著者
河村 壮一郎
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.76, pp.9-17, 2018-01-12

青年期における自己肯定意識の形成は教育における重要な課題であり,その向上には多様な要因が関わっていると考えられる.本論では自己のパーソナリティの諸要因に対する意識度が自己肯定意識の高さと関連しているとの仮説を立て,ビッグファイブ尺度に基づいて調査を行った.相関分析の結果,自己肯定意識の高さは情緒不安定性に関する意識度と負の関係,外向性に関する意識度と正の関係があることが示された.この結果は自己肯定感が自己の肯定的あるいは否定的な側面への意識によって影響されるという仮説からの予測と一致していた.
著者
神田 直樹 伊藤 毅志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.20-24, 2015-10-30

人間同士で行う人狼ゲームでは、一種の“通説”と呼ばれるプレイ戦略の指針のようなものによってプレイが行われることがある。しかし、人狼というゲーム自体歴史が浅く、これらの通説には疑わしいものも含まれている。本研究では、人狼知能プロジェクトが提唱する「標準ルール」において、基本的な役職行動と投票行動を行う“基準プレイ”を提案した。そして、人狼知能プロジェクトが提供している人狼サーバの自動対戦機能を用いて、基準プレイにおける勝率と通説を用いた場合の勝率を比較することで、通説の妥当性の検証を試みた。
著者
吉枝 正明
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, 1962-03-15
著者
松田 外志朗
出版者
近畿大学原子力研究所
雑誌
近畿大学原子力研究所年報 = Annual Report of Kindai University Atomic Energy Research Institute (ISSN:03748715)
巻号頁・発行日
no.53, pp.13-18, 2017-03-24

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により東日本大震災が引き起こされ、地震と津波により東京電力福島第一原子力発電所事故が起こった。事故により環境に放出された放射性物質が人体に与える影響について懸念された。1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故では、放射性ヨウ素の内部被ばくにより、事故後に小児の甲状腺がんの増加が認められたことから、福島県でも子供の健康を長期にわたって見守るため甲状腺検査が開始された。2011年10月より2014年3月までの先行調査が実施され、2014年4月からは本格調査が実施されている。当初の予想に反して、先行検査の段階から多数の甲状腺がんが発見された。この甲状腺がんの増加は、内部被ばくによる発がんではなく、主として超音波検査の質の向上によるものと考えられている。しかしながら、一部が被ばくによる甲状腺がんではないかという考えを否定することは現状では困難であり、今後診断される甲状腺がん症例が内部被ばくよるものか否かを判断する方法も現状ではない。甲状腺がんの発がんのメカニズムの解明や手術適応の確立は、取り組むべき大きな問題であることを認識する必要がある。
著者
川瀬 和也 Kazuya KAWASE
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-15, 2017-03-10

本稿は、M.ブラットマンによって展開された、現代行為論における事前の意図に関する理論が抱える存在論的な問題を指摘するとともに、この問題を解決するための指針を、『精神現象学』におけるヘーゲルの行為論の中に探るものである。これにより、事前の意図を時空間的な連続性によって個別化可能な心的出来事の一種として理解する存在論への対案を提示するとともに、行為に関するヘーゲルの考案に新たな光を当てることを目指す。
著者
佐藤 次高
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1・2, pp.115-139, 1989-12

On 17 Dhû a1-Hijja 717 A.H./20 February 1318 A.D., a man appeared at Qirtiyâwus in the Syrian province of Jabala and called himself Muhammad b a1-Hasan al-Mahdî. Three thousand of al-Nusayrîs immediately assembled around him asserting the deity of Alî b. Abî Tâlib. They proclaimed publicly the abolition of both prayer (salât) and abstinence from drink, and then attacked the Muslims of Jabala in public prayer. Among the rebels was included a youth named “Ibrâhîm b. Adham”, a popular sûfî saint who died in Jabala in the latter half of the 8th century. Received the news of their revolt, amir Shihâb al-Dîn Qirtây, governor of Tripoli, despatched 1,000 cavalries under the command of his three Mamlûk amirs. On Dhû al-Hijja/25 February they battled with al-Nusayrîs and succeeded easily in suppressing the revolt after they killed 120 rebels including al-Mahdî.According to the contemporary sources such as al-Nuwayrî’s Nihâya al-Arab and Ibn Battûta’s Rihla, the revolt was clearly against the religious policy of the Mamluk government toward al-Nusayrîs. In 1317 Sultan al-Nâsir (1293-94, 1299-1309, 1310-41) carried out the cadastral survey (rawk) in the province of Tripoli including Jabala and ordered al-Nusayrîs to construct mosque (masjid) in each village. Then he prohibited them strictly from holding the initiation called “khitâb” in which new participants are granted the secret creeds peculiar to al-Nusayrîs. Al-Maqrîzî (d. 1442) explains that they believe Alî’s deity and insist the idea of heaven and hell to be denied. The sunnî ulamâ’ in the Mamluk period regarded al-Nusayrî’s belief as infidel and estimated them inferior even to the Christians and Jews. We find its example in the fatwâ of Ibn Taymîya which was delivered at the revolt of a1-Nusayrîs in 1318.
著者
波田野 裕一
雑誌
研究報告ドキュメントコミュニケーション(DC) (ISSN:21888892)
巻号頁・発行日
vol.2017-DC-107, no.2, pp.1-8, 2017-11-23

社会的重要性を増す IT システム運用において,サービス品質を担保するために必要とされるドキュメント群の中でも運用手順書は利用頻度が高く,その作成 ・ 維持に相当の工数を要している.しかし,IT システム運用現場において運用手順書の作成手法が広く確立されているとは言えず,各現場で定められた独自フォーマットに従って各担当者が自己経験に基づいて作成しているのが現状である.そのため,運用手順書の作成に工数が掛かる割には,不適切な手順によるトラブルの発生やその再発を防げないという事象が多発している.本論では,現場の業務に合致した運用手順書を効率的かつ効果的に作成するために,必要となる要素および作成過程を分析し,適切に構造化するための手法について提案する.