面で市民の意見を政治へ反映させようとする活動のうち、ロビ活動・陳情・献金など政治過程への個別の接触を除く活動であり、かつ政治エリートとの協力ではなく彼らを監視する活動をカウンターデモクラシーと呼ぶ。ロザンヴァロン(Rosanvallon) によると、現代の民主主義国家において社会集団の利益を代表できなくなった政党に基づく代議制を補完するカウンターデモクラシーが、政府への牽制手段として求められている。他方、デモなどの抗議活動を含むカウンターデモクラシーに関して、政治学では活動の分類を除き研究が進んでいなかった。そこで本稿は、カウンターデモクラシーの考察に要する社会運動論の分析枠組を概観した上で、カウンターデモクラシーを促進または阻害するメディアの機能、および市民によるメディアの利用を政治学の観点より論じる。
出版者
National Institute of Polar Research
雑誌
Polar Data Journal (ISSN:24326771)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.55-60, 2020-04

Twice daily upper atmospheric sounding observation was conducted at research station Ice Base Cape Baranova during the Year Of Polar Prediction (YOPP) Special Observing Periods (SOPs) of 2018 as a part of Polar Prediction Project (PPP) . This station is noteworthy as it is one of the representative observation stations within the Arctic Sea. During the two SOPs, a total of 286 soundings were made (113 in late winter and 173 in summer). Data is formatted into a NOAA NCEI compliant NetCDF format in accordance to the YOPP data portal guidelines.
著者
伊藤 浩之 芳賀 臣紀 清水 太郎 堤 誠司 Ito Hiroyuki Haga Takanori Shimizu Taro Tsutsumi Seiji
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)
雑誌
平成30年度 宇宙科学情報解析シンポジウム = Space Science Informatics Symposium FY2018
巻号頁・発行日
2019-02

平成30年度宇宙科学情報解析シンポジウム(2019年2月15日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)), 相模原市, 神奈川県
著者
高岡 詠子 田村 啓 杉浦 学
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2013-CE-120, no.9, pp.1-8, 2013-06-29

本研究ではタッチタイピングのできないタイピストに焦点を当てて実験を行うことで、初心者の苦手な文字の傾向などを分析した.その結果、文字ごとの正解率と打鍵速度には相関があること、打鍵速度に関わらずミスの種類は誤打鍵が最も多いこと、左下のキーが打ちづらく、ホームポジション左のキーが打ちやすい、右手の打鍵については文字位置によってばらつきがあること、打鍵頻度が大きい文字は打鍵速度が速い傾向が見られるが、文字の打鍵頻度が少ない文字が必ずしも文字打鍵速度が遅いわけではなく、同じ打鍵頻度が少ない文字でも文字位置によって速度が大きく異なるなどの結果が導かれた。これをもとに、タイピング教育ソフトにおける問題文の適切さなどを評価したり、有効なタッチタイピング教育法の検討などを行うことが可能となる。
著者
源 裕介
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bulletin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.13, pp.215-220, 2019

理学療法士が作成する足底挿板はどのような疾患に対して有効か, またどのような疾患が適応外かという傾向に関しては不明な点が多い. そこで今回, 理学療法士が作成するパッド貼付型足底挿板の治療効果にどのような傾向があるかを明らかにした.対象は千葉こどもとおとなの整形外科リハビリテーション科にて,1名の理学療法士が2014年4月から2017年3月までの3年間に作成された足底挿板を対象に調査を実施した.結果は膝関節(10名), 足関節・下腿(12名), 足部(18名)の3つ部位に分類して各部位での治療成績を示したところ, 膝関節は16名(70.0%), 足関節・下腿は4名(91.2%), 足部は14名(83.3%)の割合で症状の改善または消失が確認された. 疾患別で症例数が比較的多かったものを確認すると, 変形性膝関節症7名(4名改善), 足関節捻挫6名(5名改善), シンスプリント4名(全例改善), 有痛性外脛骨4名(全例改善),という結果であった.変形性膝関節症の足底挿板の適応としては,Kellgren-Lawrence 分類Grade1までが効果を示せる可能性が考えられた. 下腿・足関節・足部に関しては骨折などの形態異常や明らかな機能不全がなければ効果は十分に期待できると考えられた.