著者
川口 英俊 野田 五十樹
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.391-392, 2016-03-10

マルチエージェント社会シミュレーションにおけるデータ同化の可能性を評価する枠組みを提案し、実験により効果を確認した。社会シミュレーションのモデルは物理分野と比べて未成熟であり、そもそもデータ同化が出来るかが分からないという問題がある。そのため、データ同化の設定とそれに内包する観測データの条件や性質を調べることは重要である。提案手法は2段階ある。1つ目のステップは設定したデータ同化のパラメータ推定精度を測定する。2つ目のステップではその推定したパラメータでどの程度シミュレーションの再現性を得られるかを仮想的に評価する。抽象的な社会シミュレーションにて実験を行い、提案手法の有効性を検証した。
著者
池田 幸恭
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:24326925)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.65-74, 2017-03-31

日本では「すまない」などの負債感を含んだ複合的感情として感謝をとらえる傾向があるという文化的特徴に着目し、心理学や言語学の複数領域での研究成果に基づいて、感謝に伴って生じるすまなさ感情を経験することの心理的意味を明らかにすることを本研究の目的とした。そのため、「すまない」の語義、日本語の感謝表現における「すまない」、感謝と負債感の関係に関連する文献を概観した。それらの論考を踏まえて、以下の3つの試論を提起した。第1に、感謝は自分が周りから恩恵を受けていることを認識することによって、肯定的感情と否定的感情の両方として経験される可能性がある。そこでは、未分化で肯定的感情と複合したすまなさ感情を経験する場合、経験された否定的感情を解消するために他者へ返報する義務があることを強調して負債感を分化する場合があると考えられた。第2に、感謝に伴うすまなさ感情は、相手の負担、意図、与えられた恩恵の価値という状況の評価に加えて、相手との社会的関係の影響を受ける。さらに、感謝に伴うすまなさ感情は、他者との関係の形成や維持につながると考えられる。第3に、感謝に伴うすまなさ感情は、自己洞察を深めるが、同時に自己否定的な心理状態に留まるという危険性もある。今後の研究の展望として、対人関係以外の抽象的な対象への感謝に伴うすまなさ感情について検討すること、感謝の経験と表明の相違を検討すること、本研究で提起した試論について文化的背景を視野に入れた実証的研究をとおして確かめていくことの必要性について論じた。
著者
佐藤 勝明
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:24326925)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.174-163, 2017-03-31

俳諧史上の傑作の一つとして知られる『此ほとり一夜四歌仙』の中から、巻頭の「薄見つ」歌仙を取り上げ、各付合の分析を通して、蕪村連句の特色を探る。それぞれの付合は、①〔見込〕、②〔趣向〕、③〔句作〕の三段階による分析方法を使って読み解いていく。その結果として言えるのは、古典趣味や中国趣味など、題材の偏りが多分に見られること、前句をよく検討してから趣向を立てるのではなく、前句の詞や表現から喚起されたこと(それは自分たちの嗜好にかなう方向で多く選ばれる)をもとに付句を考えていくこと、の二点である。すなわち、芭蕉流の付合手法とは異なる面が多く、蕪村一流の美的世界が構築されているのであり、今後は、そのことを前提に蕪村連句と取り組むことが肝要と言える。
著者
吉田 哲也
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM)] (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.79-88, 2012-09-28

本稿では,複数のコミュニティへの所属を許容する重複コミュニティの発見を実現するために,ネットワークの重みを反映する重み付き線グラフを提案する.従来のノード分割に基づくコミュニティ発見手法ではノードは 1 つのコミュニティに割り当てられるため,複数のコミュニティには所属できないという課題がある.この課題に対し,本稿ではネットワークをその線グラフに変換し,変換後の線グラフにノード分割手法を適用することにより重複コミュニティ発見を実現する.従来の線グラフはネットワークの接続関係のみから定義されるが,ネットワークの重みを活用したリンク分割を実現するため,重みに基づいて拡張した重み付き線グラフを提案し,その性質を示す.さらに,ノード分割に基づくモジュラリティを拡張し,重複コミュニティ発見におけるソフトなノード分割に対するモジュラリティを提案する.提案法を人工ネットワークと実世界のネットワークに適用し,他手法との比較を通じてその有効性を示す.

