著者
中沢 実 鷹箸 孝典 阿部 拓真
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2015-MBL-75, no.14, pp.1-8, 2015-05-21

近年,人の脳活動を読み取る研究の発展は目覚ましい.脳活動を読み取るには脳 (EEG) や機能的磁気共鳴画像法 (fMRI) など,いくつかの方法が存在する.非侵襲的な EEG においては,リアルタイムで利用者の思考や感情,表情の検出や脳波の生データへ容易にアクセスできる製品が世の中に出ている.また,これらの脳波データを用いた工業用製品も徐々にではあるが,登場してきている.そこで,本論文では,既存の基礎研究に基づいて,福祉分野における人の脳活動の活用を現実世界で適用させることを目的とし,利用者が初めて訪れる施設であっても脳波から利用者の意図を読み取り,容易に目的地まで辿り着くシステムの実現を目的とする.
著者
小出 昭夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第45回, no.データ処理, pp.379-380, 1992-09-28

曲面上に一様に散布したドットの集まりで物体の表面を可視化する方法は,描画の高速性と半透明効果の有用性のため,会話的分子グラフィックスシステムでの基本的表示法となっている。ここでは,まず,最適のドット散布法を平面格子から曲面への等面積マッピングとして孝察する。次に,ドット散布表示をもちい,物体の任意の集合演算でできる3次元領域の表面の可視化を与える。例えば,V_1,V_2,V_3,V_4を構成物体とするとき,集合演算L=(V_1nV_2)U(V_3nV_4^C)で新しい物体が定まる。この表面上のドットを効率的に求める方法について述べる。
著者
高村 峰生 TAKAMURA Mineo
雑誌
女性学評論 = Women's studies forum
巻号頁・発行日
vol.29, pp.51-69, 2015-03

本論はスウェーデンの映画監督であるイングマール・ベルイマンの『秋のソナタ』(1978)において顔がどのように表現され、映画の時間性と結びついているかを、特に母娘の口論の場面に注目して分析している。序論ではベルイマンのクローズアップの典型例として『不良少女モニカ』(1953)における主人公モニカの顔を捉えたシーンに触れ、この場面が表情の微細な変化に観客の関心を向けさせ、ステレオタイプ化された表情と対立するような顔を持続的な時間のうちに表現していると論じた。このモニカのショットは現在時間の持続を捉えているが、『秋のソナタ』においては過去が重要な意味を持っている。夫を失ったばかりのシャルロッテは娘のエヴァの家を訪問するが、そこでいままで目を背けていた過去と対面させられる。たとえば、シャルロッテは重度の障害者であるエヴァの妹ヘレーナが家にいるとは知らず、対面することに苦痛を感じる。ヘレーナはしかし母との再会を喜び、うめくような声で「顔を持って、よく見て」と頼む。このことは「顔」こそが真実を明らかにするものであることを示唆している。シャルロッテはしばしば表情を作ってその場を取り繕うとするが、その試みは過去の記憶の充満したこの屋敷という空間においては挫折する。母と娘の口論のシーンは、家庭を顧みることなくコンサートピアニストとして世界を飛び回っていた母親シャルロッテへのエヴァの非難と、それに対するシャルロッテの自己弁護から成り立っている。二人の間の緊張が最も高まった瞬間において、両者は互いに向き合うのではなくカメラの方を向いており、自我を喪失したように宙を見つめるだけの顔面が我々に向けられることになる。エヴァは4歳を直前にして死んだエーリックの記憶に寄り添いながら生きており、彼女のシャルロッテへの言葉は死の世界からのメッセージでもある。二人がカメラを向くシーンにおいて観客に伝えられるのは過去の重みであり、死の気配である。ベルイマンは顔のクローズアップによって過去が顔面のうちに身体化する様子を捉えたのである。
著者
岡田健 杉浦学 松澤芳昭 大岩元
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.123(2007-CE-092), pp.123-128, 2007-12-08

日本語プログラミング言語「ことだま on Squeak」を用いて、プログラミング入門教育を行なうことにより、論理的に考える訓練を行った後、Java で同じ内容を行ない、更にそれを発展させる「論理思考とプログラミング」という新しい授業科目を実施した。その設計思想と実施結果について報告する。
著者
石田 晴久
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, 1972-05-15
著者
長瀧 寛之
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.47-50, 2012-12-15

一般情報教育における「情報の科学的な理解」への興味を喚起し理解を促進する授業手法として,著者はコンピュータゲームを積極的に資料として用いる講義形式の授業手法を構築し,実際の教養教育の現場で実践している.本稿では実際に著者が2010年度より所属大学で開講している「テレビゲームからみる情報科学概論」の授業概要とその実践結果について紹介し,コンピュータゲームを情報教育に活用することの利点と今後の課題ついて議論する.
著者
綿谷 卓真 友國 伸保 黄 健
出版者
近畿大学工学部
雑誌
近畿大学工学部研究報告 = Research reports of the Faculty of Engineering, Kinki University (ISSN:0386491X)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.81-84, 2012-12-01

