著者
北原 零未
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
no.45, pp.13-37, 2014

2013年5月,フランスにおいてようやく同性婚法が成立した。一般には,1999年末に成立したパックス(PaCS)をもってフランスは同性カップルを国家的に認知し,法的裏付けを与えたということになっているが,男女のみに許可されている既存の婚姻制度を批判し,婚姻法そのものの改正を求めていた同性愛者たちにとっては,パックスの成立は前進ではなく,むしろフランス国家からの否定的回答であったと言える。 今回の同性婚法成立は,そのこと自体は多様な家族生活,ライフスタイルを認めるという観点からすれば前進と言えるが,しかしその成立直後には,パックス成立時の時以上の反対運動が行われた。そして,そこでは,同性愛のみならず,伝統的家族以外の家族形態すべてが批判され,保守主義・家父長主義回帰が見られたのである。もはや同性婚以前の問題であり,保守的な男女の規範が賛美された。
著者
吉原 令子
出版者
英米文化学会
雑誌
英米文化 (ISSN:09173536)
巻号頁・発行日
no.39, pp.125-141, 2009-03-31

The movement to legalize same-sex marriage was revitalized in the 1990s in the US. This paper examines the reasons for this revitalization and analyzes the movement in relation to feminism. Gays/Lesbians called for same-sex marriage rights in the 1990s because of the influence of the HIV/AIDS epidemic and a lesbian baby-boom in the 1980s. At the same time, NOW, a liberal feminist group in the US, officially declared support for same-sex marriage. One reason for solidarity between liberal feminists and gays/lesbians was that both groups shared liberal values, including the pursuit of freedom, equality, and justice through social reform and legal change. Both groups also resisted the conservative thinking expounded by the Moral Majority and Reagan supporters. These conservatives opposed same-sex marriage and attacked both gays/lesbians and feminists during the 1980s. However, queer theorists started to criticize this movement in the 2000s because the legalization of same-sex marriage leads to assimilation, normalization, and loss of sexual diversity. They also criticized activists for prioritizing legalization of same-sex marriage over issues of poverty and discrimination against lower class queers. I analyze their criticism of the same-sex marriage movement and explore the theoretical and practical dimensions of the movement.
出版者
北海道大学
雑誌
北大百年史
巻号頁・発行日
vol.通説, pp.1-28, 1982-07-25

第一節 開拓使の設置; 第二節 開拓使仮学校
著者
柿原 加代子 大野 晶子 東野 督子 水谷 聖子 沼田 葉子 小笹 由里江 三河内 憲子
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 = Journal of Japanese Red Cross Toyota College of Nursing (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.153-159, 2012-03-31

継続勤務している看護職のキャリアアップに対する認識を明らかにすることを目的として、中部ブロック管内2施設の赤十字病院に継続勤務している看護職16 名を対象に、半構成的面接を行った。その結果、キャリアアップに関する認識として、8 つのカテゴリーが抽出された。 看護職は[看護師長のマネジメント能力]の影響を受けながら、[職場が形成するキャリアアップ志向]を育んでいた。キャリアアップには、[経済的自己投資]が必要であった。また、自身が出会う[専門・認定看護師の正負のイメージ]がキャリアアップの方向性に影響していた。看護職は[誰にも潜む仕事継続の危機]をもっていたが、[ワークライフバランスの重視]をしながら、[看護への職務満足感]や[ 「やめられない」という消極的意思]が仕事継続の動機づけになっていた。以上より、看護師長がマネジメント能力を発揮し、看護職の働く意欲に配慮し、キャリアアップ志向を形成できる職場風土をつくり挙げる必要性があると示唆された。
著者
大島 明秀
出版者
関西学院大学日本文学会
雑誌
日本文芸研究 (ISSN:02869136)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.39-63, 2005-06

志筑忠雄訳『鎖国論』は、平田篤胤とそれ以降の国学者に西洋人ケンペル著書である側面が強調された。そして資料としての『鎖国論』の利用方法は、篤胤が『古道大意』や『霊の真柱』において解釈し利用した方法が踏襲されたものであった。すなわち『鎖国論』を西洋人ケンペルによる日本讃美論として読み解き、日本が万国に秀でて優勢であることの根拠の一つとして引用し用いた。
著者
白川 展之
出版者
文部科学省科学技術・学術政策研究所
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、社会科学研究者とその業績評価(専門領域の研究者のピアレビュー及び所属大学における昇進・業績評価)を分析範囲とし、大学組織における業績評価と研究者個人の専門家間における評価・評判とのギャップについて調査する。このため、社会科学研究の全体構造を俯瞰的・定量的に分析するために社会科学の論文データを分析する。さらに、この情報を基に、国内外の研究大学を調査対象に、国内外の研究大学における研究業績評価と昇進の実態構造を調査・分析する。