著者
吉田 通子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.299-314, 1985-05

論文はじめに一 頼助と北条氏二 鶴岡供僧支配と頼助三 畿内および近国の寺社と頼助四 頼助と東密おわりに
著者
加藤 良輔
出版者
法政大学
雑誌
日本文學誌要 (ISSN:02877872)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.52-62, 1993-07-01
著者
稲葉 慎 高槻 成紀 上田 恵介 伊澤 雅子 鈴木 創 堀越 和夫
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.51-61, 2002-09-30
参考文献数
26
被引用文献数
2

小笠原諸島に生息するオガサワラオオコウモリのうち,父島個体群の生息数は近年150頭前後でほぼ安定していたが,2001年頃から急速に減少しており,保全対策を緊急に実施する必要がある.オガサワラオオコウモリは果実食で現在では栽培植物に大きく依存し,またエコツーリズムの対象となりつつあるなど,本種をめぐる自然環境・社会環境は複雑であるため,問題点を整理し,保全策の提言をおこなった.
著者
韓 雯
出版者
創価大学日本語日本文学会
雑誌
日本語日本文学 (ISSN:09171762)
巻号頁・発行日
no.22, pp.31-46, 2012-03

日本中世の説話、軍記物語、謡曲などに、「学問を好む木」─「好文木」という梅の別称が見える。鎌倉時代の説話集『十訓抄』に初出し、『晋起居注』に見える中国の皇帝が学問を好むと梅の花が咲き、学問を怠れば梅の花が散るという話に由来すると言われている。しかし、出典とされる『晋起居注』について考察すると、内容、主人公の人物像、梅のイメージなどの面から、いくつかの問題点が浮かび上がった。それにひきかえ、「好文木」の話は日本ではよく天神の飛梅伝説と結びつき、とくに天神信仰が流行する中世から盛んに説かれていたことに気づいた。小論は、天神信仰と梅の関係をめぐって、「好文木」説話成立のルートを考察したものである。
著者
角丸 歩
出版者
関西学院大学
雑誌
臨床教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.89-105, 2004-03-25

自傷行為の中でも,特にリストカットは,近年,思春期・青年期にあたる若者の間で急激な増加傾向にある。それは,自殺を目的としてなされるというより,様々な要因による感情の表現としてなされるようである。これまでの自傷行為に関する研究では,事例研究がその中心であり,尺度の作成を試みた者は数少ない。そのため,自傷を客観的に捉える指標は今のところ確立してはおらず,自傷行為に関する尺度の作成についての研究は,今後さらなる開拓が望まれる分野である。本研究では自傷を行う傾向が強くなる思春期を経た,青年期にあたる大学生を対象に,自傷行為の実態を明らかにするとともに,攻撃性との関連に着目しながら自傷尺度の作成を試みた。攻撃性についてはP-Fスタディを,実態調査については独自に作成した質問紙を用いた。また,自傷尺度については独自に作成した50項目より,因子分析にて抽出された17項目からなる尺度を用いた。結果,自傷行為に関する実態調査からは,自傷を行うきっかけや現在の大学生における自傷行為のあり方を知ることができた。きっかけとしては,大きく分類して(1)イライラによる衝動,(2)リストカットの流行に見られるような自己陶酔,(3)気付いてほしいというクライシスコール,(4)なんとなくといった解離状態の4つが見られた。自傷としては,やはりリストカットなどのカッティングが最も多く,他には叩頭や壁を殴る,蹴るなどが多く見られた。また,自傷行為の経験の有無にかかわらず,その攻撃性を捉えることができたという点から,今回作成した自傷尺度は自傷を行う傾向の強さを捉えるための指標として,有効な尺度となったと言うことができた。P-Fが示す攻撃性の結果から,自傷傾向の高い者は,社会性が乏しいために人間関係がうまく行かず,問題を起こしやすいということがわかった。そして,問題が生じた時には,一般的とされる反応ができずに衝動的に怒りを表現してしまいがちであると思われる。また,その攻撃性を自己の中に抑制することができず,外へ向かって表現してしまう。そのため,その攻撃性が周囲の人間に対する感情の表れとして人格化された手首などに向いた場合に自傷行為として現れるのではないかと考えられる。実際に自傷をしたことがあると答えた者では,その攻撃性は障害や問題の原因には向かわないということがわかった。しかし,問題の解決は積極的にしようとするので,攻撃が自己に向かいやすく,自傷行為につながるものと思われる。以前は疾病や障害によるものがほとんどであった自傷行為が,近年になって一般の若者の間で流行してきている背景には,現代という時代そのものが強く影響していると思われる。医療の進歩や飽食の影響で,「死」は日常から遠い存在になった。そのためにアイデンティティの確立を迫られた思春期・青年期には,「生」を確かめなければ生きている実感を得ることが難しいと感じる者が現れた。また,進学率の向上とともに若者が受けるストレスも増え,そのはけ口が必要となった。本来ならばあるべきはずの家族や友人の親密な関係が希薄になることで,発散できないストレスや伝えきれない感情を自己に向けざるを得ない環境ができたのではないかと思われる。このように自分という存在がわかりづらく,自己表現のしにくい時代の中で,自傷行為は取り組まざるを得ない問題行動であると言えよう。自傷行為,特にリストカットのような致命傷には至らない傷は,ことばにできない感情を表現するコミュニケーションの手段であり,メッセージである。そして,自傷行為をひとつのメッセージとして捉え,これを見逃さずサポートしていくためにも,自傷行為および自傷尺度についての研究を今後さらに進めていきたいと思う。
著者
田中 美樹 布施 芳史 高野 政子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.71-77, 2011-04-01
参考文献数
13