1 0 0 0 OA 目次・表紙

雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, 2017-05-15
著者
呉 鍾勲
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.534-535, 2017-05-15
著者
加藤 由花
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.531-531, 2017-05-15
著者
高橋 尚子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.526-530, 2017-05-15

本稿では文部科学省の支援を受けて情報処理学会が実施した「大学における情報学分野の教育に関する実態調査」のうち(C)一般情報教育に関する調査について,分析結果の概要を報告する.
著者
掛下 哲郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.520-525, 2017-05-15

文部科学省の支援を受けて情報処理学会が実施した「大学における情報学分野の教育に関する実態調査」の中から(A)情報専門学科に関する調査結果を報告する.183大学・216学部・267学科からの回答を分析した結果,1学年当たり少なくとも25,498名の学生が情報専門教育を受けている.学生の約半数は工学部に所属している.J07カリキュラム標準が定めた5種類の専門分野との対応を見ると,CS(コンピュータ科学)が約25%を占めるが,どれにも該当しないケースも50%近く見られた.その他,情報学の参照基準等の項目に対する教育内容および達成度レベル,卒業後の学生の進路,教職員の状況,教育環境などについて示す.
著者
旭 寛治
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.516-519, 2017-05-15

現存する情報処理技術関連の貴重な史料に対して,その保存の努力を称えるとともに末永く後世に伝えることを目的として,情報処理学会歴史特別委員会によって設けられた制度.第1回の2008年度は国立科学博物館で,翌年からは全国大会の場で認定式を行い,情報処理技術遺産には認定証の盾を,また分散コンピュータ博物館には認定書とプレートを,それぞれ関係者に贈呈している.
著者
金子 敬一 都田 青子 石川 正敏
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.512-515, 2017-05-15

グローバル化,すなわち多言語多文化共生社会への移行に伴い,外国語の重要性はますます高まりつつある.さらに,近年,情報技術の進歩に伴い,外国語学習をはじめとしたさまざまな分野において情報技術の導入が進んでおり,多くの活用事例が報告されている.本稿ではこうした背景を踏まえ,まず,そもそもなぜ外国語学習の中で特に語彙学習に着目したのかを説明し,次に,情報技術を活用した語彙学習支援システム開発に関して,国内外における最近の動向と著者らの試みとについて紹介する.
著者
駒谷 昇一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.507-507, 2017-05-15

いまだに多くの大学の一般情報教育では,PCの使い方の教育が行われている.しかし,AIやIoTが普及し,社会や企業のICT化が進む中で,一般情報教育に対して次のような教育が求められている.ICTを活用した情報化戦略や新商品を企画立案する方法,社会を支える情報システムの恩恵とリスク,社会の問題や課題を ICTで解決する方法,AIを業務効率化に活用するための方法と倫理,実際のビジネスをモデル化しデータやネットワークやセキュリティを設計する方法,発注者としての基礎知識.問題は,このような教育を大学で行う必要があるという認識が低いことである.
著者
松崎 公紀
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.488-495, 2017-05-15

報処理学会の会員の中には,論文をLaTeXで書いて人も多くいるだろう.論文そのものをLaTeXを用いて書いている場合でも,他のWYSIWIGなソフトウェアで作成した図を取り込んでいることが多い.論文で用いるような線画にラベルを組み合わせた図,とくにその図に規則性がある場合には,本稿で説明するプログラミングにより図を描く(生成する)ことが便利である.本稿では,MetaPost言語を用いて,プログラミングにより図を描く方法について解説する.簡単なMetaPostプログラムから始めて,繰り返しやマクロ,ラベルの使い方を説明する.さらに,実際の利用に役立つGnuplotの出力グラフの書き換えについてのヒントも述べる.
著者
金田 泰
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.481-487, 2017-05-15

現在主流の3D設計・印刷法は汎用性があるが万能ではないから,ほかの方法が必要なこともある.表面形状を指定するだけでは不十分なこともあり,主流の方法ではうまく印刷できない形状もある.このような際にはモデル上の各点で方向(印刷方向)を指定できる場指向オブジェクト・モデルや,手続き的なプログラムを使用した設計法,水平方向に限定されない印刷法などが有効である.これらの方法は主流の方法が持つ汎用性はないが,それが適する目的たとえば中空立体の造形においては有効である.この方法の概要や使用するライブラリdraw3dpについては別の論文に記述したが,この記事ではその背景,関連動向,応用などを紹介する.
著者
安宅 和人
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.464-465, 2017-05-15