著者
奥井 亜紗子
出版者
日本農業史学会
雑誌
農業史研究 (ISSN:13475614)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.2-13, 2016 (Released:2017-02-17)

From the post war era to the high economic growth period, there was a mass population movement from rural areas to the cities. These migrants were believed to be the second or third son of agricultural families who were seen as subordinate members to “Ie”. However, recently some empirical studies criticized the theory on the movement of second or third son of agricultural families was an extremely simplified image. Besides, they proved that practically a certain degree of eldest sons who are seen as the successors of “Ie” migrated to urban city before WW2. Furthermore, they also found that the areas with higher education level faced more serious problem in lack of successors. This paper analyzed the process of higher educated eldest son migrated to urban city and formed Japanese modern family in urban city without being a succession of “Ie” based on the case studies in Taki Kyouyukai, a local associations of Sasayama city. According to this research, the formation of credential society in high economic growth period lowered the mental pressure of Elder sons to migrate. The reason was the shift of agricultural high school to industrial high school loosened the counterpart of Elder sons’ life course in their home town. This paper studied how all these changes in high economic growth period affect the relation between Eldest sons who had migrated to urban city and their “Ie” or the society of their hometown.
著者
沼本 教子 原 祥子 浅井 さおり 柴田 明日香
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.54-64, 2004
参考文献数
20

本研究は,高齢者が看護者からの支援を受けて「自分史」を記述することにより,どのような心理社会的発達を経験していくのかを明らかにし,老年期における心理社会的健康を維持していくための看護援助として,自分史の記述を支援する意義について検討することを目的とする.有料老人ホームに入居している協力の得られた65歳以上の4名の高齢者を対象に著者の考案した「自分史プログラム」を実施し,その介入前後で得られたインタビューデータと日本語版E.H.エリクソン発達課題達成尺度および日本版GHQ28を用いて,プログラム開始前と終了後の変化を検討した.プログラム介入前後の発達課題達成度,GHQ28でみた心理社会的健康状態はどちらも改善傾向を示していた.また,プログラムの面談を利用しながら人生の軌跡を振り返り記述することによって,終了後「重要他者の存在」に気づく,夫の死の悲嘆を克服し「人生のまとめ」を考え始める,家族に対する「赦(ゆる)す感情」を見出す,生きる限り「挑戦する」など,それぞれがこれまでの人生を再評価し,新しい人生の目標を見出しており,自分史を記述することの効果があったことを示唆していると考えられた.
著者
船坂 陽子 田村 真吾 薄木 晶子 荒木 敬司 大橋 明子 市橋 正光
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.138-143, 2002

2000年10月1日から2000年11月30日までの2ヵ月間に神戸大学医学部附属病院皮膚科外来を受診した女性の尋常性痙瘡患者22例に対し, 「ノブ (R) ACスキンケアシリーズ」の使用試験を実施した。<BR>本製品は, Propionibacterium acnesに対して抗菌作用を有する感光素201号, 抗炎症効果が知られるグリチルリチン酸ジカリウムを配合するなどしたスキンケアシリーズで, 化粧落とし, 洗顔料, 化粧水および保湿ジェルの4品からなる化粧品である。2週間の使用試験において副作用例はなく, 全症例22例中21例に安全性を認めた。1例において, 洗顔料の使用部位に本試験品とは因果関係不明の紅色丘疹を認めたが, 使用中止により症状は軽快した。<BR>これらの結果から, 本試験に供した「ノブ<SUP> &reg; </SUP>ACスキンケアシリーズ」は痙瘡患者に対しても安全に使用できるスキンケア製品と考えられる。
著者
竹山 勇
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.433-443, 1970 (Released:2007-06-29)
参考文献数
22

