著者
寺内 礼治郎
出版者
金子書房
雑誌
児童心理 (ISSN:0385826X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.p172-178, 1979-01
著者
池田 碩
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.30, pp.83-96, 2002-03

Aw気候下のインド東南部で1300年前に構築されたことがはっきりしている石造寺院に生じた風化破壊の状況を観察、調査した。その結果、石造寺院の風化は全体に同速度で進行しているのではなく、風化の状態は上方から下方へかけて4層に分かれ、中央部の2層が速く、上方部と下端部では遅れていることがわかった。風化の内容も、最も進んでいる中央部では特異な形状を示すタフォニTafoni化タイプの風化を伴ないつつ進んでいるのに対し、下方部では剥脱・剥離exforiationタイプの風化破壊を進行させている。さらに、この石造寺院に生じているタフォニの成長速度は、自然界で形成している活発なタフォニで実験計測して得た値とほぼ一致することがわかった。
著者
池田 碩
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.34, pp.65-78, 2006-03

熱帯サバナ気候下に位置するカンボジア・アンコール地域の地盤の安定度と、石造遺跡の風化状況について調査した。その結果、地質地盤は安定陸塊上に位置しているが、寺院遺跡は環濠の掘り込みとその土砂による盛り土の上部に構築されているものが多いため、表層地盤は不等沈下や流動による被害が生じている状況を各地で確認した。石造遺跡の石材の風化は長年月を経て全体に進行してきているが、風化による剥離破壊は石材の限られた部分で急速に進んでいる。その部分と剥離破壊の状況は、自然界に生じているタフォニTafoni侵食と極めて類似していることがわかった。さらに風化破壊の速度は、砂岩石柱に生じている剥離破壊深が7~10cmに達しており、遺跡の構築がすでに800年程経過していることから、ほぼ100年間で1cmの速度で進行してきていることが推測できた。
著者
内田 悦生
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.6, pp.XI-XII, 2003-06-15
被引用文献数
1

カンボジアのアンコール遺跡は9世紀から13世紀にかけて建造されたヒンドゥ教・仏教寺院であり, 主たる建築材料として砂岩およびラテライトが用いられている. 建造以来, 樹木の成長(第1図)や地盤の不同沈下等により遺跡の崩壊が引き起こされているが(内田・小河, 1997), それと同時に砂岩材には種々の要因による興味深い劣化現象が見られる(Uchida et al.,2000). アンコール遺跡で多用されている砂岩は, 灰色~黄褐色砂岩(長石質アレナイト, 構成鉱物 : 石英,斜長石, カリ長石, 黒雲母, 白雲母, 岩石片)であり, 全ての時代にわたって岩石学的には同種の砂岩が使用されているが, その帯磁率には系統的な違いが認められ, 帯磁率に基づき石切り場の変遷が明らかにされている. この灰色~黄褐色砂岩には, 主として次のような劣化が認められる : (1) コウモリの排泄物に起因する劣化, (第2図, 第3図), (2) 方解石析出による劣化(第4図), (3)タフォニ(第5図~第7図), (4) 日射による膨張・収縮に起因する劣化, (5) 荷重による層理面に沿った亀裂, (6) 除荷による内部応力開放に起因する亀裂(シーティング). タフォニに関しては, その原因が必ずしも明らかではなく, 今後の解明が期待される. このような自然現象に伴う劣化・破壊ばかりでなく, 盗掘, 破仏や内戦による人為的な遺跡破壊も見られる.
著者
西山 賢一 横田 修一郎
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.122-129, 2010-08-10
被引用文献数
5

熊本県・天草上島に分布するタフォニを調査し, 形態的特徴等について検討した. 当地域には多数のタフォニが古第三系砂岩の急崖に形成されており, それらの確認範囲は海岸域だけでなく, 山地域にも及ぶ. 一部のタフォニでは, 天井から剥離・落下した砂粒子が底部に堆積しており, タフォニの一部は岩石表面の継続的な剥離によって現在も成長中であることを示している. また, 剥離の進行する天井部では概して岩石の強度が低く, かつ含水状態が高い地点が認められ, 天井部での岩石の風化が著しいことを意味している. 当地域のタフォニの形成に関しては, 岩石表面での塩類風化とそれに伴う強度低下が大きく関与したことが推定される.