本研究の目的は,父親が「自分は父親になった」と自覚した時期や出来事と,児への愛着や子育て行動にどのように影響しているのかを明らかにすることである。対象者はA市内の保育園に通う3歳未満の子どもをもつ父親で,属性,父親として自覚や子どもへの愛着に関する無記名自記式質問紙法を行った。愛着に関する項目は,大日向により信頼性が確認された愛着尺度を用いた。父親の自覚がある者は97.1%で,自覚をもった時期は「子どもを初めて見たとき」32.9%,「初めて抱っこしたとき」30.0%であった。子どもへの愛着得点が高い父親は低い父親に比べ,父親としての自覚で「強く思う」と答えた割合が高く,父親としての自覚と子どもへの愛着に関連を認めた(P<0.05)。さらに,育児参加への自覚の認識が高い父親は父親としての自覚も高かった(P<0.05)。多くの父親が出生直後の子どもに触れることや顔を見ることで父親としての自覚を感じていた。父親としての自覚と子どもへの愛着,育児参加の自覚とも関連を認め,父親が父親としての役割を果たすとき,その根底にあるものは,父性の芽生えや「父親になった」という自覚であることが示唆された。
著者
重田 守輝
出版者
国際短期大学
雑誌
紀要
巻号頁・発行日
vol.13, pp.103-112, 1998

(1) 1)本件は,平成7年4月23日執行の東村山市議会議員選挙の当選人Aが,住所移転をして,被選挙権喪失をし,それを理由としてされた次点者Bを当選人とする繰上補充(すなわち繰上当選)について,選挙人であるWらが,AはBへの議席譲渡のために住民票を移転したものにすぎず繰上補充の要件はないなどとして,Bの当選の効力を争った事案である。2)Wらは,公職選挙法(以下単に「公選法」という。)206条1項にもとづく異議の申出をしたが,東村山市選挙管理委員会はこれを棄却する決定をした。3)これに対する公選法206条2項にもとづく審査の申立を,東京都選挙管理委員会Yが,棄却の裁決をした。4)そのため,Wらが,公選法207条にもとづいて,右の裁決の取消しを求めて本件訴えを提起したものである。(2) 1)本件選挙は,平成7年5月1日から任期開始となる市議会議員の一般選挙であった。2)A,Bらは,同一政治グループから立候補していたが,Aが4位で当選し,Bは次点であった。3)市選挙管理委員会は,4月24日,当選人の告示を行ったが,Aは,議員としての身分取得前である4月26日,市選挙管理委員会に対して,当選の辞退を申し出たうえで,転出証明書をそえて,松戸市へ転出したため被選挙権を失った旨届け出た。4)そこで,市選挙管理委員会は,公選法99条に従いAが被選挙権の喪失により当選人の資格を失ったと判断し,4月27日,繰上当選決定のための選挙会を翌4月28日午後6時に開催することを決定,告示した。5)しかし,この選挙会は,傍聴人多数による混乱のために当選人の決定ができなかった。6)結局,5月21日開催の継続選挙会において,次点者Bを当選人とすることが決定されて,同日告示された。7)Aの転出先とされた松戸市紙敷の住所はAの父の部下一家が住む社宅であった。8)Aは,5月9日には松戸市松戸のAの父が役員をしている会社の代表者所有のワンルームマンション所在地への転居の届出をした。9)さらに,5月29日には松戸市馬橋の第三者所有の賃貸マンション所在地への転居の届出をした。10)原判決(原審東京高裁平7<行ケ>第242号.平8・12・26判決)は,Aは,現在右マンションを生活の本拠としていると認定している。11)原判決は,Aが東村山市から松戸市への転居の届出をしたのは,次点者であるBを当選させるためのものであることは明らかであると認定した。12)その上で,住所を移転させる強固な目的で,4月26日に松戸市へ転出の届出をし,5月29日に転入手続をとった住所がそのまま現在の生活の本拠となっていることからすると,Aは,4月26日に東村山市から松戸市に生活の本拠を移転したと認めざるを得ないなどと説示して,Wらの請求を棄却した。そこで,Wらから上告された。