1. 目的 内分泌および代謝障害による糖尿病患者について, 糖尿病に基因する聴覚ならびに前庭機能の障害があるかどうか, 糖尿病の重症度, 血糖, 随伴する血管障害などと関連があるかどうか, さらに糖負荷によりいかなる所見が得られるかという問題を解明すべく本研究を行つた.2. 方法 聴力検査ならびに前庭機能検査を行い, 聴力検査は純音オージオメータを用い, 気骨導検査と併せてDL検査も試みた. 前庭検査はめまい既往を詳しく問診し, 次いで自発眼振, 頭位眼振, 頭位変換眼振を観察し, さらにロンベルグ試験, マン検査, 足踏検査を行い, また冷温交互試験, 廻転検査を行つた.糖負荷試験は糖尿病の未治療群と既治療群とに分け, 負荷前後において上記検査を行つた.3. 結果(i) 血管障害 (高血圧症, 動脉硬化症) を伴う症例では前庭および聴力検査において異常を認めたものが多い.(ii) また中, 高年層においてその異常所見の発現率が高くみられた.(iii) 若年層では高血糖, 眼合併症 (糖尿病性網膜炎) を伴う症う症例に聴力障害がみられた.(iv) 罹病期間には相関を示さなかつたが, 高血糖値, 高血清総コレステロール値を有していた症例に内耳障害を示したものが多くみられた.
著者
山成 正宏
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.98-106, 2017 (Released:2017-12-29)
参考文献数
49
被引用文献数
2

偏光optical coherence tomography(OCT)は通常のOCT強度画像に加え, 繊維組織のもつ複屈折やメラニン色素のもつ偏光スクランブル効果を可視化し, 新たなコントラストを加えることができる。本稿では偏光OCT技術の概要をできるだけ平易に解説する。偏光がOCTに本質的に関わる重要な概念であり, 通常のOCTでは偏光にまつわるアーティファクトが発生することや, 偏光OCTを用いることで通常のOCTでは見えないコントラストを追加できることを示す。応用としてトラベクレクトミー術後の濾過胞瘢痕化の例を紹介する。
著者
バンフォード ジュリアン 高橋 雅人
出版者
文教大学
雑誌
湘南フォーラム:文教大学湘南総合研究所紀要 = Shonan Forum : Journal of the Shonan Research Institute Bunkyo University (ISSN:18834752)
巻号頁・発行日
no.12, pp.27-31, 2008-03-01

In this bilingual article, we describe an English class that motivates students and helps them develop confidence and basic speaking ability. This class is contrasted with conventional English classes in terms of purpose, method, content, class material and the role of the teacher.
著者
山森 靖人 Yasuhito Yamamori
出版者
関西外国語大学・関西外国大学短期大学部
雑誌
関西外国語大学研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
no.105, pp.127-141, 2017-03

本稿は『関西外国語大学研究論集』第101号に掲載された「ウィチョール族民芸品販売の現状と問題」の続編である。先の拙稿では、1 )ウィチョールの民芸品販売がメキシコ各地に拡散していること、2 )その拡散は非ウィチョールが主導していること、3 )ウィチョールによる民芸品販売は主に彼らの居住地に隣接する都市部や首都に展開する屋台や民芸品市場に限定されること、4 )民芸品販売がウィチョールの生業になり得ないことを考察した。ウィチョールの「伝統的」な生業はとうもろこしの農耕である。しかし、ナヤリ山地に定住する以前、彼らは農耕民ではなく、狩猟採集民であったと推測されている。この生業の変化を踏まえて、ウィチョールの民芸品販売に潜む狩猟採集民的な特質を解明し、貨幣経済に順応するための民芸品販売が、彼らの生業となり得ない理由を議論する。
著者
山森 靖人
出版者
関西外国語大学
雑誌
研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.121-138, 2015-03

1960年代、ウィチョール族(huichol)のシャーマンが描くサイケデリックな「抽象画」の芸術性が認知され、それと同調し、ウィチョール族民芸品の製作販売が始まる。現在、民芸品の製作販売は、彼らの重要な現金収入源となった印象を受ける。 しかし、Torres Contreras は、ウィチョール族の生産活動についての研究は少ないと指摘する(33)。彼らの民芸品についても、その概説やそこに表出された彼らの世界観を紹介・解説する著作は散見されるが、製作販売の現状に関する調査研究はほとんど行われていない。NahmadSitt&oacute;n による1970年代の状況に関する論考が見られるだけである(150-157)。 本稿では、現地調査により収集した情報に基づき、ウィチョール族の民芸品販売の現状を報告する。さらに、ウィチョール族にとって、現在の民芸品販売の「流行」がどのような意味をもつものであるのかを考察する。
著者
中内 靖
出版者
計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 = Journal of the Society of Instrument and Control Engineers (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.846-851, 2009-12-10
参考文献数
18
被引用文献数
1