[Abstract] Mechanism of motion generation of human upper limb has puzzled scientists for a long time because of its high redundancy on mechanical structure and various factors from the environment. It was reported that illusion exerts a strong effect on the human upper limb motion based on the planning-control model of Glover hypothesis. In this study, we investigated the influence of Müller-Lyer visual illusion on the upper limb movement by changing the fingertip contact conditions.
著者
黄 健
出版者
近畿大学工学部
雑誌
近畿大学工学部研究報告 = Research reports of the Faculty of Engineering, Kinki University (ISSN:0386491X)
巻号頁・発行日
no.43, pp.91-96, 2009-12-01

This paper presents a method for measuring the spatial cognitive ability of the moving distance of the human hand by using motion capture (MoCap). To improve the measurement accuracy of MoCap, a method involving the use of an upper limb model is proposed in this paper. The proposed method has many advantages such as the use of a small number of markers,and better alternatives for marker sticking positions that can reduce inaccuracies due to small muscular deformation. To investigate the cognitive ability of the moving distance of a human hand, both horizontal and vertical hand movements are measured using the proposed protocol for six subjects. The results demonstrate that the average moving distances obtained in both directions become coloser to the standard length compared with the results obtained in the previous study. The experimental results also demonstrate a strong relationship between error of the hand moving distance and manipulability of the upper limb. Moreover, the maximum velocity observed during horizontal and vertical movements are compared; and the result implies that the gravitational force exerted on the arm evidently atlects the hand movement in the blindfolded state during vertical movement.
雑誌
人間福祉研究 = The human welfare review
巻号頁・発行日
vol.6, pp.121-133, 2004-03-25
著者
脇田 玲 上野 道彦
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2009-HCI-133, no.13, pp.1-6, 2009-05-08

近年,布にセンサやアクチュエータを埋め込んだスマートテキスタイルと呼ばれる新素材が注目を集めている.我々は,布本来が保持している柔軟性の高さに着目し,自由曲面のように動的に変形するテキスタイル"Living Textile"を提案する.動的に変形する布は新しい素材としてデザインの可能性を広げるのみならず,生物らしさ(アニマシー)を有するインタラクションの可能性も広げるものである.
著者
小林 潤平 関口 隆 新堀 英二 川嶋 稔夫
雑誌
研究報告ドキュメントコミュニケーション(DC) (ISSN:21888892)
巻号頁・発行日
vol.2015-DC-98, no.8, pp.1-8, 2015-07-06

本研究では,文章を読む目の動きを電子リーダーによって自然なかたちで簡素化する手法を提案する.紙の書物では紙面に文字が固定されているために,読者自身が最適な停留場所を探しながら視点を動かして読み進めていた.一方,電子リーダーでは文字側を自由に書き替えられるために,読者の目の動きを電子リーダーで代替するような柔軟な表示設計も可能となる.そこで本研究では,スクロール機構と文字レイアウトの工夫によって文章を読む目の動きを簡素化することを目的に,1 行を 1 文節で構成するとともに行頭を階段状にインデントさせた電子リーダーを開発し,その効果を読み速度や眼球運動の点から検証した.その結果,単文節行と階段状インデントを有する電子リーダーでは,読み速度や理解度を低下させることなく,インデント幅分の一定長で短いサッカードという単調な目の動きで読める傾向が認められた.
著者
長谷川 高生 ハセガワ コウセイ Kosei Hasegawa
雑誌
近畿福祉大学紀要
巻号頁・発行日
vol.2, pp.22-33, 2001-12-15

In this paper, I analize the political process of transition to the democracy in Spain more in detail than in my book, From Dictatorship to Democracy - Spain and Japan - (1999). I try to examine political reality of the transitional process to the democracy, by considering the policies and disputes among the political parties and analizing the results of elections in this process. As I offered in above-mentioned book, I devide this process into four periods:the period to December of 1973, the period from January of 1974 to July of 1976, the period from July of 1976 to 1979 and the period from March of 1979. In the first period, the authoritarian strategy from above by Franco regime was executed on liiegal oppositions. But this period was ended by the assassination of L. Carrero Blanco. In the second period, C. Arias Navarro did the strategy of confrontation against democratic insistence of the labor movements and oppositions, but failed between the attack from the right and the refusal from the democratic oppositions. The third period is characterized with the strategies of consensus adopted by Adolfo Suarez. He took the policy of consent to both the arms, the conservative right and the parties of democratic opposition, and got the success of democratic transition. He could also execute the strategy of consensus to from UCD as a consociational party and to deal with the parties of AP, PSOE and PCE etc. In the fourth period the democratic system was established, but the strategy of confrontation between the ruling party and the opposition parties appeared again.